年末調整でふるさと納税の控除はできない!正しい手続き方法を解説

年末調整でふるさと納税の控除はできない!正しい手続き方法を解説

ふるさと納税で自治体への寄附を行う際に必要となる控除の申告。

「年末調整でふるさと納税の控除を受けられる」と勘違いしている方も多いのではないでしょうか。

しかし、実際は年末調整でふるさと納税の控除を受けることはできません。

ふるさと納税の控除申告を行うには2つの方法があり、それぞれ申告の流れや提出書類が異なります。

そこで今回は、ふるさと納税の控除申告を行う方法について詳しく解説します。

今後ふるさと納税を始めようと検討中の方はぜひ参考にしてみてください。

ふるさと納税は、好きな地域を支援して「お礼の品」がもらえ、税控除もできるという、メリットが多い制度で、賢く利用している人が増えています。しかし、不確かな知識のまま始めて「こんなはずじゃなかった」とがっかりする人もいます。今回は、ふるさと納税の6つのデメリットとその回避方法について紹介します。

年末調整でふるさと納税の控除はできない

年末調整でふるさと納税の控除はできない

会社員やサラリーマンが年末調整を行う際、ふるさと納税の控除を受けることはできません。

これは、ふるさと納税の総額が年末調整を行う時点では確定していないためです。

ふるさと納税の控除期間は1月1日から12月31日までの1年間。

つまり、翌年になるまで総額が確定できず、12月31日給与日の前後に行われる年末調整のタイミングには間に合わないというのが理由です。

ふるさと納税の控除を受けるためには、主に2つの方法があります。

  • 確定申告
  • ワンストップ特例制度

これら2つの方法のうち、いずれかを利用することでふるさと納税の税金控除を受けられます。

もともと確定申告を行わなければならない方や6団体以上の自治体にふるさと納税を行っている方は確定申告による手続きが必要です。

一方、5団体以内の自治体にふるさと納税を行った方や、ふるさと納税以外で確定申告が必要ない方はワンストップ特例制度を利用できます。

確定申告

ふるさと納税の税金控除を受ける1つ目の方法は、確定申告を行うことです。

確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までに生じた全ての所得に対する所得税および復興特別所得税を算出し、国に納めるための手続きです。

以下に挙げたような項目に該当する方は、確定申告を行わなければなりません。

  • 給与の年間収入金額が2,000万円を超える方
  • 公的年金等による収入が400万円以上あり、それ以外の所得が20万円を超える方
  • 2ヶ所以上から受けている給与の全てが源泉徴収の対象となる場合に、年末調整をされなかった給与の収入と各種所得の合計金額が20万円を超える方
  • 源泉徴収されない退職所得がある方
  • 災害減免法の適用によって源泉徴収税の猶予を受けている方

ふるさと納税の控除確定申告や住民税の申告を行わなければならない方を含め、以下の条件に当てはまる方は、確定申告による手続きが必要です。

  • もともと確定申告や住民税の申告が必要(上記項目参照)
  • 確定申告によって税金の還付が受けられる
  • 年末調整で申告できない控除がある
  • 1年間に6団体以上の自治体にふるさと納税を行った

ワンストップ特例制度

2つ目は、ワンストップ特例制度を利用する方法です。

ワンストップ特例制度とは、一定の条件を満たす場合に確定申告を行わずにふるさと納税の寄附金控除を受けられる仕組みです。

寄附金を納めている自治体に申請書を提出すれば個人住民税の控除を受けられるようになるため、確定申告と比べて手軽に手続きを行えるという特徴があります。

ワンストップ特例制度は、確定申告や住民税申告を行う必要がない給与所得者の方のうち、ふるさと納税を行っている自治体が5団体以内という方が対象です。

ワンストップ特例制度をさらに見る

ふるさと納税の寄附金控除申告の期限

ふるさと納税の寄附金控除申告の期限

ふるさと納税の寄附金控除申告の期限は、確定申告で行う場合とワンストップ特例制度を利用する場合とで異なります。

確定申告によって寄附金控除の申告を行う場合、申告期限は原則として寄附を行った翌年の3月15日です。

期限内に申告できなかった場合でも、寄附を行った翌年の1月1日から5年間であれば、還付申告書を提出することで寄附金控除の適用を受けられることがあります。

一方、ワンストップ特例制度を利用する場合の申請期限は、寄附を行った翌年の1月10日です。

期限に間に合わなかった場合には、確定申告による寄附金控除の申告を行わなければなりません。

ふるさと納税の確定申告方法

ふるさと納税の確定申告方法

ふるさと納税の寄附金控除の手続きを確定申告によって行う場合、確定申告による手続きを行う旨を示す申請の提出は必要ありません。

ふるさと納税の確定申告は、電子申告もしくは所轄の税務署で行います。

申告を行う方法によって提出が必要となる書類が異なるため、申告の流れを確認し、必要書類を事前に準備しておくことが大切です。

ふるさと納税の確定申告の流れ

ふるさと納税の確定申告を行うには、e-Taxと呼ばれる電子申告する方法、国税庁のホームページで作成した申告書や手書きの申告書を提出する方法があります。

今回は、国税庁のホームページで作成した申告書を印刷して提出する方法の流れを確認していきます。

  • 1.国税庁のホームページ内にある『確定申告書等作成コーナー』から“印刷して提出”を選択
  • 2.専用ページで源泉徴収票の詳細を入力
  • 3.“寄附金の種類”という項目で“都道府県、市区町村に対する寄附金(ふるさと納税など)”を選択
  • ふるさと納税を行った先の都道府県または市区町村を選択し、寄附金の金額を入力
  • 内容に誤りがないことを確認して“入力終了”を選択
  • “住所・氏名等入力”の画面で、氏名や住所、還付金の受取方法や金融機関の情報を選択・入力
  • マイナンバーを入力して“帳票表示・印刷”を選択
  • 全6ページのPDFファイルを印刷して所轄の税務署に提出

