目次
ビタミンAは、動物性食品にも植物性食品にも含まれる、皮膚や粘膜、目の健康維持に欠かせない栄養素です。
レバー、うなぎ、卵などの動物性食品には、そのままビタミンAとして働く「レチノール」が含まれています(摂り過ぎには注意が必要)。
緑黄色野菜(にんじん、ほうれん草など)をはじめとする植物性食品には、体内で必要な分だけビタミンAに変換される「プロビタミンA(β-カロテンなど)」が含まれています。
この記事では、ビタミンAが多い食品を一覧で紹介します。効率のよい食べ方や摂取時の注意点も解説するので、ぜひ参考にしてください。
ビタミンAが摂れる身近な食べ物

ビタミンAの含有量が多く、普段の食事から取り入れやすい食品は以下のとおりです。
動物性食品(レチノールを含む)
- 肉類:鶏レバー、豚レバーなど(過剰摂取に注意)
- 魚介類:しらす、ししゃもなど
- 卵・乳製品:卵、チーズなど
植物性食品(プロビタミンAを含む)
- 緑黄色野菜
にんじん、ほうれん草、小松菜、かぼちゃ、ニラなど - 果物
赤肉メロン、みかん、スイカなど
ビタミンAが多い食べ物とその含有量

ここからは、ビタミンAが多い食べ物とその含有量を一覧にして紹介します。
含有量は、動物性食品に含まれる「レチノール」と、植物性食品などに含まれる「プロビタミンA」の働きを合わせた「レチノール活性当量:μgRAE」の値を記載しています。
なお、レチノール活性当量の仕組みや算出方法は、記事の後半で詳しく解説します。
※表中の数値は文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」を参考にしています。
肉類
ビタミンAが豊富な肉類(レバーなども含む)は以下のとおりです。
可食部100g当たりのビタミンA含有量(食品は生の値)
| 食品名 | ビタミンA (μgRAE) |
|---|---|
| 鶏レバー | 14,000 |
| 豚レバー | 13,000 |
| 牛レバー | 1,100 |
| 鶏皮 | 120 |
| 鶏むね肉 (親鶏/皮つき) | 72 |
| 手羽先 (若鶏) | 51 |
動物の体内では、ビタミンAは肝臓に蓄えられます。
そのため、全食品のなかでもレバーの含有量が非常に多く、少量を食べるだけで1日に必要な量を満たせます。
ただし、動物性食品に含まれるビタミンAは、体内に蓄積されやすいため過剰摂取に注意が必要です。とくにレバーは、食べる頻度や量に気をつけましょう。
魚介類
ビタミンAを多く含む魚介類を以下にまとめます。
可食部100g当たりのビタミンA含有量
| 食品名 | ビタミンA (μgRAE) |
|---|---|
| あんこうの肝 (生) | 8,300 |
| うなぎの肝 (生) | 4,400 |
| うなぎの蒲焼き | 1,500 |
| ホタルイカ (生) | 1,500 |
| ぎんだら (生) | 1,500 |
| アナゴ (生) | 500 |
| イクラ | 330 |
| 釜揚げしらす | 140 |
| からふとししゃも (生干し/生) | 120 |
魚介類も、肉類と同様に肝にビタミンAが存在するため、内臓ごと食べるホタルイカ、しらす、ししゃもなどに多く含まれます。
うなぎやアナゴも含有量が多く、とくにうなぎは肝だけでなく身にも豊富です。
卵類・乳製品
ビタミンAは、普段よく食べることの多い卵や乳製品にも豊富です。
可食部100g当たりのビタミンA含有量
| 分類 | 食品名 | ビタミンA (μgRAE) |
|---|---|---|
| 卵類 | 鶏卵 (卵黄/生) | 690 |
| うずら卵 (水煮缶詰) | 480 | |
| 鶏卵 (全卵/生) | 210 | |
| 乳製品 | バター (無塩) | 800 |
| バター (有塩) | 520 | |
| ナチュラルチーズ (モッツァレラ) | 280 | |
| プロセスチーズ | 250 | |
| ナチュラルチーズ (カマンベール) | 240 | |
| ナチュラルチーズ (パルメザン) | 240 | |
| 牛乳 | 38 |
ビタミンAは脂溶性のため、卵では脂質の多い卵黄に含まれ、脂質の少ない卵白にはほぼ含まれません。
乳製品も同様に、ビタミンAは乳脂肪分に含まれています。牛乳そのものの含有量は多くありませんが、乳脂肪分を集めて作られるバターや、水分が抜けて成分が凝縮されたチーズは、ビタミンAの含有量が多くなります。
