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桑の葉は鎌倉時代の書物に「不老長寿の妙薬」との記述があるほど、古来より様々な効能が期待されてきた生薬のひとつです。
お茶に加工して飲むことで、桑の葉に特有のDNJと呼ばれる成分をはじめ、ビタミン・ミネラル・食物繊維などをバランス良く補給できます。
この記事では、桑の葉茶の効能・成分について詳しく解説します。
桑の葉茶の効果的な飲み方や注意点も併せて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
桑の葉茶とは?

桑の葉茶は、桑という樹木の葉を乾燥させて作るお茶で、「桑茶」「マルベリーティー」とも呼ばれています。
茶葉や粉末、ティーバッグなどで販売されており、手軽に楽しめる健康茶です。
桑はクワ科の落葉広葉樹で、絹(シルク)を作りだす蚕の飼料となる、日本でもなじみ深い植物です。
国内では大きく分けて「やまぐわ型」「からやまぐわ型」「ろそう型」の3種類が主に栽培されています。
国内の養蚕が盛んだった地域では、古くから桑の葉をお茶にして飲む習慣がありました。
近年では健康志向の高まりとともに、健康維持に役立つ成分を多く含むことから、桑の葉茶が健康食品のひとつとして大きな注目を集めています。
桑の葉茶は、食事の邪魔をしないスッキリとした味わいが特徴的で、クセや苦み自体もほとんど感じられません。初めてでもおいしく飲みやすいお茶です。
桑の葉茶に期待される効能

桑の葉茶は、ビタミン・ミネラル・食物繊維などの栄養素が多いだけでなく、ほかのお茶や食品からは摂りにくい特有の機能性成分も含まれています。
ここでは、桑の葉茶に期待できる効能を詳しく解説します。
生活習慣病の予防
桑の葉茶の最大の特徴は、DNJ(1-デオキシノジリマイシン)を豊富に含むことで、自然界では桑以外にはほとんど含まれない成分です。
DNJは、糖に似た構造を持つ「イミノ糖」の一種です。
炭水化物を消化する酵素の「α-グリコシダーゼ」を阻害する働きがあるため、食後血糖値の上昇を抑えて、糖尿病などの生活習慣病を防ぐ効果が期待できます。
DNJはその機能性の高さから注目され、DNJ含有量の多い桑茶の開発や、微生物を活用した生産技術の研究も進められています。
加えて、桑の葉茶には、強力な抗酸化作用を持つポリフェノールの一種「ルチン」も豊富です。
ルチンは「フラボノイド」に分類され、ソバ・かんきつ類・ベリー類などにも含まれています。
ルチンは皮膚や血管の健康維持に役立ち、心臓疾患・動脈硬化といった循環器疾患の予防・改善に役立つと考えられています。
ダイエット効果
桑の葉茶は、体脂肪の増加や余分な水分によるむくみを抑えて、ダイエットをサポートします。
DNJは、糖質の吸収を抑え、体脂肪の蓄積を抑える働きも期待されています。
また、余分な塩分(ナトリウム)や水分の排出を促す「カリウム」も多いので、むくみやすい体質の方は、桑の葉茶を取り入れていくとよいでしょう。
腸内環境の正常化
桑の葉茶には、第六の栄養素とも呼ばれる食物繊維が、ほかのお茶に比べてもとくに多く含まれています。
食物繊維は、腸内の悪玉菌の増殖や有害物質の生成を抑え、善玉菌を増やす働きがあります。便秘の改善にも効果的です。
ただし、食物繊維はお湯にはほとんど溶け出しません。食物繊維を積極的に摂りたい場合は、粉末タイプの桑茶を選ぶのがおすすめです。
アンチエイジング
桑の葉茶に含まれるルチンなどのポリフェノールやβ-カロテン・ビタミンEの抗酸化作用は、健康面に限らず、美容面でも役立ちます。
桑の葉茶を定期的に飲むことで、しみやしわの原因となる活性酸素を除去でき、若々しい肌の維持に役立ちます。
女性特有の不調を軽減
桑の葉茶に豊富な鉄分・マグネシウムといったミネラルは、月経前の女性に起こりがちなPMSの改善を助けると考えられています。
さらに、桑の葉茶にはリラックスを促す作用があるアミノ酸の一種「GABA」の含有量も多いため、女性ホルモンの乱れによるイライラ・不安感などに悩んでいる方にも適した飲み物です。
桑の葉茶の効能を生かせる飲み方・淹れ方

