目次
脂質や糖質の多いものばかりを好んで食べていると、血中の中性脂肪が増えやすく、肥満や病気の原因になりかねません。
健康診断で血中の中性脂肪が多いと判断されたら、食生活を見直す必要があるでしょう。
この記事では、「中性脂肪を下げる効果が期待できる食べ物」を食品の分類別にまとめています。
また、中性脂肪の役割や望ましい1日の摂取量、おすすめ食品をおいしく食べるレシピも紹介します。
中性脂肪の値が気になっている方は、ぜひ参考にして、食生活の改善にお役立てください。
エネルギー源となる体に必要な成分「中性脂肪」とは?
中性脂肪は、体にとって必要なエネルギー源となる、大事な栄養素のひとつです。
一方で、中性脂肪が増えすぎると太る原因になるだけでなく、血液がドロドロになり、動脈硬化などの病気になるリスクも増えます。
中性脂肪の血中濃度は30~149mg/dL(空腹時)が基準値です。
基準値を超えると「脂質異常症」とされ、メタボリックシンドロームの診断基準にもなっています。
中性脂肪が増える原因は、主に食生活にあるといわれているため、健康診断で指摘された方は、食生活を見直す必要があるでしょう。
参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「脂質異常症」
厚生労働省「健診項目について」
中性脂肪を下げる効果が期待できる身近な食べ物:1日の摂取量も紹介
中性脂肪を下げる効果が期待できる食べ物としては、以下のものが挙げられます。
食品 | 1日の摂取量(目安) |
---|---|
魚 | 100g |
野菜 | 350g |
きのこ類 | 50~100g |
海藻類 | 5~10g |
1日の摂取量の目安は、魚類であればEPAやDHAの1日の摂取量の目安、それ以外は食物繊維の1日の摂取量の目安から概算したものです。
いずれも手軽に入手できる食材なので、普段の食事に意識して取り入れてみてください。
参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
国立病院機構「DHA・EPAの働き 1回に食べる目安量」
魚類:とくにサバやイワシなどの青魚
魚はEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)などの多価不飽和脂肪酸が豊富で、とくにサバやイワシなどの青魚に多く含まれています。
EPAやDHAは、中性脂肪の合成を抑制したり、中性脂肪の原料となる脂肪酸の分解を促進したりする働きがあり、中性脂肪の値を下げる効果が期待できます。
下表にいくつかの青魚について、EPAとDHAの含有量を示します。
食品 | EPA(g) | DHA(g) |
---|---|---|
さば/缶詰/水煮 | 0.93 | 1.3 |
いわし/缶詰/水煮 | 1.2 | 1.2 |
さんま/皮つき/焼き | 1.3 | 2.0 |
※可食部100gあたり
出典:「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
日本人の食事摂取基準(2020年版)によると、EPAやDHAなどのn-3系脂肪酸の、1日の摂取量の目安は以下のように設定されています。
- 女性(30歳~49歳):1.6g
- 男性(30歳~49歳):2.0g
この摂取量の目安は、サバやイワシであれば、100g食べると十分に摂取できる量です。
なお、EPAとDHAの摂取量に上限は設けられていませんが、摂りすぎるとコレステロールが増える可能性もあるため注意しましょう。
野菜類:だいこんやごぼうなど
血糖値が高くなりすぎると、糖から中性脂肪が作られやすくなります。
物繊維が豊富な野菜は、食後の血糖値の急上昇を防ぎ、結果として中性脂肪の増加も抑えてくれるのです。
2種類ある食物繊維のうち、不溶性よりも水溶性食物繊維には、より大きな効果があります。
水溶性食物繊維が豊富な野菜には、以下のようなものがあります。
食品 | 水溶性食物繊維(g) |
---|---|
切り干し大根(乾) | 5.2 |
ごぼう(生) | 2.3 |
だいこん(葉、ゆで) | 0.8 |
※可食部100gあたり
出典:「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
厚生労働省は、水溶性食物繊維やビタミンの必要量を考慮し、1日に350g以上の野菜を摂ることが望ましいとの見解を出しています。
野菜350gという量は、生野菜なら両手で3杯、茹でた野菜なら片手で3杯が目安です。
また、ニンニクや玉ねぎに含まれる「アリシン」や「ケルセチン」という成分にも、脂肪の燃焼を促進する働きがあるといわれているため、積極的に食事に取り入れてみましょう。
海藻類:わかめや海苔など
野菜類と同じく、もずくやわかめなどの海藻類にも水溶性食物繊維が豊富に含まれています。
ただし、海藻類では水溶性と不溶性食物繊維の区別が難しく、それぞれの具体的な含有量は算出されていません。
代わりに、主な海藻類の食物繊維の総量を以下にまとめます。
