あさりに含まれる栄養素と効果とは?生と缶詰の栄養価も比較

あさりに含まれる栄養素と効果とは?生と缶詰の栄養価も比較

あさりは、味噌汁や酒蒸し、炊き込みご飯やパスタなど、さまざまな料理で活躍する身近な食材です。

この記事では、あさりに含まれる栄養素と、その効果について解説します。

生と缶詰との栄養価の比較や、あさりの栄養を効果的に取り入れる方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

あさりを冷凍保存する場合は、保存方法と解凍のコツを知っておかなければなりません。この記事では、あさりの冷凍方法と保存期間を、殻つきとむき身に分けて紹介しています。

あさりに含まれる主な栄養素と効果

あさりに含まれる主な栄養素と効果

あさりには、たんぱく質の他に、鉄やカルシウムなどのミネラルも豊富に含まれます。

この章では、あさりに含まれる主な栄養素と、その効果について解説します。

たんぱく質|筋肉や皮膚を作る

たんぱく質は、筋肉・皮膚・毛髪・臓器などを形成し、酵素・ホルモン・抗体などの材料にもなる、重要な栄養素です。

たんぱく質を構成するアミノ酸は20種類あり、そのうち11種類は体内で合成できますが、残りの9種類は食事から摂取しなければなりません。

体内で合成できない9種類のアミノ酸を「必須アミノ酸」といい、あさりには必須アミノ酸がバランスよく含まれています。

また、あさりは低脂質でもあり、カロリーを抑えながらたんぱく質を摂取できる、ヘルシーな食材です。

鉄|貧血を防ぐ

鉄は、赤血球に含まれるヘモグロビンの材料となる、人体に必須のミネラルです。

ヘモグロビンは、鉄を含むヘムと、たんぱく質のグロビンで構成され、細胞に酸素を運ぶ働きがあります。

鉄が不足するとヘモグロビンが減少し、体内に十分な酸素が行き渡らなくなる鉄欠乏性貧血を引き起こします。

鉄欠乏性貧血には、息切れ・動悸・疲労感・血色不良などの症状があり、予防のためには、食事から鉄を摂取することが大切です。

食品に含まれる鉄には、ヘム鉄と非ヘム鉄があります。

  • ヘム鉄
    動物性食品に多く含まれる。
    たんぱく質と結合した状態で存在し、体内への吸収率が高い。
  • 非ヘム鉄
    植物性食品に多く含まれる。
    たんぱく質と結合しておらず、体内への吸収率が低い。

あさりにはヘム鉄と非ヘム鉄の両方が含まれ、最近の研究では非ヘム鉄の方が多いとされています。

後述するように、ビタミンCやたんぱく質と一緒に摂ると、非ヘム鉄でも吸収率が向上します。

カルシウム|骨や歯を作る

あさりには、骨や歯を形成するカルシウムも含まれます。

骨は、カルシウムを沈着させる「骨形成」と、骨を分解して血中にカルシウムを放出する「骨吸収」を常に繰り返しており、加齢に伴い吸収量が形成量を上回るようになります。

カルシウムが不足すると、骨粗しょう症だけでなく、高血圧や動脈硬化などのリスクも高まるため、食事からの摂取が重要です。

カルシウムは、腸管での吸収率が20〜30%とやや低く、吸収率を上げるには、以下のような対策が有効です。

  • カルシウムの吸収を促すビタミンDを含む食品を摂取する。
  • 日光に当たり、体内でビタミンDを生成する。
  • 適度な運動を取り入れて骨に負荷をかけ、カルシウムの利用効率を上げる。

ビタミンDは、魚類やきのこ類などに多く含まれる栄養素です。詳細は最後の章で紹介しています。

亜鉛|皮膚や毛髪・味覚の健康を維持する

亜鉛は、皮膚や毛髪、味覚などを正常に保つために重要なミネラルです。

さまざまな生理機能を調整する酵素の構成成分であり、細胞が生まれ変わる新陳代謝に関与します。

主な亜鉛の働きは、以下のとおりです。

  • 皮膚・毛髪・粘膜の健康維持
  • 味覚・嗅覚の健康維持
  • 免疫機能の維持
  • 胎児や乳児の発育
  • 性腺の発育・機能保持
  • 骨の成長
  • 傷の修復

