【個人事業主のふるさと納税】損しない控除限度額計算とメリット・デメリット

【個人事業主のふるさと納税】損しない控除限度額計算とメリット・デメリット

ふるさと納税は自分で自治体を選び寄附を行うことで、各自治体の指定する寄附額に応じた返礼品がもらえ、さらに寄附金のうち2,000円を超える部分について所得税・住民税の控除が受けられる制度です。

進学や就職、結婚などを機にふるさとを離れ「自分が育った故郷に貢献したい」と考える方や、「応援したい特定の自治体がある」方がその自治体へ寄附できる制度です。

個人事業主も利用可能なふるさと納税ですが、制度や仕組みが分からずまだ手続きができていない方もいらっしゃるのではないでしょうか?

この記事では、個人事業主のふるさと納税控除上限額や、納税控除上限額の計算方法や確認方法などをご紹介します。

ふるさと納税のメリットやデメリットも掲載しているので、ぜひ参考にしてみてください。

初めてふるさと納税をしたけど、ちゃんと税額控除されているかどうか不安…そういう時には住民税決定通知書で確認することができます。控除に間違いがないかどうか、きちんとチェックできれば安心できますね。正しい確認方法を習得して、万が一控除の漏れがあった場合には適正に対処できるようにしましょう。

個人事業主のふるさと納税 控除上限額

個人事業主のふるさと納税 控除上限額

個人事業主のふるさと納税でもっとも重要なポイントは控除上限額の把握です。

控除上限額を超えた分は自己負担となるため、注意が必要です。

個人事業主のふるさと納税の上限額は?

個人事業主のふるさと納税の上限額は前年1月~12月の事業所得をもとに計算します。

毎年5~6月に自治体から送付される「住民税決定通知書」に記載されている「市民税の税額控除前所得割額」と「都道府県民税の税額控除前所得割額」を合計し算出した「住民税所得割額」のおおむね2割程度が目安です。

個人事業主のふるさと納税 控除上限額計算方法

ふるさと納税の控除上限額を計算する前に2つの資料を手元に準備します。

  1. 前年度の確定申告書
  2. 今年の住民税課税決定通知書

1.2の資料をもとに下記計算式で控除上限額の概算が可能です。

控除上限額=住民税所得割額×課税所得に応じた変数+2,000円

住民税所得割額は今年の住民税課税決定通知書の「市民税の税額控除前所得割額」と「都道府県民税の税額控除前所得割額」を合計して算出し、課税所得は前年度の確定申告書で確認します。

課税所得に応じた変数を含めた控除上限計算式です。

課税所得金額ふるさと納税控除上限額 計算式
~195万円以下住民税所得割額 × 23.559% + 2,000円
195万円超~330万円以下住民税所得割額 × 25.006% + 2,000円
330万円超~695万円以下住民税所得割額 × 28.774% + 2,000円
695万円超~900万円以下住民税所得割額 × 30.068% + 2,000円
900万円超~1,800万円以下住民税所得割額 × 35.520% + 2,000円
1,800万円超~4,000万円以下住民税所得割額 × 40.683% + 2,000円
4,000万円超住民税所得割額 × 45.398% + 2,000円

ふるさと納税サイト「ふるなび」

個人事業主のふるさと納税 控除額

個人事業主のふるさと納税 控除額

次にふるさと納税で控除される所得税と住民税について解説します。

  • 所得税はふるさと納税を行った年から控除
  • 住民税はふるさと納税を行った翌年から控除 されます。

ふるさと納税の控除計算 所得税

個人事業主のふるさと納税の所得税控除額は所得により変動します。下記の計算式により概算できます。

(寄附金額-2,000円)×所得税の税率

※所得税率は国税庁:No.2260所得税の税率を参照
※総所得金額等の40%が上限控除額

ふるさと納税の控除計算 住民税

住民税控除額は下記の計算式により概算できます。

基本控除額+特例控除額(①or②)

基本控除額:(ふるさと納税額-2,000円)×10%  総所得金額等の30%が上限
特例控除額①:(ふるさと納税額 – 2,000円)×(90% – 所得税の税率)
特例控除額②:(住民税所得割額)×20%  

