目次
タンパク質は、健康や美容を維持したり、筋肉量を増やしたりするために重要な栄養素です。
良質で高タンパクな食材をたくさん知っておくと、食生活のバランスを崩さずに、十分なタンパク質を摂取できます。
この記事では、タンパク質の多い食材を、動物性と植物性に分けてまとめています。
タンパク質の効率的な摂取方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
タンパク質とは
タンパク質は、筋肉、臓器、皮膚、毛髪などを形作る成分で、体を構成する重要な栄養素です。
酵素やホルモンなどの材料にもなり、エネルギー源である糖質や脂質が足りないときは、タンパク質を構成するアミノ酸がエネルギーとして使われます。
タンパク質は20種類のアミノ酸の組み合わせで構成されます。
ヒトは、20種類のアミノ酸のうちの11種類を体内で合成できますが、残りの9種類は食事から摂取しなければなりません。
体内で合成できない9種類のアミノ酸を「必須アミノ酸」と呼び、必須アミノ酸を十分に含むタンパク質が「良質なタンパク質」と呼ばれています。
タンパク質を多く含む動物性の食材
動物性食品のタンパク質は、植物性食品のタンパク質に比べて、消化吸収が速く、体内への吸収率も高いのが特徴です。
この章では、タンパク質を多く含む動物性の食材を紹介します。
なお本記事では、食品の栄養価を日本食品標準成分表(八訂)増補2023年より引用しています。
肉類|鶏ささみや豚ヒレ肉など
肉類は、必須アミノ酸がバランスよく含まれる良質なタンパク源です。
下表に、主な肉類の可食部100g当たりのタンパク質・エネルギー・脂質の含有量をまとめます。
なお、食材はすべて生の値、牛肉は「国産牛」として売られているものの値を記載しています。
食品名 | 備考 | 可食部100g当たり含有量 | ||
---|---|---|---|---|
タンパク質 (g) | エネルギー (kcal) | 脂質 (g) | ||
鶏ささみ | – | 23.9 | 98 | 0.8 |
鶏むね肉 | 皮なし | 23.3 | 105 | 1.9 |
豚ロース肉 | 赤身 | 22.7 | 140 | 5.6 |
豚ヒレ肉 | 赤身 | 22.2 | 118 | 3.7 |
豚もも肉 | 赤身 | 22.1 | 119 | 3.6 |
牛もも肉 | 赤身 | 21.9 | 130 | 4.9 |
牛ヒレ肉 | 赤身 | 20.8 | 177 | 11.2 |
鶏もも肉 | 皮なし | 19.0 | 113 | 5.0 |
鶏ささみや皮を除いた鶏むね肉は、タンパク質が多く脂質が少ないため、ダイエットにおすすめです。
タンパク質の消化吸収をよくするためにも、よく噛んで食べるようにしましょう。
魚介類|マグロやサバなど
マグロやサバなどの魚介類にもタンパク質が多く含まれています。
下表に、主な魚介類の可食部100g当たりのタンパク質・エネルギー・脂質の含有量をまとめます。
なお、食材はすべて生の値を記載しています。
食品名 | 備考 | 可食部100g当たり含有量 | ||
---|---|---|---|---|
タンパク質 (g) | エネルギー (kcal) | 脂質 (g) | ||
まぐろ | びんなが | 26.0 | 111 | 0.7 |
かつお | 春獲り | 25.8 | 108 | 0.5 |
さば | ごまさば | 23.0 | 131 | 5.1 |
さけ | しろさけ | 22.3 | 124 | 4.1 |
ぶり | 成魚 | 21.4 | 222 | 17.6 |
まだい | 養殖・皮つき | 20.9 | 160 | 9.4 |
さわら | – | 20.1 | 161 | 9.7 |
まあじ | 皮つき | 19.7 | 112 | 4.5 |
魚にはIPA(イコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)などの不飽和脂肪酸が多く含まれ、中性脂肪やコレステロールを減らすなど、健康によい効果が期待できます。
乳・乳製品|チーズや低脂肪乳など
牛乳やチーズなどの乳製品は、タンパク質だけでなくカルシウムも豊富です。
下表に、乳・乳製品100g当たりのタンパク質・エネルギー・脂質の含有量をまとめます。
食品名 | 備考 | 可食部100g当たり含有量 | ||
