ビタミンDの効果を解説|3つの供給源と過不足による影響も紹介

ビタミンDの効果を解説|3つの供給源と過不足による影響も紹介

ビタミンDには、骨を丈夫にする、うつ症状を改善するなど、さまざまな効果が知られてます。

この記事では、ビタミンDのもつ働きと効果、適切な摂取の方法などを解説します。

ビタミンDの効果によって、体の不調や、将来の健康への不安が軽減されるかもしれません。毎日を生き生きと過ごすために、ぜひお役立てください。

本記事では、ビタミンDを多く含む食品を、摂取目安量や摂り方のポイントとともに紹介します。これらの食品を知っておけば、サプリメントに頼らずとも、食事から十分な量を摂取可能です。ぜひ食生活に役立ててみてください。

ビタミンDとは

ビタミンDとは

ビタミンDは脂溶性ビタミンのひとつで、D2からD7までの6種類があります。

そのうち、ヒトにとって重要なのはビタミンD2(エルゴカルシフェロール)とビタミンD3(コレカルシフェロール)で、両者はほぼ同等の作用をもちます。

日光浴や食事などから供給されるビタミンDは不活性型で、肝臓と腎臓で代謝されて活性型となり、体内でさまざまな働きをします。

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ビタミンDの働きと効果

ビタミンDの働きと効果

活性型となったビタミンDは体内で働き、多くの効果をもたらします。

この章では、ビタミンDの主な働きと効果を解説します。

骨の形成を促す

ビタミンDは、骨や歯の形成を促すために欠かせない栄養素です。

体内で活性型となったビタミンDは、機能性たんぱく質の働きを介して、腸管でカルシウムとリンの吸収を促進させます。

骨は、骨形成(カルシウムの沈着)と骨吸収(カルシウムの溶出)を常に繰り返しており、加齢とともに吸収量が形成量を上回るようになります。

腸管でのカルシウムの吸収率は20〜30%とやや低く、食事から十分に摂っていたとしても、ビタミンDの摂取量が不十分だと骨の形成がうまくいきません。

ビタミンDは、カルシウムの吸収を高めて骨の健康を維持する、大切な栄養素なのです。

筋肉の萎縮を抑制する

ビタミンDには、筋肉の萎縮を抑制する効果が期待できます。

ビタミンDが不足すると、筋機能が低下して日常の動作に支障が出たり、転倒しやすくなったりすることがわかっています。

海外の研究では、血中ビタミンD濃度が低いほど、筋肉量が低下しやすく、転倒リスクが高まるという報告があります。

近年、活性型ビタミンDが、筋萎縮遺伝子の発現を抑制することが明らかになりました。

また、筋肉のタンパク質を構成する分岐鎖アミノ酸(BCAA:バリン・ロイシン・イソロイシン)の分解を抑制する効果も示唆されています。

日本人の多くはビタミンDが不足しているといわれています。

筋肉の萎縮を予防するためには、ビタミンDの十分な摂取が必要です。

免疫機能を保つ

ビタミンDは、免疫機能の保持にも効果的です。

ヒトの体では、細菌やウイルスからの感染を防ぐために、ウイルスに対抗するためのタンパク質(抗ウイルスタンパク質)が分泌されます。

また、ウイルスが体内に侵入すると、ウイルスの受容体となるアンジオテンシン変換酵素-2(ACE2)と結びついて感染が起こります。

ビタミンDには、抗ウイルスタンパク質の合成を促進させ、ACE2を阻害して感染を防ぐ作用があります。

これまでの多くの研究で、ビタミンDが不足していると風邪やインフルエンザなどの呼吸器感染症のリスクが高まると報告されています。

ビタミンDの摂取は、免疫機能を正常に保ち、細菌やウイルスの感染から身を守るために重要です。

精神のバランスを整える

ビタミンDは、セロトニンの分泌を促し、精神のバランスを整えます。

セロトニンは、必須アミノ酸のトリプトファンから生合成される神経伝達物質で、ドーパミンやノルアドレナリンなど、他の神経伝達物質をコントロールする働きがあります。

ドーパミンは快楽を感じる「報酬系」を活性化させる物質です。ノルアドレナリンはストレスを感じたときに放出され、交感神経の活動を高めます。

セロトニンが低下すると、ドーパミンやノルアドレナリンを制御しにくくなり、攻撃性が高まる、うつ状態になるなどの精神症状を引き起こしやすくなります。

活性型ビタミンDには、トリプトファンからセロトニンを合成するための酵素を、直接的に発現させる作用があります。

ビタミンDはセロトニンの分泌を促し、精神のバランスを整えるため、うつ病など精神症状の改善に効果的です。

糖尿病を予防する

ビタミンDとカルシウムを多く摂取すると、糖尿病を予防する効果が期待できます。

日本人の男女約6万人を対象とした追跡調査では、ビタミンDの摂取量が平均よりも多く、かつカルシウムの摂取量も多い場合、糖尿病のリスクを軽減させることが示唆されています。

糖尿病は、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンの感受性が弱まったり、分泌が減ったりすると発症します。

