目次
市販の天ぷら粉がなくても、小麦粉(薄力粉)をベースにした衣で代用できます。
最も基本的なレシピは「薄力粉+卵+冷水」の組み合わせです。
ほかにも、炭酸水やビール、マヨネーズを使うレシピや、片栗粉を組み合わせるレシピがあります。
この記事では、市販の天ぷら粉の特徴や代用のコツとともに、天ぷら粉の代用品について詳しく紹介します。
天ぷら粉の特徴と代用のコツ

市販の天ぷら粉を使うと、天ぷらがサクッと揚がりますが、その理由は原料の配合にあります。
この章では、天ぷら粉に配合されている原料と、小麦粉で代用してもサクッと揚げるコツを紹介します。
天ぷら粉の原料とサクッと揚がる理由
天ぷら粉を使うとサクッと揚がるのは、小麦粉(薄力粉)のほかに、ベーキングパウダーやでんぷんが配合されているためです。
ベーキングパウダーは、水に溶けた際や加熱時に気泡が発生するため、衣をサクッと軽く仕上げる働きがあります。
でんぷんを配合するのは、小麦粉の割合を減らして、衣に粘り気を与える「グルテン」というたんぱく質の量を抑えるためです。
天ぷら粉を小麦粉などで代用する際のコツ
天ぷら粉を小麦粉で代用する際は、粘りのあるグルテンの形成を抑えて、衣を軽く仕上げることが重要です。
衣を作る際に以下のようなコツがあります。
- 衣の材料を混ぜすぎない
衣を作る際は、混ぜるほどグルテンが形成されて粘りが強くなるため、軽く混ぜるだけにする。 - 冷水を使う
グルテンは温度が低いと形成されにくいため、衣には冷水を用いる。できれば小麦粉も冷やしておくとよい。 - 衣を作ったらすぐに使う
時間が経つほどグルテンが増えるため、衣は揚げる直前に作る。
グルテンとは、小麦粉の衣や生地に、粘りや弾力を与えるたんぱく質のことです。
小麦粉に水を加えて混ぜることで、2種類のたんぱく質(グルテニンとグリアジン)が絡みあって形成されます。
グルテンは、天ぷらの衣に必要な粘り気を与えますが、多すぎると衣が重くなりサクッと揚がりません。
紹介したコツを守ることで、軽い仕上がりの天ぷらが作れます。
また、天ぷら粉に配合されているベーキングパウダーの代わりに炭酸水やビールを用いたり、でんぷんとして片栗粉を混ぜたりすることでも、天ぷらがサクッと揚がります。
小麦粉をベースにした天ぷら粉の代用品

天ぷら粉がなくても、小麦粉を使った衣で代用できます。
ここからは、小麦粉をベースにした天ぷら粉の代用レシピを4つ紹介します。
なお、衣に使う小麦粉は、たんぱく質が少なく粒が細かい「薄力粉」が適します。
薄力粉+卵+冷水
天ぷら粉を小麦粉で代用する王道の組み合わせは、薄力粉と卵と冷水です。
材料
- 薄力粉 100g
- 卵 1個
- 冷水 200mL
作り方
- ボウルに卵を入れ、泡立て器でよくかき混ぜる。
- 冷水を加えてしっかりと混ぜる。
- ふるった薄力粉を半分くらい加え、切るように混ぜる。
- 残った薄力粉をふるいながら加える。
卵はよくかき混ぜて、しっかり冷水と混ぜ合わせるのがコツです。
卵を加えることで天ぷらの衣がほどよい固さになり、サクッとした歯ごたえにつながります。
天ぷらの衣の固さは、菜箸を入れたとき、衣にスジがついてさっと消えるくらいが目安です。
また、薄力粉はふるったほうが、ダマになりにくく空気を含むため軽い仕上がりになります。
牡蠣などの水分の多い食材を揚げる場合は、卵の量を増やすことでサクッとした天ぷらになります。
薄力粉+卵+炭酸水
冷水の代わりに炭酸水を使うと、衣の中に多数の細かい気泡ができやすく、よりサクッと軽い天ぷらに仕上がりやすくなります。
材料
- 薄力粉 100g
- 卵 1個
- 炭酸水(冷やしたもの) 150mL
作り方は、先述した「薄力粉+卵+冷水」と同じです。
サクッとした食感を保つためには、炭酸水の気泡をつぶさないように衣をざっくりと混ぜましょう。
炭酸水も、水と同様に冷やしておくとよいです。
薄力粉+マヨネーズ+冷水
天ぷら粉の代用品として、卵を使わずにマヨネーズを加えるレシピもあります。
意外に思われるかもしれませんが、衣を軽く仕上げる効果があります。
材料
- 薄力粉 100g
- マヨネーズ 大さじ2
- 冷水 150mL
作り方
- ボウルにマヨネーズを入れる。
- マヨネーズに少しずつ水を加えながらよく混ぜる。
- 薄力粉をふるいながらざっくり混ぜる。
マヨネーズに含まれる油分は、小麦粉の表面をコーティングして水との接触を妨げ、グルテンの形成を抑えます。
その結果、衣の粘りが減って、天ぷらが軽い仕上がりになるのです。
ただし、油分が増えすぎると衣が重くなるため、マヨネーズは適量を加えるのがコツです。
マヨネーズには、衣にコクを与える効果もあります。
薄力粉+ビール
ビールには炭酸とアルコールが含まれており、薄力粉と混ぜることで、サクッと揚がる天ぷら粉の代用品になります。
材料
- 薄力粉 100g
- ビール(冷やしたもの) 150mL
作り方
- ボウルにふるった薄力粉を入れる。
- よく冷えたビールをボウルに加えざっくりと混ぜる。
炭酸水と同様に、ビールの炭酸も衣の中に気泡を作るため、衣が軽めに仕上がります。
また、ビールに含まれるアルコールは水より蒸発しやすく、衣の表面が早く固まります。
すると油の浸透が妨げられ、サクッとした食感の天ぷらになります。
片栗粉を使った天ぷら粉の代用品

