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アマニ油は、健康志向の高まりとともに注目を集めている食品です。
その魅力は、現代の日本人に不足しがちな「オメガ3系脂肪酸」を豊富に含んでいる点にあります。
今回の記事では、アマニ油に含まれる栄養素と、その健康効果をわかりやすく解説します。
料理に取り入れる際の注意点やおすすめの食べ方、商品の選び方も紹介するので、アマニ油を生活に取り入れる際の参考にしてください。
アマニ油の概要:含まれる栄養素とその効果
はじめに、アマニ油の原料と主要な栄養素、その健康効果について詳しく解説します。
アマニ油を日常的に摂取すると健康維持にどのように役立つのか、具体的に見ていきましょう。
アマニ油とは?
アマニ油は、亜麻という植物の種子である亜麻仁から抽出される油です。
亜麻は数千年前から栽培され、茎の繊維で作られるリネン生地は、古代エジプトでミイラを包む布としても使用されていました。
亜麻仁はそのまま食用にしたり油の原料になったりして、抽出されたアマニ油は、食べる以外にも油絵具の媒材や木製品のワックスなど、幅広い用途に活用されています。
また、オメガ3系脂肪酸のひとつである「α-リノレン酸」を豊富に含むことから、近年ではスーパーフードとして認知され、その健康効果に対する関心が高まっています。
アマニ油はα-リノレン酸が豊富
アマニ油には、体内で合成できない必須脂肪酸である「α-リノレン酸」が、約60%含まれています。
α-リノレン酸は、魚油に含まれるDHAやEPAと同じ、オメガ3系脂肪酸に分類される脂肪酸です。
しかし、食生活の欧米化により魚を食べる機会が減った現代の日本人は、オメガ3系脂肪酸が不足しがちです。
アマニ油は料理にそのままかけるだけで手軽にオメガ3系脂肪酸を補えるため、栄養の偏りが気になる現代人にとって心強い味方になります。
※参考:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
α-リノレン酸の嬉しい効果
α-リノレン酸は、血液をサラサラにする効果が期待できます。
α-リノレン酸の一部は、体内でDHAやEPAに変換されます。
DHAやEPAは血液中の中性脂肪を減らす効果があり、これにより血流を改善するのです。
また、DHAやEPAには血管の柔軟性を高めたり血小板の凝集を抑えたりする効果もあるため、動脈硬化や高血圧、血栓などのリスクを軽減できるといわれています。
アマニ油を使うときのポイント
アマニ油の栄養素をしっかり摂るためには、いくつかの注意点があります。
料理に使う際のコツや正しい保存方法、1日の摂取量の目安など、アマニ油の正しい使い方を知ることで、その健康効果を最大限に引き出しましょう。
加熱しない
アマニ油に含まれるα-リノレン酸は、熱に弱く酸化されやすいため加熱調理には適しません。
加熱時のα-リノレン酸の酸化により、毒性のある「過酸化脂質」が生じて消化器官に悪影響を及ぼすこともあります。
また、独特な生臭いにおいが出て風味も損なわれるため、サラダやヨーグルト、スムージーなど、非加熱の料理によく合います。
温かい料理と組み合わせる際は、加熱調理時には使わず、食べる直前に料理にかけたりするとよいでしょう。
開封後は早めに使い切る
アマニ油の酸化は、光や空気に触れることでも進みます。
酸化を防ぐには冷暗所で保存し、開封後は1か月~2か月以内を目安に、なるべく早く使い切るようにしましょう。
購入時は、短期間で使い切れる内容量の商品を選ぶのがポイントです。
1日あたり小さじ1杯弱を目安にする
α-リノレン酸を含むオメガ3系脂肪酸の必要な摂取量は、成人で1日あたり1.6g~2.2gが目安とされています。
アマニ油には小さじ1杯(約4.6g)あたり約2.7gのα-リノレン酸が含まれるため、小さじ1杯弱で目安量を満たせます。
なお、摂取の上限値はとくに設定されていませんが、一度にたくさん摂ったからといって健康効果が高まるものではありません。
他の植物油と同じく、摂り過ぎはカロリーオーバーの原因となるため、目安量をもとにバランスの取れた食生活を心がけることが大切です。
服薬中の人は医師に相談する
アマニ油は特定の薬と相互作用する可能性があります。
たとえば、抗凝血剤や抗血小板薬を服用している人は、アマニ油の摂取により出血リスクが増加することがあります。
また、高血圧治療薬や糖尿病治療薬と相互作用することもあるため、服薬中の人は医師や薬剤師に相談のうえで摂取することが大切です。
アマニ油のおいしい食べ方
アマニ油は、工夫次第でさまざまな料理に取り入れられます。
サラダのドレッシングに使ったり、冷奴や納豆に垂らしたりするのは定番の使い方。
ヨーグルトと混ぜるのも、風味がまろやかになっておすすめです。
また、スープや味噌汁などの温かい料理でも、器によそってから食べる直前にかけるのであれば、酸化はそこまで進みません。
ただし、発泡ポリスチレン製の容器にアマニ油を入れて熱を加えると、容器が変質して穴が開くことがあります。
そのため、カップラーメンなどに加えたい場合は容器を移すようにしてください。
アマニ油の選び方
アマニ油の健康効果をしっかり保ち、新鮮な状態で使うためには、適切な商品選びが重要です。
精製と未精製の違いにも着目し、自分に合ったアマニ油を選ぶヒントを見つけましょう。
コールドプレス法で絞ったものを選ぶ
アマニ油に含まれるα-リノレン酸は熱に弱いため、購入の際はコールドプレス法(低温圧搾法)で抽出されているかを確認しましょう。
温度管理をしない機械圧搾法や化学溶剤を使用した抽出法では、熱による栄養価の低下が懸念されます。
多くのアマニ油はコールドプレス法で抽出されていますが、すべてがそうではないため、しっかり確認して選ぶことが大切です。
遮光瓶に入っているものを選ぶ
遮光瓶は光を遮断して酸化を防ぎ、アマニ油の品質を保つのに役立ちます。
もちろん遮光瓶であっても開封後は早めに使いきることが重要ですが、通常の瓶よりも長く新鮮な状態を保てます。
また、二重構造ボトルや小分けタイプなど、直接空気に触れにくい容器のものを選ぶのもおすすめです。
精製・未精製の違いを知る
アマニ油には「精製」と「未精製」の2種類があります。
精製アマニ油は、ろ過によって不純物が取り除かれ、無色に近いのが特徴です。
一部の栄養素が失われるものの、風味がマイルドになるため、どんな料理にも取り入れやすいというメリットがあります。
一方、未精製のアマニ油は、亜麻仁を圧搾して得た油をそのまま瓶詰めしたものです。
濃い黄金色をしており、独特の風味が強い代わりに、栄養素をそのまま取り入れられるのが特長です。
使いやすさを重視するなら精製アマニ油、健康効果を重視するなら未精製アマニ油というように、目的や好みに応じて選ぶとよいでしょう。
まとめ
アマニ油は、オメガ3系脂肪酸である「α-リノレン酸」を豊富に含む油です。
α-リノレン酸は体内で一部がDHAやEPAに変換され、血液をサラサラにする働きがあるため、適量を守れば体に良い効果が期待できます。
ヨーグルトや納豆、味噌汁などに小さじ1杯弱かけるだけで、日々の食生活に簡単に取り入れられるのも、アマニ油の魅力です。
選び方や保存方法に注意しつつ、自分に合ったアマニ油の使い方を見つけ、健康的な生活にぜひ役立ててください。