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「大葉」と「しそ」は日頃からよく使われる言葉ですが、その違いを意識したことはあるでしょうか。
しそには、青じそ、赤じそ、えごまなどの種類がありますが、大葉は青じその葉を指す言葉で、品種や種類を表しているわけではありません。
この記事では、「大葉」が使われるようになった背景や、身近なしその種類や違いをまとめました。
大葉として知られる青じその葉の栄養や、おいしい保存方法も解説します。
大葉は「青じその葉」のこと

しそ(紫蘇)という植物には、さまざまな品種があり、葉が赤紫色の品種は「赤じそ」、葉が緑色の品種は「青じそ」と呼ばれています。
そして、「大葉」は「青じその葉」のことを指す言葉です。
「しそ」と「大葉」には以下のような違いがあります。
- しそ
シソ科シソ属の植物の総称で、さまざまな品種が該当する。 - 大葉
しその一種である青じその「葉」を指す言葉。
(単に青じその別称として用いられる場合もある。)
大葉(青じその葉)は、よく刺身などに添えられている身近な食材です。
続いて、大葉という名前が広まった背景や、言葉の使い分けなどを解説します。
大葉とは

「大葉」は元々、青じその葉を販売する際に使用された商品名でしたが、全国的に広まり一般化しました。
青じその若葉を束ねて「大葉」という名称で販売されていることから、刺身の敷きづまのように、食材として葉をそのまま使うときに大葉と呼ぶことが多いです。
一方、青じそドレッシングのように、青じその葉を加工して用いる場合は、大葉よりも「青じそ」という名称が使われがちです。
また、青じそは芽や実なども利用されますが、葉以外の部位は「大葉」とは呼ばれません。
しその種類と味わいの違い

しその種類は先述したように、青じそと赤じそに大きく分類されます。
さらに、それぞれが多数の品種に分かれており、葉の形が平らなものや縮れたもの、香りの強いものや葉に厚みがあるものなどがあります。
また、青じそと見た目が似ている「えごま」も、しその一種です。
ここでは、青じそ、赤じそ、えごまの特徴を解説します。
青じそ(大葉)
青じそは、葉の色が緑色で、赤じその変種と考えられています。
さわやかな香りとさっぱりとした味わいが特徴で、刺身の敷きづまにもよく使用され、薬味に最適です。
生でそのまま料理に添えられるほか、天ぷらにもよく使われます。
赤じそ
しそは漢字で「紫蘇」と書くことから、本来は、葉の色が赤紫色の赤じそを指すと考えられています。
また、「食中毒になった子供に紫色のしそを食べさせたところ良くなった」という昔話から、蘇らせるという漢字が使われたといわれています。
青じそとは違い、赤じそはアクが強いため、そのまま薬味などで食べるには適していません。
塩もみしてアクを抜いてから梅干しなどの漬物に使うほか、煮出してジュースなどにするのが一般的です。
えごま
えごまは、見た目が青じそによく似ており、ゴマという名前が付いているものの、シソ科の植物でしその変種です。
日本では縄文時代から栽培されていたとされ、葉を食べるほか、種を絞った油などが利用されてきました。
えごまの葉は韓国でもよく食べられており、焼肉と一緒に食べたり、キムチ漬けに使われたりします。
青じそのようなさわやかで強い香りはなく、独特な風味があり、ややクセが強いのが特徴です。
青じそ(大葉)の特徴と栄養

