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寄附金控除を活用すれば、寄附を通じた節税が可能です。
寄附金控除は、個人もしくは法人が社会貢献活動として行う寄附を奨励する節税制度で、一定の要件を満たす場合に税額の一部が控除されます。
本記事では、寄附で節税ができる仕組みと、寄附金控除を行う際のポイントについて解説しています。
なぜ寄附が節税になるのかを知りたい方や、寄附をしようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
個人の寄附で節税できる寄附金控除の仕組みとは
寄附金控除とは、寄附を自主的に行うことによって所得税や住民税などの控除を受けられる節税制度です。
寄附の額に応じて、所得から課税所得を差し引けるため、必要な納税額を抑えられます。
また、寄附する団体は好きに選べるわけではなく、控除の適用範囲となる寄附先は限られているのが特徴です。
対象の寄附先に寄附をすることで、社会貢献をしながら、節税効果を享受できます。
寄附金控除の対象になる税金
寄附金控除は「所得税」「住民税」「相続税」「法人税」が控除の対象となる可能性があります。
これらの税金について詳しく見ていきましょう。
所得税
寄附金控除では「税額控除」と「所得控除」のいずれかを選択して、所得税の節税ができます。
税額控除は、所得に関係なく寄附額の一定割合が直接税額から差し引かれるため、寄附をした人すべてが減税効果を実感しやすいのが特徴です。
一方で、所得控除は寄附額を所得から差し引いた後に税率を掛ける仕組みのため、所得の高い人にとっては、とくに効果的な節税手段となります。
住民税
寄附金控除では、都道府県や市区町村などが指示した団体に寄附することで、課税所得から最大30%相当の住民税控除が適用されます。
しかし、都道府県や市区町村の両方が指示していない団体に寄附したケースでは、控除の割合が異なってくる点には注意が必要です。
相続税
相続した財産を寄附した場合、その相続税が非課税になります。
相続した財産の寄附は、相続税の申告期限内に行わなければならず、この期間を過ぎると寄附をしても相続税の非課税措置は受けられません。
相続税の申告期限は、相続人が亡くなった日の翌日から10ヶ月の間です。
また、相続財産はそのままの形で寄附する必要があり、例えば不動産を売却して得た現金を寄附したケースでは、控除の適用外となります。
法人税
企業が寄附を行なったケースでは、寄附金を損金算入できるため、法人税の節税対策につながります。
損金算入とは、会計上費用ではないものを税務計算上では損金扱いにできる費用のことです。
損金算入によって法人税の計算時に益金から差し引きができることで、結果として法人税の課税対象額が減り、支払う税金が少なくなります。
寄附金控除には2種類ある
寄附金控除には、所得控除と税額控除の2種類が用意されており、それぞれに異なるメリットがあります。
寄附を行った際、どちらの控除を利用するかによって、減税効果が異なるため、自分の所得状況に応じて選択することが大切です。
それぞれの違いについて見ていきましょう。
寄附金控除(所得控除)
寄附金控除(所得控除)は、寄附額に応じた控除額を所得金額から差し引き、その後に税率を掛けて税額を算出します。
この方式は、所得税の税率が高いケースで控除額が大きくなるのが特徴です。
そのため、所得税率が40%を超えるような高所得者の場合に高い節税効果を得られます。
寄附金特別控除(税額控除)
寄附金特別控除(税額控除)は、所得控除ではなく、直接税額から控除額を差し引く方法です。
そのため、所得が低くても、一定の減税効果を得られます。
高所得者以外の方にとっては、税額控除の方が有利になるケースが多く、少額の寄附であっても効果的な節税制度です。
寄附金控除とふるさと納税の違いは?
寄附金控除とふるさと納税は、どちらも寄附を通じて税金の控除を受けられる制度ですが、いくつかの点で違いがあります。
それぞれの違いについて見ていきましょう。
返礼品の有無
寄附金控除では、寄附者に対して金銭的な見返りや返礼品はありません。
一方で、ふるさと納税のケースでは、寄附をした自治体から特産品や工芸品といった返礼品が提供されるため、社会貢献だけでなく返礼品も楽しめるメリットがあります。
また、ふるさと納税は生まれ故郷だけでなく、これから応援したい地域にも寄附できるので、返礼品目当てで寄附先を決められるのも魅力です。
控除を受けられる税金の種類
寄附金控除では、所得税・住民税・相続税・法人税など幅広い税金の控除が可能です。
これにより、個人に限らず法人も節税効果を得られます。
ふるさと納税のケースでは、控除されるのは所得税および住民税です。
寄附額から2,000円を超える部分が、翌年の所得税や住民税から差し引かれます。
寄附金控除で節税するときの注意点
寄附金控除で節税対策をする際は、いくつかのポイントに注意する必要があります。
寄附を行ったのに控除を受けられなかったということにならないためにも、しっかりチェックしていきましょう。
寄附先の団体や種類によっては控除の対象にならない
確実に控除を受けるには、対象となる団体や寄附の種類を確認することが重要です。
控除の対象は、国や地方公共団体、認定NPO法人などが含まれます。
そのため、友人の支援や民間の企業への寄附は控除の対象外です。
寄附先が控除の対象になるかは、寄附先のホームページに記載されている場合があるため確認してみてください。
記載がないケースでは、寄附先に問い合わせて確認することが大切です。
確定申告が必要
寄附金控除を受けるには、確定申告を行わなければいけません。
確定申告は、年間所得に対する納税額を算出して申告する手続きです。
年末調整では寄附金控除の手続きは行えないため、とくに普段確定申告の必要のない給与所得者は注意してください。
確定申告の際には、寄附を行ったことを証明できる書類の提出が求められます。
証明書類は寄附先から受け取れるので、紛失しないように大切に保管しておきましょう。
寄附金控除の対象になるのは2,001円から
寄附金控除を受けるためには、1年間の合計寄附金額が2,001円を超える必要があります。
これは、寄附金の合計額から2,000円をマイナスした金額で控除額が計算されるためです。
そのため、2,001円を超えないような少額の寄附に対しては、控除が適用されないので注意しましょう。
寄附金控除には上限がある
寄附金控除の上限は、控除の種類によって異なります。
所得控除である寄附金控除の上限は、その年の総所得金額の40%です。
一方で、税額控除の場合、「政党等寄附金特別控除」はその年の所得額の25%が上限。
「認定NPO法人等特別控除」と「公益社団法人等寄附金特別控除」は、2つの合計で所得額の25%が上限です。
高額な寄附を計画している方や、複数の団体に寄附を行っているケースでは、事前にどれくらいの額が控除対象となるかをしっかりと把握し、無駄なく節税効果を得るために上限を考慮して寄附するようにしましょう。
法人も寄附によって節税できる
法人も寄附によって、寄附金控除の恩恵を享受できます。
法人の場合、寄附金を「損金算入」できるため、法人税の節税が可能です。
ただし、寄附先によっては全額を損金に算入できないケースもあります。
国や地方公共団体に寄附するケースでは、寄附金のトータル額を損金算入できるため、効率的に節税したいなら、寄附先はしっかりリサーチしてから選択することが大切です。
まとめ
今回は、寄附で節税対策をする方法と、その仕組みについて紹介しました。
控除を賢く活用することで、慈善活動をしながら節税対策ができます。
寄附金控除には「所得控除」と「税額控除」の2つの方式があり、所得状況に応じて最適な方法を選択することが大切です。
ふるさと納税との違いも理解し、どの寄附が控除の範囲に含まれるのかをチェックしながら、適切に制度を利用しましょう。