目次
健康によい効果があることで知られる黒酢ですが、具体的にどのような効能があるのでしょうか。
この記事では、黒酢に期待される効果や効能を詳しく解説します。
黒酢と米酢との違いや含まれる成分、効果的な取り入れ方も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
黒酢とは?
黒酢とは、米、小麦、大麦を原料とし、発酵と熟成によって褐色または黒褐色に着色された食酢です。
食酢のうち、原料を酢酸発酵させ、氷酢酸または酢酸を使用していないものを「醸造酢」といい、醸造酢のうち、穀類を原料とするものを「穀物酢」といいます。
穀物酢は、米酢、米黒酢、大麦黒酢に分類されます。
この記事では、黒酢のなかでも米を原料とする米黒酢について解説します。
また黒酢の定義は農林水産省「食酢品質表示基準(PDF)」より引用しています。
黒酢の特徴
黒酢は、その名のとおり黒っぽい色をしており、まろやかで深みのある味わいが特徴です。
主な産地は鹿児島県霧島市福山町で、約200年前から作られ始め、伝統的な壺づくり製法が今も引き継がれています。
黒酢の原料には、玄米または一部精白した玄米が用いられ、添加物の使用は禁止されています。
黒酢の色は、糖とアミノ酸の化学反応である「メイラード反応」によるものです。
長期間の熟成でメイラード反応が進み、まろやかな味わいとなります。
米黒酢と米酢の違い
米黒酢と米酢は、主に原料、熟成期間、含まれる栄養素、味わいに違いがあります。
原料の違いは以下のとおりです。
- 米酢:米の使用量が穀物酢1Lにつき40g以上。精白米を用いてもよい。
- 黒酢:米の使用量が穀物酢1Lにつき180g以上。精白米を用いてはならない。
熟成期間は製品によって違いますが、黒酢は発酵と熟成によって着色させるため、米酢よりも長期間のものが多いです。
また黒酢は、米酢の4倍以上の玄米を使用し、かつ長期熟成させるため、アミノ酸、ミネラル、ビタミンなどの栄養素をより多く含みます。とくにアミノ酸が豊富に含まれるのが特徴です。
味わいも、米酢より酸味が穏やかでうま味があります。
黒酢に含まれる成分
黒酢に含まれる主な成分は以下のとおりです。
- アミノ酸
アラニン、ロイシン、リジン、バリン、グリシンなど、多種類のアミノ酸が含まれる。
アミノ酸には、たんぱく質を構成するほか、免疫物質の成分になったり、脳の機能を活性化させたりする働きがある。 - 有機酸
酢酸、乳酸など。他に、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸などをわずかに含む。 - ミネラル
カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛など。 - ビタミン
ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、葉酸などのビタミンB群。
黒酢の効果・効能
黒酢にはアミノ酸などの成分が豊富に含まれ、健康によい効果が期待できます。
この章では、黒酢に期待される効果や効能を解説します。
ダイエット効果
黒酢には代謝を促進し、内臓脂肪の蓄積を防ぐ作用があり、ダイエットに効果的です。
黒酢には、バリン、ロイシン、イソロイシンという必須アミノ酸が含まれます。
この3つのアミノ酸はBCAAと呼ばれ、たんぱく質の合成促進・分解抑制といった働きをします。
BCAAは筋肉の発達を促すため、基礎代謝量が増加し、エネルギー消費量が増えます。
黒酢の摂取と適度な運動の組み合わせにより、軽肥満の人の体重、BMI、総脂肪面積、皮下脂肪面積の増加を抑制する効果が認められています。
また、黒酢に含まれる酢酸もダイエットに効果的です。
これは、酢酸が「AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)」という体内の酵素を活性化させるためです。
AMPKは、細胞内で糖や脂肪の燃焼を促進させます。
黒酢には、ダイエットに効果的な働きをするアミノ酸や酢酸が豊富に含まれています。
血液サラサラ効果
黒酢には、血液をサラサラにする効果が期待できます。
血液サラサラとは、血液の流動性がよく、血管内をスムーズに流れる状態のことです。
血流がよいと、体のすみずみまで血液が行き渡り、細胞にくまなく酸素が供給されます。
細胞に酸素を運ぶのは赤血球です。赤血球は毛細血管よりも大きいため、柔軟に変形して細い血管を通過します。
このような赤血球の柔軟性を「赤血球変形能」といい、この機能があるからこそ、体のすみずみまで酸素を運べるのです。
黒酢には、赤血球変形能を改善させる効果があります。
