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ザクロは、豊富な栄養を含み、健康や美容に役立つ果物です。
エラグ酸などのポリフェノールも多く、抗酸化作用により、生活習慣病の予防や美肌づくりにも効果が期待されています。
ただし、食べる際は注意が必要な点もあります。
この記事では、ザクロに含まれる栄養素や機能性成分とその効能、適切な食べ方について詳しく解説します。
ザクロとは?

ザクロとは、赤く鮮やかな果皮と、粒状の果肉が特徴の果物です。
プチプチした果肉はみずみずしく、さわやかで甘酸っぱい味わいです。
原産地はイランやトルコなどの中東地域で、シルクロードを通じてインドや中国にも広まりました。
日本には平安時代に渡来しましたが、当初は観賞用として親しまれていました。
現在は、アメリカのカリフォルニア州や、イラン、中国などで食用として広く栽培されており、ジュースやスイーツなどにも利用されています。
ザクロの効能

ザクロにはカリウム、ビタミンB群、ビタミンCなどの栄養素が豊富です。
さらに、エラグ酸をはじめ、タンニンやアントシアニンなどのポリフェノールも多く含まれています。
こうした栄養素や成分により、ザクロにはさまざまな効能があると考えられています。
以下に、ザクロに含まれる主な栄養素などの含有量を示します。
栄養素など | 可食部100gあたりの含有量 |
---|---|
エネルギー | 63kcal |
カリウム | 250mg |
ビタミンC | 10mg |
ビタミンB2 | 0.01mg |
ナイアシン | 0.2mg |
続いて、ザクロに含まれる成分と効能を詳しく解説します。
むくみ・高血圧の予防
カリウムが豊富なザクロは、むくみの解消や高血圧の予防に役立ちます。
カリウムは、体内の過剰なナトリウムの排出を促します。
その際に、体内の余分な水分も一緒に排出され、むくみが解消されるのです。
また、血管内のナトリウムや水分の量も適正に保たれるため、高血圧の予防につながり、心臓病や脳卒中などのリスクも減らせます。
動脈硬化の予防・改善
ザクロには、動脈硬化の予防・改善の効能があります。
ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンCが多く含まれ、これらの栄養素にLDL(悪玉)コレステロールを減らす効果があるためです。
また、ザクロに含まれるポリフェノールは、血管内皮細胞の機能を改善し、血管の健康を保つ効果があります。
LDLコレステロールの酸化の抑制や、血管の弾力維持により、動脈硬化の予防につながります。
ダイエット効果
ザクロは低カロリーなことから、ダイエットにも向く食品です。
さらに、ダイエットに役立つビタミンB2やエラグ酸も豊富に含まれています。
ビタミンB2は、脂質や糖質をエネルギーに変える手助けをする栄養素です。
エラグ酸は、ポリフェノールの一種です。
エラグ酸が体内で変換されて生じる「ウロリチンA」に、脂質の代謝を促進する効果があるとされています。
ただし、この変換作用を持つ日本人は全体の半数程度です。
エラグ酸のダイエット効果を過度に期待しないようにしましょう。
腸内環境の改善
ザクロに含まれるポリフェノールは、腸内細菌によって代謝されることで短鎖脂肪酸が生成され、腸内環境の改善に役立つと考えられています。
ただし、腸内環境のバランスが崩れていると、ザクロのポリフェノールを摂取しても効果が十分に発揮されないこともあります。
バランスのよい食生活や腸活も意識して、長期的に取り組みましょう。
若々しさを維持できる
ザクロは、若々しさを維持する効能が期待できる食品です。
体内で活性酸素を中和する働きがある、ポリフェノールやビタミンCが豊富に含まれているためです。
エラグ酸は、消化器管内でウロリチン類に変換されて、長寿遺伝子を活性化し、活性酸素の影響や免疫の異常を軽減してくれます。
また、エラグ酸自体にも、老化の進行の抑制や、アンチエイジング効果が期待されています。
エラグ酸のほかに、タンニンやアントシアニンも強い抗酸化作用を持つポリフェノールです。
これらのポリフェノールは多くの果物に含まれますが、ザクロにはとくに豊富です。
美肌・美白効果
ザクロのポリフェノールやビタミンCには、美肌・美白効果があります。
- ポリフェノールは、細胞に損傷を与える活性酸素を無毒化する。
- ビタミンCは、細胞膜を守り、コラーゲンの生成を促して肌の弾力を維持する。
シミやそばかすの主な原因は、チロシンというアミノ酸をもとに生成される、黒色のメラニン色素です。
ビタミンCやエラグ酸は、チロシンを生成する酵素「チロシナーゼ」の活性を抑制する作用があり、メラニン色素の肌への沈着を防ぐ効果が期待できます。
ザクロを摂取することで、美肌・美白効果が期待でき、若々しさにもつながるでしょう。
ザクロの食べ方と注意点

加工されていない生のザクロを食べる時には、いくつかの注意点があります。
摂取量の目安や、効能を生かせる食べ方などと併せて紹介します。
果皮の毒性に注意
ザクロの可食部は、実を割ると出てくる、赤い粒状の部分です。
果皮は食べてはいけないので注意しましょう。
ザクロは、根や幹のほか、果皮にも「ペレチエリン」などの毒性のあるアルカロイドを含んでいます。
これらのアルカロイドは、薬として利用された歴史もありますが、多量に摂取してしまうと、下痢や吐き気などの中毒症状が現れることもあります。
過剰に心配する必要はありませんが、一般的に知られている食べ方を守り、丸かじりなどをしないように気を付けましょう。
ザクロの詳しい食べ方は、以下の記事で紹介しています。
ザクロの簡単&美味しい食べ方!ジュースやザクロ酢など硬い種の攻略レシピも紹介
ザクロの摂取量の目安
健康維持や美容に効果が期待できるザクロですが、食べ過ぎには気を付けましょう。
日本人の果物の摂取量は、1日200~300gが目安とされています。
ザクロであれば、1日2~3個程度が適量です。ザクロ以外の果物も食べる場合は、全体の量を調整しましょう。
健康によいとされる果物も、食べ過ぎると糖質の過剰摂取につながります。
糖質制限を実施している人や糖尿病の人は、とくに注意が必要です。
ザクロの効能を生かせる食べ方
ザクロに含まれるビタミンB群やビタミンCは、水溶性の栄養素なので、洗いすぎたり水に長時間さらしたりすると流出してしまいます。
ザクロをサラダに使う時は軽く水で洗ったり、ジュースにする場合は生のままミキサーにかけたりすることで、効率よく栄養を摂取できます。
また、ビタミンCは鉄の吸収を促進するので、貧血ぎみの人は鉄分を多く含む肉や魚、ホウレンソウなどと一緒に摂取するとよいでしょう。
まとめ
ザクロは、カリウムやビタミンCなどの栄養素に加え、エラグ酸をはじめとするポリフェノールが豊富な果物です。
高血圧や動脈硬化の予防、腸内環境の改善など、健康維持に役立つさまざまな効能があります。
また、ポリフェノールには強い抗酸化作用があり、美肌や美白、老化の抑制による若々しさの維持など、美容にも役立つ効能があると考えられています。
一方、果皮には有毒な成分が含まれているため、皮を取り除き、赤い粒状の可食部のみを食べることが重要です。
糖質の過剰摂取を避けるため、多くても1日2~3個を目安に食べるとよいでしょう。
サラダやジュース、スイーツなどにも使えるため、好みの方法で楽しみつつ、食生活に取り入れてみてください。