目次
エリンギは、コリコリとした食感と歯ごたえが特徴のキノコです。
クセのない味わいで、和洋中問わずに幅広い料理で活躍します。
そんなエリンギですが、栄養価の素晴らしさは意外に知られていません。
この記事では、エリンギにどのような栄養成分が含まれており、栄養を効果的に摂るにはどのような食べ方が良いか解説します。
エリンギに含まれる栄養成分と効果
エリンギには、さまざまな栄養素が含まれています。
そのなかでも、とくに注目したい成分と効果について紹介します。
食物繊維
エリンギには、整腸作用のある食物繊維が豊富に含まれています。
とくに、エリンギに含まれる不溶性食物繊維は、水分を吸収して便を柔らかくしたり、便のかさを増やすことで排便をスムーズにしたりします。
また、有害物質を吸着して排出する役割もある栄養素です。
ほかにも、心臓疾患や動脈硬化などの予防に役立つことがわかっており、健康的な体作りには欠かせません。
β-グルカン
食物繊維の一種であるβ-グルカンは、キノコ類に含まれている成分です。
β-グルカンは、免疫力を高め、コレステロールを低下させる作用があるといわれています。
また、病気の予防や治療のため、医薬品やサプリメントとして研究されており、抗がん作用も期待される成分です。
カリウム
エリンギには、生命維持に欠かせない必須ミネラルの一種、カリウムが含まれています。
カリウムには摂りすぎた塩分(ナトリウム)の排出を促進する働きがあるので、高血圧の予防に効果があるとされています。
また、心臓や筋肉の機能を正常に保つ働きもあります。
塩分の多い食生活をしている人にはぜひ摂ってほしい栄養素です。
ビタミンD
紫外線を浴びることで生成されるビタミンDは、エリンギを食べることで摂取することができます。
脂溶性のビタミンDは、カルシウムの吸収を促進したり、カルシウムが骨に沈着するのを助けたりし、骨や歯の形成、成長促進に欠かせない栄養素です。
現代では、紫外線を避ける生活スタイルが多くなり、太陽光から十分なビタミンDが生成されにくいことが考えられます。
そのため、エリンギのような食品から積極的に摂取するといいでしょう。
ビタミンB1
エリンギに含まれている水溶性のビタミンB1は、糖質をエネルギーに変える際に必要な栄養素です。
米を主食とする日本人には重要なビタミンといえます。
また、脳の神経機能を正常に保つためにも必要な栄養素です。
不足すると糖質の代謝が悪くなり、エネルギー不足から疲労感やいらいらなどの症状が起こる可能性があります。
ビタミンB2
エリンギには、水溶性のビタミンB2が含まれています。
糖質・脂質・たんぱく質の代謝に必要な栄養素で、なかでも脂質の代謝にたくさん使われるのがビタミンB2です。
ビタミンB2は、皮膚や髪、爪などの細胞の再生を助ける働きをするため「発育ビタミン」とも呼ばれます。
不足すると肌荒れや口内トラブルを引き起こすほか、成長期の子どもは成長障害を起こす危険性があるため注意してください。
ナイアシン
エリンギにはナイアシンが多く含まれています。
ビタミンB群の一種であるナイアシンは、糖質や脂質の代謝を助ける栄養素です。
それ以外にも、摂取したアルコールの分解を助け、二日酔いに見られる諸症状の予防や緩和に効果が期待できます。
お酒が好きな人は積極的に摂るといいでしょう。
葉酸
エリンギに含まれている葉酸は、妊娠を希望している女性や妊娠中の女性に、とくに重要なビタミンです。
新しく細胞が生成されるのをサポートするので、胎児の正常な発育には欠かせません。
また、葉酸は赤血球の生成をサポートするため「造血のビタミン」とも呼ばれています。
さらに最近の研究では、動脈硬化の予防に期待できることが報告されているので、生活習慣病が気になる方にもおすすめです。
パントテン酸
エリンギには、以前はビタミンB5と呼ばれていた、水溶性ビタミンのパントテン酸が含まれています。
「あらゆるところにある酸」という意味を持つパントテン酸は、体の機能維持に広く関わっている栄養素です。
エネルギー生産や善玉コレステロールの合成にも欠かせません。
また、副腎皮質ホルモンの合成にも関わっている栄養素でもあるので、ストレス緩和の効果も期待できます。
ビオチン
エリンギに含まれるビオチンはビタミンB群の一種で、糖質・脂質・たんぱく質の代謝に関わっています。
また、ビオチンは皮膚や髪、爪の健康を保つために必要な栄養素です。
ヒスタミンの増加を抑え、皮膚の炎症を防いでくれます。
おいしいエリンギの見分け方
新鮮でおいしいエリンギを見分けるために、以下のポイントをチェックしてみてください。
- 軸が太くて白い
- かさの色は薄茶色
- 軸に弾力がある
- 包装の内側に水滴がついていない
