目次
※本コンテンツはAI技術を活用しつつ人による執筆や監修をしています。
ジビエとは?言葉の定義や語源・歴史

ジビエは野生鳥獣の肉や料理を意味するフランス語
ジビエ(gibier)は、狩猟によって食材として捕獲された野生鳥獣の肉、またはそれらを使った料理を指すフランス語です。
人工的に飼育された家畜とは異なり、大自然の中で育った野生動物が対象となります。
ヨーロッパでは古くから、秋から冬の限られた期間にのみ味わえる高級食材として上流階級の貴族たちに愛されてきました。
日本におけるジビエの歴史と「隠語」の由来
日本で野生動物の肉を食べる歴史は縄文時代まで遡りますが、仏教伝来以降は朝廷や幕府によって肉食禁止令が度々発令されました。
それでも人々は栄養補給のため「薬食い」という形で肉を食べ続け、その際に生まれたのが動植物に見立てた隠語です。
シカ肉を「もみじ」と呼ぶ理由
シカ肉が「もみじ」と呼ばれる由来には諸説あり、猿丸大夫の和歌や花札「紅葉に鹿」の絵柄で紅葉と鹿のイメージが結びついたこと、シカ肉の赤身が紅葉の色に似ていることなどが挙げられます。
イノシシ肉を「ぼたん」や「山くじら」と呼ぶ理由
イノシシの肉は「ぼたん」や「山くじら」とも呼ばれます。
皿に並べた薄切り肉が牡丹の花に似ていることから「ぼたん」、当時「魚類」扱いだったクジラになぞらえて肉食を正当化したことから「山くじら」と名付けられました。
動物 | 隠語 | 由来のポイント |
|---|---|---|
シカ(鹿) | もみじ | 百人一首の歌や、花札の「紅葉に鹿」の絵柄から連想された |
イノシシ(猪) | ぼたん | 切り口の美しさから、お皿に盛り付けた様子が牡丹の花に見えるため |
イノシシ(猪) | 山くじら | 肉食禁止を避けるために、魚扱いのクジラになぞらえて「山のクジラ」とした |
今なぜジビエが注目されているのか?

深刻化する野生鳥獣による農林水産業への被害
日本の中山間地域では野生鳥獣の急増により、シカやイノシシが農作物を食い荒らす被害が各地で後を絶ちません。
農林水産省の統計では、全国の農作物被害額は年間約160億円〜180億円で推移しており、農家の営農意欲の低下や耕作放棄地の増加にも直結しています。
参照:農林水産省 全国の野生鳥獣による農作物被害状況について(令和6年度)
地域の資源として命を無駄にしないサステナブルな取り組み
従来、駆除された野生鳥獣の多くは廃棄されていましたが、命を無駄にせず地域の天然資源として活用する動きが全国で活発化しています。
これはSDGsの理念にも一致する取り組みで、地域のハンターや処理施設が連携し「地元の特産品」としてブランド化することで、地域経済の活性化にもつながっています。
健康志向の高まりによるヘルシー食材としての需要
近年、健康志向の高まりとともに、野生の環境で育ち余計な脂肪がつきにくいジビエが注目を集めるようになりました。
高たんぱく・低脂質な特徴からアスリートやダイエッターの支持を集めており、メディアでも新たな健康食として紹介される機会が急増中です。
代表的なジビエの種類と味わいの特徴

