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応援したい自治体に寄附することで、その土地の特産品などがもらえる『ふるさと納税』。
しかし、利用したいとは思いつつも「自分は対象者なのだろうか?」「果たしてふるさと納税をする意味はあるのだろうか?」など、疑問に感じる部分も少なくないはずです。
今回はふるさと納税ができない人はいるかや、しない方が良い人の特徴を解説します。
知らないと後悔することも多いので、事前にしっかりとポイントを押さえておきましょう。
ふるさと納税の仕組み・メリット
ふるさと納税とは、思い入れのある地域など、好きな自治体を選んで寄附する制度のことで、都会と地方の間に生まれる地域格差を無くすことを目的に2008年(平成20年)より始まりました。
ふるさと納税を利用するメリットは、下記の3つに大きく分けられます。
- 寄附先の自治体から返礼品が受け取れる
- 税金の控除が受けられる
- 思い入れのある地域を応援できる
1つずつ順番に見ていきましょう。
寄附先の自治体から返礼品が受け取れる
ふるさと納税を利用すると、寄附した自治体からお礼として返礼品が受け取れます。
もらえる返礼品は下記のようにさまざまです。
- 肉・米・野菜・スイーツ
- 魚介類・銘柄牛・加工食品
- ラーメン・鍋セット・調味料
- ビール・日本酒・ワイン・焼酎
- お食事券・入場券・体験チケット
- 雑貨・日用品・コスメ・香水
食べ物だけと思われがちですが、チケットや日用品などがもらえるのも好評です。
返礼品を通して、その土地の魅力を感じることもできるでしょう。
税金の控除が受けられる
ふるさと納税を利用する最大のメリットは何といっても、税金の控除が受けられること。
ふるさと納税では、自己負担金である2,000円を超えた分の金額に対して、所得税・住民税の控除が適用されます。
控除される金額の具体的な計算方法については下記を参考にしてください。
【所得税】※ワンストップ特例制度を利用しなかった場合
控除額=(ふるさと納税額-2,000円)×「所得税の税率」
【住民税】
控除額(基本分)=(ふるさと納税額-2,000円)×10%
控除額(特例分)=(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%(基本分)-所得税の税率)
※特例分が住民税所得割額の2割を超える場合は下記の計算式が採用されます。
控除額(特例分)=(住民税所得割額)×20%
ただし、控除額には年収・家族構成に応じて上限が設けられています。
寄附をすればするほど、控除される額がどんどんと増えていく訳ではありません。
思い入れのある地域を応援できる
地元など、思い入れのある地域を応援できるのも、ふるさと納税の大きなメリットです。
ふるさと納税として寄附をしたお金は自治体の税収となり、多くの場合は地域活性化・人口減少対策・復興支援などに充てられます。
また、子どもの生活支援や大学等進学応援基金として、寄附金が活用されることもあります。
このように、ふるさと納税は社会貢献という意味合いで利用することも可能です。
ふるさと納税ができない人はいる?
結論からいうと、ふるさと納税は自治体への寄附なので、利用できない人はいません。
ただし、その人が置かれている状況によっては、得られるメリットが少ない場合があります。
とくに下記に該当する人は、ふるさと納税を利用すべきか慎重に考えた方が良いでしょう。
- 所得税・住民税を納めていない人
- 年収が低い人
- 手持ち資金に余裕がない人
- 手続きが面倒に感じる人
- ふるさと納税をした年に退職する人
1つずつ順番に解説していきます。
所得税・住民税を納めていない人
ご紹介している通り、ふるさと納税を利用すると税金の控除が受けられます。
しかし、これはあくまでも所得税・住民税を払っている人にとってのメリットです。
所得税・住民税を納めていない人が利用しても、もちろん控除は適用されません。
つまり、別のいい方をすれば全額寄附という扱いになってしまうのです。
また、ふるさと納税の返礼品の金額(価値)は寄附額の3割以下と決められています。
ショッピング感覚で利用すると損をするので、気を付けてください。
年収が低い人
年収が低い人も、ふるさと納税を利用するメリットはありません。
具体的にいうと年収150万円を超えない人は、利用しない方が良いでしょう。
もらえる返礼品の価値が、自己負担金の2,000円を下回る可能性が高いからです。
また、年収が低く寄附可能な限度額が少ないと、選べる返礼品の種類も限られます。
手持ち資金に余裕がない人
ふるさと納税は利用した瞬間すぐに、税金の控除が受けられる訳ではありません。
控除されるのは翌年であり、分かりやすくいえば『税金の前払い制度』になります。
そのため、手持ち資金に余裕がない人が無理して利用する必要はないでしょう。
現状の生活に余裕がある状態で行うことをおすすめします。
手続きが面倒に感じる人
ふるさと納税で税金の控除を受けるためには、いうまでもなく手続きが必要になります。
ワンストップ特例制度を使えば比較的簡単にはできますが、それでも必要書類をいくつか用意しなければならなかったりと、多少の手間や時間はかかるモノです。
このような手続きが面倒でストレスに感じる人は、利用することに向いていないでしょう。
また、ふるさと納税は手続きに期限が設けられていることも忘れてはいけません。
- ワンストップ特例制度:寄附した翌年の1月10日(自治体必着)
- 確定申告:原則寄附した翌年の3月15日
利用する場合は、事前に手続きの仕方をある程度理解し、スケジュールに余裕を持たせておくのが安心です。
ふるさと納税をした年に退職する人
仕事を辞めると収入が減るため、翌年の税金が今までよりも少なくなりがちです。
退職した年の収入によっては、ふるさと納税を利用するメリットがない場合も出てきます。
また、退職金を受け取る人も注意が必要です。
よく「退職金で翌年の税金が高くなるから、ふるさと納税を利用しよう」と考える人がいますが、じつは退職金には優遇措置として退職所得控除というモノがあります。
この優遇措置が適用されれば、翌年の税金はそこまで多額にはなりません。
間違えて限度額を超えた分の金額を寄附することがないよう、十分注意してください。
ふるさと納税に関するよくある疑問
ここでは、ふるさと納税に関するよくある疑問についてお答えします。
ふるさと納税をすると勤務先に迷惑がかかるって本当?
ふるさと納税は利用者本人が申請するため、会社に迷惑がかかることは一切ありません。
また、ふるさと納税を利用したからといって、会社に報告をする必要もありません。
引っ越す予定がある場合、ふるさと納税はやめるべき?
引っ越す予定がある場合は、引っ越した後にふるさと納税を行うのがおすすめです。
引っ越し前でも可能ではありますが、自治体に新しい住所を連絡しなければならなかったり、住所変更の手続きが必要だったりと、少し手間がかかります。
手続きがうまくできないと、返礼品が受け取れないことにもなり兼ねません。
とくにふるさと納税が初めての人は、一段落が付いてからの方が良いでしょう。
まとめ
今回は、ふるさと納税が利用できない人はいるかについて解説しました。
ふるさと納税は自治体への寄附なので、利用できない人はいません。
しかし、年収が低かったり、手持ち資金に余裕がなかったり、退職予定の人は利用しても、ふるさと納税の恩恵があまり受けられない可能性があります。
しっかりと今置かれている状況を把握したうえで、利用すべきかを考えることが大切です。
また、制度の内容や限度額においては、自治体によって異なる場合があります。
気になる点があれば、役所の税制課・ふるさと納税受付窓口に確認してみてください。