梅干しは、古くからある伝統的な保存食のひとつです。
市販品も多くありますが、手作り梅干しの味わいは格別のものがあります。
この記事では、昔ながらの梅干しの作り方から、食べやすいはちみつ梅の作り方まで詳しく解説しています。
ぜひ、梅干し作りの参考にしてください。
梅干し作りに必要な材料と道具
まずは、基本の梅干し作りに必要な材料と分量、道具を紹介します。
梅干し作りに必要な材料は以下のとおりです。
《梅塩漬け用》
- 完熟した梅:1kg
- 粗塩:180g(梅に対して18%)
- アルコール度数35%以上の焼酎:適量(1/2カップ程度)
《赤しそ用》
- 赤しそ:200g(梅に対して20%)
- 粗塩:40g(赤しそに対して20%)
作る量を増やす場合でも、梅や赤しそと塩の比率を守れば、美味しい梅干しになります。
梅干し作りに必要な道具は以下のとおりです。
- 保存容器(内蓋・外蓋つき)
- 重石(水を入れたビニール袋でも代用可能)
- 干しザル
ほかにも竹串や、ふきんがあれば梅の下処理に役立ちます。
続いて、それぞれの材料・道具について詳しく解説します。
完熟した梅
梅干し作りには黄色く完熟した梅を使用します。華やかで甘い香りが、完熟梅の特徴です。
梅が青かったり、触って固かったりする場合には、追熟が必要です。
室内の風通しの良い場所に置き、完熟させてから漬け込みます。
傷のある梅はカビのもとになるため、取り除きましょう。
粗塩
塩はしっとりとした粗塩がおすすめです。サラサラした塩は梅の間をすり抜けてしまい、梅が均等に漬かりません。
塩は傷み防止に重要なため、減らさずに規定の量を使いましょう。
昔ながらの梅干しが長期保存できるのは、塩分が濃いためです。
赤しそ
赤しそは、梅干しを鮮やかな赤色にするために用いられます。
赤しそが店頭に並ぶ期間はとても短く、完熟梅との入手時期がずれてしまうかもしれません。
赤しそを先に入手した際は、塩漬けにして冷凍保存しておくと、完熟梅で梅干しを作れます。
焼酎
焼酎は、容器や梅の消毒に使います。
カビ防止効果を高めるために、アルコール度数35%以上の強めの焼酎がおすすめです。
焼酎を使うと、梅の表面を湿らせて、塩となじみやすくする効果もあります。
保存容器
梅干しを漬ける容器の素材は、ガラス、陶器、ホーローなどが、とくにおすすめです。
金属製の容器は、酸への耐性に乏しく、梅干し作りには向きません。
プラスチック容器は、食品用に作られた製品なら、梅干し作りには十分な耐性があるものが多いです。
ただしプラスチック容器は、一度梅干し作りに使うと、匂いや色が取れにくいのが欠点です。
容器の構造としては、密閉できる蓋付きのものであれば、使い勝手に優れます。
梅が少量の場合には、ジップロックなどのチャック付き保存袋でも漬けられます。
重石
重石は、梅の2倍の重さのものを用意します。
重石には梅酢(梅から出てくる水分)を出しやすくする役割があります。
重石が用意できない場合は、ビニール袋に水を入れたもので代用可能です。
ビニール袋を使用した際には、袋を2重にすると、水漏れが防止できます。
干しザル
漬けた梅がすべて並べられる大きさの、平たいザルを使います。
ステンレス以外の金属製のザルは、腐食しやすく適さないので注意しましょう。
夜間は屋内に取り込めるよう、持ち運びやすいものがおすすめです。
【基本】昔ながらの梅干しの作り方
昔ながらのしょっぱい梅干しの作り方を紹介します。
作り方は以下のとおりです。
- きれいに洗ってヘタを取る
- 梅と塩を交互につめる
- 梅酢を取りだす
- 赤しそを塩もみする
- 赤しそと梅酢を梅に混ぜる
- 天日干しにする
- 保存容器に入れる
詳しく解説します。
①きれいに洗ってヘタを取る
完熟梅をやさしく洗い、1つずつふきんで水気を取ります。
次に、竹串や楊枝でヘタを取り除きます。竹串を脇から梅のくぼみに差し込むと、簡単に取れます。
完熟梅はやわらかく傷つきやすいので、丁寧な扱いが必要です。
ヘタが取れたら、消毒のため、梅全体に焼酎をふりかけましょう。
②梅と塩を交互につめる
梅の下処理ができたら、梅を漬ける工程に入ります。
ひとつかみの塩を容器の底に振り、上に梅を広げ、その上にさらに塩を振り梅を広げる、という工程を繰り返します。
最後に塩を振り、中蓋をして重石を乗せると、梅の仕込みの完成です。
中蓋がない場合はラップをして、その上から重石を乗せましょう。
③梅酢を取りだす
梅干しを漬ける際に梅から出てくる水分を「梅酢」と呼びます。