青じそ(大葉)の育て方と旬
青じそは種から育てることができ、家庭菜園でも楽しめます。
生命力が強く、初心者でも育てやすい植物です。
日当たりの良い環境が適していますが、日が当たり過ぎると葉が硬くなりやすいため、半日陰の環境だと柔らかい葉が育ちやすいです。
青じそは一年草のため、冬になると種を落として枯れてしまい、翌年にまた種から育ちます。
旬は主に初夏から夏の時期ですが、ハウス栽培で育ったものが通年出回るため、いつでも手に入りやすいでしょう。
市販のものは「大葉」として、葉だけがまとめられていることが多く、料理にも使いやすいです。
また、自宅で種から育てると、葉以外に、若い芽・穂・実なども楽しめます。
青じその食べられる部分
青じそは、大葉としての大きな葉だけでなく、成長過程で食べられるさまざまな部分があります。
青じそが発芽して枯れるまでに収穫できるのは、下記の部分です。
- 芽じそ:種が発芽して本葉が出始めた頃のもので、青じその芽は「青芽(あおめ)」と呼ばれます。
- 葉(大葉):全体が30cm程度に育った頃に収穫する葉で、一般的な青じそ(大葉)です。
- 花穂じそ:成長すると穂が出て花が咲きます。1/3程度開花した頃に収穫するものです。
- 穂じそ:花が終わり実がまだ未熟なうちに収穫するものです。花穂じそと同じように使えます。
- 実じそ:花穂じそ・穂じそを全て収穫せず残しておくと実ができます。実をしごくように取って使います。
芽じそは、刺身のつまや彩りなどに添えて食べるほか、サラダや和え物に使うこともできます。
葉(大葉)・花穂じそ・穂じそはいずれも、薬味や刺身のつまに使えて、天ぷらでもおいしくいただけます。
花穂じそをお刺身と食べるときは、軽くたたいて香りを引き出し、花穂の部分を取って醤油に入れて食べるのもよい方法です。
実じそと呼ばれるしその実は、塩漬けや醤油漬け、佃煮、味噌と合わせて食べられます。
青じそ(大葉)に含まれる栄養
青じそ(大葉)には、ミネラルやビタミンが豊富に含まれており、とくにβ-カロテンやビタミンB2、カルシウムが多く含まれることが特徴です。
青じそ(大葉) の栄養素 | 100gあたり の含有量 |
---|---|
ビタミンB1 | 0.13mg |
ビタミンB2 | 0.34mg |
ビタミンB6 | 0.19mg |
ビタミンC | 26mg |
ビタミンE (αトコフェロール) | 3.9mg |
ビタミンK | 690μg |
β-カロテン | 11000μg |
ナイアシン | 1.0mg |
カルシウム | 230mg |
カリウム | 500mg |
鉄 | 1.7mg |
マグネシウム | 70mg |
亜鉛 | 1.3mg |
リン | 70mg |
青じそ(大葉)は1枚が約1gで、薬味などで食べても多量に摂取することは少ないでしょう。
青じそだけで栄養を摂取するのは難しいですが、栄養バランスを心がけた献立に取り入れると役立ちます。
青じそ(大葉)の特徴である香りは、ペリルアルデヒドという成分によるもので、食欲増進作用が期待できるほか、防腐作用も強いです。
また、青じそ(大葉)には、ロスマリン酸と呼ばれるポリフェノールも含まれており、抗アレルギー作用や抗酸化作用が期待されています。
参考:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
青じそ(大葉)のおいしい保存方法&レシピ

青じそ(大葉)は、乾燥させないように保存するのがポイントです。
冷蔵保存では、保存容器に水と一緒に入れる方法と、葉全体を湿らせて保存袋に入れる方法があります。
また、冷凍保存や乾燥保存、醤油に浸けて保存することもできます。
乾燥保存や醤油漬け保存は、そのままご飯のおかずになり便利です。
ここでは、それぞれの保存方法について解説します。
冷蔵保存
瓶などの保存容器に、青じそ(大葉)の茎の部分が浸る程度の水を入れ、茎を下にして立てて入れ、冷蔵庫の野菜室で保存します。
葉が水に浸かると傷みやすいため、水の量に注意しましょう。
水で湿らせたキッチンペーパーで葉全体を包み、保存袋に入れ密閉し、同じく冷蔵庫の野菜室で保存する方法もあります。
いずれの場合も、新鮮さを保つために、水やキッチンペーパーを1〜3日ごとに替えましょう。
1~2週間ほど保存可能ですが、鮮度をこまめに確かめて新鮮なうちに食べ切ってください。
冷凍保存
青じそ(大葉)を洗って、千切りなどの使いやすいサイズに切り、冷凍用保存袋や容器に入れて冷凍保存します。
冷凍保存した青じそは、凍ったまま使えるため便利です。
約3~4週間保存できます。
乾燥保存
青じそ(大葉)は乾燥に弱いものの、カラカラに水分を蒸発させると長持ちします。
青じそ(大葉)を洗ってから水気をよく拭き取り、キッチンペーパーを敷いた耐熱皿に重ならないように並べて、電子レンジの600Wで2~3分ほど、完全に乾燥してパリパリになるまで加熱します。
手でもんで使いやすいサイズに砕き、密閉できる保存容器に入れて冷蔵庫で保存しましょう。
約1か月間の保存が可能です。
ちりめんじゃこや海苔と合わせてふりかけに
乾燥した青じそ(大葉)は、ふりかけとして手軽に使えることもメリットです。
ちりめんじゃこや海苔、ごま、塩など、お好みの素材と組み合わせれば簡単においしいふりかけが作れます。
醤油漬け保存
保存期間はやや短くなりますが、数日以内に食べ切れる量なら、醤油漬けにするのもおすすめの保存方法です。
洗って水気を拭いた青じそ(大葉)を、醤油だれに浸すだけで作れます。
醤油だれは、醤油のほかに、赤唐辛子やニンニク、ごま油、ごま、みりん、砂糖などの調味料や薬味を使ってお好みの味わいに仕上げましょう。
冷蔵庫で3~4日ほど保存可能ですが、たれに使う素材にもよるため、新鮮なうちに食べ切るようにしてください。
まとめ
大葉と青じそはおおよそ同じものを指しますが、正確には、青じその葉を大葉と呼んでいます。
意味の違いがわかると、レシピなどに書かれているとき迷わず選べます。
青じそ(大葉)や、赤じそ、えごまなどには、それぞれ向いている使い方があるため、個性を活かしておいしくいただきましょう。
一度に食べる量は少ないものの、青じそにはビタミンやミネラルが豊富なメリットもあります。
青じそ(大葉)は年間を通して手に入りやすく、保存方法も複数あるため、日頃からストックしておくと毎日の献立に使いやすいでしょう。