インスリンの分泌にはビタミンDとカルシウムが関与しており、これらが不足するとインスリンの感受性が低下することが報告されています。

ビタミンDとカルシウムの摂取が糖尿病を予防するメカニズムは、今のところわかっていませんが、インスリンとの関係性によるものではないかと考えられています。

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ビタミンDの供給源と過不足による影響

ビタミンDの供給源と過不足による影響

健康を維持するためには、十分な量のビタミンDが必要です。

この章では、ビタミンDの供給源、過不足による影響、1日あたりの摂取量を紹介します。

ビタミンDの供給源は3つ

ビタミンDの供給源には、以下の3つがあります。

  • 日光浴による生成
  • 食事からの摂取
  • サプリメントからの摂取

これらについて、順番に詳しく解説します。

日光浴による生成

ビタミンDの生成には、日光浴が重要です。

ヒトの皮膚には、ビタミンDのもととなるプロビタミンD3が存在します。

皮膚に紫外線が直接あたると、プロビタミンD3からプレビタミンD3が生成され、さらに体温の熱によりビタミンD3が生成されます。

ビタミンD3を生成する紫外線は、波長の短い紫外線B波(UV-B)です。

UV-Bはガラスなどを通過しないため、窓ガラス越しの日光浴や日焼け止め対策をしている場合は、ビタミンDが生成されません。

しかし、紫外線を直接、長時間浴びると、肌へのダメージや皮膚がんなどの健康被害が出るおそれがあります。

ビタミンDの生成のために必要とされる1日の日光浴の時間は、季節や地域によって異なりますが、日焼けをするほどは必要ありません。

環境省の「紫外線環境保健マニュアル」(PDF)によると、日本では、両手の甲に相当する体の面積が15分間日光にあたる程度、または日陰で30分間ほど過ごす程度で、食事から摂取するビタミンDと合わせて十分な供給量になるとされています。

食事からの摂取

ビタミンDは、日光による生成とともに、食事からの摂取も大切です。

ビタミンDを含む食品は限られており、ビタミンD2はきのこ類など、ビタミンD3は魚類や卵などに含まれます。

とくに、魚類は日本人にとってビタミンDの主な供給源です。

下表に、主な魚類と卵の可食部100gあたりのビタミンD含有量を示します。

食品名加工状態など可食部100g
当たりの
ビタミンD含有量
(μg)
鮭(しろさけ)焼き39.0
まいわし焼き14.0
さんま皮つき・焼き13.0
さば缶詰・水煮11.0
しらす干し微乾燥品12.0
鶏卵全卵・生3.8

※参考:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

ビタミンDはきのこ類にも含まれます。

下表に、きのこ類の可食部100gあたりのビタミンD含有量を示します。

食品名加工状態など可食部100g
当たりの
ビタミンD含有量
(μg)
干ししいたけゆで1.4
きくらげゆで8.8
まいたけ油炒め7.7
エリンギ焼き3.1

※参考:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

きのこは紫外線の作用によりビタミンDが生成されるため、天日干しにするとビタミンDの含有量が増加します。

食事から十分にビタミンDを摂取するには、魚や卵、きのこなどを毎日の食卓に取り入れることが大切です。

サプリメントからの摂取

日光浴や食事からビタミンDを十分に摂取できない場合は、サプリメントからの補給も検討してみましょう。

ただし、ビタミンDは過剰に摂取すると健康被害が出るおそれがあります。

サプリメントで補う場合は、表示されている目安量を守り、過剰摂取に注意することが大切です。

ビタミンDの1日あたりの摂取量

目安とされる1日当たりのビタミンDの摂取量は、成人男女で8.5μgです。

この数値は適度な日光浴を前提とした値であり、日光によるビタミンDの生成量は季節や場所、個人の状況などに大きく左右されます。

たとえば、日光に当たる時間が極端に短い場合は8.5μg以上の摂取が必要になるなど、各個人の環境や生活習慣を考慮して摂取しましょう。

なお、耐容上限量(健康被害の危険がないとみなされている摂取量の上限)は、成人男女で1日当たり100μgに設定されています。

※参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

ビタミンDの過不足による影響

ビタミンDの不足や過剰摂取により、体にさまざまな影響が出ます。

ビタミンDが不足すると、消化管からのカルシウム吸収量が減少し、以下のような疾患を引き起こす場合があります。

  • 低カルシウム血症:血液中のカルシウム濃度が低下する。
  • くる病(小児)、骨軟化症(成人):骨の強度が低下し、骨折や痛みが現れる。
  • 骨粗しょう症:高齢者においてビタミンD不足が続くと起きやすい。

一方、ビタミンDを数か月にわたり多量に摂取すると、血液中のカルシウム濃度が高くなる高カルシウム血症を引き起こすことがあります。

ビタミンDの過剰摂取による高カルシウム血症の症状には、以下のようなものがあります。

  • 初期症状:便秘、吐き気、食欲不振、多尿など。
  • 重度の場合:血管や組織の石灰化、腎結石、腎不全など。

ビタミンDの過不足は、さまざまな疾患につながることがあります。これらのリスクを避けるためにも、ビタミンDを適切に摂取することが大切です。

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まとめ

ビタミンDには、骨形成の促進、筋肉の萎縮の抑制、免疫機能の保持、うつなど精神症状の予防、糖尿病の予防などの効果があります。

十分なビタミンDの摂取は、骨折や筋力の低下を防ぎ、将来の健康維持につながります。

気分の落ち込みなどのうつ症状の改善や、風邪やインフルエンザの予防にも、ビタミンDが役立ちます。

ビタミンDの不足を防ぐには、日光浴や食事からの摂取が必要です。食品では魚類、卵、きのこ類に、ビタミンDが含まれます。

ビタミンDの効果を知り、ぜひ毎日の健康維持に役立ててみてください。

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