---|---|---|---|---|
タンパク質 (g) | エネルギー (kcal) | 脂質 (g) | ||
普通牛乳 | – | 3.3 | 61 | 3.8 |
低脂肪乳 | 加工乳 | 3.8 | 42 | 1.0 |
プレーンヨーグルト | 全脂・無糖 | 3.6 | 56 | 3.0 |
無脂肪ヨーグルト | 無脂肪・無糖 | 4.0 | 37 | 0.3 |
プロセスチーズ | – | 22.7 | 313 | 26.0 |
ゴーダチーズ | ナチュラルチーズ | 25.8 | 356 | 29.0 |
カマンベールチーズ | ナチュラルチーズ | 19.1 | 291 | 24.7 |
乳・乳製品は、タンパク質やカルシウムの補給に適した食材ですが、脂質も多いため摂りすぎには注意が必要です。
タンパク質などの栄養素を強化した製品も販売されているので、必要に応じて利用するとよいでしょう。
卵類
卵は、タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルが豊富に含まれる栄養価の高い食材です。
下表に、卵類の可食部100g当たりのタンパク質・エネルギー・脂質の含有量をまとめます。
なお、食材はすべて生の値を記載しています。
食品名 | 可食部100g当たり含有量 | ||
---|---|---|---|
タンパク質 (g) | エネルギー (kcal) | 脂質 (g) | |
鶏卵・全卵 | 12.2 | 142 | 10.2 |
鶏卵・卵黄 | 16.5 | 336 | 34.3 |
鶏卵・卵白 | 10.1 | 44 | – |
全卵の重量は、Mサイズ1個が60g前後です。
卵黄は脂質が多く高カロリーですが、タンパク質やビタミンなどの栄養素が豊富に含まれます。
タンパク質を多く含む植物性の食材
植物性食品に含まれるタンパク質は、動物性食品に比べて体内への吸収率がやや低く、吸収がゆっくりですが、血中アミノ酸濃度は長く持続します。
この章では、タンパク質を多く含む植物性の食材を紹介します。
大豆・大豆製品|蒸し大豆や高野豆腐など
大豆は「畑のお肉」といわれ、タンパク質を豊富に含みます。
下表に、大豆・大豆製品100g当たりのタンパク質・エネルギー・脂質の含有量をまとめます。
食品名 | 可食部100g当たり含有量 | ||
---|---|---|---|
タンパク質 (g) | エネルギー (kcal) | 脂質 (g) | |
ゆで大豆 | 14.8 | 163 | 9.8 |
蒸し大豆 | 16.6 | 186 | 9.8 |
いり大豆 | 37.5 | 429 | 21.6 |
納豆 | 16.5 | 184 | 10.0 |
木綿豆腐 | 7.0 | 73 | 4.9 |
厚揚げ | 10.7 | 143 | 11.3 |
高野豆腐(水煮) | 10.7 | 104 | 7.3 |
油揚げ(焼き) | 24.9 | 361 | 32.2 |
ゆで大豆や蒸し大豆、納豆などには食物繊維も豊富に含まれます。
一般的な豆腐と納豆の重さは、木綿豆腐1丁が約300g、納豆1パックが約50gです。
穀類|お麩や雑穀など
米や小麦などの穀類にもタンパク質は含まれます。
下表に、主な穀類の可食部100g当たりのタンパク質・エネルギー・脂質の含有量をまとめます。
食品名 | 可食部100g当たり含有量 | ||
---|---|---|---|
タンパク質 (g) | エネルギー (kcal) | 脂質 (g) | |
精白米(炊飯) | 2.5 | 156 | 0.3 |
発芽玄米(炊飯) | 3.0 | 161 | 1.4 |
キヌア | 13.4 | 344 | 3.2 |
オートミール | 13.7 | 350 | 5.7 |
食パン | 8.9 | 248 | 4.1 |
パスタ(ゆで) | 5.8 | 150 | 0.9 |
乾そば(ゆで) | 4.8 | 113 | 0.7 |
焼き麩(くるま麩) | 30.2 | 361 | 3.4 |
キヌアなどの雑穀にはタンパク質が多く含まれます。市販されている雑穀米などを白米に混ぜると、ビタミンやミネラルもアップするのでおすすめです。
お麩は、水で練った小麦粉からデンプンを洗い流して作られており、グルテンというタンパク質を多く含みます。
野菜類|枝豆やブロッコリーなど
ブロッコリーなどの野菜類にも、タンパク質は含まれています。
