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念願のマイホーム入手を実現するためには、「住宅ローン審査に通るかどうか」が大きなポイントになります。
住宅ローン審査は年齢や収入状況などを考慮しながら進められますので、厳しい内容になるかどうかは人によって異なります。
審査の基準や流れのほか、通らない場合の理由や対処法などを説明するので参考にしてください。
住宅ローン審査の基準とは
国土交通省住宅局が金融機関に行った調査によると、9割の機関が、長期・固定金利の住宅ローンなどの審査の際にはローン完済時の年齢や健康状態、担保評価、借入時年齢、年収、勤続年数、連帯保証などを考慮すると回答しています。
それぞれの項目に対する調査や判断を経て、実際に融資を行えるかどうかが決定されます。
参考: 令和3年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書|国土交通省住宅局
住宅ローン審査の流れ
住宅ローンの審査には仮審査、本審査があり、無事にパスできれば契約に入ることになります。
具体的な審査の流れは以下の通りです。
- 仮審査として購入希望物件や希望者の収入、職業などを事前に審査
- 事前の審査にパスしたら、ローンに申し込み
- 本審査
審査の際には物件の売買契約書や登記事項証明書、審査を受ける人の年収が分かる源泉徴収票や住民票などの提出が求められ、「長期ローンを確実に返済できるかどうか」「返済が厳しくなった場合でも差し押さえ可能となる財産があるかどうか」などの項目について審議されます。
住宅ローン審査にかかる期間
住宅ローンの仮審査は3、4営業日、本審査には1~2週間はかかると想定しておいた方が良いでしょう。
住宅ローン審査に通らない・落ちる理由
住宅ローン審査は年齢や収入など各自の状況によってスムーズにパスするケースもあれば、なかなか通らないこともあります。
実際に審査に落ちた場合、以下が通らない理由となったことが想定されます。
- 借入時や完済時の年齢が高すぎる
- 健康状態に問題がある
- 返済負担率が高すぎる
- 個人信用情報に延滞履歴がある
- 申告内容に虚偽がある
- 収入が不安定・起業・転職したばかり
- 購入希望物件の価値が非常に低い
借入時や完済時の年齢が高すぎる
住宅ローンは30年以上などの長期に渡って返済するケースが多いため、借入時やローン完済時の年齢が高すぎると「計画通りに返済が進むかどうか不透明」と見なされる可能性があります。
昨今は定年退職後も社会で活躍する人たちが増え、企業の定年年齢や平均寿命も上がってきてはいるものの、やはり定期的な収入を見込みやすい現役世代のうちに完済できるかどうかという点は重視されます。
具体的には、借入時に70歳を超えている、または完済時に80歳を超える場合は審査で不利になることが想定されます。
健康状態に問題がある
健康状態に問題があると、金融機関で住宅ローン契約をする際に条件となっている団体信用生命保険への加入が厳しくなり、審査に支障をきたす可能性があります。
団体信用生命保険に加入していると、加入者の死亡などでローン返済が厳しくなった際に金融機関に対してローン残高分の保険金が支払われるため、加入者家族の負担が免除されます。
そのため住宅ローン契約には団体信用生命保険加入が必須となるケースも多いです。
従って持病がある場合、病気の状態などによっては、ローンを組むのが不利になる可能性があります。
返済負担率が高すぎる
年収に占める年間のローン返済額の割合を示す「返済負担率」が高くなるケースも厳しくなります。
目安として返済負担率が30%を超えると、生活しながらローンを返済することが厳しくなると見なされ、審査に支障をきたす恐れがあります。
個人信用情報に延滞履歴がある
クレジットカードのリボ払いやカードローンなどの債務の返済状況を示す個人信用情報の中で延滞の履歴がある場合も、住宅ローン審査の際に不利になる可能性が高くなります。