野菜類
ビタミンAを多く含む野菜類を以下にまとめます。
ここでは、体内でビタミンAとして働く「レチノール活性当量:μgRAE」のほかに、それ自体でも有用な働きをする「β-カロテン」の値も併記しています。
可食部100g当たりのビタミンAおよびβ-カロテン含有量(食品は生の値)
| 食品名 | ビタミンA (μgRAE) | β-カロテン (μg) |
|---|---|---|
| モロヘイヤ | 840 | 10,000 |
| にんじん (皮なし) | 630 | 6,300 |
| 春菊 | 380 | 4,500 |
| ほうれん草 | 350 | 4,200 |
| ニラ | 290 | 3,500 |
| 小松菜 | 260 | 3,100 |
| 豆苗 | 250 | 3,000 |
| かぼちゃ | 210 | 2,500 |
ビタミンAは、にんじんやほうれん草など、色の濃い緑黄色野菜に多く含まれます。
緑黄色野菜に豊富なβ-カロテンは、体内で必要な分だけがビタミンAに変わるため、たくさん食べても過剰摂取の心配がほぼないのが特徴です。
果実類
野菜ほど多くはないものの、果実類(果物)からもビタミンAを摂取できます。
果物には、β-カロテンだけでなく、β-クリプトキサンチンというプロビタミンAが豊富なものもあります。
ビタミンAが多く含まれる果物は以下のとおりです。
可食部100g当たりのビタミンAおよび主なプロビタミンA含有量
| 食品名 | ビタミンA (μgRAE) | β-カロテン (μg) | β-クリプトキサンチン (μg) |
|---|---|---|---|
| ドライマンゴー | 500 | 5,900 | 280 |
| 赤肉メロン | 300 | 3,600 | 0 |
| 干し柿 | 120 | 370 | 2,100 |
| ドライプルーン | 100 | 1,100 | 220 |
| みかん | 84 | 180 | 1,700 |
| スイカ | 69 | 830 | 0 |
| マンゴー | 51 | 610 | 9 |
生の果物に比べて、ドライフルーツは成分が凝縮しているため含有量が多くなります。
ただし、糖質やカロリーも増えるため、食べ過ぎには注意が必要です。
ビタミンAの働き・種類・摂取量の目安

ビタミンAにはいくつかの種類があり、食品によって含まれる成分や体内での特徴が異なります。
ここからは、ビタミンAの働きと1日の摂取量、種類による違い、レチノール活性当量の仕組みについて解説します。
ビタミンAの主な働きと1日の摂取量
ビタミンAには、正常な視覚の維持や、皮膚・粘膜の健康維持など、さまざまな働きがあります。
【ビタミンAの主な働き】
- 正常な視覚の維持に関わる
光を感じる物質の主成分となり、暗い場所での視覚を正常に保つ。 - 皮膚や粘膜の健康維持を助ける
皮膚や粘膜の新陳代謝を正常な状態に保つのを助ける。 - 免疫機能の維持に関わる
不足すると免疫機能の低下につながることもある。
1日の摂取量の目安
ビタミンAの1日当たりに推奨される摂取量は以下のとおりです。
【ビタミンAの1日当たり推奨量(μgRAE)】
- 成人男性:800〜900
- 成人女性:650〜700
※妊婦(後期)の付加量:+ 80
※授乳婦の付加量:+ 450
ビタミンAは、日本人に不足しがちな栄養素の一つです。
国民健康・栄養調査でも、成人では男女とも平均摂取量が推奨量を下回る傾向がみられます。
ビタミンAとプロビタミンA(β-カロテンなど)の違い
食品に含まれるビタミンAには以下の2種類があり、それぞれ異なる特徴を持ちます。
| 項目 | ビタミンA (レチノール) | プロビタミンA (β-カロテンなど) |
|---|---|---|
| 含まれる主な食品 | 動物性食品 | 植物性食品 |
| 体内での働き | そのままの形で 体に吸収され、 ビタミンAとして働く。 | 体内で必要な分だけ ビタミンAに変わる。 |
| 主な特徴・性質 | 脂溶性のため 体内に蓄積されやすい。 | 色素成分(カロテノイド) の一種で、 強い抗酸化作用を持つ。 |
| 過剰摂取のリスク | 摂り過ぎると健康に 影響を及ぼすことがある。 | 過剰摂取の心配は ほぼない。 |
| 調理のポイント | – | 脂溶性のため、 油と一緒に調理すると 体内に吸収されやすい。 |
レチノール活性当量(μgRAE)とは?