印刷した確定申告書を提出する際は、添付書類の提出を忘れないよう注意が必要です。
出典:国税庁『確定申告書等作成コーナー

ふるさと納税の確定申告に必要なもの

ふるさと納税の確定申告には、以下を準備または提出する必要があります。

  • 確定申告書
  • 寄附金の受領書
  • 対象期間の源泉徴収票
  • 本人確認書類またはその写し
  • 還付金の受け取り用の口座番号
  • ご自身の印鑑

確定申告の際は、必要事項を記入した確定申告書のほか、ふるさと納税を行った自治体から届く受領書、本人確認書類や還付金を受け取る口座などが必要です。

なお、確定申告書に押印するための印鑑は、シャチハタを含むゴム印以外を使用します。

また、e-Taxを利用して電子申告を行う場合、本人確認書類の提出は必要ありません。
出典:国税庁『【申告書の提出】

ワンストップ特例制度の利用方法

ワンストップ特例制度の利用方法

ワンストップ特例制度を利用する場合、ふるさと納税を行う際にワンストップ特例の申請書を提出しなければなりません。

1月1日から12月31日に寄附を行った場合、寄附した翌年の1月10日までに申請書を提出します。

申請に必要となる申請書は、ふるさと納税先の自治体へ要望することで送付してもらうことができます。

また、自治体のホームページ上やふるさと納税サイト上でダウンロード後、印刷して使用できる場合もあります。

ワンストップ特例制度の申請条件

  • 確定申告や住民税申告をする必要のない給与所得者
  • 1年間のふるさと納税先が5自治体以内の場合

申請書の提出は、自治体へ寄附を行うごとに必要です。

1年間に行ったふるさと納税の例

  • 自治体Aへ1回
  • 自治体Bへ1回
  • 自治体Cへ2回

たとえば上記の例の場合、合計で4枚の申請書を提出しなければなりません。

ただし、同一の自治体に複数回ふるさと納税を行った場合でも1自治体としてカウントされるため、ふるさと納税先は3自治体という計算です。

なお、申請書や申請の方法は自治体によって異なる場合があるため、詳細はふるさと納税先の自治体に確認しましょう。

また、申請には本人確認書類も必要となるため、そちらも準備しておく必要があります。

ここからは、どのようにワンストップ特例制度を行うのかという流れと、利用するうえで必要となるものについて見ていきましょう。
出典:総務省『ふるさと納税の流れ』

ワンストップ特例制度の流れ

ワンストップ特例制度を利用する際には、下記に示す流れに沿って申請を行います。

  • 1. ふるさと納税を行う自治体を選択
  • 2.ふるさと納税を申し込む際に申請書の送付を選択
  • 3.必要事項を記入した申請書を期限となる翌年の1月10日までに郵送

なお、ワンストップ特例制度から確定申告へ切り替える際には、確定申告の期限までに申告を行えば変更の旨を知らせる書類の提出等は必要ありません。

すでに申請書の提出が完了している場合でも、確定申告の内容が優先されるため、ワンストップ特例制度による控除は無効になります。

切り替えが必要になった際には、手続き済みのものも含め、ふるさと納税を行った全ての自治体から受領書を添付して確定申告を行わなければならないと覚えておきましょう。

同様に、「ワンストップ特例制度の申請書を郵送するのを忘れていた」「ふるさと納税の寄附先が1年間で5自治体を超えてしまった」という場合も、確定申告によるふるさと納税の控除申告が必要です。

ワンストップ特例制度の利用に必要なもの

ワンストップ特例制度を利用する際には、以下の準備が必要です。

  • ワンストップ特例制度の申請書
  • 申請者の本人確認書類

申請者の本人確認書類には、マイナンバーカードの両面コピーを使用します。

ただし、マイナンバーカードが手元にない方は、以下のいずれかの組み合わせで提出しましょう。

  • マイナンバーの通知カードもしくは住民票の写し+パスポートもしくは運転免許証の写し
  • マイナンバーの通知カードもしくは住民票の写し+健康保険証・年金手帳・自治体が認める公的書類のなかから2点以上の写し

ふるさと納税先の自治体によっては、これら以外の書類を本人確認書類として認めていることもあるため、必要であれば各自治体へ確認しましょう。

なお、申請書の提出後、寄附の翌年1月1日までに引っ越し、結婚などで住所や名前に変更が生じた場合には注意が必要です。

申請書を提出した自治体へ、“申請事項変更届出書”を提出し、提出済みの申請書に変更がある旨を伝えなければなりません。

ワンストップ特例制度をさらに見る

まとめ

ふるさと納税の寄附金控除の申告は、確定申告とワンストップ特例制度の利用のいずれかの方法によって行うことができます。

2つの方法のうちどちらを利用できるかは、ふるさと納税先の自治体数、確定申告や住民税申告が必要か否かといった条件によって異なります。

ご自身が選択した方法の申請期限や提出書類などを事前に確認し、控除申告をスムーズに行いましょう。

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ふるさと納税は、自分の生まれ故郷など、応援したい自治体を選んで寄附することができ、寄附金額によって住民税や所得税から控除を受けられる制度です。2008年にスタートし、利用者も着実に増えているふるさと納税ですが、申し込み手続きはいつまでに行うべきなのでしょうか。ここでは、気になる申し込み手続きの期限や、知っておくべき注意点を詳しく解説します。
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