目次
にんじんは、β-カロテンを豊富に含む代表的な緑黄色野菜です。
β-カロテンは体内でビタミンAに変換される栄養素で、皮膚や粘膜の健康維持を助ける働きがあります。また、脂溶性のため、油と一緒に調理すると吸収率が高まります。
にんじんには、他にも食物繊維やカリウムなどが含まれます。
本記事では、にんじんに含まれる主な栄養素とその働きのほか、加熱や生食による栄養価の違い、栄養を逃さない食べ方について紹介します。
にんじんに含まれる主な栄養素とその働き

にんじんには、β-カロテンを筆頭に、食物繊維やカリウムなどの栄養素が含まれます。
にんじん(根/皮なし/生)の可食部100g当たりの栄養価
| 栄養素 | 含有量 |
|---|---|
| エネルギー | 32kcal |
| 糖質 | 6.0g |
| 食物繊維 | 2.8g |
| カリウム | 300mg |
| β-カロテン | 6,300μg |
| 葉酸 | 23μg |
| ビタミンC | 4mg |
※参考:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
にんじんは100g当たり6.0gと、野菜としてはやや多めの糖質を含んでいます。一方、ビタミンCの含有量は野菜の中でも少なめです。
なお、皮をむいたにんじん1本の可食部は、中サイズで130〜150g程度です。
β-カロテン|皮膚や粘膜の健康維持
にんじんは、緑黄色野菜の中でもβ-カロテンの含有量が突出して多いのが特徴です。
例えば成人女性の場合、にんじん約1本分でビタミンAの1日に推奨される摂取量をほぼ満たせます。
※参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
β-カロテンの性質や働きは以下のとおりです。
- 体内で必要に応じてビタミンAに変わる「プロビタミンA」の代表格。
- 脂溶性のため、油と一緒に摂取すると吸収率が高まる。
- 抗酸化作用があり、体内での活性酸素の影響を抑える。
- 皮膚や粘膜の健康維持を助け、バリア機能を保つ。
- 網膜の健康に関わり、夜間の視力維持など目の健康を支える。
食物繊維|良好な腸内環境のサポート
にんじんには、良好な腸内環境をサポートする食物繊維が含まれます。
食物繊維は水溶性と不溶性の2種類に大別され、それぞれ以下のような性質を持ちます。
水溶性食物繊維
- 水分を含んでゲル化し、糖質の吸収を穏やかにする。
- 腸内細菌のエサとなり、善玉菌を増やす。
不溶性食物繊維
- 水に溶けず、水分を吸収して膨らむ。
- 便のカサを増やして腸を刺激する。
にんじんは、水溶性と不溶性の食物繊維をバランスよく含むのが特徴です。
カリウム|塩分の排出を助ける
にんじんに含まれるカリウムは、体内の過剰な塩分(ナトリウム)の排出を助けます。
これは、カリウムに細胞の浸透圧を適切に保つ働きがあるためです。
塩分を摂りすぎると体内に水分を溜め込みやすくなり、むくみを生じることがありますが、カリウムの働きは、こうしたむくみの対策に役立ちます。
また、カリウムには水に溶け出しやすい性質があります。にんじんの調理は、生で食べるサラダや、煮汁ごと食べるスープなどがおすすめです。
葉酸|造血を助ける
にんじんには、ビタミンB群の一種である葉酸が含まれます。
葉酸には、主に以下のような働きがあります。
- ビタミンB12と協力して赤血球の生成に関わり、造血を助ける。
- DNAの合成に関わり、新しい細胞が作られるのを助ける。
胎児や乳児の成長に欠かせないため、妊婦や授乳婦にとくに重要とされる。
なお、葉酸はにんじんの根よりも葉に多く含まれています。
じつはビタミンCは多くない?他の野菜との比較
にんじんに含まれるビタミンCは、他の野菜と比較すると決して多くはありません。
以下に、代表的な野菜のビタミンC含有量をまとめます。
生野菜の可食部100g当たりのビタミンC含有量
| 野菜 | 含有量 (mg) |
|---|---|
| にんじん (皮なし) | 4 |
| きゅうり | 14 |
| トマト | 15 |
| ブロッコリー | 140 |
| パプリカ (赤) | 170 |
※参考:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
ビタミンCの主な働きと1日当たりの推奨される摂取量は以下のとおりです。
- コラーゲン生成のサポート
- 抗酸化作用
- 成人における1日の推奨量:100mg
生のにんじん1本に含まれるビタミンCは約6mgで、1日の推奨量の6%程度しか補えません。
そのため、ビタミンCはにんじんだけで摂ろうとせずに、ブロッコリーやパプリカ、果物などから取り入れるのがおすすめです。
※参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
加熱と生食によるにんじんの栄養価の違い

