目次
かぼちゃは栄養豊富な野菜で、昔から「冬至に食べると長生きする」ともいわれ、重宝されてきました。
この記事では、かぼちゃに含まれる栄養成分について詳しくまとめています。
さらに、かぼちゃの種類別の特徴と栄養価の違いや、健康や美容に期待できる効能、かぼちゃの栄養を効果的にとる調理のコツなども紹介します。
かぼちゃに含まれる栄養素
かぼちゃが日本に伝来したのは16世紀で、カンボジアから伝わったといわれています。その後、日本でも栽培されるようになりました。
ここでは、近年の日本で親しまれている主なかぼちゃの種類や、栄養価について解説します。
かぼちゃの種類と分類
日本のかぼちゃは主に、日本かぼちゃ・西洋かぼちゃ・ペポかぼちゃの3種に分けられており、それぞれ下記のような特徴があります。
- 日本かぼちゃ:ねっとりした食感で、甘味が少ない。
- 西洋かぼちゃ:ほくほくとした食感で、甘味が強い。
- ペポかぼちゃ:ユニークな形が多く、淡泊な味わい。
「日本かぼちゃ」は、煮物などの日本料理などに最適ですが、今では貴重な種類のため、一般的には見かけにくいかぼちゃです。
よく売られているのは「西洋かぼちゃ」で、坊ちゃんかぼちゃや黒皮栗かぼちゃなど、複数の品種があります。
「ペポかぼちゃ」の身近な品種には、そうめんかぼちゃやズッキーニなどがあります。
ズッキーニはきゅうりに似た形をしており、食感はナスのようですが、じつはかぼちゃの一種です。
そうめんかぼちゃは「金糸瓜」とも呼ばれ、果肉が繊維状になっているのが特徴です。茹でると麺のようにほどけることから、そうめんかぼちゃと呼ばれています。
ひょうたん型のかぼちゃ「バターナッツかぼちゃ」は、見た目がユニークなためペポかぼちゃの一種にも思えますが、日本かぼちゃの一種です。
かぼちゃの種類によって栄養価は異なる
かぼちゃは、種類によって栄養価にも違いがあります。
かぼちゃに含まれる栄養を重視したり、カロリーを意識したりするときには、かぼちゃの種類も考慮するとよいでしょう。
かぼちゃの種類別の主な栄養成分表
下記は、日本かぼちゃ、西洋かぼちゃ、ペポかぼちゃの一種である「そうめんかぼちゃ」について、生のかぼちゃ100gあたりの、主な栄養素の含有量を比較した表です。
かぼちゃの種類 | 日本 かぼちゃ | 西洋 かぼちゃ | そうめん かぼちゃ |
---|---|---|---|
カロリー(kcal) | 41 | 78 | 25 |
糖質(g) | 8.1 | 17.1 | 4.6 |
炭水化物(g) | 10.9 | 20.6 | 6.1 |
食物繊維総量(g) | 2.8 | 3.5 | 1.5 |
カリウム(mg) | 420 | 430 | 260 |
β-カロテン(μg) | 1400 | 2500 | 49 |
ビタミンC(mg) | 16 | 43 | 11 |
ビタミンE(mg) | 2.2 | 3.9 | 0.2 |
※ビタミンEはα-トコフェロールについての値を、食物繊維総量はプロスキー変法での測定値を記載。
西洋かぼちゃは、炭水化物や糖質が多く、カロリーはそうめんかぼちゃの約3倍もあります。
β-カロテンをはじめとする微量栄養素についても、西洋かぼちゃが一番多いのが特徴です。
そうめんかぼちゃは、水分を多く含んでおり、栄養素の含有量は他のかぼちゃに比べて少なくなっています。
生の状態での水分量は、そうめんかぼちゃが一番多く、次が日本かぼちゃで、西洋かぼちゃが一番少ないです。
参考:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」を元に計算
西洋かぼちゃの栄養成分に期待できる効果・効能
一般的に手に入りやすい西洋かぼちゃは、カロリーや糖質が多いですが、β-カロテンが豊富で、ビタミンC・ビタミンE・食物繊維なども多く含まれていることが特徴です。
これらの栄養素の働きによって、健康や美容に嬉しい効果や効能が期待できます。
生活習慣病予防や免疫力向上
西洋かぼちゃに含まれる、β-カロテン(ビタミンA)・ビタミンC・ビタミンEは、三大抗酸化ビタミンと呼ばれ、活性酸素の働きを抑える作用があります。
