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未成年を対象とした少額投資非課税制度「ジュニアNISA(ニーサ)」は、2023年12月末で廃止されます。
ところが廃止が決まった途端、利用者が急増するという事態が発生し、子育て世帯を中心に静かなブームとなっています。
2023年に廃止されるジュニアNISAをやるべきか、迷っている人を対象に、始めるメリットやデメリット、いつまで申し込みができるのか、廃止後はどうなるのかなど、ジュニアNISAについて紹介します。
ジュニアNISAは2023年に制度廃止される
子どもの将来の教育資金の形成を目的としたジュニアNISAは、制度改正によって2023年末に廃止されます。
NISA(一般NISA)やつみたてNISAは聞いたことがあるけど、ジュニアNISAは知らなかったという方も多いかもしれません。
ジュニアNISAはどのような制度なのか、おさらいします。
そもそもジュニアNISAとは
そもそもジュニアNISAとは、2016年にスタートした少額投資非課税制度で、非課税投資枠は年間80万円が上限、投資期間が最長5年間となっています。
ジュニアNISAの対象年齢は、0歳から19歳以下の未成年でしたが、成年年齢の引き下げにより、2023年以降は同年1月1日時点で17歳以下が対象となります。
口座名義は未成年ですが、口座の運用・管理は、親や祖父母が行います。
通常、株や投資信託を購入して利益が出ると、20.315%の税金がかかりますが、ジュニアNISA を使うと税金はゼロになります。
例えば、子どもが一人いる夫婦だと、大人1人当たりの一般NISAの非課税枠は年間120万円なので、子どもと合わせて、家族3人で年間320万円までは、非課税で運用することができます。
ジュニアNISAが廃止される理由
金融庁によると、2022年3月末時点でのジュニアNISAの口座数はおよそ80万口座。
NISAの1,699万口座と比べると、極端に低い数字でした。
あまりの人気のなさに、2023年末に廃止されることになりました。
不人気の理由は、厳しい引き出し制限にあります。
ジュニアNISAは3月31日時点で18歳である年の前年12月31日まで、つまり高校3年生の12月末まで引き出しができませんでした。
さらに、途中で引き出した場合、過去に非課税で支払われた配当金や売却益に対し、さかのぼってすべて課税(遡及課税)される、という規定もネックになっていました。
ジュニアNISAはいつまで開始できるのか?
廃止されることになったジュニアNISAは、2023年12月末まで新しく口座を開設することができます。
つまり、2022年に申し込むと、2022年と2023年の2年間、毎年80万円×2年の合計160万円の非課税枠を利用して、運用することが可能です。
ジュニアNISAの対象となるのは、上場株式(日本株式・外国株式)や投資信託、ETF(上場投資信託)、REIT(上場不動産投資信託)など幅広い商品から選ぶことができます。
一括で80万円分購入しても、年数回に分けて購入しても構いません。
2024年1月1日以降は、ジュニアNISAの制度自体がなくなるため、新規申し込みができなくなります。
ジュニアNISA廃止後に変わる運用のルール
ジュニアNISAの廃止に伴い、運用ルールが変更になります。
これまでは引き出し基準が制限されていて、あまり人気がなかったのですが、2019年12月に廃止が決まり、運用ルールが撤廃されたことから、急激に利用者が増えました。
年間の口座開設の推移を表にまとめました。
2019年12月末 (廃止決定時) | 2020年12月末 | 2021年12月末 | 2022年3月末 |
---|---|---|---|
およそ35万口座 | およそ45万口座 | およそ72万口座 | およそ80万口座 |
参照:金融庁「NISA・ジュニアNISA利用状況調査」
変更点は以下の通りです。
- 2024年以降は払い出し制限が解除される
- ロールオーバーによって成人になるまで非課税での運用が可能
2024年以降は払い出し制限が解除される
ジュニアNISAは廃止に伴い、2024年以降の払い出し制限が解除されます。
これまでは、高校3年生の12月末まで引き出しができず、万が一途中で引き出すと、過去に非課税で支払われた配当金や売却益に対してすべて課税されたのですが、2024年以降は、いつでも自由に、上場株式などを売却して引き出すことができるようになりました。
例えば、中学生が2024年4月に高校に入学した場合、これまでジュニアNISAで運用していた日本株式などを引き出して、学費や塾の費用などに充てることができるようになりました。
ロールオーバーによって成人になるまで非課税で運用が可能
ジュニアNISA廃止に伴い、ロールオーバー(移管)によって成人になるまで非課税での運用が可能になりました。
ジュニアNISAは5年間非課税となっているのですが、非課税期間終了後にロールオーバーすることで、さらに5年間、非課税で引き続き保有することができるのが原則でした。
しかし2024年からは、成人になるまで非課税での運用ができるようになりました。
未成年者が成人になると、一般NISA(2024年から新NISA)の口座が自動で開設され、ジュニアNISA口座で保有している銘柄をロールオーバーすることができます。
ジュニアNISA廃止時の年齢による対応の違い
2023年12月に廃止されるジュニアNISAですが、廃止後どうなるのか、どうすればいいのかを廃止時の年齢によって紹介します。
成人年齢の引き下げにより、2023年1月1日からは成人は18歳となります。
- 制度廃止までに成人になる場合
- 制度廃止までに成人にならない場合
制度廃止までに成人になる場合
2023年末の制度廃止までに成人になる場合、手続きを行わなくても一般NISA口座が自動的に開設され、ジュニアNISAで投資をしてきた銘柄は、NISA口座に移行されます。
つみたてNISA口座を開設したい場合は、口座が自動的に開設されないため、手続きを行う必要があります。
制度廃止までに成人にならない場合
2023年12月末までに成人しない場合、2024年以降、非課税期間が終了した商品を継続管理勘定にロールオーバーすることができます。
継続管理勘定では、18歳まで(1月1日時点で18歳である年の前年12月31日まで)、非課税で保有することができます。
ロールオーバーできる金額に上限はありません。時価が80万円を超えていても、すべてを継続管理勘定に移せます。
2022年10月に生まれたばかりの0歳児がジュニアNISAを開設し、80万円投資して、時価が100万円になったとしても、成人になるまで非課税の恩恵を受け続けることが可能です。
廃止が決まっているジュニアNISAを始めるメリットはある?
廃止されることが決まっているジュニアNISAを今から始めることにメリットはあるのでしょうか。
2022年に始めると、2年間で160万円の非課税投資ができることは前述した通りです。
ジュニアNISAは、つみたてNISAより幅広い銘柄に投資でき、日本株式や米国株式などのハイリスク商品も対象です。
今から始めると、成人になるまで、非課税枠で運用でき、2024年以降になると、運用資金は、いつでも引き出せます。
一方デメリットは、ジュニアNISAでの投資期間が2年を切っていること、ハイリスク商品を扱っているため、元本保証がないことが挙げられます。
NISAを活用している世帯であれば、ジュニアNISAも活用することで、年間の非課税枠を増やすことができ、最大限のメリットを受けることができそうです。
まとめ
2023年12月に廃止されるジュニアNISAは、廃止が決まったことで利便性が高まり、運用しやすくなりました。
年間80万円まで非課税枠で運用でき、2024年以降は成人になるまでロールオーバーされ、非課税枠が延長されます。
2023年12月末まで、新規口座開設を行うことができるので上手に活用してください。
資産に余裕がある方は、子どもの将来のためにジュニアNISAを始めてみませんか。