にんじんの栄養価は、調理後に大きく変わることはありません。
しかし、栄養の吸収率は調理法によって異なるため、得たいメリットに合わせて加熱か生食かを選ぶとよいでしょう。
加熱|β-カロテンの吸収率が高まる
にんじんに豊富なβ-カロテンは、加熱調理により吸収率が高まります。
β-カロテンなどの栄養素は、植物特有の硬い「細胞壁」に守られており、吸収されにくい性質があります。加熱によって細胞壁の構造がもろくなると、成分が外に溶け出しやすくなるのです。
また、β-カロテンは脂溶性のため、油と一緒に調理するとより効率的に摂取できます。
さらに、加熱で食材がやわらかくなり、かさも減らせるため、無理なく多くの量を食べられる点もメリットです。
生食|水溶性の栄養素を逃しにくい
にんじんに含まれる水溶性のビタミンCやビタミンB群、カリウムなどは、生のまま食べるのが効率的です。
これらの栄養素は、ゆで汁に溶け出しやすく、ビタミンは加熱調理による熱分解でも失われやすいためです。
加熱せずにそのまま食べることで、にんじんが持つ水溶性の栄養素を無駄なく摂取できます。
酵素によるビタミンCへの影響
生のにんじんには「アスコルビナーゼ」という酵素が含まれます。
この酵素には他の野菜のビタミンCを酸化させる性質がありますが、酸化されたビタミンCは体内で再利用されるため、栄養面での実質的な損失はありません。
ただし、酸化された状態が長く続くと、さらに別の物質への分解が進んでしまい、ビタミンCとしての効力が失われる可能性があります。
そのため、ビタミンCが豊富な他の食材と組み合わせる場合は、食べる直前に調理するのがおすすめです。
にんじんの栄養を逃さない食べ方

この章では、β-カロテンや水溶性のビタミン・ミネラルなど、にんじんに含まれる栄養素を逃さない食べ方を紹介します。
油脂と組み合わせる
にんじんを調理する際は、油脂と組み合わせると、豊富に含まれるβ-カロテンを効率よく取り入れられます。
前述のとおり、β-カロテンは加熱することでも吸収率が高まるので、以下のような調理法がおすすめです。
- 炒める・揚げる
野菜炒め、きんぴら、ソテー、にんじんしりしり、かき揚げなど - 肉類と組み合わせる
豚汁、肉巻き、カレー、肉じゃが、ポトフ、ビーフシチューなど - 乳製品と組み合わせる
クリームシチュー、ポタージュ、グラッセ、グラタンなど
また、サラダなど生で食べる場合も、オイル入りのドレッシングやマヨネーズと合わせると、β-カロテンを取り入れやすくなります。
細かく刻む・すりおろす
にんじんを生で食べる場合は、細かく刻む、またはすりおろすといった調理法がおすすめです。
葉酸やビタミンC、カリウムなどの水溶性の栄養素は、生食の方が効率的に取り入れられます。
しかし、にんじんの栄養素は硬い細胞壁に守られており、そのままでは吸収されにくい性質があります。細かく切断し、物理的に細胞壁を壊すことで、中の成分が溶け出しやすくなります。
- 細かく刻む
キャロットラペ、コールスローなど - すりおろす
スムージー、ジュース、すりおろしドレッシングなど
レモン汁や酢を合わせる
生のにんじんを他の野菜と組み合わせる際は、レモン汁や酢と合わせるとビタミンCの損失が抑えられます。
にんじんに含まれる酵素「アスコルビナーゼ」には、他の野菜のビタミンCを酸化させる働きがありますが、酸に触れると活性が鈍くなる性質を持っています。
そのため、味付けに酸味を加えると、ビタミンCの損失を少なくできるのです。
- レモン汁や酢と和える
ミックスサラダ、コールスローなど - 仕上げにレモン汁を加える
野菜ジュース、スムージーなど - 酢を加えた調味液で漬け込む
ピクルス、マリネ、浅漬けなど
にんじんの部位別(根・皮・葉)栄養価比較

にんじんは、部位によって含まれる栄養素の量が異なります。
以下に、それぞれの部位の栄養価を比較します。
にんじん(生)の可食部100g当たりの栄養価
| 栄養素 | 根 (皮なし) | 皮 | 葉 |
|---|---|---|---|
| 食物繊維 | 2.8g | 3.8g | 2.7g |
| カリウム | 300mg | 630mg | 510mg |
| β-カロテン | 6,300μg | 6,700μg | 1,300μg |
| 葉酸 | 23μg | 46μg | 73μg |
| ビタミンC | 4mg | 4mg | 22mg |
※参考:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
根(皮なし)と比較すると、皮には食物繊維やカリウム、葉には葉酸やビタミンCなどが比較的多く含まれます。栄養を効率よく摂取したい場合は、皮ごと調理したり、葉を料理に活用したりするのも一つの方法です。
まとめ
にんじんには、β-カロテン、食物繊維、カリウム、葉酸などの栄養素が含まれます。
とくに突出して多いβ-カロテンには、抗酸化作用や、皮膚・粘膜・目の健康維持を助ける働きがあります。
β-カロテンは脂溶性のため、油との相性がよく、さらに加熱や細断で細胞壁が壊されると、成分が溶け出しやすくなり吸収率が高まります。
一方でビタミンCは少なめなため、パプリカやブロッコリー、果物などと組み合わせて補うとよいでしょう。
にんじんの栄養素の特徴を理解し、毎日の食事に役立ててみてはいかがでしょうか。













