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「烏龍茶」は、脂肪の吸収を抑える、高血圧を予防するなど、多くの効果が期待されているお茶です。
この記事では、日常的に飲んでいる方も多い、烏龍茶に期待される主な効果を解説します。
飲むと効果的なタイミングや、飲みすぎによるデメリットなども紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
烏龍茶とは

烏龍茶は「中国茶」と混同されがちですが、中国茶は六大茶(緑茶・白茶・黄茶・青茶・紅茶・黒茶)のことを指し、烏龍茶はその中の「青茶」に属します。
茶葉が鳥のように黒褐色で、龍のように曲がりくねった形をしているため、「烏龍茶」と名付けられたというのが定説です。
緑茶と紅茶の中間にあたる半発酵茶
私たちの生活になじみ深い緑茶・紅茶・烏龍茶などのお茶はいずれも、同じチャノキ(学名:カメリア・シネンシス)の葉から作られています。
これらのお茶の大きな違いは、茶葉に含まれる酸化酵素による発酵の有無とその度合いです。
- 緑茶:発酵させずに作る「不発酵茶」
- 紅茶:十分に発酵させて作る「完全発酵茶」
- 烏龍茶:途中で発酵を止めて作る「半発酵茶」
烏龍茶などの半発酵茶は、香ばしい香りに、コクと深みのある味わいが特徴です。
中国産と台湾産の違い
烏龍茶は、中国産と台湾産に大別できます。
中国産は成熟した茶葉をしっかり発酵させるのに対し、台湾産はやや若い茶葉を軽めに発酵させるのが特徴です。
中国の烏龍茶は発酵度が高めなので、濃いめに淹れて少量ずつ楽しむスタイルが好まれます。
フルーツのような香りが感じられ、どんな料理にも合うでしょう。
台湾の烏龍茶は、一般的に思い浮かべるような茶色ではなく、黄金色が特徴です。
緑茶を飲む感覚に近く、花のような香りが感じられます。
烏龍茶に期待される効果

烏龍茶に含まれる成分には、さまざまな健康効果が期待されています。
この章では、烏龍茶に期待できる5つの効果を紹介します。
ダイエットに役立つ
烏龍茶は半発酵の過程で、複数のカテキン類が互いに結合した「重合ポリフェノール」が生成されます。
この重合ポリフェノールには、脂肪の分解を担う消化酵素「リパーゼ」の働きを阻害する作用があるとわかっています。
食事からの脂肪の吸収を抑えるので、ダイエット中の強い味方です。
さらに、烏龍茶には脂肪の燃焼を助ける働きもあります。
筑波大学の研究では、350mLの烏龍茶あるいはカフェイン飲料を朝昼2回飲んで、脂肪燃焼効果の比較が行われました。
すると、烏龍茶では睡眠を妨げずに1日の脂肪燃焼が促進され、とくに睡眠時に大きな効果があることが確認されました。
ニキビなどの肌荒れ予防
ニキビの原因のひとつは、油脂(脂肪)が多い食事による皮脂の分泌増加です。
そのため、烏龍茶の「脂肪の吸収を抑える」働きは、ニキビ対策にも役立ちます。
また、烏龍茶特有のポリフェノールには、抗酸化作用を持つSOD酵素を活性化させる効果が期待できます。
これにより、肌荒れや老化の予防になると考えられています。
高血圧の発症リスク軽減
台湾・国立成功大学の疫学調査結果によれば、毎日120mL以上の緑茶か烏龍茶を1年以上飲み続けている人は、高血圧の発症リスクが低下することが報告されています。
飲む習慣がない人に比べて、高血圧の発症リスクは、1日に120~599mL飲む人では46%、1日に600mL以上飲む人では65%低下していました。
さらに烏龍茶は、動脈硬化を予防する効果があるカテキン類を多く含むため、血管の健康維持もサポートします。
健康的な食事で生活習慣病の予防を心がけている方にも、烏龍茶はぴったりです。
むくみ改善
塩分の摂りすぎは、むくみの一因です。
体内のナトリウム(塩分)が過剰になると、濃度を下げるために水分をため込みやすくなり、むくみが生じるのです。
烏龍茶に含まれるカフェインは、利尿作用によって体内の余分な水分やナトリウムを排出し、むくみを改善する効果が期待できます。
ただし、飲みすぎてしまうと体内の水分量が減少し、逆にむくみが発生してしまうこともあるので、飲む量には注意が必要です。
リラックス効果
烏龍茶は、半発酵茶であるため、フルーツのような甘い香りや、花のような優しい香りがすることが特徴です。
心地よい香りで日々の疲れを癒しながら、リラックスしたひとときを過ごせます。
産地が違うと味わいも香りも異なり、以下に示す台湾の「三大烏龍茶」は、とくに華やかな香りが楽しめます。
- 凍頂烏龍茶:白桃や黄桃のような甘いフルーティーな香り
- 文山包種茶:ジャスミンや蘭のようなフローラルな香り
- 東方美人茶:蜜のような甘い香り
また、烏龍茶に含まれるカフェインには、脳の活性を高め、ストレスを軽減させる効果が期待できます。
烏龍茶の効果的な飲み方と注意点