特例控除額①の計算式が住民税所得割額の2割を超えない場合は控除額①、2割を超える場合は②が適応
※前年の住民税所得割額は毎年5、6月頃に居住地の自治体から送付される「住民税決定通知書」で確認できます

ふるさと納税サイト「ふるなび」

ふるさと納税の確定申告方法

ふるさと納税の確定申告方法

個人事業主がふるさと納税を行った場合、ワンストップ特例制度は利用できないため、確定申告書への追記が必要です。

ワンストップ特例制度は便利ですが、反面、ふるさと納税を行うたびに申請しなければならないため、確定申告書に追記するだけで申請できるのはメリットの一つともいえます。

個人事業主の場合、確定申告書Bを使います。

ふるさと納税に際して記入が必要な項目は、以下の4つです。

確定申告の際は寄附後に自治体から送付される寄附金受領証明書の添付が必要※です。破棄せず保管しておきましょう。

※確定申告を電子申請で行う場合は添付の必要はありませんが、5年間の保管義務があります。

第一表寄附金控除⑯
第二表寄附先の所在地・名称
第二表寄附金額
第二表都道府県、市区町村分

寄附金控除⑯は「寄附金額 – 2,000円」と「所得金額の合計 × 40%」のうち、金額が少ないほうを記載します。

ふるさと納税以外の寄附がある場合、合算した数字になります。

第二表については、寄附金受領証明書に記載されている内容を参照しながら記載ください。

ふるさと納税サイト「ふるなび」

個人事業主のふるさと納税 メリット・デメリット

個人事業主のふるさと納税 メリット・デメリット

個人事業主がふるさと納税を行う場合のメリット・デメリットがあります。それぞれ解説します。

メリット

①返礼品がもらえる

寄附をした自治体から返礼品がもらえるのが第一のメリットです。

各自治体ならではの名産品、自治体で行っているアミューズメント体験といったさまざまなものがあります。

②所得税・住民税の控除給与所得者と比較して個人事業主は控除限度額が高いことが多い

限度額内であれば2,000円を除いた金額は控除されるため、実質、所得税と住民税が減額されます。

さらに個人事業主は給与所得控除がないため、給与所得者と比較して所得が高くなります。

ふるさと納税の控除上限額は所得金額で決まるため、控除上限額も高いことが多いです。

③申請は確定申告書の寄附金控除欄に控除額を追記するだけで済む

個人事業主は毎年行っている確定申告時に寄附金を追記するだけで済みます。

煩雑な手続きなしに申請できる点も大きなメリットです。

デメリット

控除上限額の把握がむずかしい

個人事業主の場合、ふるさと納税の上限額は寄附を行う当年1月~12月の事業所得をもとに計算します。控除上限額を超えた分の寄附金は自己負担になります。

個人事業主では、毎年の所得が変動しやすく、控除上限額が把握しにくいのがデメリットといえるでしょう。

ふるさと納税サイト「ふるなび」

まとめ

個人事業主がふるさと納税を行う場合の納税控除上限額の計算方法、メリット・デメリットをご紹介しました。

最後にとくに重要なポイントをまとめました。

  • 控除上限額の目安は「住民税所得割額」のおおむね2割が目安
  • 控除上限額は所得課税により変わるため、計算が必要
  • ふるさと納税の控除は納税翌年の住民税と納税年の所得税に適用される
  • 確定申告が必須

この記事を参考に損なくお得にふるさと納税制度を利用してください。

ふるさと納税サイト「ふるなび」

ふるさと納税は、好きな地域を支援して「お礼の品」がもらえ、税控除もできるという、メリットが多い制度で、賢く利用している人が増えています。しかし、不確かな知識のまま始めて「こんなはずじゃなかった」とがっかりする人もいます。今回は、ふるさと納税の6つのデメリットとその回避方法について紹介します。
ふるさと納税は、自分の生まれ故郷など、応援したい自治体を選んで寄附することができ、寄附金額によって住民税や所得税から控除を受けられる制度です。2008年にスタートし、利用者も着実に増えているふるさと納税ですが、申し込み手続きはいつまでに行うべきなのでしょうか。ここでは、気になる申し込み手続きの期限や、知っておくべき注意点を詳しく解説します。