黒酢を飲むと、赤血球変形能が改善され、血液がサラサラになり、細胞の活性化につながります。
血圧を下げる効果
黒酢には、高血圧の人の血圧を下げる効果があります。
黒酢には、血圧上昇に関わる「アンジオテンシン変換酵素(ACE)」を阻害する物質が含まれます。
ACE阻害物質の作用により、血圧が高めの人が黒酢を継続的に摂取すると、収縮期血圧が低下したという研究報告もあります。
また黒酢は、料理に加えると他の調味料の味を際立たせるため、高血圧予防に必要な減塩対策にも効果的です。
血糖値を下げる効果
黒酢は、血糖値上昇の抑制にも効果的です。
黒酢に含まれる酢酸には、胃腸での消化吸収を遅らせる作用があるため、食後の血糖値の上昇が抑えられます。
この効果は酢酸によるものなので、黒酢に限らず酢を使った料理を食卓に加えると効果的です。
血糖値の高い人が食事と一緒に食酢を摂取すると、食後血糖値の上昇が抑えられたという報告があります。
黒酢などの食酢には、糖尿病予備軍など血糖値が高い人の食後血糖値を下げる効果が期待できます。
コレステロール値を正常に保つ
黒酢には、血中コレステロール値を正常に保つ効果が期待できます。
総コレステロール値の高い人が、毎日20mLの黒酢を摂取すると、数値が低下したという研究報告があります。
さらに、黒酢の継続的な摂取で、HDL(善玉)コレステロールが増えることもわかっています。
黒酢は、コレステロールが高めの人の血中コレステロール値を下げ、正常な値を保つために有用です。
疲労回復効果
黒酢に含まれる酢酸などの有機酸は、疲労回復を促進する効果があることが知られています。
また、黒酢にはBCAA(分岐鎖アミノ酸)とも呼ばれる、バリン・ロイシン・イソロイシンが含まれます。
BCAAには、筋肉の損傷を防ぎ、筋肉疲労を軽減する働きがあります。
黒酢に含まれる有機酸やアミノ酸が、毎日の疲労回復に役立つのです。
美肌効果
黒酢には美肌効果があります。
先述のとおり、黒酢には血液サラサラ効果があります。細胞に酸素や栄養素が十分に行き渡るため、新陳代謝が活性化し、肌の細胞の生まれ変わりが促されます。
黒酢に含まれるアミノ酸も、美肌に効果的です。
美肌に役立つアミノ酸の一例として、グリシンは、コラーゲンを構成する主要なアミノ酸で、抗酸化作用もあります。
また、セリンは、肌にうるおいを与える天然保湿因子の主成分です。
このように黒酢には、肌のハリを保ち、うるおいを与える成分が豊富に含まれるため、美肌づくりに効果的です。
黒酢を効果的に取り入れるには
黒酢を効果的に取り入れるためには、いくつかのポイントがあります。
この章では、黒酢の適量や具体的な取り入れ方について紹介します。
適量を継続して摂取する
黒酢は、適量を継続して摂取することが大切です。
黒酢の適量は1日あたり20〜30mLです。大さじ1杯が15mLなので、大さじ1〜2杯程度を毎日摂取するとよいでしょう。
黒酢は、たくさん摂取しても効果は変わりません。むしろ、多量に摂取すると胃酸の分泌が促進され、胃の粘膜を荒らすおそれがあります。
また、黒酢の健康効果を維持するには、継続的な摂取が必要です。
黒酢を毎日少しずつ取り入れると、長期間にわたり効果を得られます。
料理に使う
料理に黒酢を使えば、毎日の食事に無理なく取り入れられます。
黒酢の効果は、加熱しても損なわれません。
炒め物や煮物に黒酢を加えると、料理の味がさっぱりしつつ味に深みが出ます。
酢には他の調味料の味を際立たせる効果があるため、減塩にもつながります。
塩やしょうゆ、オリーブオイルやごま油など、さまざまな調味料を黒酢と合わせて、ドレッシングに利用するのもおすすめです。
ドリンクとして飲む
黒酢は、酸味が穏やかで甘みのあるものが多いため、ドリンクとして飲むこともできます。
大さじ1杯ほどの黒酢を、炭酸水、水、お湯などでお好みの濃さに割っていただきます。
はちみつやレモンなどを加えると飲みやすくなるほか、そのまま飲める市販の黒酢ドリンクも手軽で便利です。
甘酸っぱい黒酢ドリンクは、飲みやすく続けやすいですが、糖分が入っているため飲みすぎには注意が必要です。
また黒酢ドリンクは、空腹時に飲むと胃に負担がかかります。空腹時は避けるようにしましょう。
まとめ
黒酢には、ダイエット効果や血液サラサラ効果、血圧や血糖値を下げる効果などが期待されます。
アミノ酸や酢酸をはじめとした有機酸が豊富な黒酢は、疲労回復や美肌づくりにも役立ちます。
黒酢を効果的に取り入れるには、1日あたり20〜30mLの摂取を毎日続けることが大切です。
適量を継続的に摂取すると、黒酢の効果を長期間にわたり維持できます。
料理に加えたり、ドリンクとして飲んだりと、お好みの方法で取り入れてみてください。