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梅は、古くから日本人にとって馴染みの深い果物。
梅干しをはじめとした加工食品は、毎日の食卓に欠かせない常備食です。
そんな身近な存在ながら意外と知られていないのが、梅の種類の豊富さ。種類の違いひとつで、梅干しや梅酒の味も大きく変わると言われています。
そこで今回は、代表的な梅の種類と特徴について解説。梅干し・カリカリ梅・梅酒・梅ジャムなど、さまざまな食品に最適な梅品種もご紹介します。
実がなる?ならない?花を楽しむ花梅と食用の実梅の違い
現在日本にある梅の樹は、およそ350種類。
花を観賞するための「花梅(はなうめ)」と、実を食用にする「実梅(みうめ)」とに大きく分けられますが、これはあくまで実用目的によって分類されたもので、それほど厳密な区分ではありません。
実際には、花梅に分類されていても美味しい実をつけたり、実梅でもキレイな花を咲かせたりと、花も実も両方楽しめる種類も数多くあります。
日本一の梅産地・和歌山!代表的な梅の種類と特徴とは?
日本最大の梅の産地といえば、紀の国・和歌山県。
梅の収穫量は半世紀以上前から国内トップで、全国の収穫量の約6割を占めるほどです。
ここでは、そんな和歌山で栽培されている代表的な梅品種をご紹介します。
南高(なんこう)
言わずと知れた梅のトップブランド「南高」は、全国的にも知名度の高い、和歌山を代表する品種。
人気の理由は、何といってもその品質の高さです。
皮が薄くて果肉はやわらかいので、口に入れた瞬間ジューシーでとろけるような食感を味わうことができます。
実の大きさに比して種が小さめな分、果肉が厚くて食べ応えも抜群。
その美味しさから、和歌山のみならず全国各地で生産が増加しています。
小粒南高(こつぶなんこう)
「小粒南高」は、南高の美味しさはそのままに、粒の大きさをひと回り小さくした中粒品種。
果実のサイズは小さめでも、南高と同じように肉厚でぽってりとした果肉が魅力です。
樹につく花の数が多く、たくさんの実が収穫できるのも特徴のひとつ。
梅は、自分と同じ品種の花粉では受粉しないものが多いので、花の数が多く大量の花粉を飛ばす小粒南高は、ほかの品種を受粉させる「受粉樹」としてもよく用いられています。
古城(ごじろ)
熟す前に収穫される青梅の一級品として知られるのが、果実の美しさから「青いダイヤ」との異名を持つ「古城」。
南高より実がかたく引き締まっていて、青梅ならではのフレッシュな香りが楽しめます。
梅酒や梅シロップにすると、透明感あふれる美しい仕上がりに。
生産量が年々減少している、希少性の高い品種です。
和歌山以外もたくさん!全国の梅産地と梅の種類
和歌山県以外にも、梅の産地は全国に点在しています。
そこで生産されている梅の品種は、驚くほどバリエーション豊富。
ここでは、そんな多種多様な品種の中から代表的なものをチェックしてみましょう。
白加賀(しらかが)
和歌山に次いで梅の収穫量が多い群馬県を中心に、おもに東日本で栽培されているのが「白加賀」。
大粒で果実の形が美しく、果肉も緻密なので、梅干しにも梅酒にも合う使い勝手の良い品種です。
紅映(べにさし)
福井県のみで限定栽培されている「紅映」は、陽の当たった部分が鮮やかな紅色に染まるのが特徴。
南高などに比べると収量が少なく、栽培にも手間がかかりますが、梅干しや梅酒にすると、ほかとは違うコクのある味わいが楽しめます。
豊後(ぶんご)
「豊後」は、梅とあんずの交雑種として知られる大粒品種。
発祥は大分県ですが、寒冷地での栽培に適することから、青森県や長野県で多く生産されています。
梅干しも美味しいですが、どちらかというと梅酒や梅シロップ向きと言われる品種です。
鶯宿(おうしゅく)
「鶯宿」は、平安時代の歌にも登場するという伝統の古来種。
全国で栽培されていますが、奈良県・徳島県・大分県などがおもな産地です。
実がギュッと引き締まった昔ながらのかたい梅で、香りも力強いので、梅酒や梅シロップの加工に適しています。
竜峡小梅(りゅうきょうこうめ)
果実のサイズが小さい小梅としては、全国生産量第1位を誇る「竜峡小梅」。
おもに長野県で栽培されています。
梅干しよりもカリカリ梅(梅漬け)に加工されることが多く、食べやすいサイズがおにぎりやお弁当にぴったりです。
甲州小梅(こうしゅうこうめ)
「甲州小梅」は、竜峡小梅と同じくカリカリ梅用として有名な品種。
長野県と並んで小梅の生産が盛んな山梨県が最大の産地です。
小粒ながら果肉が分厚いので、歯ごたえを存分に楽しむことができます。
梅の保存食をつくろう!最適な梅の種類と作り方のポイント
「梅仕事」とも呼ばれる梅の保存食づくりは、梅が旬を迎える初夏だけのお楽しみ。
どの保存食も、使う梅の品種や熟し加減によって仕上がりが大きく変化します。
この機会に、各種保存食に適した梅の種類と、作り方のポイントを押さえておきましょう!
