チアシードは、シソ科の植物の種子で、スーパーフードとしても知られる栄養価の高い食品です。
1日に大さじ1杯程度の量で手軽に栄養補給でき、ダイエット効果や抗酸化作用など、健康や美容に嬉しい効果があります。
この記事では、チアシードの効果とともに、栄養素や効果的な食べ方、食べる際の注意点などを解説します。
チアシードとは?

チアシードは、メキシコやグアテマラ原産で、シソ科の一年草「チア」の種子です。
大きさは1〜2mmで楕円形をしており、栄養価が高いことからスーパーフードとしても注目されています。
チアシード自体は無味無臭で、水に浸けると水分を吸収して10倍以上に膨らみ、種子がゼリー状の粘液に包まれるのが特徴です。
チアシードの種類
チアシードは、種子の色によって「ブラックチアシード」と「ホワイトチアシード」の2種類に分けられます。
チアシードは黒い種子が多いですが、その中に白っぽい種子が混ざることがあり、白っぽい種子だけを選別して品種改良したのが、ホワイトチアシードまたはサルバチアシードと呼ばれるものです。
種類によって大きな違いはありませんが、水分を吸収した際にホワイトチアシードの方がブラックチアシードよりも大きく膨らむ傾向にあります。
チアシードに含まれる栄養素
チアシードは、オメガ3脂肪酸(n-3系脂肪酸)のα-リノレン酸を豊富に含む食品として注目されています。
α-リノレン酸は、体内では作り出せない必須脂肪酸であり、食品から摂取する必要があります。
ほかに、食物繊維、たんぱく質、ビタミンB群、カリウム・カルシウム・マグネシウム・銅・マンガン・モリブデンなどのミネラルも豊富です。
下記は、乾燥したチアシードに含まれる主な栄養素やカロリーを、100gと1日の目安量約10gで表したものです。
成分名 | チアシード(乾):100g | チアシード(乾):10g |
---|---|---|
エネルギー | 446kcal | 45kcal |
α-リノレン酸 | 19000.0mg | 1900.0mg |
食物繊維 | 36.9g | 3.7g |
たんぱく質 | 19.4g | 1.9g |
脂質 | 33.9g | 3.4g |
炭水化物 | 34.5g | 3.5g |
カリウム | 760mg | 76mg |
カルシウム | 570mg | 57mg |
マグネシウム | 360mg | 36mg |
銅 | 1.79mg | 0.18mg |
マンガン | 4.80mg | 0.48mg |
モリブデン | 44μg | 4μg |
リン | 820mg | 82mg |
鉄 | 7.6mg | 0.8mg |
亜鉛 | 5.9mg | 0.6mg |
セレン | 11μg | 1μg |
ビタミンB1 | 0.97mg | 0.10mg |
ビタミンB2 | 0.25mg | 0.03mg |
ビタミンB6 | 0.42mg | 0.04mg |
ナイアシン | 9.8mg | 1.0mg |
葉酸 | 84μg | 8μg |
ビオチン | 24.0μg | 2.4μg |
参考:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」を元に計算
チアシードの健康や美容への効果

チアシードは、高い栄養価や水を吸って膨らむ性質から、1日に大さじ1杯程度でも、健康や美容への効果が期待できます。
チアシードに期待されている主な効果を解説します。
ダイエット効果
チアシードは水分を吸収すると膨らみ、食物繊維も豊富なため、食べたときに満腹感が得られやすい特徴があります。
水分を含むと乾燥時の10倍以上になるため、食事の食べ応えを出したいときにも効果的です。
代謝を助けるビタミンB群も多いことから、エネルギーを燃焼させるサポートもできます。
ただし、チアシードは1日の目安量(約10g)で約45kcalあるため、厳密なカロリー制限を行っているときは、ほかの食品との置き換えなどで調整するとよいでしょう。
便秘改善効果
チアシードは、乾燥重量の約4割が食物繊維のため、便秘の改善効果や、腸内環境を整える効果が期待できます。
食物繊維は、水分を含んで便を柔らかくし、かさを増やして排便を促します。
また、腸内細菌のエサとなり、腸内環境を改善する働きもあります。
ただし、水溶性と不溶性に分類される食物繊維のうち、チアシードには不溶性食物繊維がやや多めです。
そこで、便秘の改善を意識する場合は、りんご・バナナ・キウイ・かんきつ類などの果物と一緒に摂るのもおすすめです。
食後血糖値の低下作用
チアシードに豊富に含まれる食物繊維には、食後血糖値の急激な上昇を防ぐ作用もあります。
食物繊維には、食べたものが胃腸を移動する速度を抑えたりして、糖の吸収を穏やかにする働きがあるためです。
とくに、しっかりと水で戻してから食べると、より高い効果が期待できます。
中性脂肪低下作用
チアシードに豊富に含まれるオメガ3脂肪酸のα-リノレン酸には、血中の中性脂肪を下げる働きが期待できます。
α-リノレン酸は、体内で一部がEPAに変換され、このEPAが中性脂肪の合成を抑制すると考えられています。
血中の中性脂肪が増えすぎると、肥満や動脈硬化の原因にもなるため、食事での予防が大切です。
抗酸化作用
チアシードは、強い抗酸化作用により、過剰な活性酸素の影響を抑え、老化や生活習慣病を予防する効果が期待できます。
チアシードの抗酸化作用には、とくに以下のような成分が関わっています。
- クロロゲン酸:強い抗酸化作用を持つポリフェノールの一種。
- セレン:ミネラルの一種で、抗酸化作用に関わる酵素を作る成分となる。
美肌効果
チアシードの便秘改善効果や抗酸化作用は、美肌への効果も期待できます。
腸内環境の乱れや過剰な活性酸素は、肌の状態にも影響を与えるためです。
また、チアシードに含まれるたんぱく質やビタミン、ミネラルの働きにより、健康的な肌を作る作用や肌荒れの予防効果などが期待できます。
チアシードのデメリットと注意点

