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日本には税金が多すぎて、各税金の役割や用途が良くわからないという人も多いのではないでしょうか?
日本の税金は約50種類もあるため、すぐにすべてを理解するのは困難です。
しかし税金の種類を大まかに分類すれば、理解しやすくなります。
この記事では日本の税金の仕組みが分かりやすくなる分け方や、主な税金の概要について解説しています。
日本には約50種類の税金がある
日本には約50種類の税金があり、地方税や所得税、消費税などさまざまな種類に分類できます。
なぜ税金はこれだけの種類に分類されているのでしょうか?
私たちが健康で文化的な生活を送るために、国や都道府県、市区町村では個人ができない公共サービスや公共施設などを提供しています。
もし税金がなかったら「救急車を呼んだり、警察に相談したりすると費用を請求される」「医療費がすべて自己負担になる」など、大きな負担が必要になるでしょう。
この費用を皆で出し合って支える役割を果たすのが税金です。
しかし誰もがすべての公共サービスや公共施設を利用するわけではありません。
そのため1つの方法だけで税金を集めていると不公平が生じることから、税金は多くの種類に分類されています。
日本の税金の種類一覧
まずは日本の税金の種類を一覧で紹介します。
国税 | 地方税 | |
---|---|---|
所得課税 | 所得税 法人税 地方法人税 特別法人事業税 復興特別所得税 森林環境税 | 住民税 事業税 |
消費課税 | 消費税 酒税 たばこ税 たばこ特別税 揮発油税 地方揮発油税 石油ガス税 航空機燃料税 石油石炭税 電源開発促進税 自動車重量税 国際観光旅客税関税 とん税 特別とん税 | 地方消費税 地方たばこ税 ゴルフ場利用税 軽油引取税 自動車税(環境性能割・種別割) 軽自動車税(環境性能割・種別割) 鉱区税 狩猟税 鉱産税 入湯税 |
資産課税等 | 相続税・贈与税 登録免許税 印紙税 | 不動産取得税 固定資産税 特別土地保有税 法定外普通税 事業所税 都市計画税 水利地益税 共同施設税 宅地開発税 国民健康保険税 法定外目的税 |
日本の税金の種類の分け方
日本の税金は「誰が税金を負担するか」「何に税金をかけるか」「どこに税金を納めるか」「税金を何に使うか」に着目することで、大きく以下の4つに分類できます。
- 国税/地方税
- 所得課税/消費課税/資産課税等
- 直接税/間接税
- 目的税/普通税
それぞれの分け方について詳しく紹介していきます。
国税/地方税
国税は国に納める税金、地方税は各都道府県や各市区町村といった地方自治体に納める税金です。
国税は主に鉄道整備や医療、宇宙開発、科学技術の研究など国全体で利用するものに使われ、地方税は上下水道やごみ収集、警察、消防、教育、福祉、救急など地域の事情に即した行政サービスにかかる費用を賄います。
分類 | 概要 |
---|---|
国税 | 国に納める税金 |
地方税 | 地方自治体に納める税金 |
所得課税/消費課税/資産課税等
税金は何に対して税金をかけるかで、所得課税と消費課税、資産課税等に分類できます。
所得課税は個人の所得(収入―経費)に対してかかる税金です。
税率は所得に応じて段階的に高くなる超過累進税率を採用しており、支払能力に応じて公平に負担する仕組みとなっています。
消費税は消費一般に幅広く公平に負担を求めるもので、商品やサービスの提供を受けた消費者が負担し、事業者が納税します。
資産課税等とは土地や建物といった資産の取得や保有、移転等に対して課される税金です。
分類 | 概要 |
---|---|
所得課税 | 個人や会社の所得に対してかかる税金 |
消費課税 | 商品やサービスの提供に対してかかる税金 |
資産課税等 | 資産の取得や保有に対してかかる税金 |
直接税/間接税
直接税とは納税義務がある人と実際に納税する人が同じ税金のことです。
例えば所得税は自身で確定申告をして、自身で納税するため直接税にあたります。
一方、間接税とは納税義務がある人と、実際に納税する人が異なる税金のことです。
例えば消費税は商品を購入したりサービスを受けたりしたときに消費者が負担し、納税は事業者が行うため間接税にあたります。
分類 | 概要 |
---|---|
直接税 | 税金を負担する本人が納める税金 |
間接税 | 税金を負担する人と納税者が異なる税金 |
目的税/普通税
目的税とは、特定の目的のために課される税金で、用途があらかじめ決まっている税金です。
例えば都市環境の整備費用に充てられる事業所税や、都市計画事業などの費用に充てられる都市計画税などは目的税に該当します。
一方、普通税は税金の用途が特定されておらず、一般経費に充てるために課される税金のことです。
分類 | 概要 |
---|---|
目的税 | 用途があらかじめ決まっている税金 |
普通税 | 用途が特定されていない税金 |
個人が払う代表的な税金の種類
個人が支払う代表的な税金の概要や、課税の仕組みについて紹介します。
分類 | 種類 | 概要 | |
---|---|---|---|
国税 | 直接税 | 所得税 | 個人が得た所得に対して課される税金。 1年間のすべての所得(収入-経費)から所得控除を引いた金額に 所定の税率を適用して税額を計算する。 個人事業主は確定申告で、会社に勤めている人は年末調整で納税する。 |
相続税 | 亡くなった親などから、お金や土地といった財産を受け継いだとき、 受け継いだ財産に課される税金。相続財産を計算して、 相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に申告、納付をする。 | ||
