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サラリーマンは、給与から自動的に税金が引かれているため、節税の意識が薄くなりがちです。
しかし、サラリーマンでも少しの対策で節税効果を得られる可能性があり、実際に対策をしている人と、対策をしていない人では可処分所得に大きな差が生まれるでしょう。
本記事では、サラリーマンが実践できる基本的な節税対策から、知っておくと便利な対策について紹介します。
節税を行って可処分所得を増やしたい方は、ぜひ本記事の内容を参考にしてください。
控除制度とは
控除制度とは、納税者が負担する税金を軽減するために、所得や税額から一定の金額を差し引く仕組みです。
控除には「所得控除」と「税額控除」があり、所得控除は課税所得を減らすことで税金を軽減し、税額控除は直接税金の額を減らします。
代表的な所得控除には、扶養控除や社会保険料控除、生命保険料控除などがあり、納税者の個人的事情に応じて適用可能です。
税額控除には配当控除や外国税額控除などがあります。
これらの控除を活用することで、所得税や住民税の負担を軽減可能です。
サラリーマンができる基本的な節税対策
サラリーマンは、さまざまな方法で節税対策ができます。
サラリーマンができる基本的な節税対策を4つ紹介するので、実践できそうなものがないか確認してみてください。
所得控除
所得控除は、所得税や住民税を計算する際、課税所得から一定額を差し引ける制度です。
所得控除は15種類あり、代表的な所得控除には、扶養控除や生命保険料控除、医療費控除などがあります。
例えば、納税者に配偶者以外の扶養親族がいる場合、条件が合えば人数に応じて扶養控除が適用され、課税所得の節税が可能です。
このように、所得控除を活用することで税の負担を軽減できるため、自分に利用できる控除がないかを確認しておきましょう。
ふるさと納税
ふるさと納税は、地方自治体に寄附を行うことで、支払った金額から2,000円を引いた額が所得税と住民税から控除される制度です。
例として、3万円を好きな地方自治体に寄附をすると、2,000円が引かれた28,000円の控除を受けられます。
しかし、実際は税金を前払いしているだけのため、節税対策とはいえません。
それでも、自己負担額2,000円で自治体の返礼品がもらえるため、とてもお得な制度といえます。
控除される金額には限度があるため、ふるさと納税を行う前に自分の控除可能な上限額を確認しておきましょう。
iDeCo(確定拠出年金)
iDeCo(イデコ)は、自分で積み立てた掛け金を老後に受け取るための個人型確定拠出年金制度です。
iDeCoの魅力は、掛金が全額所得控除の対象になる点にあります。
iDeCoを利用することで課税所得が減少するため、所得税や住民税の節税になる点が大きなメリットです。
また、運用益も非課税となるため、税制優遇の恩恵を受けながら老後資金を準備できます。
ただし、60歳になるまで引き出せないため、長期的な視点での資産形成が必要です。
NISA
NISA(ニーサ)は、保有する金融商品の一定額までの売却益と配当が非課税になる制度です。
通常、株式や投資信託の利益には20.315%の税金がかかりますが、NISAを利用することでその税金が非課税になります。
また、2024年1月1日に始まった新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を合わせて年間360万円までの投資額が対象です。
生涯非課税限度額は1,800万円で、最短だと5年で枠を使い切れます。
控除制度とは異なりますが、NISAを活用することで効率的に資産形成を行えるでしょう。
余裕があれば検討したいサラリーマンの節税対策
基本的な節税対策以外に、サラリーマンができる節税について紹介します。
実践できそうであれば、ぜひ試してみてください。
不動産投資をする
不動産投資には、減価償却が利用できるメリットがあります。
減価償却とは、不動産のような高額資産を取得した際、その購入費用を一定期間に分割して経費として計上できる仕組みです。
さらに、不動産投資で赤字が出た場合は、損益通算によりほかの利益と相殺できるため、全体的な税負担を減らせます。
ただし、不動産には固定資産税などの追加コストや投資による資産の変動リスクもあるため、慎重に検討しましょう。
副業をする
サラリーマンが副業を始めて会社を設立したり、個人事業主になったりすると節税効果を期待できるケースがあります。
それぞれのケースでどのような節税効果があるのか確認していきましょう。
会社を設立する
副業による事業所得があるサラリーマンが会社を設立することで、節税につながるケースがあります。
経費の幅が広がったり、所得を家族と分散したりすることで節税になるのが会社を設立するメリットです。
しかし、副業の利益が少ない場合には、会社を設立しても節税効果は期待できません。
一般的に、課税所得が500〜600万円程度になると法人化するメリットが大きくなり、節税効果が期待できる可能性が出てきます。
法人化は副業が軌道に乗った段階で検討しましょう。
個人事業主になる
副業をしているサラリーマンは、税務署に開業届を提出して個人事業主になることで節税につながる可能性があります。
個人事業主は青色確定申告を行えるため、最大で65万円の控除が受けられるのがメリットです。
また、青色申告では3年間の赤字繰り越しが認められており、赤字が出た際には翌年以降の黒字と相殺することで、利益が出た年の税負担を軽減できます。
この仕組みにより、長期的に見て節税効果が期待できるでしょう。
サラリーマンの節税でよくある質問
サラリーマンが節税する際によく出る疑問について紹介します。
節税の参考になるので、チェックしておきましょう。
スーツは経費になる?
サラリーマンのスーツは、特定支出控除を利用すれば経費として認められる可能性があります。
特定支出控除は、業務に必要な費用の個人負担が多い場合に利用できる制度です。
しかし、制度の利用にはいくつかの条件があります。
例えば、スーツ購入の費用が自己負担であることや、業務上でのみ使用する証明をしなければいけません。
そのためには、会社から証明書を発行してもらったり、会社にスーツを保管してプライベートで使用しないようにしたりすることが必要です。
また、サラリーマンであってもスーツを経費にするには自分で確定申告を行う必要があります。
株で損をしたら節税できる?
株取引で損失を出した場合、その損失で節税が可能です。
損失を確定申告することで、ほかの株取引による利益や配当と損益通算を行い、税負担を軽減できます。
ただし、給与や年金など、ほかの所得とは相殺できない点に注意が必要です。
さらに、条件によっては損失を3年間にわたり繰り越しできる「繰越控除」も利用できます。
これにより、将来の株取引で得た利益と相殺できるため、節税効果の継続が可能です。
年末調整と確定申告の違いは?
年末調整と確定申告は、どちらも所得税の計算に関する手続きですが、それぞれ目的や対象者が異なります。
年末調整は、主に会社員が対象で、1年間に会社が源泉徴収した所得税を最終的に調整する手続きです。
会社が年末に給与や賞与の金額に基づいて税額を再計算し、多すぎた税金は還付され、不足している場合は追加徴収されます。
一方で、確定申告は、個人事業主やフリーランスが対象です。
納税者自らで1年間の所得や経費を申告し、最終的な税額を決定します。
まとめ
今回は、サラリーマンができる節税対策について紹介しました。
サラリーマンの場合、所得控除やふるさと納税、iDeCoの活用など、さまざまな方法で節税が可能です。
これらの制度を上手に利用することで、税負担を軽減しつつ、資産形成にもつなげられます。
自身にとって適切な節税対策を行い、可処分所得を増やせるように計画してみてください。