さまざまな効果が期待できるチアシードですが、摂取方法や体調・体質によっては注意が必要です。
この章では、チアシードの注意点やデメリットについて解説します。
1日の目安量を守る
チアシードの1日の目安量は、大さじ1杯程度(約10g)です。
便秘への効果が期待できる一方、食べすぎると消化器官に負担を与え、腹痛や下痢などを引き起こす可能性があります。
また、水分を十分に吸収していないチアシードも、食べる量が多いと便秘の症状を悪化させやすいため注意しましょう。
水分と一緒によく噛んで食べる
チアシードは水分を含んで膨らむため、食べる際には十分な水分を一緒に摂るようにしましょう。
とくに、十分に水分を吸収していないチアシードを食べると、体内の水分が吸収されるため、多めに水分を摂ることが重要です。
また、チアシードの表面は硬いため、よく噛んで食べると消化されやすくなります。
体質や体調にあわせて摂取する
チアシードはやや消化が悪いため、消化器官に不調や疾患を抱えているときには、医師などに相談してから食べるようにしてください。
初めてチアシードを食べる際には、少量から食べ始めるのがおすすめです。
また、チアシードと同じシソ科や、近縁のゴマ科の食物にアレルギーがある場合は、事前に医師に相談するとよいでしょう。
子供には少量を水で戻して与える
体調や体質に問題がなければ、チアシードは子供でも食べることができます。
ただし、大人の目安量よりも少なめに調整し、十分に水で戻してから与えてください。
チアシードの効果的な食べ方

チアシードは、水に浸けたりすりつぶしたりすると、より効果的に栄養成分を摂取できます。
また、乾燥したチアシード以外に、チアシードオイルも便利です。
この章では、チアシードの効果をさらに引き出す食べ方を紹介します。
水に浸けると食べ応えアップ
チアシードを水に浸けると約10倍にかさが増すため、ダイエットなどで食べ応えをアップさせるには、あらかじめ水分を含ませると効果的です。
製品説明にある時間を目安に、水に浸して準備しましょう。
ただし、水分を含ませた後のチアシードは傷みやすいため、早めに食べきってください。
ジュースやヨーグルトで戻すレシピ
チアシードは、ジュースや牛乳、ヨーグルトなどに加えて水分を含ませるレシピもあります。
ただし、ヨーグルトは水分量が少なく、チアシードを入れると全体が硬くなりやすいため、チアシードの量を加減して調整してください。
はちみつなどで甘味を加えたり、フルーツを加えたりするとより食べやすいでしょう。
α-リノレン酸が多いため加熱を避ける
チアシードに含まれるα-リノレン酸は、熱に弱く酸化されやすい性質があります。
加熱調理の際は、長時間の加熱や高温での加熱を避けると、よりチアシードの効果を引き出せます。
調理の仕上げに加えるなど、タイミングを調整するとよいでしょう。
α-リノレン酸の摂取にはチアシードオイルも効果的
オメガ3脂肪酸であるα-リノレン酸の摂取には、チアシードオイルも利用できます。
チアシードオイルは、サラダ・スープ・ヨーグルト・飲み物などに、加熱せずに加えることができて便利です。
すりつぶして食べやすくする
チアシードは、乾燥した状態ですりつぶして、さまざまな料理に加えることもできます。
すりつぶすと硬い種子が割れて消化されやすくなるため、消化不良の心配があるときや、よく噛んで食べるのが難しいときにもおすすめです。
すりつぶすと酸化されやすいため、作り置きではなく食べる前に調理するとよいでしょう。
まとめ
チアシードは、継続して少量を食べるだけで、健康維持や美容に役立てられる食品です。
水分を含むとゼリー状になって種子が包まれるため、食べ応えとともに食感も楽しめます。
栄養豊富でさまざまな効果が期待できますが、食べすぎは避け、体調や体質に合わせて無理なく摂り入れましょう。
調理方法や食べ方を工夫するとより効果的なので、お好みの食べ方を探してみてください。