烏龍茶を飲むタイミングや美味しい淹れ方、毎日飲み続けるうえで注意すべき点を紹介します。
食事中に飲む
烏龍茶は、脂肪の吸収を抑える効果が期待されるため、食事中に飲むのがおすすめです。
とくに、揚げ物や肉類の多いメニュー、中華料理など、脂質が多い食事に適しています。
味わいも「脂っこい食事に合う」といわれているように、烏龍茶の渋みが口の中の脂っこさを軽減してくれます。
カフェインの量に気を付ける
湯のみ1杯(約150mL)の烏龍茶には、約30mgのカフェインが含まれています。
コーヒーなどと比べると少なめの含有量ですが、飲み過ぎるとカフェインの過剰摂取になりうるので気を付けましょう。
米国食品医薬品局(FDA)は、健康な成人では、1日400mgまでのカフェイン摂取量なら危険がないとしています。
この基準に照らし合わせると、烏龍茶の場合は1日に2Lまでが適量です。
コーヒーや紅茶など、ほかの飲み物からもカフェインを摂る場合は、烏龍茶の量を減らすようにしましょう。
美味しく淹れるコツ
烏龍茶の香り成分は温度が高いほど抽出されやすいので、熱湯で淹れるのがおすすめです。
あらかじめ急須や湯のみに熱湯を注ぎ入れ、よく温めておくとよいでしょう。
茶葉の量は、お湯150mLに対して5〜6gが目安です。
- 急須に茶葉を入れ、沸かしたての熱湯を注ぐ。
- 45秒〜1分間浸した後、最後の一滴まで注ぎ切る。
- お茶を注いだあとは、蓋を外し、急須内の茶葉の温度を下げる。
(茶葉の劣化を抑え、香りの鮮度が持続する。)
2煎目以降は、数秒程度で十分に味や香りを引き出すことができます。
急須の中にお湯が残っていると、茶葉が開き切って旨みが損なわれてしまうので、必ず最後の一滴まで注ぎ切るようにしましょう。
飲みすぎによるデメリット
烏龍茶にはさまざまな健康効果が期待できますが、たくさん飲めばよいということはありません。
カフェインが含まれるため、過剰に摂取すると胸焼けや不眠、不安などの症状を引き起こす恐れがあります。
また、烏龍茶には、お茶の渋み成分として知られている「タンニン」も含まれています。
タンニンは鉄分の吸収を妨げる作用があるため、貧血気味や妊娠中の場合には注意が必要です。
ほかの飲み物や食事とのバランスを考えながら、適量の摂取を心がけてください。
まとめ
日本人にも馴染みの深い烏龍茶には、重合ポリフェノールやカテキンなど、健康維持に効果のある成分が含まれています。
ダイエットに嬉しい脂肪吸収を抑える作用から、リラックス効果などの精神的な作用まで、さまざまな効果が期待できます。
さらに、高血圧の発症予防など、生活習慣病の予防にも有用です。
たくさんの種類があるので、好みの味や香りのものを探してみてはいかがでしょうか。
脂っこい食事が多い方や健康志向の方は、適量の烏龍茶をぜひ食事に取り入れてみてください。