亜鉛は、あさり・かき・ほたてなどの貝類や、赤身の肉類に多く含まれ、不足すると皮膚炎・味覚障害・成長障害などを引き起こすことがあります。

カリウム|高血圧やむくみを予防する

あさりは、高血圧やむくみを予防するカリウムが豊富です。

カリウムには、細胞内の浸透圧を調整し、余分なナトリウム(塩分)の排出を促す作用があります。

塩分を摂りすぎると、ナトリウム濃度を薄めるために体内の組織の水分量が増え、むくみが生じます。

同様のことが血管内で起こると、高血圧となります。血液中のナトリウム濃度が高くなると、血管内の水分が増えて血液量が増加し、血圧が上がるのです。

あさりに含まれるカリウムは、ナトリウムの排出を促すため、高血圧やむくみを予防・改善します。

また最近の研究によって、カリウムの摂取量の増加が、脳卒中や骨粗しょう症の予防につながることも示唆されています。

ビタミンB12|造血を促す・動脈硬化を防ぐ

ビタミンB12は貝類などの魚介類に多く、あさりにも豊富に含まれます。

ビタミンB12の主な働きは以下のとおりです。

  • 造血作用
    葉酸とともに赤血球の生成に関わり、造血を促す。
    不足すると、動悸・息切れ・倦怠感などの症状を伴う巨赤芽球性きょせきがきゅうせい貧血を引き起こす。
  • 動脈硬化の予防
    ホモシステインの代謝を促して血中濃度を適正に保ち、動脈硬化を防ぐ。
    ※ホモシステインはアミノ酸の一種で、血中濃度が高まると動脈硬化や血栓症を引き起こす。
  • 神経機能の維持
    細胞の構成成分の合成を助け、末梢神経のダメージを修復する。
    不足すると、手足のしびれや痛み、筋力低下などを伴う末梢神経障害を引き起こす。

ビタミンB12は、魚介類・肉類・卵などの動物性食品に含まれ、一部の海藻類を除き、植物性食品にはほぼ含まれていません。

あさりは、魚介類の中でもビタミンB12含有量がとくに多く、効率的に摂取できる食品です。

タウリン|コレステロール値を下げる

タウリンは、たんぱく質を構成しない特殊なアミノ酸です。

あさり・かき・ほたてなどの貝類や、イカ・タコなどに多く含まれ、人体では筋肉・心筋・脳・肺・骨髄などに存在します。

タウリンは生命維持に欠かせない成分で、主に以下のような働きをします。

  • コレステロール値を下げる
    コレステロールを材料とする胆汁たんじゅうの分泌を促す。
    海外の実験では、IPA(イコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)などのn-3系多価不飽和脂肪酸とともにタウリンを摂取すると、LDL(悪玉)コレステロールが減少し、HDL(善玉)コレステロールが増加したという結果が得られている。
  • 肝臓の機能を向上させる
    解毒作用を担う肝臓において、老廃物の排出経路となる胆汁の分泌を促す。
    肝細胞を保護する作用がある。
  • 心臓の機能を向上させる
    心臓の収縮性を高め、心臓の機能を改善する。
    血管を拡張して血流を改善する一酸化窒素の生成を促し、心血管の健康を維持する。

タウリンは、主に肝臓において生合成されますが、ヒトなどの哺乳類では生成量が少ないため、食事からの摂取が必要です。

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あさりの栄養素の含有量を生と缶詰で比較

あさりの栄養素の含有量を生と缶詰で比較

調理の際は、殻付きのあさりだけでなく、缶詰を利用するのも手軽で便利です。

以下に、あさりの可食部100g当たりに含まれる栄養素を、生と缶詰で比較します。

栄養素あさり 生あさり 缶詰(水煮)
たんぱく質5.7g20.3g
2.2mg30.0mg
カルシウム66mg110mg
亜鉛0.9mg3.4mg
カリウム140mg9mg
ビタミンB1244.8μg64.0μg
食塩相当量2.0g1.0g

