目次
家庭に常備していることも多いオリーブオイルですが、切らしてしまったときや、価格が高騰している場合には、困ることもあるでしょう。
そんなときは、サラダ油やこめ油、えごま油やアマニ油など、さまざまな油で代用が可能です。
この記事では、パスタやアヒージョ、サラダ、カルパッチョなど、料理ごとに使えるオリーブオイルの代用品を紹介します。
オリーブオイルの特徴と代用のポイント

オリーブオイルは、オリーブの実から採れる植物油です。
オリーブの実に由来する特徴的な風味は、他の油では再現しにくく、代用が難しい面もあります。
ただ、風味は再現できなくても、いくつかのポイントを意識すれば十分に代用が可能です。
以下に、オリーブオイルを他の油で代用する際のポイントをまとめます。
- 加熱調理の場合
加熱に強い油を選ぶのが基本。
オリーブオイルは加熱すると風味が弱まるため、代用品もクセのない油を使うと仕上がりに差が生じにくい。
例:サラダ油やグレープシードオイルなど。 - 非加熱調理の場合
オリーブオイルの風味を再現するのは難しいため、クセのない油か、風味を楽しめる別の油を選ぶとよい。
例:サラダ油、えごま油、ハーブオイルなど。
パスタやアヒージョに使えるオリーブオイルの代用品

パスタやアヒージョには、料理の味を邪魔しないクセの少ない油を使うのがポイントです。
調理の際は、にんにくや唐辛子、好みのハーブなどを加えると風味がアップします。
この章では、それぞれの料理に使えるオリーブオイルの代用品を紹介します。
サラダ油・キャノーラ油
サラダ油やキャノーラ油は、オリーブオイルの代用品として手軽に使える油です。
パスタやアヒージョなどの調理に向く理由は以下のとおりです。
- 熱に強い
加熱しても風味や色の変化が少なく、料理の味を邪魔しない。 - クセが少ない
味や香りの主張が少ないので、素材の味を引き立てやすい。 - ポピュラーな油である
安価で手に入りやすく、家庭に常備されていることが多い。
サラダ油とは、精製度が高く低温でも濁りにくいものを指す、JAS(日本農林規格)で定められた植物油の等級の名称です。
一般的に「サラダ油」として販売されているものは、大豆、菜種(キャノーラ油も含む)、コーン、ひまわり種などの植物油をブレンドして作られています。
精製度が高く、クセや香りが少ないのも特徴のひとつです。
キャノーラ油はサラダ油の一種で、改良された菜種から採った油です。
参考:日本植物油協会「植物油とJAS制度」
こめ油
米ぬかに含まれる油分を抽出・精製したこめ油も、オリーブオイルの代用品として使えます。
サラダ油やキャノーラ油と同様に加熱に強く、クセが少ないため、パスタやアヒージョなどの調理に向いています。
また、手に入りやすく常備しやすいのも利点です。
こめ油にはビタミンE(α-トコフェロール)などの抗酸化成分が含まれ、酸化が抑えられて比較的劣化しにくい特徴があります。
さらに、玄米由来の天然機能性成分(γ-オリザノールや植物性ステロールなど)を多く含み、健康志向の高まりとともに広く利用されるようになっています。
参考:農林水産省「米ぬかとこめ油」
グレープシードオイル
パスタなどの調理には、加熱に強くクセの少ないグレープシードオイルも代用可能です。
グレープシードオイルとは、ワインを製造する際に出るブドウの種から抽出した油で、スーパーなどでもよく売られています。
味や香りが控えめでさっぱりとしているため、素材の味をいかした料理に仕上がります。
また、ビタミンEやリノール酸などの栄養成分を多く含み、健康によい油としても注目されています。
開封後は暗所での常温保存がよいでしょう。冷蔵庫で保管すると白濁・固化する場合がありますが、品質に問題はなく、温めれば元に戻ります。
ソテーや揚げ物に使えるオリーブオイルの代用品

ソテーや揚げ物には、加熱に強い油を使いましょう。
香りやコクのある油で代用すると、オリーブオイルとはまた違った風味が付けられます。
この章では、ソテーや揚げ物に使えるオリーブオイルの代用品を紹介します。
サラダ油・キャノーラ油
サラダ油やキャノーラ油は、ソテーや揚げ物に適したオリーブオイルの代用品です。
加熱に強く、他の油類より安価であるため、揚げ物などで大量に油が必要な場合でも安心して使えます。
サラダ油が熱に強い理由のひとつに、発煙点(油を加熱して煙が出始める温度)の高さが挙げられます。
油は、加熱しすぎて煙が出ると、料理の味を損ねたり有害物質が発生したりすることがあります。
サラダ油などの精製油の発煙点は230〜250℃、キャノーラ油は200℃前後、オリーブオイルは160〜200℃とされています。
以上のことから、オリーブオイルに比べて、サラダ油やキャノーラ油はより高温調理に向く代用品といえるでしょう。
アボカドオイル
アボカドの実から採れるアボカドオイルには、以下のような特徴があり、オリーブオイルの代用品として使えます。
- 加熱に強い
発煙点が250℃前後といわれ、高温調理にも向く。 - 香りがよい
ほのかにナッツのような香りがあり、料理にコクが加わる。 - 機能性成分が豊富
オリーブオイルと同様に、ビタミンEやオレイン酸が多く含まれる。
目の健康によいルテインも含まれている。
オリーブオイルの代用品として使いやすいアボカドオイルですが、一般的なスーパーなどでは見かけることが少ないため、輸入食料品店やネット通販での購入がおすすめです。
こめ油
高温調理に向くこめ油は、オリーブオイルの代用品としてソテーや揚げ物に使えます。
こめ油には、油切れがよく酸化されにくいという特徴があるため、高温調理に適しているのです。
一般的に揚げ物などの高温調理では、油の酸化や分解が急激に進み劣化します。泡立ちやにおいが強くなるのは油が劣化したサインで、揚げ物の油切れも悪くなります。
こめ油は、菜種油など他の植物油と比べて高温調理でも劣化しにくく、油切れが良好で、揚げ物がカラッとおいしく仕上がります。
参考:農林水産省「米ぬかとこめ油」
サラダやカルパッチョに使えるオリーブオイルの代用品