ごく最近の延滞歴がある場合や、過去のことでも何度も延滞したり、延滞期間が長かったりした場合は、ローン審査の際に厳しい結果が出されるかもしれません。
申告内容に虚偽がある
収入状況や健康状態など、審査の際に申告する内容に虚偽が含まれている場合も、信頼性が低いと見なされ不利になります。
審査の際には収入や連帯保証人など細部に渡って調べられるため、虚偽の内容を申告しても結局は明るみに出ます。
実際よりも有利に見せるよう虚偽申告したことが発覚すればマイナスイメージは避けられず、審査は厳しくなるでしょう。
収入が不安定・起業・転職したばかり
収入が不安定な状態や、起業・転職したばかりのタイミングでローン審査を申し込むとパスできない可能性もあります。
これまでにも触れた通り、審査に落ちる理由の一つとして「安定した収入が見込めない」ということが挙げられます。
自営業者など収入が不安定な人だけでなく、起業・転職したばかりの人に関しても「新しい職や事業が順調に続けられるかどうか不透明」などとして、厳しい判断が下される可能性も考えられます。
購入希望物件の価値が非常に低い
購入希望物件が安価だとローン返済のめどが立ちやすく「甘い審査になりそう」と思われるかもしれませんが、異常に価値が低いが故に安価な場合は、かえって審査で不利になる可能性があります。
なぜなら、物件そのものが担保としての価値があるかどうか評価されるためです。
何らかの事情でローンの返済が不可になった際、金融機関側は抵当権を行使して物件を売却しローン残高の回収を図りますが、そもそもの物件価値が低すぎるとそれもできなくなります。
意外に思われるかもしれませんが、物件の担保評価は住宅ローン審査の際に金融機関が重視する項目の中でもランキング上位に入っています。
固定資産税評価額や路線価が低い物件の場合、ローン審査時にリスクが発生する可能性も視野に入れておいた方が良いでしょう。
住宅ローン審査に通らないときの対処法
住宅ローン審査を通過するには先に挙げたようなハードルがあり、残念ながら審査に落ちることもあります。
しかし一度審査に落ちたからといって、すぐに諦める必要はありません。
以下の対処法を試してみることをおすすめします。
- 他の金融機関を検討する
- 条件を整えて再度申し込む
他の金融機関を検討する
住宅ローンの審査基準の厳しさは金融機関によって異なるため、ある機関で審査に落ちたとしても別の機関に相談に行ったらパスできた、というケースもしばしば聞かれます。
収入が不安定なためにメガバンクでの審査に落ちたとしても、日ごろから取引のある地銀や信用金庫が相手だとそれほど厳しい審査にならないかもしれません。
また健康上の理由で団体信用生命保険への加入が厳しくてローンに通らない場合、持病のある人でも加入できる「ワイド団信付き住宅ローン」を採用している機関に相談する、または金融機関と住宅金融支援機構提携の住宅ローン「フラット35」を検討することをおすすめします。
条件を整えて再度申し込む
住宅ローン審査に申し込む前に既に他の借り入れがある場合、審査の際に考慮される返済負担率にも悪影響が出ます。
そのため現在抱えている借り入れを完済してから住宅ローン審査に再度臨む、という手段もあります。
あるいは頭金を多めにして借入希望金額を低く設定した上で、再チャレンジするのもよいでしょう。
また「不利な状況」の中にも例外はあり、本来は好ましくないとされる条件で審査に通る人も実際にいます。
例えば転職したばかりでも、職種を変えずに経営状況の良好な企業に入社している、再就職に有利な資格を持っているなどといった場合、それほど審査は厳しくならない可能性があります。
まとめ
住宅ローン審査にはさまざまな基準があり、厳しさも機関によってまちまちです。
自身の収入状況や物件の情報だけでなく、各金融機関の審査基準などについても事前に把握して臨むことをおすすめします。
必要と考えられる条件を整えておくなどしっかりと準備していれば、スムーズに審査をパスすることができるでしょう。
将来的なマイホーム入手を計画している方も、今から情報収集など準備を怠りなく進めておきましょう。