食品 | 食物繊維総量(g) |
---|---|
カットわかめ(乾) | 35.4 |
わかめ(生) | 3.2 |
焼き海苔 | 36.0 |
※可食部100gあたり
出典:「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
海藻類にはヨウ素も多く含まれています。
ヨウ素は人体に必要な元素ですが、過剰にならないよう、海藻は適量を食べるようにしましょう。
下表は、海藻類に含まれるヨウ素の量と1日に必要なヨウ素の量(3mg)から計算した、1日の適量です。
食品 | 1日の適量の上限 | 100gあたりのヨウ素含有量 (mg) |
---|---|---|
カットわかめ(乾) | 約30g | 10.0 |
わかめ(水もどし) | 約150g | 1.9 |
青海苔(乾燥) | 約140g | 2.1 |
焼き海苔 | 約100g | 2.7 |
参考:日本人の食事摂取基準(2020 年版)
日本食品標準成分表2020年版(八訂)
きのこ類:シイタケやしめじなど
きのこ類も、水溶性食物繊維が豊富にふくまれているため、中性脂肪の上昇を抑えてくれます。
きのこの水溶性食物繊維含有量は以下のとおりです。
食品 | 水溶性食物繊維(g) |
---|---|
干しシイタケ | 2.3 |
生シイタケ | 0.4 |
しめじ | 0.3 |
※可食部100gあたり
出典:「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
1日の摂取量の目安については、50〜100gといわれているため、スーパーで売られている1パックを目安に購入してみましょう。
また、きのこ類に含まれるエリタデニンという成分は、中性脂肪やコレステロールの生成を抑える働きがあるといわれています。
エリタデニンは、とくにシイタケに多く含まれています。
参考:豊増 哲郎, 杉山 公男, 日本応用きのこ学会誌
「エリタデニン高含有シイタケの開発とその脂質代謝に及ぼす影響」
斉藤 衛郎, 安元 健, 金田 尚志, 栄養と食糧
豆類:納豆やえんどう豆など
大豆をはじめとする豆類にも、水溶性食物繊維が豊富に含まれているため、中性脂肪の増加を抑える効果が期待できます。
いくつかの豆類の水溶性食物繊維の含有量を下表にまとめます。
食品 | 水溶性食物繊維(g) |
---|---|
糸ひき納豆 | 2.3 |
挽きわり納豆 | 2.0 |
えんどう豆 | 1.2 |
※可食部100gあたり
出典:「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
厚生労働省が推進している21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)によると、大豆類の1日の摂取量の目安は100g以上とされています。
また、大豆のβ-コングリシニンという成分により、肝臓内で中性脂肪のもととなる遊離脂肪酸を減らす働きがあるといった研究結果もあります。
参考:真鍋 久, 日本調理科学会誌「大豆たんぱく質の機能性を探る」
ポリフェノールを含む飲み物も中性脂肪を下げる効果が期待できる
ポリフェノールには、血中の中性脂肪を減らす効果があるといわれています。
参考:日経メディカル「ポリフェノール、n-3脂肪酸を多く含む食事で中性脂肪が改善」
ポリフェノールを多く含む飲み物には、以下のようなものがあります。
- 緑茶
- ウーロン茶
- 紅茶
- コーヒー
- 赤ワイン
- ぶどうジュース
血中中性脂肪の値が気になる方は、普段の食事にも取りいれやすい緑茶やウーロン茶などを飲むようにしてみましょう。
選び方に迷ったら、ポリフェノールの効果により「特定健康用食品(トクホ)」の表示が許可された飲み物を選ぶのもおすすめです。
ここでは、本記事で紹介した食材のうち「サバ」「ごぼう」「シイタケ」について、おすすめの食べ方やレシピ記事を紹介します。
中性脂肪を下げる効果が期待できる食べ物のおすすめレシピ
サバを美味しく食べるレシピ
定番の味噌煮や、すっきりとした味わいを楽しめるレモンマリネがおすすめです。
作り方については、以下の記事を参考にしてみてください。
ごぼうを美味しく食べるレシピ
定番のきんぴらごぼうやサラダ、唐揚げなどがおすすめです。
作り方については、以下の記事を参考にしてみてください。
シイタケを美味しく食べるレシピ
バターやチーズによる味付けや、サックリ食感を楽しめる天ぷらなどの揚げ物がおすすめです。
作り方については、以下の記事を参考にしてみてください。
【耳より情報】ふるさと納税で美味しい食材がもらえる!
ふるさと納税を活用すれば、新鮮な魚介類や厳選されたお肉、旬の野菜やフルーツなど、全国の特産品や美味しい食材を手に入れることができます。
しかも、地域の活性化を応援しながら税控除を受けられるメリットも。
この機会にぜひ、ふるさと納税で美味しい食材を手に入れて、食卓を豊かにしてはいかがでしょうか!