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冬の風物詩ともいえる定番の果物、みかん。
手元にあるとついつい食べてしまうことも多いのではないでしょうか。
そんなみかんの栄養と栄養素の働きや、栄養の詰まったみかんの選び方などを詳しく解説します。
みかんの主な栄養とその効能
「みかん」は正確には、皮をむきやすい小型の柑橘類のこと。
その中でもとくに流通量の多い「温州(うんしゅう)みかん」を一般的に「みかん」と呼んでいます。
温州みかんの可食部100gあたりにふくまれる栄養素を見ていきましょう。
栄養素 | じょうのう (薄皮あり) | 砂じょう (薄皮なし) | 果汁100% ストレートジュース |
---|---|---|---|
エネルギー | 49kcal | 49kcal | 45kcal |
炭水化物 | 12g | 11.5g | 10.6g |
食物繊維 | 1g | 0.4g | 0g |
ビタミンA (レチノール活性当量) | 84μg | 92μg | 35μg |
ビタミンC | 32mg | 33mg | 2mg |
ナイアシン | 0.3mg | 0.3mg | 0.2mg |
パントテン酸 | 0.23mg | 0.23mg | 0.14mg |
葉酸 | 22μg | 22μg | 15μg |
ビタミンC | 32mg | 33mg | 2mg |
カリウム | 150mg | 150mg | 130mg |
カルシウム | 21mg | 15mg | 8mg |
マグネシウム | 11mg | 10mg | 8mg |
「じょうのう」とは果皮(みかんの皮)をむいた中にある、いわゆる薄皮に包まれた部分です。
「砂じょう(さじょう)」は、じょうのうの中に詰まっているプツプツとした、とても小さい粒のこと。
薄皮をむかずに食べた方がやや栄養が多く、とくに食物繊維とカルシウムの量に差が出ます。
薄皮(じょうのう)の表面についている白いスジ(維管束)は、薄皮の中の砂じょうに栄養を運ぶためのもので、食物繊維とヘスペリジンというビタミンPが豊富です。
ストレートジュースとは、絞った果汁をそのままジュースにした果汁100%のジュースです。
加工前のみかんよりも栄養素は全体的に少なくなってしまいますが、お手軽にみかんの栄養を摂れるというメリットもあります。
中くらいの大きさのみかんの重さが120g前後で、果皮をむくとちょうど100gほどなので、みかん1個あたりの栄養素は表とほぼ同じ数値になります。
一日の栄養素の摂取目安量とみかんの栄養素の量を比較
日本人が一日に摂取する栄養素についてまとめた、厚生労働省による「日本人の食事摂取基準(2020年版)」を基に、栄養素の目安量とみかんにふくまれる栄養素の量を比べてみましょう。
一日に必要な栄養素の量は性別や年齢・身体活動レベル・疾患の有無・妊娠の有無などによって変化します。
身体活動レベルとは一日にどのくらい体を動かすかというもので、通勤や家事・立ち仕事の有無などによって、高い・普通・低いの3段階に分けられ、日本人の半数が「普通」のレベルに該当します。
この記事では身体活動レベルが普通で、疾患・妊娠・授乳がない、18歳~64歳の方の数値を紹介しています。
ビタミンA
一日に必要なビタミンAとみかん一個(100g)にふくまれるビタミンAの量
年齢 | 男性 | 女性 | みかん(レチノール活性当量) |
---|---|---|---|
18歳~29歳 | 850μgRAE | 650μgRAE | 35μgRAE |
30歳~64歳 | 900μgRAE | 700μgRAE |
ビタミンAはレチノール、レチナール、レチノイン酸と、体内でビタミンAに変換されるβ-クリプトキサンチンをはじめとするプロビタミンAからなるビタミンのひとつです。
