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ビール・発泡酒・第3のビールなど、店頭には多くの種類の商品が並んでいますが、違いがわからず悩んでしまう方もいるでしょう。
当記事では、ビールと発泡酒の違いや、第3のビールの特徴について紹介します。
知識を付けたうえでさまざまな商品に挑戦し、好みの味わいを見つけてください。
ビールと発泡酒の違いは?
ビールと発泡酒の違いは、以下のとおりです。
ビール | 発泡酒 | |
---|---|---|
味 | 苦味やコクがある | すっきりとした味わい |
見た目 | 麦芽の種類によって異なる | 麦芽の種類(や使用量)によって異なる |
麦芽の比率 | 50%以上 | 50%未満 |
副原料の違い | 種類・量は規定されている | 自由 |
アルコール度数 | 20度未満 (5度前後が多い) | 20度未満 (低いアルコール度数の商品あり) |
値段(税率) | 63.35円 (350ml換算) | 37.80円 (350ml換算) |
酒税法上の定義 | 使用原料・麦芽の使用割合によって区分される |
発泡酒は、ビールと異なる種類・量の原料を使いながら、ビールに似せた味わいを作り出しています。ビールと発泡酒の違いを詳しく確認しましょう。
味
ビールには、苦味・コク・濃厚さを感じる一方、発泡酒はすっきりとした軽い口当たりになる傾向があります。
その理由は、ビールのほうが麦芽やホップの含有比率が高いためです。麦芽やホップは、ビールに特有の苦味や香りを与えます。
また、麦芽やホップは、量だけでなく種類によっても味が異なります。そのほか、発酵の方法や熟成期間、副原料も味を変化させる要因です。
ラベルに記載されている特徴などを見ながら、ビールと発泡酒の区分に関係なくの商品による味の違いを楽しむと良いでしょう。
見た目
ビールと発泡酒の見た目では、色に違いが出る場合があります。
ビールや発泡酒の色は、使用する麦芽の量や種類で変化するため、麦芽の含有量が少ない発泡酒はビールより淡い色合いになる可能性があります。
また、ビールの見た目においては、泡立ちや泡の持続時間も注目される要素です。
泡の持ちに影響を与えるのは麦芽やホップの量で、原料がビールと異なる発泡酒では泡に違いが出てきます。
発泡酒でも淡色麦芽を多く使用していれば、一般的なビールと変わらない見た目になるため、商品を選ぶ際は原料を確認するのがおすすめです。
麦芽の比率
ビールと発泡酒の違いの一つは、麦芽比率です。
ビールは麦芽比率が50%以上のもの、発泡酒は50%未満のものと定義されています。
さらに発泡酒は、麦芽比率が25%以上50%未満のものと、25%未満のものに分類されます。
以前は、ビールと定義できるお酒は麦芽比率が67%以上でしたが、2018年の税制改正で50%以上に引き下げられました。
そのため、以前は発泡酒の区分であった商品がビールに分類されるようになりました。
発泡酒のなかには、麦芽やホップをまったく使用していない商品もあり、ビールに似せたアルコール飲料はますます多様化しています。
副原料の違い
ビールと発泡酒では、使用できる副原料の量・種類に違いがあります。
ビールでは本来の味が損なわれてしまわないように、副原料の使用に細かな規定がなされています。
酒税法によると、ビールに使用できる副原料は麦芽重量の5%以内です。また、使用できる副原料については次のように示されています。
「麦、米、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょ、でん粉、糖類又は財務省令で定める苦味料若しくは着色料、②果実又はコリアンダーその他の財務省令で定める香味料をいいいます。」
引用:国税庁「ビール・発泡酒に関するもの」
発泡酒のほうは副原料に特別な規定がないため、味や香りにオリジナル性のある商品が製造されています。
アルコール度数
発泡酒は、ビールよりもアルコール度数が低い場合があります。
ビールのアルコール度数は、麦汁に含まれる糖の濃度に影響するため、麦芽比率が低い発泡酒では低アルコールの商品も販売されています。
ビールと発泡酒のアルコール度数は、定義上はどちらも20度未満とされていて、一般的なビールのアルコール度数は5度前後のものが多い傾向です。
発泡酒もアルコール度数は5度前後が多いですが、なかにはあえて低アルコールを打ち出し、ほかとの差別化を図っている商品もあります。
値段(酒税)
現在では、ビールのほうが発泡酒よりも価格が高いケースが多い傾向です。
ビールには発泡酒よりも高い税率がかけられていることが、値段の違いに大きな影響を与えています。
令和6年12月現在では、ビールの税率は350mlあたり63.35円で、発泡酒の税率は37.80円です。
よって、値段を重視して商品を選ぶ消費者は、ビールよりも発泡酒を選ぶケースが増えています。
しかし、令和8年10月の酒税法改定でビールと発泡酒の税率が、350ml換算で54.25円に統一されるためビールが再び人気を取り戻すことが予想されます。
酒税法上の定義
酒税法上では、ビールと発泡酒は使用原料・麦芽の使用割合によって区分されています。
それぞれの定義は、以下のとおりです。
ビール
ビールとは、次に掲げるもので、アルコール分が20度未満のものをいいます。
イ 麦芽、ホップ、水を原料として発酵させたもの
ロ 麦芽、ホップ、水及び麦その他の政令で定める物品①及び②を原料として発酵させたもの
ハ イ又はロの酒類にホップ又は政令で定める物品②を加えて発酵させたもの
なお、政令で定める物品とは、①麦、米、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょ、でん粉、糖類又は財務省令で定める苦味料若しくは着色料、②果実又はコリアンダーその他の財務省令で定める香味料をいいいます。
ただし、その原料中麦芽の重量がホップ及び水以外の原料の総重量の100分の50以上のものであり、かつ、政令で定める物品②の総重量が麦芽の重量の100分の5を超えないものに限られます。
発泡酒
発泡酒とは、次に掲げるもので、発泡性を有するアルコール分20度未満のものをいいます。
イ 麦芽又は麦を原料の一部としたもの
ロ イ以外の酒類で、ホップを原料の一部としたもの
ハ イ又はロ以外の酒類で、香味、色沢その他の性状がビールに類似するものとして政令で定める一定のもの」
引用:国税庁「ビール・発泡酒に関するもの」
ビールが酒税法で細かく規定されている一方、発泡酒は自由度が高いことがわかります。
ビールと発泡酒の見分け方は?