贈与税 | 人から財産をもらったときにかかる税金で、贈与を受けた側が支払う。 その年の1年間に贈与を受けた財産を合計して、贈与税の税率を掛けて 計算する。 | ||
間接税 | 消費税 | 商品やサービスの提供を受けた消費者が負担し、 事業者が納税する税金。 商品の購入時やサービス利用時に取引代金の10%を負担する。 | |
印紙税 | 契約書や領収書など、経済取引に伴って作成した書類に課される税金。 書類に記載された取引金額によって税額が異なる。 収入印紙を課税書類に貼付し、消印を押すことで納税とみなされる。 | ||
酒税・ たばこ税 | アルコール類やたばこを購入したときに負担する税金。 商品代金のなかに含まれており、メーカーが納税する。 | ||
揮発油税 (ガソリン税) | ガソリンなどの揮発油を購入する際に負担する税金。 通称ガソリン税とも言われる。ガソリン価格などに含まれており、 ガソリンスタンドの経営者などが申告して納税する。 | ||
地方税 | 直接税 | 住民税 | 住んでいる都道府県や市区町村に納税する税金。 前年の確定申告や年末調整の内容に基づいて算出され、 通知された税額を支払う仕組み。 |
固定資産税 | 毎年1月1日時点で土地や家屋を所有している人に対して課される 税金。 所有している固定資産の価格をもとに税額を計算し、 通知された税額を支払う仕組み。 | ||
都市計画税 | 毎年1月1日時点で、市街化区域内に土地や家屋を所有している人に 対して、固定資産税に追加で課される税金。 固定資産税と併せて納税する。 | ||
不動産 取得税 | 土地や家屋の購入・贈与、家屋の建築などで不動産を取得したときに、 取得した人に一度だけ課される税金。 土地や家屋の評価額に税率を掛けて計算する。 | ||
間接税 | 地方 消費税 | 消費税と同様、商品やサービスの提供といった取引にかかる税金。 消費税は国の消費税と地方消費税に分類され、国の消費税の税率は 7.8%、地方消費税の税率は2.2%となっている。 | |
道府県 (市町村) たばこ税 | たばこを購入するときに課される税金の一種。 購入時の代金に含まれており、製造者や特定販売業者 (輸入業者)などが納税する。 |
法人が払う代表的な税金の種類
次に、法人が支払う代表的な税金の概要・課税の仕組みを紹介します。
分類 | 種類 | 概要 |
---|---|---|
国税 | 法人税 | 法人の企業活動により得られた所得に対して課される税金。 益金から損金を差し引いた金額に対して課税される。 |
消費税 | 商品の販売やサービス提供といった国内の消費行動全般に課される税金。 売上にかかる消費税額から、仕入れにかかる消費税を差し引いて計算し、 原則事業年度終日の翌日から2ヶ月以内に納める。 | |
地方税 | 法人住民税 | 法人が事業所を置く地方自治体に納める税金。 都道府県民税と市町村民税に分かれており、 納税する法人税額をもとに計算する 「法人税割」と、従業員数や資本金から計算する「均等割」で計算する。 |
法人事業税 | 法人が行う事業そのものに課される税金。 事業活動を行うにあたっては、地方の行政サービスの提供を受けているため、 必要な経費を分担するべきという考え方に基づき課税される。 | |
地方消費税 | 商品やサービスの提供といった取引に課される税金。 消費税と一緒に納税する。 地方消費税は消費税のうち2.2%を占める。 |
税金で作られているもの
税金は具体的にどのようなことに使われているのでしょうか?
税金で作られているもの、使われ方の事例を国税、地方税に分けて紹介します。
国税
- 年金や医療などの社会保障関係費
- 道路や住宅などを整備する公共事業関係費
- 教育や科学技術の研究などの文教及び科学振興費
- 国を防衛するための防衛関係費
- 海外援助などの経済協力費
国税は年金や医療といった社会保障や、水道・道路といった社会資本整備、教育、防衛などの公的サービスを運営するための費用を賄います。
地方税
- 高齢者や児童、障がい者などの社会福祉を充実させるための民生費
- 学校や文化振興のための教育費
- 道路や橋、住宅などを整備するための土木費
- ごみ処理や健康を守るための衛生費
- 戸籍など市役所運営にかかる総務費
地方税は、私たちにとってより身近な行政サービスの財源に使われるという特徴があります。
日本にない世界の税金の種類
これまで日本のさまざまな税金について紹介してきましたが、世界を見渡すと、各国固有の事情から生まれた個性的な税金があります。
ここでは日本にはないユニークな税金を紹介します。
渋滞税:イギリス
イギリス国内の慢性的な渋滞緩和のために導入された税金。あらかじめ有料エリアが定められており、該当エリアを通過する際にかかる税金。
ポテトチップス税:ハンガリー
正式名称は健康増進税。国民の肥満防止を目的として導入された税金。スナック菓子やケーキ、清涼飲料水など塩分や糖分が多い食品に課される。
犬税:ドイツ、オランダ、フィンランドなど
犬を飼うときにかかる税金。むやみに犬を飼うことを防いで犬の頭数を制限する他、買主の責任感を植え付けることを目的としている。
営業税:ドイツ
長時間労働や休日出勤などから労働者を守るために、日曜日に営業する際に課される税金。各州や特定の町で独自に決められる。
月餅税:中国
中国では旧暦の8月15日に中秋節に月餅というお菓子を食べる伝統があり、中国政府は財源確保を目的として、受け取った月餅を所得の一部として課税する月餅税を導入した。
各国の税金が誕生した社会的背景から、その国が何を重視しているのか、どのような問題を抱えているのかを垣間見ることができますね。
まとめ
税金にはさまざまな種類がありますが、いずれも公的サービスや私たちに身近な行政サービスなどの財源として有効活用されています。
各税金の役割や仕組を理解することで、より社会や経済の仕組みを理解するきっかけになるでしょう。