仕込みから1週間ほど経つと、梅酢が上がってきて、梅が梅酢に沈んだ状態になります。
このとき、梅がひたるぐらいの量を残し、余分な梅酢を取りだしましょう。
梅を漬けて3日ほど経っても梅酢が出ていなければ、重石を増やします。
梅酢を取りだしたあとは、梅がつぶれないよう、重石を少し軽くします。
④赤しそを塩もみする
赤しそは、葉だけを摘みを取り、洗ってからしっかりと水気を切ります。
次に、大きなボウルのなかに洗った赤しそと、赤しそ用の粗塩の半量を入れ、強くもんでアクを出します。
赤しそを絞り、出てきた黒っぽい汁を捨て、残りの粗塩を加えてさらにもみこみましょう。
再度出てきたアクを捨て、赤しその下処理は完了です。
アク抜きが不十分だと、梅干しが黒っぽい仕上がりになるため、下処理は入念に行う必要があります。
⑤赤しそと梅酢を梅に混ぜる
下処理した赤しそに、梅の塩漬けから出てきた梅酢を加え、ほぐします。
梅酢が赤く染まったら、赤しそとともに梅の上に広げましょう。
まんべんなく梅の上にしそを広げたら、再び重石をして梅雨があけるのを待ちます。
⑥天日干しにする
梅干し作りでは、梅をある程度の期間漬けたら、天気のよいときに梅を取り出して天日干しにする工程があります。
梅と赤しそを梅酢から取り出してザルに並べて3日間、ときどき梅を裏返しながら、天日干しにします。
太陽の位置に気を配り、梅が常に日干しされている状態を保つのがポイントです。
日が暮れたら室内に入れ、夜露に濡れるのを防ぎます。
梅にしわがよって、表面が乾いたら干し上がりです。
天日干しにより、梅干しの保存性が高まるほか、ねっとりした食感も生まれます。
⑦保存容器に入れる
天日干しにした梅干しは、清潔な容器に入れて、もうしばらく保存します。
すぐに食べられますが、数ヶ月寝かせると塩がなじんで食べやすくなるのです。
日の当たらないところに保管すれば、数年間保存できます。
梅と一緒に乾燥させた赤しそは、砕いて粉末にすれば自家製のゆかりに、梅酢はドレッシング作りなどに使用可能です。
【応用】甘いはちみつ梅の作り方
昔ながらのしょっぱい梅干しが苦手な人には、はちみつ梅がおすすめです。
ここでは、甘いはちみつ梅の作り方を紹介します。
材料
はちみつ梅の材料は以下のとおりです。
- 完熟梅:1kg
- 粗塩:180g
- はちみつ:100g
- 焼酎:1/2カップ
基本の材料にはちみつを加えるだけで、はちみつ梅ができます。
はちみつ梅は、はちみつを使用して作ります。1歳未満のお子様には絶対に与えないでください。
漬け方
はちみつ梅の作り方は、基本の梅干しと大きな違いはなく、仕込みの際にはちみつを追加すれば作れます。
手順は以下のとおりです。
- 梅を洗い、ヘタを取る
- 梅と塩を交互につめる
- 梅と塩の上からはちみつをかける
- 重石をして梅酢が出てくるのを待つ
- 梅酢がはちみつと混ざるように容器を軽くゆする
- 天日干しにする
はちみつ梅を作るときの注意点
梅酢とはちみつは、漬けたまま放置しても、なかなか混ざりません。
梅がくずれない程度に、やさしくゆすって容器中ではちみつを混ぜ合わせましょう。
梅干しを失敗せずに作るポイント
梅干しはコツをおさえれば、簡単に作ることができます。
ここでは、梅干しを失敗せずに作る方法を紹介します。
空気に触れさせない
梅干し作りの天敵はカビです。
消毒を徹底する、密閉容器を使用するなどの対策が効果的です。
とくに、梅干し作りの初期段階ではカビが発生しやすく、注意を要します。
梅の表面に、塩や梅酢がかかっていない状態で空気に触れていると、カビが発生しやすいのです。
仕込み時に塩をまんべんなくまぶしたり、梅酢が上がってくるまでは全体をやさしく揺すって混ぜたりすると、初期段階でのカビの発生を防げます。
晴れた日に土用干しをする
梅を干す際には、晴れが続く日を選びます。
3日間は必要になるので、天気予報を確認して計画を立てるとよいでしょう。
梅雨明けを待って、夏の土用に天日干し(土用干し)を行うと、きれいな梅干しに仕上がります。
清潔な容器を使う
梅干しは長期間保存できますが、作成中はカビやすく傷みやすい食べ物です。
梅干しを作る際には、容器を煮沸したうえで、焼酎で消毒すると良いでしょう。
清潔な容器が用意できない場合は、ジップロックに焼酎を吹きかけても、梅干しを作れます。
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