※参考:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

上の表において、生のあさりは貝殻を除いた可食部の値です。

廃棄率は70%なので、正味100gを摂取したい場合は、殻付きで330~340g程度が必要になります。

100g当たりで比較すると、生のあさりよりも缶詰の方が、カリウム以外の栄養素を多く含み、食塩も抑えられます。

生のあさりは味噌汁などを作る際によい出汁が出ますし、缶詰は手軽に使えて栄養価が高いため、状況に応じて使い分けるとよいでしょう。

なお、しじみに豊富に含まれるオルニチンは、あさりにはほぼ含まれていません。

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あさりの栄養の効果的な取り入れ方

あさりの栄養の効果的な取り入れ方

この章では、あさりに含まれる栄養素の効果的な取り入れ方を紹介します。

煮汁も一緒に食べる

あさりに含まれるミネラルやビタミンは水に溶け出しやすいため、煮汁も一緒に食べると効果的です。

例えば、あさりの身に含まれるカルシウムは、5分間の煮沸で最大限の量が煮汁に溶け出します。

また、あさりに豊富なカリウムやビタミンB12も水に流出しやすい栄養素です。

煮汁も一緒に摂取できる調理法としては、味噌汁・スープ・酒蒸しなどがありますが、生のあさりは塩分が多いため、薄味に調味するようにしましょう。

ビタミンCや酢と一緒に食べる

たんぱく質やビタミンC、酢に含まれる酢酸は、鉄やカルシウムの吸収率を高めます。

非ヘム鉄はビタミンCやたんぱく質と一緒に摂ると吸収率アップ

前述のとおり、鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄があり、あさりには吸収率の低い非ヘム鉄が多く含まれます。

非ヘム鉄は、ビタミンCや動物性たんぱく質と一緒に摂取すると吸収率が上がります。

おすすめのメニューは、あさりにじゃがいもやベーコンなどを加えたクラムチャウダーです。

じゃがいものビタミンCや、ベーコンと牛乳のたんぱく質が、あさりに含まれる非ヘム鉄の吸収を助けます。

カルシウムは酢と一緒に煮ると溶け出しやすい

酢に含まれる酢酸には、他の食品のカルシウムを溶解する作用があります。

あさりの身や殻のカルシウムを効率よく摂取するには、調理の際に酢を加えて煮るとよいでしょう。

あさりの味噌汁や酒蒸しに、隠し味として酢を入れるのが手軽な方法です。

他には、中華料理の酸辣湯サンラータンに、あさりを加えるのもおすすめです。

カルシウムが吸収されやすくなり、あさりのうま味が加わるため美味しさもアップします。

ビタミンDと一緒に食べる

カルシウムの吸収率を上げるためには、ビタミンDの摂取が不可欠です。

あさりに含まれるビタミンDは微量のため、他の食品から摂る必要があります。

ビタミンDは、鮭などの魚類、まいたけやきくらげなどのきのこ類に多く含まれています。

あさり・鮭・きのこ類を使ったホイル焼きやパスタなどは、一皿でカルシウムとビタミンDが摂れておすすめです。

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まとめ

あさりに含まれる主な栄養素と効果は以下のとおりです。

  • たんぱく質
    筋肉・皮膚・臓器などを形成する。
    酵素・ホルモン・抗体などの材料になる。

  • ヘモグロビンの材料となり、鉄欠乏性貧血を予防する。
  • カルシウム
    骨や歯を形成する。
    高血圧や動脈硬化のリスクを軽減する。
  • 亜鉛
    皮膚や毛髪、味覚や嗅覚の健康を維持する。
  • カリウム
    高血圧やむくみの予防・改善に役立つ。
  • ビタミンB12
    造血を促す・動脈硬化を防ぐ。
  • タウリン
    コレステロール値を下げる。
    肝臓や心臓の機能を向上させる。

栄養価が高くうま味たっぷりのあさりを、普段の食卓に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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