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日本では老後2000万円問題や年金額の引き下げなど、老後資金に関する問題がよく取り上げられています。
そのため、老後の生活に不安を感じている人は多いのではないでしょうか。
そこで国が推奨している制度がiDeCoです。名前はよく聞くけれど、内容をよく知らないという人のために、改でiDeCoとは何か、どんなメリット・デメリットがあるのか分かりやすく解説します。
iDeCo(イデコ)とは
iDeCo(イデコ)とは個人が任意で加入する私的年金制度です。
この対義語は公的年金で加入義務のある制度です。
より多くの人が老後を豊かに過ごせるように、iDeCo加入者には多くの税制優遇のメリットが与えられています。
また年金と聞くと積み立てていくお金なのかと考える人もいるかもしれませんが、iDeCoはリスクを抑えながら運用する投資信託商品も含まれている点が特徴です。
しきりに老後の資金問題が取り上げられるため、日本政府もiDeCoの活用を推進しており、注目されています。
目的は老後の資金づくり
iDeCoは老後の資金づくりが大きな目的です。
そのため、iDeCoで積み立て及び運用したお金は、60歳になるまで引き出せないという特徴があります。
長期に渡りコツコツと積み立て、運用することで、老後の資産形成を目指します。
iDeCoで作り上げた資金は、60~70歳の間に年金のように分割で受け取ることもできますし、一括で受け取ることも可能です。
国民年金や厚生年金との違い
国民年金や厚生年金などの公的年金は加入義務があるのに対し、iDeCoは個人の任意で加入するものです。
公的年金は積み立てたお金を国が運用し、時期が来たら個人の条件に応じて決まった額を給付します。
仮に国の運用結果が悪くても、足りない分は国が補填することになりますが。
しかしiDeCoは自分で金融商品を選び、自己責任で運用を行うため、運用結果が悪く元本割れしてしまったとしても、補填されることはありません。
また公的年金のように、生涯受け取れる訳ではなく、受け取れる金額はあくまで運用で得た資産です。
iDeCo(イデコ)の仕組み
iDeCoは、銀行や証券会社といった金融機関で加入することができます。
加入先で投資する金融商品を選び、運用していくことになります。
投資の要素が高く、投資の知識がないと手が出しにくいと思われがちですが、iDeCoは長期・積立・分散という3つのリスク対策を基本としているため、リスクは低く効率的に資産を築きやすい仕組みになっています。
また商品の中には元本が保証されるタイプの商品もあるため、こうした商品と投資要素のある商品を組み合わせることで、安心してiDeCoを利用できるでしょう。
またiDeCoには以下のようなルールが定められています。
- 加入条件がある
- 拠出できる上限金額がある
iDeCoへの加入条件
iDeCoには以下のような加入する条件が定められています。
【iDeCoの加入条件】
- 65歳未満の国民年金被保険者(2022年6月現在)
ただし、国民年金を免除されている人は対象外となるため注意しましょう。
また海外に住んでいる人でも国民年金に任意加入している人であれば、加入できます。
拠出できる上限金額
iDeCoで毎月積み立てることのできる金額は、最低5,000円から、1,000円単位で設定できます。
5,000円から運用できる点も加入しやすい点でしょう。
ただし、働き方やその他保険の加入状況によって、拠出できる金額には上限が定められています。
■iDeCoの拠出上限額
拠出限度額 | ||
---|---|---|
月額 | 年額 | |
第1号被保険者 (任意加入被保険者) |
68,000円 | 816,000円 |
自営業など | ||
専業主婦 | 23,000円 | 276,000円 |
公務員 | 12,000円 | 144,000円 |
会社員 (企業年金なし+企業型DCなし) |
23,000円 | 276,000円 |
会社員 (企業年金なし+企業型DCあり) |
20,000円 | 240,000円 |
会社員 (企業年金あり) |
12,0000円 | 144,000円 |
iDeCoのメリット
iDeCoに加入すると以下のようなメリットがあります。
将来の資金を少しでも増やしたいという人のために、税制面で優遇されることが大きな魅力です。
- 掛け金が全額所得控除
- 運用益が非課税
- 受け取る際の税制優遇