エリンギは、鮮度が落ちてくると軸が白から茶色に変わり、かさの色は濃くなってきます。
また、軸にハリがなく柔らかくなっているエリンギも鮮度が落ちています。
包装袋やパックの内側に水滴がついていることがありますが、これは包装されてから日が経ちすぎている証拠です。
エリンギを長持ちさせる保存方法
エリンギは、常温保存では傷みやすいので、冷凍庫や冷蔵庫で保存するのが長持ちさせるポイントです。
エリンギを長持ちさせるための保存方法について、冷蔵と冷凍にわけて紹介します。
冷蔵保存
エリンギは水分により傷みやすくなります。
冷蔵庫で保存する場合は、パックから取り出し、水で洗わずにキッチンペーパーで包んでからポリ袋等に入れてください。
キッチンペーパーがエリンギから出る水分を吸い取ってくれます。
冷蔵保存したエリンギは、1週間を目安に使い切りましょう。
冷凍保存
1週間で使い切れない場合は冷凍保存がおすすめで、1カ月は保存可能です。
冷凍保存の場合は、エリンギ表面の水分をキッチンペーパー等で軽くふき取った後、使いやすい大きさにカットしたら、冷凍保存用袋に入れて冷凍庫に保存します。
そのまま加熱料理に使えるので便利な上、エリンギなどのキノコ類は冷凍することにより、うまみがアップするというメリットもあります。
エリンギのレシピ|栄養を効果的に摂る食べ方
エリンギはクセがないため、さまざまな料理に合う食材です。
ここでは、エリンギに含まれる栄養を効果的に摂取するためのレシピを2つ紹介します。
エリンギとわかめのスープ
エリンギに含まれる栄養成分・カリウムは、水溶性のため煮たり焼いたりすると水に溶けだしてしまいます。
エリンギとわかめのスープは、溶けだしたカリウムを丸ごと摂ることができる上、エリンギに不足しているビタミンAやビタミンKの摂取にも効果的です。
作り方
- エリンギを縦に薄くカットする
- 鍋に水と鶏ガラスープの素を適量入れて煮立たせる
- エリンギとわかめを鍋に入れてさっと煮る
- しょうゆ、塩、こしょうで味を調える
- 白ごまを適量振ったら完成
時間もかからず手軽に作れるスープレシピです。
ほうれん草とエリンギのバター醤油炒め
エリンギに含まれる栄養成分・ビタミンDは、脂溶性ビタミンなので油と一緒に摂取することで吸収率が高まります。
ほうれん草とエリンギのバター醤油炒めは、ビタミンDを効果的に摂取できることに加え、エリンギに不足しているビタミンAやビタミンCの摂取にも役立つレシピです。
作り方
- エリンギを5mm幅で縦にカットする
- 軽くゆでたほうれん草を3cm幅にカットする
- フライパンに油を熱し、エリンギを炒める
- エリンギに火が通ったらほうれん草を炒める
- 有塩バター、塩こしょうを入れて炒める
- 全体に味がなじんだら完成
肉厚なエリンギの歯ごたえに、ほうれん草の甘みとバターのコクが絶妙にマッチした、満足感のあるレシピです。
エリンギに関するよくある疑問
エリンギに関するよくある疑問について解説します。
エリンギはダイエットに効果的?
エリンギは、ダイエットに効果的な食材と考えていいでしょう。
理由として、カロリーが低いことに加え、豊富な食物繊維のおかげで満腹感を得ることができるからです。
また、歯ごたえがあるので咀嚼に時間がかかり、過食予防になるでしょう。
さらに、エリンギを食べることで中性脂肪の吸収が抑えられるということがわかっており、体脂肪率を下げる効果が期待されています。
これらの理由から、エリンギはダイエット中の人に向いている食材といえます。
エリンギは体に悪い?栄養ないの?
エリンギは正しく調理すれば体に害はなく、栄養も豊富です。
しかし、以下の点に注意してください。
- 必ず加熱して食べる
- 他の食材とバランスよく食べる
- 食べ過ぎない
エリンギが体に悪いといわれる理由の1つに、中毒症状を引き起こすシアン(青酸)化合物が含まれている、ということが挙げられます。
エリンギを生で食べると、シアン化合物の影響により中毒症状を引き起こす可能性があるため、必ず加熱して食べてください。
また、エリンギにはさまざまな栄養素が含まれていますが、不足している栄養素もあるので他の食品で補う必要があります。
エリンギに含まれる不溶性食物繊維を摂りすぎると、便秘の種類や体質によっては便秘を悪化させる恐れがありますので、食べすぎないようにしましょう。
まとめ
エリンギは、食物繊維やカリウム、ビタミンDやビタミンB群などを含む栄養豊富なキノコです。
低カロリーなためダイエットにもおすすめの食材で、冷凍保存をしておけば手軽にスープや炒め物料理に使うことができます。
便通を整えたり高血圧を予防したりと健康維持に役立つ効果が期待できるエリンギ、ぜひ日々のレシピに加えてみてください。