レチノール活性当量とは、体内で働くビタミンAの総量を「μgRAE」という単位で表したものです。
ビタミンA(レチノール)とプロビタミンA(β-カロテンなど)は、種類によって体内での利用効率が異なるため、それぞれの成分をレチノールとしての効果に換算したうえで、合算して算出します。
【換算式】
レチノール活性当量(μgRAE)
= レチノール(μg)
+ β-カロテン(μg) × 1/12
+ α-カロテン(μg) × 1/24
+ β-クリプトキサンチン(μg) × 1/24
ビタミンAを摂る際の注意点と効率的な食べ方

ビタミンAは、動物性食品と植物性食品で、成分の特徴や体内への吸収率が異なります。
この章では、ビタミンAを摂る際の注意点や、栄養を逃さない食べ方のコツを紹介します。
動物性食品からの過剰摂取に注意する
動物性食品に含まれるビタミンA(レチノール)は、過剰摂取に注意が必要です。
ビタミンAを摂り過ぎると、頭痛や吐き気などの症状が出る場合があるほか、慢性化すると、関節痛、脱毛、骨粗しょう症などをまねくことがあります。
過剰摂取を避けるため、ビタミンAには耐容上限量(健康障害のリスクがないとされる、習慣的な摂取量の上限)が定められています。
成人の1日当たりの耐容上限量は2,700μgRAEです。
なお、過剰摂取の心配がないため、β-カロテンなどのプロビタミンAは含まれません。主に動物性食品に含まれるレチノールが対象です。
耐容上限量は習慣的な摂取の基準であり、一度でも超えてはいけない上限ではありません。
とはいえ、日常的に上限量を超える食べ方は避ける必要があります。とくにレバー類やサプリメントは、摂る頻度や量に注意しましょう。
妊娠中の人はとくに気をつける
とくに妊娠前や妊娠中の人は、ビタミンAの過剰摂取に気をつけましょう。
動物性食品に含まれるビタミンAは体に蓄積されやすいため、妊娠前の段階でも、日常的に摂り過ぎると胎児の先天異常を引き起こす可能性が指摘されています。
そのため、妊娠前や妊娠初期の人は、動物性食品(レバーや魚の肝臓など)やサプリメントによるビタミンAの過剰摂取を避けるように注意してください。
油と一緒に調理する
脂溶性のビタミンA(レチノール)やβ-カロテンは、油と一緒に調理すると、体内への吸収率が高まります。
とくに緑黄色野菜などの植物性食品は、油での加熱調理がおすすめです。
レバーやうなぎなどの動物性食品(レチノール)は、もともと脂質が多いため比較的吸収されやすいですが、脂質の少ない植物性食品(β-カロテン)は、油と組み合わせると栄養を効率よく摂取できます。
【β-カロテンを効率的に摂れる調理例】
- ソテー・肉を入れた煮込み料理(ポトフ・シチュー)など
油と合わさるだけでなく、加熱によって野菜の細胞壁が壊れるため、成分がさらに吸収されやすくなる。 - サラダにはオイルを使う
野菜を生で食べる場合も、オイル入りのドレッシングやマヨネーズと合わせると効率よく摂取できる。
動物性・植物性食品をバランスよく摂る
ビタミンAを安全かつ効率的に摂取するには、動物性食品と植物性食品をバランスよく組み合わせることが大切です。
- 動物性(レチノール)
吸収率が高く効率的に補給できるが、過剰摂取に注意が必要。 - 植物性(β-カロテンなど)
過剰摂取の心配はないが、レチノールに比べて体内での利用効率が低い傾向がある。
以上のような、それぞれの長所・短所を補い合うためにも、どちらかに偏らずさまざまな食品を食べるようにしましょう。
まとめ
ビタミンAには、動物性食品に含まれるレチノール、植物性食品に含まれるプロビタミンA(β-カロテンなど)の2種類があり、主に以下のような食品に豊富です。
- 動物性食品(レチノール)
レバー類・うなぎ・ホタルイカ・卵・チーズなど - 植物性食品(β-カロテン)
にんじん・ほうれん草・ニラ・小松菜・かぼちゃなど
レチノールは、体内でそのままビタミンAとして働き、蓄積されやすいため、摂り過ぎに注意が必要です。
一方、β-カロテンは体内で必要な分だけビタミンAに変換されるため、過剰摂取の心配はほぼありません。
どちらも脂溶性のため、油と一緒に調理すると吸収率が高まります。
ビタミンAを安全に効率よく摂取するためにも、動物性・植物性のどちらかに偏らず、バランスよく取り入れるようにしましょう。










