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健康志向が高まる中、注目を集める発酵食品の1つ「キムチ」。
日本の食卓にもすっかり定着したキムチは、独特の辛さとうまみだけでなく、体にうれしい栄養素がたっぷり詰まっている食材です。
この記事では、キムチの栄養素とその健康効果、さらに効果的な食べ方を詳しくご紹介します。
世界が認めるキムチの栄養価とその秘密
キムチとは、白菜や大根などの野菜を塩漬けにして、唐辛子、ニンニク、しょうが、魚介塩辛などの材料と混ぜ合わせ発酵させた韓国の漬物です。
野菜の甘味や唐辛子の辛みに乳酸発酵の酸味も加わった独特の風味が特徴で、韓国の食生活には欠かせません。
そんなキムチは、今や韓国だけでなく世界的にも健康食品として注目されており、2006年にはアメリカの健康専門誌「ヘルス」に、世界5大健康食品の1つとして掲載されました。
世界が認めたキムチの栄養価の秘密は、製法にあります。
キムチは体に良い効果のある食材がそのまま生で漬け込まれているため、栄養素がたっぷりです。
また、漬け込む過程で発酵が進み、乳酸菌やビタミンB群が大幅に増えることで、栄養価がさらにアップ。
このように、キムチはおいしいだけでなく、高い健康効果が期待できる食品なのです。
キムチに含まれる栄養成分と効果
キムチには健康効果の高い栄養素が多数含まれています。
ここでは、そのなかでもとくに注目の栄養素と効果と紹介していきます。
なお、キムチはカロリーや脂質が低くダイエット向きの食品ですが、一方でたんぱく質の含有量も少ないため、肉や魚などの食材と一緒に摂取するといいでしょう。
乳酸菌|免疫力アップ
発酵食品であるキムチには、豊富な乳酸菌が含まれています。
キムチに含まれているのは植物性の乳酸菌です。
植物性の乳酸菌は、ヨーグルトなどに含まれる動物性の乳酸菌より丈夫で胃酸に強く、生きたまま腸に届きやすいことが特長です。
乳酸菌には腸内の善玉菌を増やす働きがあり、腸の働きや免疫力をアップさせたり、悪玉菌を減らしたりする作用が認められています。
その結果、便秘が整う、発がんのリスクが下がる、感染症を予防する、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状を軽減するなどの効果が期待できるとされています。
食物繊維|整腸作用
キムチには食物繊維も豊富に含まれています。
とくに、キムチに含まれる食物繊維は水に溶けにくい不溶性食物繊維のため、腸内の水分を吸収して便の量を増加させ、排便を促進する効果があります。
また、乳酸菌のエサとなって腸内の善玉菌を増やす手伝いをしたり、血糖値の上昇を抑えたり、血中コレステロール濃度を下げたりと、健康の維持にも必要不可欠な栄養素です。
現代、多くの日本人は食物繊維が不足しているといわれています。
そのため、キムチは食物繊維不足の解消にもおすすめの食品といえるでしょう。
カプサイシン|脂肪燃焼サポート
キムチの材料の1つである唐辛子には、カプサイシンが含まれています。
辛みのもとであるカプサイシンには、キムチのおいしさを引き立てる役割がありますが、じつは効果はそれだけではありません。
カプサイシンはアドレナリンの分泌を促進させ、エネルギー代謝を促したり、発汗作用をもたらしたりします。
エネルギー代謝が上がった状態で運動すれば、脂肪燃焼効果が高まるため、ダイエット中の人にもおすすめです。
また、少量のカプサイシンを摂取すると胃酸の分泌が抑制され、胃粘膜が保護されて胃潰瘍が発生しにくくなるという動物試験結果もあります。
ただし、大量に摂取した場合は胃粘膜の保護作用がなくなるだけでなく、かえって胃腸に負担をかける恐れがあるため注意が必要です。
ビタミンA|目の健康維持
ビタミンAもキムチに多く含まれている栄養素です。
ビタミンAには目の正常な機能を保ったり、皮膚や粘膜の健康を維持したりする効果があります。
ビタミンAが不足すると、暗いところで目が見えにくくなる「夜盲症」や、皮膚や粘膜の乾燥を引き起こす可能性があります。
そうした症状を防ぐためにも、ビタミンAの摂取は大切です。
なお、ビタミンAを過剰に摂取すると腹痛や吐き気、めまいなどの健康障害が起きるリスクが知られています。
しかし、キムチの1日あたりの推奨摂取量(約50g)に含まれるビタミンAの量は健康障害の恐れがある量には遠く及ばないため、通常の食事において過剰に摂取する心配はありません。
ビタミンB群|代謝に不可欠
ビタミンB1、B2、B6などのビタミンB群も、キムチに豊富に含まれている栄養素です。
ビタミンB群は、いずれも水に溶けやすい性質を持つ水溶性ビタミンで、エネルギーの代謝に関わり、疲労感の解消などに役立ちます。
