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岸田文男首相は「新しい資本主義」政策の中で、「貯蓄から投資へ」と打ち出しました。
国が株式や投資信託などに目を向けることを推奨する中、脚光を浴びているのがiDeCo(イデコ)です。
初心者向けの運用として紹介される頻度も高いのですが、デメリットしかない、おすすめしないという声も聞かれます。
今回は、iDeCoのメリット・デメリット、「やめとけ」と言う人の言い分などをご紹介します。
iDeCoの運用を迷っている人、デメリットを理解した上で対応したい人はぜひ参考にしてください。
iDeCoとは
iDeCoとは、いわば自分で作る年金制度であり、「個人型確定拠出年金」と呼ばれています。
あらかじめ用意された投資信託、保険、定期預金などの中から金融商品を選んで運用する仕組みです。
商品は複数選ぶことができ、期間中はいつでも自由に商品を組み替えることができます。
公的年金にプラスする制度であるため、原則として60歳になってから、年金または一時金として受け取ることが可能です。
掛け金は5,000円からであり、加入資格の条件を満たす必要があります。
iDeCoでデメリットしかないという状態になる可能性があるケース
iDeCoはデメリットしかないと言われるのはなぜなのでしょうか。
デメリットしかないという状態になる可能性があるケースとして、下記のようなことが考えられます。
- 収入がない場合
- 貯金が十分でなく掛け金が家計に影響する場合
- 定期預金だけで運用する場合
- 元本割れしてしまった場合
収入がない場合
収入がない場合、iDeCoがデメリットしかないという状態になる可能性があります。
iDeCoを始めるにあたり、掛け金以外に口座管理手数料と運用管理費用が必要です。
収入がない場合、銀行預金を取り崩して運用に回す必要があることから、iDeCoが負担になってしまいかねません。
貯金が十分でなく掛け金が家計に影響する場合
貯金が十分でなく掛け金が家計に影響を与える場合も、iDeCoがデメリットしかないという状態に陥る可能性があります。
iDeCoは原則として、毎月積み立てて運用しますので、貯金が十分でなく、掛け金が大きすぎる場合、続けることができなくなる可能性があるのです。
定期預金だけで運用する場合
定期預金だけで運用する場合には、iDeCoでデメリットを感じるかもしれません。
確かに、定期預金なら元本割れのリスクはありません。しかし、超低金利時代において定期預金の金利は非常に低く、ゆうちょ銀行やみずほ銀行などで0.002%、金利が高いといわれるネット銀行でも、楽天銀行で0.02%となっています。
定期預金だけで運用しても高リターンは期待できないため、デメリットしかないという状態になるでしょう。
元本割れしてしまった場合
投資信託で運用する場合、元本割れすることも考えられます。
元本割れした場合には、iDeCoがデメリットでしかないという状態に陥るかもしれません。
投資は絶対もうかると言い切ることはできませんが、購入した金額より下回るとiDeCoの存在自体がデメリットでしかない状態に陥る可能性があります。
iDeCoの仕組み上のデメリット
前章で紹介したケース以外にも、iDeCoには仕組み上のデメリットが存在します。デメリットは以下の通りです。
- 途中解約ができない・60歳まで引き出せない
- 手数料が自己負担
- 会社員・公務員などによって投資上限額が異なる
途中解約ができない・60歳まで引き出しができない
NISAはいつでも解約ができ、自由に引き出すことができるのに対し、iDeCoは途中解約ができず、60歳まで引き出しができません。この点が最大のデメリットだといえるでしょう。
iDeCoの目的は、老後の資産形成です。そのため、公的年金に合わせた形で引き出せる年齢を定めています。
どうしても続けられない場合、掛け金を減額する、一時休止をする、という手段もあります。
掛け金は毎月5,000円からとなっていますので、背伸びをせず無理のない範囲で行うのがおすすめです。
手数料が自己負担
iDeCoには手数料がかかります。加入時に一律2,829円を自己負担する必要があるほか、運用期間中に毎月65∼589円の範囲内の手数料を支払わなければなりません。期間終了後、受け取り時には440円の振込手数料がかかります。
それ以外にも信託報酬手数料を負担しなければならない金融機関もあるので注意が必要です。
金融機関を選ぶ際には、手数料がいくらかかるかチェックしないと「こんなはずではなかった」、と後悔することになりかねません。
会社員・公務員などによって投資上限額が異なる
会社員や公務員がiDeCoに加入する際、投資上限が低くなります。さらに、企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入しているかどうかによって月々積み立てられる金額が異なることに注意しなければなりません。
自営業者の場合、国民年金基金や国民年金の付加保険料と合算して毎月68,000円までiDeCoへ積み立てることが可能です。
会社員や公務員で企業型DCに加入している場合は月2万円、年金がない場合は月2万3,000円となっています。
iDeCoにはメリットもある
iDeCoにはデメリットだけでなく、メリットもあるため、おすすめできないわけではありません。
メリットもデメリットも踏まえた上で、自分に合った金融商品なのか判断することが大切です。
- 税制面の優遇が充実している
- 2022年5月からの改正で条件が緩和された
iDeCoは税制面で優遇されています。掛金は全額所得控除の対象となり、節税効果が期待できるでしょう。また、運用によって出た利益も非課税です。
60歳以上になり、受け取るときにも税制優遇があり、年金で受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金では「退職所得控除」を利用できます。
iDeCoは2022年に改正され、条件が緩和されました。加入年齢が拡大され、原則65歳になるまで加入できるようになったほか、受け取り時期も広がり、60歳から75歳になったのです。
iDeCoを始める際に知っておくべき注意点
iDeCoを始める際に、知っておくべき注意点があります。
銀行や証券会社などの金融機関のすすめるままに加入し、後悔することのないようにしたいところです。
失敗しないためにも、以下の注意点を知っておきましょう。
- 金融機関によって手数料が異なる
- 取り扱う金融商品の数も内容も異なる
- 誰でも加入できるわけではない
金融機関によって手数料が異なります。一般的にネット証券の方が手数料は低く、銀行はやや高め。また、金融機関によって、取り扱っている商品の本数や内容も異なります。
公的年金制度に加入する65歳未満であれば誰でも加入できるのですが、国民年金や企業型DCの状況などで加入できない場合もあるのでご注意ください。
iDeCo加入を検討する際は、いろいろな金融機関を見比べてみることが大切です。
まとめ
年金制度を自分で作り運用するiDeCoは、2022年5月から適用された改正により、選択肢がますます広がって加入しやすくなりました。
iDeCoのデメリットだけでなく、メリットも理解した上で賢く活用することが大切です。
絶税対策も期待でき、税制面でも優遇されているiDeCoを使って、豊かな老後に備えてみてはいかがでしょうか。