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日本で縄文時代から栽培されてきたあずきには、健康によい成分がたくさん含まれています。
あずき茶は、煎ったあずきを煮出すか煎じた飲み物です。近年、健康や美容によいと注目されています。
この記事では、あずき茶の効能を成分ごとに詳しく解説します。豆から作るあずき茶のレシピも紹介しているので、参考にしてみてください。
あずき茶に含まれる成分と効能
あずき茶には、ポリフェノールをはじめ、健康や美容によい成分が豊富に含まれます。
この章では、あずき茶の効能を成分ごとに詳しく解説します。
ポリフェノール|生活習慣病の予防、血糖値の上昇抑制
あずき茶には、プロシアニジンなどのポリフェノールが豊富に含まれます。
プロシアニジンは、リンゴやブドウ、黒豆などに含まれるポリフェノールで、強い抗酸化作用をもつのが特徴です。
あずき茶に含まれるポリフェノールの抗酸化作用により、以下の効能が期待できます。
- 生活習慣病の予防
体内で活性酸素が過剰に産生されると、細胞が傷つけられ、生活習慣病を引き起こすことがあります。
あずき茶に含まれるポリフェノールは活性酸素の影響を抑え、生活習慣病の予防に役立ちます。 - 肝機能を正常に保つ
肝臓に蓄積される脂肪の酸化が抑えられるため、肝機能が正常に保たれます。 - 肌の老化防止
活性酸素の影響によるシワやシミなど、肌の老化を防ぐ効果が期待できます。
また、あずき茶には血糖値の上昇を抑制する効果も期待できます。
これは、あずきポリフェノールが糖分解酵素の働きを抑制するためです。
食物から摂った糖質は、最終的にブドウ糖などの単糖に分解され、吸収されます。
あずきポリフェノールにより糖の分解が阻害されると、吸収が妨げられ血糖値が上がりにくくなります。
血糖値の上昇を防ぎたいときは、食事の際にあずき茶を飲むのがおすすめです。
サポニン|冷え性改善、肥満予防
あずき茶に含まれるサポニンには、冷え性改善や肥満予防などの効果が期待できます。
サポニンは、とくにマメ科植物に多く含まれる、苦みや渋みのある成分です。
あんこを作る際に「渋きり」といって捨てられるゆで汁には、サポニンやタンニンなどの渋み成分が溶け出しているのです。
サポニンには以下のような効能があります。
- 冷え性改善、血栓予防
毛細血管の血流をよくし、冷え性を改善します。
血液サラサラ効果で、血管内に血栓ができるのを予防します。 - 肥満予防
脂肪の材料である脂肪酸の合成を抑制し、中性脂肪の蓄積を抑えます。
脂肪の吸収が抑えられるため、肥満予防に効果的です。 - 免疫力アップ
リンパ球の一種である「ナチュラルキラー(NK)細胞」を活性化します。
NK細胞は細菌やウイルスを攻撃する力が強く、それらの外敵から体を守り免疫力をアップさせます。
ビタミンB群|疲労回復、筋力アップ
あずき茶には、疲労回復や筋力アップに効果のあるビタミンB群も豊富に含まれます。
ビタミンB群には、さまざまな酵素の働きを助ける補酵素の役割があります。
あずき茶に含まれるビタミンB群の主な作用は、以下のとおりです。
- ビタミンB1
糖質のエネルギー代謝を助け、疲労回復に効果があります。 - ビタミンB2
脂質のエネルギー代謝を助け、細胞の再生に欠かせないビタミンです。
皮膚や粘膜の代謝に関与し、肌トラブルや口内炎を予防します。 - ビタミンB6
たんぱく質やアミノ酸の代謝を助け、筋力アップに欠かせないビタミンです。 - 葉酸
ビタミンB12とともに赤血球の生成に関わり、貧血を予防します。
あずきにはビタミンB12は含まれないため、B12を含む動物性の食品を一緒に摂ることが大切です。
カリウム|むくみ改善、高血圧予防
あずき茶に含まれるカリウムは、むくみ改善や高血圧予防に効果があります。
体が塩分(ナトリウム)過多になると、それを薄めようとして体内の組織が水分を多く抱え込みます。これがむくみの原因のひとつです。
同様に、血中のナトリウム濃度が高くなると水分が増え、血流が増大し、血圧が上がります。
カリウムには細胞内の浸透圧を正常に保つ作用があり、体内の余分なナトリウムの排出を促します。
あずき茶を飲むとナトリウムの排出が促進されるため、むくみ改善、高血圧予防に効果的です。
鉄・銅・カルシウム|貧血予防、骨の形成
あずき茶には、鉄、銅、カルシウムなども豊富に含まれます。
鉄と銅は、貧血予防に欠かせないミネラルです。どちらも人体に微量含まれ、成人の体内には、鉄は3〜5g、銅は70〜100mgほど存在します。
鉄は、血液に含まれるヘモグロビンの成分です。ヘモグロビンには体全体へ酸素を運ぶ役割があるため、鉄が不足すると貧血になったり疲れやすくなったりします。