ビタミンB1には、糖質がエネルギーに変換されるのを助け、疲労が蓄積されるのを防ぐ効果があります。
また、食欲不振や不安、集中力低下などの症状を改善する効果も期待できます。
ビタミンB2は脂質の代謝を助け、皮膚、粘膜、髪などの健康を維持するのに欠かせない栄養素です。
さらに、ストレスから生じる目の充血や、肌荒れ、口内炎などに効果的とされています。
そして、ビタミンB6は免疫力のアップや皮膚炎、口内炎、湿疹、アレルギー症状の緩和、さらには精神の安定にも欠かせない栄養素。
女性ホルモンのバランスを整える働きもあり、月経前症候群(PMS)にお悩みの方にもおすすめです。
ビタミンC|美肌効果
若々しく健康な体作りに欠かせないビタミンCも、キムチには豊富に含まれています。
ビタミンCはコラーゲンの合成に必須の栄養素です。
コラーゲンは皮膚、骨、血管などを構成しているたんぱく質の一種で、不足すると肌のたるみやシワ、動脈硬化、眼精疲労などさまざまなトラブルを引き起こします。
また、ビタミンCには強力な抗酸化作用もあります。
私たちの体は日常的に活性酸素や紫外線によるダメージを受けていますが、ビタミンCはそうしたダメージから細胞を守るのを助けてくれます。
ただし、ビタミンCは熱に弱いため、高温で加熱すると壊れてしまう恐れがあります。
その点、生で食べるキムチはビタミンCを余すことなく摂取できる食品といえます。
カリウム|高血圧予防
キムチの材料である白菜には、カリウムが豊富に含まれています。
カリウムは人体の維持に欠かせない必須ミネラルの一種で、細胞の浸透圧を維持したり、ナトリウムの再吸収を抑制したりする働きを持つ栄養素です。
とくに、塩分の摂り過ぎによる高血圧を予防する効果があるため、味の濃いものや塩気の多いものが好きな方は積極的に摂取したい成分といえます。
白菜を使ったキムチにはカリウムが豊富に含まれているので、高血圧などの生活習慣病予防にもおすすめです。
キムチの栄養素を効果的に摂る方法
さまざまな栄養素を含むキムチですが、食べ方によってはせっかくの効果が半減してしまうこともあります。
そこで、ここではキムチの栄養素を効果的に摂る方法をご紹介します。
加熱せずにそのまま食べる
キムチに含まれる乳酸菌やビタミンCは熱に弱く、加熱調理をすることでその効果が失われてしまうため、キムチを食べるときは加熱せずに生のまま摂取することをおすすめします。
キムチチャーハンや豚キムチなど、おいしいアレンジ料理はたくさんありますが、乳酸菌やビタミンCを効率的に摂り入れたい場合は、熱を加えずそのまま食べるようにしましょう。
納豆と組み合わせる
キムチと納豆を組み合わせるのもおすすめの食べ方です。
納豆菌が産生するオリゴ糖が乳酸菌のエサになり、乳酸菌の増加を助けてくれます。
乳酸菌が増えることで腸内環境が整い、その結果、腸の働きを良くする効果が期待できるのです。
朝より夜に食べる
キムチは、朝よりも夜に食べるほうが整腸効果が高まります。
夜は腸の働きが鈍くなり、乳酸菌が腸にとどまる時間が長くなることで善玉菌が増えやすくなるからです。
さらに、キムチには寝付きをよくする効果もあります。
これは、唐辛子に含まれるカプサイシンの作用で体温が急激に上がったあと、今度は発汗によって体温が下がるからです。
人間は体温が下がると眠くなるため、夜にキムチを食べることで自然な眠りを得ることができるとされています。
発酵しているキムチを選ぶ
キムチから乳酸菌をしっかり摂取したい場合は、発酵キムチを選ぶことが大切です。
キムチの本場・韓国では塩漬けの野菜に薬味などを加えて低温発酵させたものをキムチと呼びます。
一方、日本で売られている商品には、キムチ味の調味料に野菜を浅漬けしただけの非発酵キムチも少なくありません。
非発酵キムチも乳酸菌はゼロではありませんが、発酵キムチと比べると含有量ははるかに少なくなってしまいます。
発酵キムチを購入したい場合は、本場・韓国産のキムチを購入するか、もしくは販売元のホームページで確認してみることをおすすめします。
キムチの食べすぎは危険
おいしくて健康効果も高いキムチですが、食べすぎには注意が必要です。
キムチに含まれるカプサイシンは刺激が強いため、過剰に摂取すると胃腸を痛めてしまう可能性があります。
また、キムチの食べ過ぎは塩分過多の原因にもなります。
キムチの推奨摂取量は1日50g程度とされています。
毎日の食生活に取り入れる際には、1日あたり小皿1杯分をめやすに食べるようにしましょう
まとめ
キムチは栄養豊富な発酵食品で、乳酸菌やビタミン、食物繊維など健康に欠かせない多くの成分を含んでいます。
適量を守りながら、効果的に食事に取り入れることで、腸内環境の改善や免疫力の向上、ダイエットサポートなど、さまざまな効果が期待できます。
こちらにご紹介した内容を参考に、ぜひ日々の食生活にキムチを加えてみてください。