- 将来受け取るお金が増える可能性がある
掛け金が全額所得控除
iDeCoに支払った毎月の掛け金時は、全額が所得控除の対象になります。
年末調整や確定申告の内容に応じて、所得税や住民税の金額が決まりますが、課税の対象となる所得から、iDeCoに支払った掛け金1年分を差し引くことができます。
そのため、所得税や住民税が安くなることがメリットの一つです。
運用益が非課税
iDeCoに加入し、運用で得た利益は非課税です。
通常の投資であれば、運用で得た利益には20.215%の税率で課税されますが、iDeCoの場合は全額が手元に残るため、効率よく老後の資金を貯めることができるでしょう。
受け取る際の税制優遇
iDeCoは60歳以上で受給できる年金を増やす目的の制度ですが、一度にまとまった金額を受け取るか、分割で受け取るかを選ぶことができます。
いずれにしてもお金を受け取る際は、税金がかかることが一般的なので税金が心配になる人が多いでしょう。
iDeCoで積み立てたお金を受け取るときは、一度にまとめて受け取る場合は「退職所得控除」、分割で受け取るのであれば「公的年金等控除」が適用されます。
いずれのケースにしても税金の負担額を軽減できる点が大きなメリットです。
将来受け取るお金が増える可能性がある
iDeCoをおすすめする大きな理由の一つは、将来の資金が増えるかもしれないことです。
銀行に預金していても、日本の銀行の金利は年々下がっており、ほとんど資産を増やすことはできません。
iDeCoは低リスクの投資であることから、長期的に運用することで将来的に老後の資金が増えることが期待できます。
iDeCoのデメリット
iDeCoには以下のようデメリットもあるため、メリットとデメリットを理解したうえで、総合的に判断するようにしましょう。
- 原則60歳まで引き出せない
- 各種手数料がかかる
- 元本を下回る可能性がある
原則60歳まで引き出せない
iDeCoで積み立てている掛け金、原則60歳になるまで引き出せません。
投資という側面からいつでも引き出せると勘違いする人もいますが、iDeCoの性質上、年金のための積み立てなので60歳という制限があります。
そのため、途中でまとまったお金が必要になったからといって引き出すことはできないことは理解しておきましょう。
各種手数料がかかる
iDeCoは、例えば加入するときや商品の運用時、資産を他の口座に移動させるときなどに各種手数料が発生する点はデメリットの一つです。
口座開設時は金融機関に手数料を支払い、iDeCoを統括している国民年金基金連合会にも手数料を支払う必要があり、どの金融機関を利用しても同じです。
元本を下回る可能性がある
iDeCoに加入すれば、必ず資産が増えるというものではありません。あくまでも投資なので、リスクがあることも理解しておきましょう。
老後の年金を増やすつもりで投資していたのに、元本を下回ってしまう可能性もあり得ます。
とはいえ、iDeCoはいくつも投資先を選びリスクを分散することや、長期的に投資することで、短期に多額を投資するよりもリスクを抑えることができるでしょう。
iDeCoを始める方法
iDeCoは以下の手順で始めることができます。
【iDeCoの始め方】
- 加入できるか資格を確認する
- 掛け金の上限を設定する
- 運用商品を決める
- どこで口座開設するか決める
- 口座を開設する
- 掛け金が引き落とされ運用開始!
原則、日本国内に住む20歳~65歳で国民年金に加入していれば、iDeCoへ加入することができます。
ただし、国民年金保険料が未納・免除・納付猶予の場合は加入できません。
また、企業型確定拠出年金(DC)に加入している人も、場合によっては加入できないケースもあります。
ただし2022年10月からこの制限が多少緩和されるので、DC加入者でiDeCoに加入したい人は、時期をずらしてみるといいでしょう。
選ぶ証券会社やネット銀行などによって、扱っている商品や保険の有無が異なるため、どんな商品に投資したいかを考えながら金融機関を選んでください。
まとめ
iDeCoは、老後の生活をゆとりあるものにするために、老後資産を形成する目的で作られた制度です。
60歳になるまで引き出せないことや投資の側面があるため、不安に感じる人も多いかもしれませんが、初心者でも始めやすく、リスクが最小になるよう考慮されています。
またiDeCoを利用することで、毎年の税金を安くすることもできるため、結果的に資産を手元に残しやすくなります。
老後の心配を抱えているのであれば少額からでも始めてみてはいかがでしょうか。