みかん一個あたりにはβ-クリプトキサンチンが1800μgふくまれていますが、これがそのまま同じ量のビタミンAになるのではなく、体内で栄養として利用できる相当量に置き換えた「レチノール活性当量(RAE)」で表します。
ビタミンAの働き
- 肌の健康を維持する
- 目や鼻などの粘膜を正常に保ち、細菌・ウイルスから守る
- 暗闇でも目が見える「暗順応」に関わる
ビタミンAが不足すると肌や粘膜が荒れやすくなったり、暗い所や夜間で極端にものが見えにくくなる夜盲症を患ったりすることがあります。
ビタミンAは脂溶性ビタミンといって体内に蓄積しやすく、過剰摂取すると悪影響を及ぼすため、摂取しすぎないよう気をつける必要があります。
ナイアシン
一日に必要なナイアシン(ナイアシン当量)とみかん一個(100g)にふくまれるナイアシンの量
年齢 | 男性 | 女性 | みかん |
---|---|---|---|
18歳~29歳 | 15mgNE | 11mgNE | 0.3mg |
30歳~49歳 | 15mgNE | 12mgNE | |
50歳~64歳 | 14mgNE | 11mgNE |
ナイアシンはビタミンB群のひとつです。
アミノ酸のトリプトファンは体内でナイアシンに合成されるため、一日に必要なナイアシンの量はトリプトファンの摂取量も考慮した「ナイアシン当量(NE)」で表します。
ナイアシンの働き
- 糖質、タンパク質、脂質からエネルギーを産生する酵素の働きを助ける
- 脂肪酸やステロイドホルモンの生合成に関わる
- DNAのの修復、合成、細胞分化に関わる
体を正常に保つための酵素を補助していて、その役割は多岐にわたります。
健康な体を作る、縁の下の力持ちといったところです。
パントテン酸
一日に必要なパントテン酸とみかん一個(100g)にふくまれるパントテン酸の量
年齢 | 男性 | 女性 | みかん |
---|---|---|---|
18歳~49歳 | 5mg | 5mg | 0.23mg |
50~64歳 | 6mg | 5mg |
パントテン酸の働き
- エネルギー代謝を行う酵素を助ける
- 善玉コレステロールを増やす
- 免疫抗体を合成する
パントテン酸もビタミンB群のひとつです。
パントテン酸にはギリシャ語で「どこにでもある酸」という意味があり、多くの食品にふくまれているため不足することはあまりありませんが、体の健康を保つための役割を多く担っています。
葉酸
一日に必要な葉酸とみかん一個(100g)にふくまれる葉酸の量
年齢 | 男性 | 女性 | みかん |
---|---|---|---|
18歳~64歳 | 240μg | 240μg | 22μg |
葉酸の働き
- 赤血球を産生する
- DNA、RNA、たんぱく質の生合成をうながす
葉酸もビタミンB群を構成する栄養素のひとつ。
私たちの体を作る細胞の設計図ともいえるDNAとRNA、そして設計図に基づいて作られるたんぱく質の生合成を助けてくれます。
妊娠中・妊活中の女性で葉酸が不足すると、胎児が「神経管閉鎖障害」という先天異常になるリスクが高まるため、妊娠前からの積極的な摂取が呼びかけられています。
ビタミンC
一日に必要なビタミンCとみかん一個(100g)にふくまれるビタミンCの量
年齢 | 男性 | 女性 | みかん |
---|---|---|---|
18歳~64歳 | 100mg | 100mg | 32mg |
ビタミンCの働き
- 皮膚、血管、軟骨などを正常に保つためのコラーゲンを合成する
- 免疫細胞や免疫物質の働きを活発にし、ウイルスや病原菌に対する免疫力を高める
ビタミンCはみかんの栄養素の中でもとくに多く、一日に必要なビタミンCの約3割を摂取することができます。
ビタミンCが不足するとコラーゲンも作れなくなり、血管がもろくなったり免疫力が低下したりしてしまいます。
かつて新鮮な野菜や果物を食べることが難しかった時代の船乗りの間では、ビタミンCの不足による壊血病が珍しくありませんでした。
