目次
スイカは、カリウム・ビタミンC・β-カロテンなどの栄養素が豊富な果物です。さらに、トマトでおなじみの「リコピン」や、血流をよくする「シトルリン」も含まれます。
スイカはこうした栄養素や成分により、抗酸化作用など、健康や美容へのさまざまな効果が期待できます。
この記事では、スイカの栄養素・効果・成分の特徴を詳しく解説し、食べるときの注意点も紹介します。
スイカに含まれる主な栄養素

まずは、スイカ(赤肉種)の主な栄養成分の含有量を下表にまとめます。
| 栄養成分 | 可食部100gあたりの含有量 |
|---|---|
| エネルギー | 41kcal |
| 水分 | 89.6g |
| 脂質 | 0.1g |
| ビタミンC | 10mg |
| カリウム | 120mg |
| β-カロテン | 830μg |
| リコピン | 4530µg |
| シトルリン | 180mg |
出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
協和発酵バイオの健康成分研究所
アメリカ農務省(USDA)“FoodData Central | Watermelon, raw – Nutrients”
この章では、スイカに含まれる主な栄養素の働きを解説します。なお、食事から摂取すべき栄養素の量は、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」を参考にしました。
ビタミンC
ビタミンCは水溶性ビタミンのひとつで、成人では1日あたり100mgの摂取が推奨されています。
スイカのビタミンC含有量(10mg/可食部100g)は、かんきつ類やイチゴなどに比べると少なめです。しかし、スイカは一度に食べる量が多いことから、ビタミンCのよい摂取源といえます。
ビタミンCは、こまめな摂取が望ましい栄養素で、皮膚や血管のコラーゲンを作るために欠かせません。
強い抗酸化作用もあり、体内で過酸化物質の生成を抑える働きがあります。
スイカが旬を迎える夏場には、紫外線による肌のダメージケアにも役立つ栄養素です。
カリウム
カリウムは、ナトリウムと並んで細胞中に多く含まれるミネラルです。成人では1日に、男性で3000mg以上、女性で2600mg以上の摂取が目標量として定められています。
とくに野菜や果物に豊富で、スイカにも果物としては中程度の量が含まれます(120mg/可食部100g)。
カリウムは体内で、浸透圧の調節や、筋肉・神経の働きに関わる栄養素です。
多量の発汗などでカリウムが不足すると、全身や手足のだるさ、食欲不振などにつながることもあります。
汗をかきやすい季節には、とくに意識的に摂りたい栄養素です。
β-カロテン
β-カロテンは、体内で必要に応じてビタミンAとして働く栄養素です。
スイカは、多くの果物を上回るβ-カロテン含有量(830μg/可食部100g)を誇ります。
スイカ1食分(200g)で、138μgのビタミンA(レチノール)に相当するβ-カロテンが含まれ、成人が1日に必要とされるビタミンAの2割以上を摂取可能です。
β-カロテンは、体内でビタミンAとして働くことで、皮膚や粘膜を健康に保ち、暗い場所での視力維持にも関わります。
また、ビタミンAとしての働き以外に、β-カロテン自体にも強い抗酸化作用があります。
リコピン
スイカには、トマトの約1.5倍ものリコピンが含まれています。
トマトやスイカの果肉が赤いのは、赤色色素であるリコピンが含まれるためです。
リコピンは、β-カロテンと同じ「カロテノイド色素」に分類されますが、ビタミンAとしての働きはありません。しかし、強力な抗酸化作用を持つことが知られています。
また、リコピンには血中の善玉コレステロールを増やす作用が期待でき、生活習慣病の予防効果も注目されています。
シトルリン
スイカには、血流の改善や血管の健康維持に役立つ「シトルリン」というアミノ酸が多く含まれます。
シトルリンは体内で、血管を拡張させるNO(一酸化窒素)を作り出し、以下のような効果が期待できます。
- 動脈硬化の予防
- スポーツのパフォーマンス向上や疲労回復
- 冷え性やむくみの改善
- 集中力の維持
こうした働きから、シトルリンは「スーパーアミノ酸」とも呼ばれています。
スイカの栄養成分の特徴と効果