下表に、野菜類の可食部100g当たりのタンパク質・エネルギー・脂質の含有量をまとめます。
なお、食材はすべてゆでたものの値を記載しています。
食品名 | 可食部100g当たり含有量 | ||
---|---|---|---|
タンパク質 (g) | エネルギー (kcal) | 脂質 (g) | |
枝豆 | 11.5 | 118 | 6.1 |
グリンピース | 8.3 | 99 | 0.2 |
ブロッコリー | 3.9 | 30 | 0.4 |
豆苗 | 3.6 | 28 | 0.6 |
たけのこ | 3.5 | 31 | 0.2 |
モロヘイヤ | 3.0 | 24 | 0.4 |
大豆もやし | 2.9 | 27 | 1.6 |
春菊 | 2.7 | 25 | 0.5 |
タンパク質を効率的に摂る食べ方
ダイエットや筋トレで筋肉量を増やしたいときは、食べ物からのタンパク質を効率よく摂りたいものです。
この章では、タンパク質を効率的に摂る食べ方を紹介します。
動物性と植物性のタンパク質を組み合わせる
動物性と植物性の食材を組み合わせると、効率的にタンパク質を摂取できます。
タンパク質を体内で有効利用するには、必須アミノ酸をバランスよく摂取することが大切です。
穀物や野菜などのタンパク質は、いずれかの必須アミノ酸が不足しがちです。しかし、動物性食品と組み合わせると、不足していた必須アミノ酸が補われ、体を作る材料として有効活用されます。
また、動物性タンパク質は、植物性タンパク質よりも吸収スピードが速く、血中アミノ酸濃度がすぐに高まり、持続時間が短いのが特徴です。
植物性タンパク質はアミノ酸の吸収はゆっくりですが、血中アミノ酸濃度の持続時間が長いため、筋肉の分解を遅らせることができます。
動物性と植物性のタンパク質を同時に摂取すると、アミノ酸の吸収が持続し、筋肉の萎縮が抑制されるという研究結果もあります。
動物性と植物性の食材を組み合わせると、必須アミノ酸のバランスが整い、血中のアミノ酸濃度も維持されるため、タンパク質を効率的に利用できます。
タンパク質は、適量を3食に分けて摂取する
タンパク質は、適量を3食に分けて摂取しましょう。
1回の食事で吸収できるタンパク質の量には限りがあります。
血中アミノ酸濃度を維持するためにも、タンパク質はこまめな摂取が大切です。
また、タンパク質の過剰摂取は、糖尿病や心血管疾患などの発症リスクが増加するといわれています。
1日に推奨されるタンパク質の摂取量は、成人男性で60g、成人女性で50gです。
たとえば成人男性なら、朝、昼、夜の食事で20gずつ摂取するとよいでしょう。
※参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」(PDF)
タンパク質だけでなく、さまざまな食材を一緒に摂る
タンパク質を効率よく吸収するには、炭水化物や野菜など、さまざまな食材を一緒に摂ることが重要です。
ダイエットや筋トレのために糖質を控えるのは逆効果です。
エネルギー源である糖質を控えると、代わりにタンパク質がエネルギー源として利用され、筋肉の合成に支障が出ます。
またビタミン類は、タンパク質やアミノ酸の代謝に欠かせません。
筋肉を増やすには、バランスのよい食事が大切です。
適度な運動と組み合わせる
適度な運動は、食事から摂ったタンパク質の利用率を高めます。
適度な運動とは、1日に200〜400kcal程度を消費する、軽度から中等度の運動のことです。
体重60kgの人が早歩きで1時間のウォーキングをすると、およそ250kcalを消費します。
また、運動量が多い人は、体内でタンパク質の分解が進むため、運動の強度に応じてより多くのタンパク質が必要です。
まとめ
タンパク質が多い食材としてはまず、肉類、魚介類、乳製品、卵などの動物性食品が挙げられます。
動物性食品に含まれるタンパク質は、消化吸収が速く、体内への吸収率も高いことが特徴です。
植物性食品では、大豆・大豆製品をはじめ、穀類や野菜にもタンパク質が含まれています。
植物性の食材のタンパク質は、吸収率がやや低めですが、吸収がゆっくりで、長時間にわたり血中にアミノ酸を供給してくれます。
また、タンパク質は、動物性と植物性の食材を組み合わせて、バランスよく摂取することが大切です。
適切な量のタンパク質を3食に分けて摂り、適度な運動とも組み合わせて、健康維持や筋力アップにつなげましょう。