桑の葉茶は、ノンカフェインでいつでも気軽に飲めるお茶ですが、より効能を生かすには、飲むタイミングや期間が重要です。淹れるコツも併せて解説します。
飲むタイミングは食事前がベスト
桑の葉茶は、のどが渇いたときや運動後など、好きなタイミングで飲めるお茶です。
ノンカフェインなので、遅い時間帯に飲んでも睡眠に影響しません。
しかし、桑の葉茶に含まれる特有の成分「DNJ」の効果を最大限に引き出すなら食事前が理想的です。
食事をとる15分前を目安に桑の葉茶を飲むことで、食事からの糖質の吸収を抑制し、血糖値を安定させることができます。
継続的に飲むことが大切
桑の葉茶はあくまでも食品なので、薬のような即効性は期待できません。
桑の葉茶による変化を実感したいなら、日々の習慣として飲み続けることが重要です。
個人差はあるものの、桑の葉茶による効果が出始めるまで3~4か月程度かかることもあります。
まずは体質に合っているかを確認したうえで、長期的に飲み続けてみましょう。
一日にたくさん飲む必要はないので、ほかの飲み物も生活に取り入れつつ、無理のない継続を目指すとよいでしょう。
桑の葉茶を淹れる際のコツ
桑の葉茶は煮出すことで、健康に関わる成分を効率よく抽出できます。
水出しやお湯出しより、素早く抽出できて短時間で作れます。手順は以下のとおりです。
- やかんに適量の水を入れて沸騰させる。
- 桑の葉茶を入れて、弱火で約4~5分間を目安に煮出す。
お水は硬水よりも軟水の方が、桑の葉茶が持つ本来の香りや旨味を引き出せます。
また、作り置きも可能ですが、時間経過とともに抗酸化力が徐々に低下し、期待できる効果も弱まってしまいます。
桑の葉茶を煮出す際は、なるべく1日で消費できる量のみ作るとよいでしょう。
桑の葉茶を飲む際の注意点

桑の葉茶は、とくに副作用もなく、多くの人が安心して飲めるお茶です。
ただし、飲む量に気を付けるなど、いくつかの注意点もあるため紹介します。
飲み過ぎに気を付ける
桑の葉茶はノンカフェインのため、お子様や妊娠中・授乳中の方でも安心して飲めます。
ただし、桑の葉茶は食物繊維が豊富なため、飲みすぎるとお腹が張ったり、便通が緩くなったりすることがあります。
とくに、粉末タイプの桑の葉茶では、食物繊維の摂取量が多くなるため注意が必要です。
初めての方は1日1~3杯程度を目安に、様子を見ながら飲む量を少しずつ調節しましょう。
桑の葉茶を飲んではいけない人は?
桑の葉茶は、基本的に副作用はありませんが、カリウムが多く、腎不全などで医師からカリウム制限を受けている方にはおすすめできません。
また、その他の持病をお持ちの方も、薬との飲み合わせによっては良くない影響が生じる可能性があります。
常用している薬がある場合は、かかりつけの医師や薬剤師にご相談のうえでお飲みください。
まとめ
桑の葉茶は、活性酸素の除去や腸内環境の改善など、健康に役立つ多くの成分が含まれています。
また、ほかの食品では摂りにくいDNJが含まれており、食後の血糖値上昇を抑える働きがあります。
GABAによる抗ストレス作用もあるため、月経前の影響でホルモンバランスが乱れた際の、心身のバランスを整えたい方にも適した食品です。
健康習慣のひとつとして、ぜひ桑の葉茶を生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。