ビールと発泡酒の簡単な見分け方は、ラベル表示の確認です。
法律上「ビール」と表示できるのは、ビールの基準を満たした商品のみとなっています。
また、原材料名をチェックする方法もおすすめです。
ビールであれば、原材料の欄の先頭に「麦芽」が記載されています。
発泡酒の場合は、麦芽より先にほかの穀物が記されているケースがあるため注目してみてください。
また、基本的に発泡酒よりビールの方が高額で販売されているため、店頭に並んでいる値段でも見分けられるでしょう。
ビールと発泡酒、体に悪いのはどっち?
ビールと発泡酒は、同じアルコール度数であれば体への影響に違いはないと考えられています。
健康に悪影響を及ぼすのは過度の飲酒であり、どちらを飲むにしても適量に留めておくことが大切です。
過度の飲酒は、急性膵炎などの発症リスクを高める可能性があります。
一方で、飲酒は適量で、脳血管障害や冠動脈疾患の発生リスクを減らすといわれています。
また、アルコールに対する耐性は人によって異なるため、自身の体調や体質に合った適量を守ることが重要です。
第3のビールとの違いは?
第3のビールは、発泡酒の一種で麦芽を使用していない商品を指します。
令和5年10月の酒税法改定以前は麦芽比率によって税率に違いがあり、麦芽を使用している発泡酒と区別するために第3のビールという呼び名が付けられました。
2024年12月現在の酒税法では、麦芽比率が50%未満の発泡酒にはすべて同じ税率がかかっています。
第3のビールでは、麦芽や麦の代わりにエンドウ豆や大豆、とうもろこしなどを使用してビール風味を演出しています。
生ビールやクラフトビールとの違いは?
ビールには、生ビールやクラフトビールと呼ばれる種類があります。
一般的なビール・発泡酒との違いはどこにあるのでしょうか。
生ビール・クラフトビールの特徴を確認しましょう。
生ビールは熱処理されていないビール
生ビールは、加熱殺菌処理を行っていないビールを指し、フレッシュな味わいが特徴です。
現在日本で販売されているビールは、ほとんどが生ビールです。
樽・瓶・缶などは入れ物が違うだけで、中には同じ生ビールが入っています。
従来は、酵母や微生物の殺菌のために熱処理をしてから出荷されていましたが、現在では醸造技術が発達して熱処理しなくても安全なビールを作れるようになりました。
生ビールは、熱処理の代わりにフィルターで酵母をろ過します。
熱処理していない分劣化しやすいため、適切な場所・温度で保存しましょう。
クラフトビールは小規模鋳造所で造られるビール
クラフトビールは、小規模鋳造所が造るビールで、地ビールとも呼ばれます。
鋳造所によって原材料や製造方法が異なり、それぞれのこだわりの味が楽しめる点が特徴です。
クラフトビールの主な種類には、ペールエールやIPA、ヴァイツェンスタウトなどがあります。
また、地元の原料を使用したりお土産用に商品化されたりして、クラフトビールは地域の活性化にも貢献しています。
まとめ
ビールと発泡酒では、味・見た目・原料・値段・定義などに違いがあります。
2024年12月現在の酒税法では、麦芽比率が50%以上かつ指定された種類・量の副原料のみを使用していることがビールの条件です。
発泡酒のなかには、麦芽をまったく使っていない商品もありビールの選択肢はかなり広がっています。
ビールと発泡酒の違いを知ったうえでさまざまな商品にチャレンジし、好みの味わいを見つけましょう。