天ぷら粉の代用として、じゃがいものでんぷんである「片栗粉」を加えるレシピもあります。
市販の天ぷら粉は、でんぷんを配合して小麦粉の割合を減らし、粘りのあるグルテンの形成を抑えています。
代用の衣を作るときも、小麦粉(薄力粉)と片栗粉を併用すると、グルテンの形成を抑えて天ぷらをサクッと揚げる効果があるのです。
また、片栗粉を使った天ぷらは、グルテンが少ないので、揚げた後に衣がしんなりしにくく、サクサク感が長続きするメリットもあります。
ただし、片栗粉が多いと衣が固くなるので、適量を混ぜることが重要です。
ここからは、片栗粉を使った天ぷら粉の代用レシピを紹介します。
片栗粉+薄力粉+卵+冷水
片栗粉を使う場合の基本となるレシピで、同量の薄力粉と片栗粉を用います。
材料
- 薄力粉 50g
- 片栗粉 50g
- 卵 1個
- 冷水 150mL
作り方
- ボウルに卵を入れてよくかき混ぜる。
- 冷水を加えてよく攪拌する。
- ふるった薄力粉と片栗粉を加えてざっくり混ぜる。
このレシピは、片栗粉を用いないレシピよりも、ややしっかりした食感で、ザクッとした揚げ上がりになります。
なお、衣を用意したあとは片栗粉が沈殿しやすいため、揚げる直前に軽く混ぜてから使いましょう。
片栗粉+薄力粉+冷水
卵を使わずに、片栗粉と薄力粉で衣を作ることもでき、薄い衣で軽くパリッとした食感になります。
材料
- 薄力粉 50g
- 片栗粉 50g
- 冷水 160mL
作り方
- ふるった薄力粉と片栗粉を混ぜてボウルに入れる。
- 冷水を加えてざっくりと混ぜる。
このレシピは、衣の主張が控えめで素朴な仕上がりの、素材のおいしさを生かせる天ぷらになります。
アスパラガスやナスなどの野菜にとくにおすすめです。
また、卵アレルギーがある人にも向いています。
天ぷらをおいしく揚げるコツ

市販の天ぷら粉を小麦粉などで代用する際は、揚げ方のコツを守ることがとくに重要です。
ここでは、天ぷらをおいしく揚げるコツを、最低限押さえておきたい2点に絞って紹介します。
食材の水気をしっかり取る
天ぷらがサクッと揚がるのは、高温の油の中で水分が急速に蒸発し、衣に気泡を作るとともに水蒸気が油の浸透を防ぐためです。
また、余計な水分が残らないことで、揚げた後のサクサク感が長続きします。
しかし、揚げる食材の表面に水分が残っていると、揚げても水分が抜けきらずに、重たい食感になりやすくなります。
そのため、衣をつける前にキッチンペーパーなどで、食材の水分をしっかりと除いておくことが重要です。
食材の水気を取るには、「打ち粉」をするのも効果的です。
とくに、エビやイカなどの水分が多い食材は、打ち粉が水分を吸収して、より軽く揚がります。
鍋に入れる食材の量に注意
食材によって差がありますが、一般に、天ぷらを揚げるときの油の適温は180℃前後です。
一度にたくさんの食材を揚げると油の温度が急激に下がって、水分の蒸発が不十分となり、サクッと揚がりません。
また、食材同士が近づいて衣がくっついてしまう原因にもなります。
鍋には食材を少量ずつ入れて、油の適温を保ちながら揚げるのがコツです。
まとめ
市販の天ぷら粉がなくても、小麦粉(薄力粉)をベースにした衣を作って代用できます。
代用する際は、グルテンによる粘りを抑えることがポイントです。
衣は冷水などの冷やした材料で作り、混ぜすぎないようにしましょう。
食材の水気を取る、一度にたくさんの食材を揚げないといった、天ぷらをおいしく揚げるコツを守ることも大切です。
紹介した天ぷら粉の代用レシピを活用して、ぜひサクッとおいしい天ぷらを楽しんでみてください。