ナイアシン・パントテン酸・葉酸などのビタミンB群とビタミンCは水溶性ビタミンといい、摂りすぎた分は尿と一緒に排出されるため、過剰摂取の心配はほぼありません。
カリウム
一日に必要なカリウムとみかん一個(100g)にふくまれるカリウムの量
年齢 | 男性 | 女性 | みかん |
---|---|---|---|
18歳~64歳 | 3000mg以上 | 2600mg以上 | 150mg |
カリウムの働き
- 体内の浸透圧を調整して一定に保つ
- 体液のpHバランスを保つ
- ナトリウムを排出する
カリウムはミネラルの一種で、浸透圧を調整して体内にあるさまざまな物質の濃度が偏らないようにしてくれています。
ナトリウム(塩分)の排出をうながす働きもあり、塩分の摂取量が増えやすい日本人にとって重要な栄養素です。
カルシウム
一日に必要なカルシウムとみかん一個(100g)にふくまれるカルシウムの量
年齢 | 男性 | 女性 | みかん |
---|---|---|---|
15歳~29歳 | 800mg | 650mg | 21mg |
30歳~64歳 | 750mg | 650mg |
カルシウムの働き
- 骨や歯を形成する
- 血液の凝固をうながして出血を防ぐ
体内のカルシウムの99%が硬組織として骨と歯に存在していて、不足すると骨粗鬆症になりやすくなります。
骨は歩いたり運動したりなどの負荷をかけることで骨密度が上がりやすくなるため、カルシウムの摂取と運動を組み合わせるとよいでしょう。
マグネシウム
一日に必要なマグネシウムとみかん一個(100g)にふくまれるマグネシウムの量
年齢 | 男性 | 女性 | みかん |
---|---|---|---|
18歳~29歳 | 340mg | 270mg | 11mg |
30歳~64歳 | 370mg | 290mg |
マグネシウムの働き
- 骨を形成する
- 体内の酵素を活性化させてさまざまな代謝を助ける
- 体温と血圧を調整する
マグネシウムもカルシウムとともに骨を形成するほか、酵素の働きを助ける、血管を広げて血圧を下げやすくするなどの役割を果たしています。
カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルはそれぞれに影響しあいながら体内に吸収されるため、バランスよい摂取が大事です。
栄養たっぷりのみかんを選ぶポイント
栄養が詰まった、おいしいみかんの選び方を見ていきましょう。
- 濃いオレンジ色をしていて色ムラがない
- 平べったい形をしている
- 皮の細かい粒(油泡)がきめ細かく、数が多い
- ずっしりとした重さがある
- ヘタが緑色で軸が細い
みかんは縦方向に成長してから横方向に成長するため、扁平な形のみかんは甘いといわれています。
皮にある油泡がきめ細かいみかんも糖度が高く、甘くなる傾向にあります。
また、ヘタの切り口が細いものほど水分が少なく栄養が多いため、濃厚な味になりやすいです。
薄皮と白いスジには栄養が詰まっている
じょうのう(薄皮)と維管束(薄皮の表面の白いスジ)にも栄養が詰まっていて、食物繊維が豊富にふくまれています。
食物繊維は便通を整える作用があるので、苦手でなければ白いスジも食べた方がみかんの栄養素を余すことなく摂ることができます。
みかんの保存方法
みかんはもともと長持ちする果物ですが、おいしさを損なわない保存方法で最後の一個までおいしく食べられます。
- 涼しく風通しの良い場所で保存する
- ヘタを下にして並べると乾燥が防げて長持ちしやすい
- 量が多いときは一番下のみかんから食べていく
冬場は暖房のきいていない場所で、夏場なら冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。
重なったみかんは下にいくほど傷みやすくなるため、一番下のみかんから取っていくと傷みが他のみかんに移らず、みかん全体が良い状態で長持ちします。
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