梅干しに合う梅の種類
【熟度】
ふっくらやわらかい梅干しに仕上げるためには、6月中旬~下旬に出回る、樹の上でしっかり熟した完熟梅を使うのが理想。
果実全体が黄色や紅色に色づき、梅特有のフルーティーな香りがするものを選びましょう。
青梅を使いたい場合は、黄色く熟すまで常温に置いておけばOK。
樹上で完熟した梅に比べると風味はやや劣りますが、十分美味しい梅干しに仕上がります。
【品種】
梅干しに適しているのは、皮が薄くてやわらかく、果肉の多い品種。南高はもちろん、白加賀、小粒南高、紅映などの品種がおすすめです。
【作り方のポイント】
梅干しづくりに使う塩の量は、梅の重量の18~20%が一般的。
塩を減らすとカビが生えやすく、日持ちもしにくくなるので、正確にはかり取りましょう。
シンプルに塩だけで漬けた白干梅干しのほか、しそ漬け、はちみつ漬けなど、味のアレンジも楽しんでくださいね。
梅漬け(カリカリ梅)に合う梅の種類
【熟度】
歯ごたえが特徴のカリカリ梅には、未熟な状態で収穫された青梅を使います。
表皮がキレイな緑色で、実がかたく張りのあるものを選びましょう。
青梅は、時間が経つと熟成が進んでやわらかくなってしまうので、手に入ったらすぐに加工するのがポイントです。
【品種】
カリカリ梅の定番は、やはり竜峡小梅や甲州小梅などの小梅。
ほかの梅よりも早く、5月中旬~6月上旬頃に出回るので、時期を逃さないように注意しましょう。
やや大きい中粒の鶯宿なども、加工してもかたさがしっかり残るのでおすすめです。
【作り方のポイント】
カリカリ梅をつくるときは、卵の殻を一緒に漬け込みましょう。
主成分のカルシウムが梅のペクチンと反応し、実がやわらかくなるのを防いで食感よく仕上げてくれます。
梅酒・梅シロップ(梅ジュース)に合う梅の種類
【熟度】
従来青梅で作るのが良いとされていた梅酒や梅シロップですが、最近では完熟梅を使うことも増えてきました。
青梅で仕込むとさわやかでみずみずしい香り、完熟梅で仕込むと芳醇でまろやかな風味を楽しむことができます。
【品種】
「この品種でなくちゃいけない」という決まりはありませんが、果肉が多く、果汁がたっぷりと含まれている大きいサイズのものがおすすめです。
【作り方のポイント】
透き通った琥珀色の梅酒やシロップにするためには、キズのない梅を選ぶことがもっとも重要。
カビの原因にならないよう容器はしっかりと消毒し、梅に付着した水分も丁寧に拭き取りましょう。
梅ジャムに合う梅の種類
【熟度】
梅ジャムづくりには完熟梅や完熟梅がさらに熟してやわらかくなったものを使うのが王道ですが、最近は食感を活かした青梅のジャムも増えてきています。
【品種】
品種は手に入りやすいものでOK。青梅を使う場合は、酸味が少なめの豊後がイチオシです。
【作り方のポイント】
梅ジャムづくりには、あらかじめ冷凍しておいた梅を使うのが便利。
果肉が崩れやすいので煮詰める手間が省けるだけでなく、なめらかで口あたりの良いジャムに仕上がります。
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