銅はヘモグロビンの合成に関わり、鉄とともに貧血を予防する必須ミネラルです。
カルシウムは、人体にもっとも多く存在するミネラルで、体重の1〜2%を占めます。このうち約99%が骨や歯に存在し、骨格を形成しています。
カルシウムの不足は、骨粗しょう症、高血圧、動脈硬化などの原因となります。
とくに、鉄とカルシウムは日本人に不足しがちな栄養素です。意識して摂取しましょう。
食物繊維・オリゴ糖|便秘改善
あずきには、便秘の改善に役立つ食物繊維とオリゴ糖が豊富に含まれます。
あずきに多く含まれているのは、水に溶けない性質をもつ「不溶性食物繊維」です。
不溶性食物繊維は、腸内で水分を吸収して膨らみ、便のカサを増やして排便を促します。
また、食物繊維もオリゴ糖も、腸内細菌の栄養となって善玉菌を増やし、腸内環境を整えます。
食物繊維やオリゴ糖は、粉末タイプのあずき茶に多く含まれます。手作りのあずき茶なら、煮出したあとの豆を食べると摂取できます。
次の章では、豆から作るあずき茶のレシピを紹介します。
あずき茶の種類と作り方
市販のあずき茶には、ティーバッグや粉末、ペットボトルなどの種類があり、それぞれ作り方や栄養面で違いがあります。
この章では、市販のあずき茶の種類と、豆から手作りするあずき茶のレシピを紹介します。
市販のあずき茶の種類
市販されているあずき茶は、主に以下のような種類に分けられます。
- ティーバッグタイプ
煎ったあずきを砕いてティーバッグに入れたもの。
煮出したりお湯を加えたりするほか、水出しでも作れる。
もっとも一般的に流通しており、手軽でおいしい。
カフェインゼロ、カロリーゼロのものが多い。 - 粉末タイプ
きな粉のように、あずきを粉末状にしたもの。
お湯や牛乳に混ぜて飲むほか、料理やスイーツに加えるなどのアレンジも可能。
食物繊維やオリゴ糖といった栄養素も摂れ、カロリーはゼロではない。 - ペットボトル・缶
買ってすぐに飲めるので便利。飲みやすい味。
ティーバッグや粉末タイプに比べて割高。
一部の店舗にしか売っていない。
豆から作るあずき茶のレシピ
あずき茶は、乾燥豆から手作りできます。
- あずきを洗って水分を取り、乾かす。
- 鍋やフライパンに入れて中火〜弱火にかけ、から煎りする。
あずきがうっすら黒くなり、香ばしくなったら火を止める。 - 焙煎したあずきに水を加え、煮汁に色が出るまで弱火で煮出す。
- あずきを濾して完成。
手作りのあずき茶は、お好みの濃さで作れるのでおすすめです。濃くしすぎると飲みにくいので注意しましょう。
作ったあずき茶は傷みやすいので、冷蔵庫で保存し、2日以内に飲み切るようにしてください。
濾したあとのあずきは、米と一緒に炊いてあずきご飯にしたり、料理に加えたりすると、栄養成分を無駄なく摂れます。
あずき茶を飲む際の注意点
肥満予防やむくみ改善など、健康や美容によいあずき茶ですが、飲む際には気を付けたい点もあります。
この章では、あずき茶を飲む際の注意点を紹介します。
カリウムの過剰摂取
あずき茶にはカリウムが含まれるため、過剰摂取に注意が必要です。
カリウムには利尿作用があります。
むくみ改善や高血圧予防に効果がありますが、トイレが近くなると困るような場合には飲みすぎないようにしましょう。
とくに腎臓に疾患があるなど、病気によりカリウムを制限している人は、主治医と相談してから飲むようにしてください。
タンニンの過剰摂取
あずき茶に含まれる、ポリフェノールの一種であるタンニンも、過剰摂取に注意が必要な成分です。
タンニンとは、茶葉や赤ワインなどに多く含まれる渋み成分です。
あずきにもタンニンが含まれ、あんこを作る際には「渋きり」という工程で取り除かれます。
タンニンには、鉄の吸収を阻害する作用があります。
過剰に摂取すると鉄の吸収率を低下させるため、鉄不足による貧血がある人は飲みすぎないようにしましょう。
また、タンニンには胃を刺激する作用もあるため、空腹時には注意が必要です。
とくに、手作りのあずき茶を濃く淹れた場合は、胃に不快感を感じることがあります。
薄めて飲む、ほかの食べ物と一緒に飲むなど、工夫して摂取しましょう。
まとめ
あずき茶には、抗酸化作用の強いポリフェノールをはじめ、ミネラルやビタミンが豊富に含まれます。
市販のあずき茶のほかにも、乾燥のあずきで手作りする方法があります。この場合は、煮出したあとのあずきも食べることで、栄養成分を無駄なく摂取できます。
あずき茶には、カリウムやタンニンが含まれるため、飲む量や飲み方に注意が必要です。
まずは少量から始めて、自分の適量を見つけましょう。
ノンカフェインで健康効果の高いあずき茶を、日々の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。