この章では、サラダやカルパッチョなど、加熱しない料理で使えるオリーブオイルの代用品を紹介します。
クセが少なく、素材の味を引き立てる油を選ぶのがポイントです。
ハーブオイル
オリーブオイルの代用品として、ハーブの香りを移したハーブオイルが役立ちます。
オリーブオイルと同じ風味は再現できませんが、好みのハーブで料理が香り高く仕上がります。
ハーブオイルの作り方とポイントは以下のとおりです。
- 油とハーブを用意する
サラダ油やこめ油など、クセの少ないものを選ぶとよい。
ハーブはバジル・ローズマリー・オレガノ・ディルなどがおすすめ。 - 容器を準備する
煮沸消毒し、よく乾かす。 - ハーブを準備する
水で洗い、水分をしっかりと拭き取る。
水分が残っていると傷む原因になる。 - ハーブを漬ける
容器にハーブを入れ、油を注ぎ、一晩おく。 - 保存する
作ったハーブオイルは冷蔵庫で保存し、1〜2週間で使い切る。
えごま油
えごま油は、サラダやカルパッチョなどに使える代用品のひとつで、以下のような特徴と注意点があります。
- シソ科の一年草「えごま」の実から抽出された油。
- ほぼ無味無臭だが、後味にオリーブオイルのような苦みを感じるものもある。
食べにくいと感じる場合は、レモンなどで酸味をプラスするとよい。 - ω-3脂肪酸のα-リノレン酸を豊富に含む。
- α-リノレン酸は熱に弱く、加熱すると酸化されやすいため、加熱調理には向かない。
- 保存の際は光と熱を遮ることが重要。
開封後は冷蔵庫で保存し、なるべく早く使い切る。
アマニ油(亜麻仁油)
加熱しない料理には、オリーブオイルの代わりにアマニ油も活用できます。
苦みやクセが控えめで、ナッツやハーブのような風味が感じられ、後味もすっきりとしています。
アマニ油は、アマ(亜麻)という植物の種子から抽出された油です。
えごま油と同様に、α-リノレン酸を多く含むため、酸化されやすいのが特徴です。
加熱調理には向いておらず、保存の際は光や熱に注意が必要です。開封後は冷蔵庫で保存し、なるべく早く使い切りましょう。
パンに塗る・仕上げ用に使えるオリーブオイルの代用品

オリーブオイルには、パンに塗ったり、スープやグリル野菜の仕上げにかけたりする使い方もあります。
この章では、こうした用途で使える代用品を紹介します。
香りやコクのある油を選ぶと、料理の満足感が高まるのでおすすめです。
ココナッツオイル
パン用や仕上げ用には、オリーブオイルの代用品としてココナッツオイルが使えます。
ココナッツオイルには以下のような特徴があります。
- ココナッツミルクから抽出される油。
- トロピカルな甘みがあり、パンや料理にコクを加えられる。
- およそ20℃以下では固体、25℃以上で液体になる。
固体のココナッツオイルを液体にしたい場合は、湯せんで温めるのがおすすめです。
トースターや魚焼きグリルを熱し、火を消してから中に入れて溶かしてもよいでしょう。
電子レンジでの加熱は避けてください。加熱ムラが生じ、場合によっては発火することもあります。
ハーブオイル・えごま油・アマニ油
前章で紹介したハーブオイル・えごま油・アマニ油は、パン用や仕上げ用にも向いています。
それぞれの特徴と注意点は以下のとおりです。
- ハーブオイル
ハーブの爽やかな香りを楽しめる。
自家製の場合は冷蔵保存し、早めに使い切る。 - えごま油・アマニ油
ほのかな苦みやナッツの風味があり、パンや料理のアクセントになる。
ω-3脂肪酸であるα-リノレン酸を含み、健康志向の人に向く。
加熱すると酸化されやすいため、そのままつけたりかけたりして使うとよい。
開封後は冷蔵庫で保存し、早めに使い切る。
バター
バターはパンに塗る定番の食材で、風味はオリーブオイルと異なるものの、代用品として使えます。
仕上げ用として使う際は、溶かしバターを使うとよいでしょう。ポイントを以下にまとめます。
- スープやグリル料理などに溶かしバターをかけると、コクや風味が増す。
- 無塩バターを使用すると、料理の味を調整しやすい。
- 溶かしバターを作る際は、焦がさないように注意する。
まとめ
オリーブオイルは、用途に応じてさまざまな油で代用できます。
パスタやソテー、揚げ物には、クセが少なく加熱に強いサラダ油やキャノーラ油、こめ油などが適しています。
グレープシードオイルやアボカドオイルも加熱に強いため、使ってもよいでしょう。
サラダやカルパッチョには、香りや風味を加えられるハーブオイルやえごま油、アマニ油などがおすすめです。
ハーブオイルは手軽に作れ、えごま油やアマニ油は健康に役立つ成分が豊富です。
オリーブオイルを切らしていたときや、価格が高くて使用を控えたいときなどに、ぜひ活用してみてください。