スイカはカロリーが低く、ダイエット中のおやつにも食べやすい果物です。
ここでは、スイカのカロリーや糖質量と、水分補給や疲労回復に効果的な理由、種に含まれる栄養素について解説します。
スイカは低カロリー&低糖質な果物
スイカは、ほかの多くの果物に比べて低カロリーです。
スイカの可食部100gのカロリーは41kcalで、糖質量は9.2gです。1食分の適量である200gを食べても82kcalに抑えられます。
以下の表で、カロリーや糖質量をほかの果物と比較します。
| 果物 | 可食部100gあたりの カロリー(kcal) | 可食部100gあたりの 糖質量(g) |
|---|---|---|
| スイカ | 41 | 9.2 |
| ネーブルオレンジ | 48 | 10.8 |
| キウイフルーツ | 51 | 10.8 |
| ぶどう | 69 | 16.0 |
| りんご | 53 | 14.1 |
| メロン | 45 | 9.9 |
| バナナ | 93 | 21.4 |
例えば、バナナ1本(可食部約100g)よりもスイカ200gの方が、カロリーと糖質量を少なく抑えられます。
参考:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」を元に計算
水分やミネラルの補給に最適
スイカは、暑い夏の水分補給や熱中症予防にぴったりの果物といえます。
汗をかいたときに水分のみを摂取すると、体内でミネラルが不足しがちです。
スイカを食べれば、全体のほぼ90%を占める水分に加えて、エネルギー(糖分)と、カリウムなどのミネラルの補給もできます。
なお、スイカに塩をかけて食べると、発汗で失われた塩分(ナトリウム)も補給でき、いっそう効果的です。
シトルリンによる疲労回復作用
スイカには疲労の回復を助ける働きもあります。「シトルリン」が血流を改善し、老廃物の回収や、組織への酸素・栄養の運搬を促進するためです。
シトルリンはスイカの果肉だけでなく、皮にも多く含まれています。
スイカの皮は、皮の白い部分を果肉と一緒にスムージーにするほか、漬物や煮物、炒め物などにして食べられます。
スイカの種に含まれる栄養素
スイカの種には、必須脂肪酸やタンパク質、食物繊維、マグネシウムをはじめとしたミネラルなどが含まれています。
必須脂肪酸では、オメガ6系脂肪酸の「リノール酸」がとくに多く、血中コレステロールの調整作用が期待できます。
スイカの種は、フライパンで炒ったり、オーブンでローストしたりして食べるとよいでしょう。
種は加熱しても硬いため、皮を剥くと食べやすいです。
スイカを食べるときの注意点

スイカは、食べすぎると体調不良を引き起こすこともあります。
また、胃腸や腎臓が弱い方も食べ方に注意が必要です。
体調や体質に合わせて、適量を心がけましょう。
スイカには体を冷やす作用がある
スイカには体を冷やす作用があるとされていて、冷え性などの冷えに弱い方は注意が必要です。
スイカには血流改善作用があるものの、体が冷えるとかえって血行が悪くなり、肌荒れやむくみなどの体調不良につながる可能性があります。
食べすぎに注意し、冷えが気になる方は、食べる前にスイカを冷やしすぎないように気をつけてください。
食べすぎるとお腹を壊すことがある
スイカは水分が多く、冷えた状態で食べすぎると腹痛や下痢が起きる可能性があります。
胃腸が弱い方はとくに、食べる量に気を付けましょう。
また、スイカには果糖も多く含まれています。果糖を摂ると腹痛や下痢が起きやすい体質の方も注意が必要です。
腎臓が弱い方は高カリウム血症に注意
スイカはカリウムを多く含むため、腎臓の働きが弱っているとカリウムを十分に排泄できず「高カリウム血症」を起こすおそれがあります。
そのため、腎臓病を抱えている方は摂取量に気を付けてください。
医師の指示に従い、自身の体に合った適量を守って食べましょう。
スイカの選び方・保存方法・食べ方

最後に、スイカをより美味しく味わうための、選び方・保存方法・食べ方をまとめます。
美味しいスイカの選び方
美味しいスイカを選ぶには、以下の3つがポイントです。
- ツルの付け根のくぼみ
完熟になると、ツルの付け根が少しくぼむ一方、周囲が盛り上がった形になります。 - 模様のくぼみや濃さ
黒い模様の部分がややくぼんでおり、模様の境目がはっきりしているものは、熟していて甘い傾向があります。 - ヘソの適度な大きさ
スイカのお尻側のヘソは、小さいと未熟で、大きいと熟しすぎている傾向があります。
スイカ同士を見比べてみて、適度な大きさのものを選ぶとよいでしょう。
スイカの正しい保存方法
カット前のスイカは常温保存が最適です。日光の当たらない、風通しのよい涼しい場所で保管しましょう。
スイカは収穫後に追熟しないため、なるべく早めに食べる方が美味しく食べられます。
なお、涼しい場所では2週間以上の常温保存ができますが、暑い環境では早く傷みやすいため注意が必要です。
ただし、カット後のスイカは切り口にラップをして冷蔵保存し、早めに食べきって下さい。
スイカの美味しい食べ方
スイカを美味しく食べるには、適度に冷やすことと、甘さが均等になるように切ることが重要です。
スイカは冷やしすぎても甘さを感じにくく、最も美味しく感じる温度は8~10℃ほどとされています。
常温保存していた丸ごとのスイカは、食べる3時間ほど前に冷蔵庫に入れるとよいでしょう。
丸ごとのスイカを切るときは、なるべく放射状に切ると甘みの強い中心部分が均等に分けられます。
まとめ
スイカは、いくつかの重要な栄養素が豊富で、とくにビタミンC・カリウム・β-カロテンが摂取できる果物です。
さらに、抗酸化作用を持つリコピンはトマトよりも多く、血行促進作用のあるシトルリンも含まれます。
夏場の水分補給や疲労回復、紫外線ダメージのケアにも効果的な果物です。
食べすぎには気をつけて、美味しいスイカを味わってみましょう。