活性酸素は、動脈硬化や免疫力低下などを引き起こす原因となるため、これらの抗酸化ビタミンにより、生活習慣病予防や免疫力向上が期待できます。
冷え性の緩和
西洋かぼちゃに含まれるビタミンEは、血行促進作用で体を温めたいときに役立つことから、冷え性の緩和にも効果が期待されています。
血行不良による肩こりなどにも効果が期待できるでしょう。
漢方の考え方でも、かぼちゃは体を温める食材に分類されています。
老化予防や美肌効果
β-カロテン(ビタミンA)・ビタミンC・ビタミンEの三大抗酸化ビタミンの抗酸化作用は、老化予防や美肌効果などでも注目されています。
活性酸素は、過剰に発生すると体内でダメージにつながり、老化の原因となります。
体内の活性酸素に対処する能力は年齢と共に低下するため、抗酸化作用のある物質を補うことは老化防止になるでしょう。
また、美肌については、ビタミンCの持つ、メラニンの生成を抑える働きも役立ちます。
むくみの緩和
むくみは、体内でナトリウムの量が過剰になり、余分な水分を溜め込んでしまうことなどが原因で起こります。
ナトリウムが原因のむくみの緩和には、カリウムを摂取してナトリウムを排泄すると効果的です。
西洋かぼちゃにはカリウムが多く含まれているため、むくみの緩和に効果が期待できるでしょう。
便秘の緩和
便秘の緩和では、腸内環境を整える働きが期待できる食物繊維が役立ちます。
かぼちゃは食物繊維が多い野菜のひとつです。西洋かぼちゃは、日本かぼちゃやそうめんかぼちゃと比較しても、食物繊維を一番多く含んでいます。
そのため、便秘の改善に効果が期待できるでしょう。
かぼちゃの栄養を効果的にとれる食べ方
かぼちゃに含まれる栄養素をとるには、調理方法の工夫も大切です。
かぼちゃの皮や種にも栄養があるため、捨てずにおいしく食べると効果的です。
個々の栄養成分の特性に合わせた調理方法があるため、上手にレシピを選んで効率良く栄養をとりましょう。
加熱するときは油と一緒に調理する
かぼちゃに含まれるβ-カロテン(ビタミンA)やビタミンEは、脂溶性ビタミンのため、油と一緒に摂ることで吸収されやすくなります。
炒め物や揚げ物など、油を使った調理方法で食べるのもよいでしょう。
水分も一緒に食べられる調理方法がおすすめ
かぼちゃに含まれるビタミンCやカリウムは、水に溶けやすい性質があります。
そのため、ビタミンCやカリウムを十分に摂取したいときは、調理の際の水分も一緒にとれるスープや、水を使わない調理方法がおすすめです。
かぼちゃの皮や種の食べ方
かぼちゃの皮にも、β-カロテンやビタミンC、食物繊維などの栄養素が含まれているため、皮ごと食べるのもおすすめです。
皮ごと加熱調理すれば皮も柔らかくなりますが、食感が気になるなら、ミキサーなどで攪拌してポタージュなどにするとより食べやすくなるでしょう。
また、厚めに剥いた皮の部分のみを、きんぴらなどにして食べることもできます。
かぼちゃの種は、ミネラルや食物繊維、体内で合成できない必須脂肪酸であるリノール酸などが多く含まれることで注目されています。
かぼちゃの種だけの市販品がありますが、自分でかぼちゃから種の部分を取り出し、調理して食べることもできます。
生のかぼちゃの種の調理方法
- かぼちゃから種を取り出してよく洗い、わたやぬめりを取り除きます。
- 電子レンジで数分加熱、または数日置いて自然乾燥させるなどして、種を乾燥させます。
- ハサミなどを使って種の殻を剥いて中身を取り出し、フライパンに入れて弱火で乾煎りしたらできあがりです。
このほかにも、殻ごとオーブンで加熱する、味付けをするなど、調理方法はいろいろあります。
お好みのレシピで試してみてください。
まとめ
かぼちゃは、β-カロテンをはじめ、ビタミン類や食物繊維などを多く含む、栄養豊富な野菜です。
種類によっても、見た目や味わいだけでなく、栄養価も異なります。
かぼちゃの栄養成分を効果的に摂取することはもちろん、カロリーを抑えたいときにはそうめんかぼちゃを食べるなど、その時々の目的に合わせて選び方を工夫するとよいでしょう。
かぼちゃをおいしく食べて、健康や美容に活かしてみてください。