シカ(鹿)
日本で最も親しまれているジビエがシカ肉で、脂質が少なく赤身主体のきめ細かい肉質と淡白な後味が特徴です。
イノシシ(猪)
イノシシ肉は豚肉の祖先にあたり馴染みやすい風味でコクと旨味が凝縮されており、真っ白な脂身には驚くほどの甘みがあります。
クマ(熊)
ジビエのなかでも最も希少価値が高く「幻の肉」とも呼ばれ、独特の風味ととろけるような濃厚な脂の旨味を兼ね備えています。
カモ(鴨)
鳥ジビエで最も知名度が高く、日本では野生のマガモが一般的です。
飼育された「合鴨」より身が引き締まり、鉄分を思わせる深いコクがあります。
キジ(雉)
日本の国鳥キジは古くから宮廷料理に使われた由緒正しいジビエで、鶏肉に似て身が締まり上品な旨味があります。
ウサギ(兎)
日本では馴染みが薄いですが、フレンチでは定番の食材で、鶏の胸肉に似た淡白な味わいです。
種類 | 味わいの特徴 | おすすめの料理 |
|---|---|---|
シカ | 脂身が少なくさっぱりとした赤身でクセがない | ロースト、ステーキ、カツ |
イノシシ | 豚肉に似てコクがあり脂身が驚くほど甘い | ぼたん鍋、味噌煮込み、塩焼き |
クマ | 濃厚な脂身と独特の野性味があり旨味が極めて強い | クマ鍋、煮込み、大和煮 |
カモ | 噛みごたえがあり濃厚な赤身とまろやかな脂身が絶品 | 鴨鍋、鴨ロースのグリル、コンフィ |
キジ | 鶏肉に近く上品な旨味で引き締まった弾力があり出汁も絶品 | キジ汁、水炊き、網焼き |
ウサギ | 鶏胸肉のようにクセがなく非常に淡白で柔らかい | 白ワイン煮込み、ロースト |
ジビエが持つ優れた栄養価とメリット

高たんぱくで低カロリーなヘルシー食
野生の過酷な環境で運動量豊富に育つジビエは、余分な脂肪がつきにくく高たんぱく・低カロリーな肉質が特徴です。
とくにシカ肉は一般的な食肉より脂質が大幅に抑えられており、ダイエット中の方やトレーニングに励む方にとっても魅力的な食材です。
牛肉・豚肉とシカ肉の栄養価(可食部100gあたり)を比較すると以下の表のようになります。
肉の種類 | エネルギー(カロリー) | たんぱく質 | 脂質 |
|---|---|---|---|
シカ肉(にほんじか/赤肉/生) | 119kcal | 23.9g | 4.0g |
牛肉(和牛肉/もも/赤肉/生) | 176kcal | 21.3g | 10.7g |
豚肉(大型種肉/もも/赤肉/生) | 119kcal | 22.1g | 3.6g |
シカ肉は牛肉や豚肉に比べたんぱく質が豊富でカロリーが低くヘルシーなため、日々の食事に取り入れることで効率よく良質なたんぱく質を摂取できます。
参照:文部科学省「食品成分データベース しか/にほんじか/赤肉/生 | うし/[和牛肉]/もも/赤肉/生 | うし/[和牛肉]/もも/赤肉/生」
不足しがちな鉄分(ヘム鉄)が豊富
ジビエは、現代人に不足しがちな鉄分を効率よく補給できる食材で、とくにシカ肉には100gあたり3.9mgの鉄分が含まれ豚もも肉の4倍以上に相当します。
ヘム鉄が多く含まれている
- 植物性食品の非ヘム鉄に比べて吸収率が高い
- 鉄分が不足しがちな女性や、健康的な身体づくりを目指す方の栄養補給に役立つ
参照:文部科学省「食品成分データベース(しか/にほんじか/赤肉/生)」
代謝を助けるビタミンB群が豊富
ジビエには活力を生み出すビタミンB群がバランスよく含まれ、糖質・脂質の代謝を助けるビタミンB2やたんぱく質代謝を助けるビタミンB6が豊富です。
- ビタミンB2は皮膚や粘膜の健康維持を助ける
- ビタミンB6は筋肉の合成やエネルギーへの変換を促す
- ビタミンB12は赤血球の形成や神経機能を正常に保つ
参照:文部科学省「食品成分データベース(しか/にほんじか/赤肉/生)」
ジビエ料理を安全に美味しく食べる調理方法と注意点

最も重要な注意点:中心部まで十分な加熱処理を行い生食を避ける
家庭や飲食店でジビエを扱う際に、絶対に守らなければならないのが「中心部までの完全な加熱」です。
野生のシカやイノシシは、飼育管理された家畜と違って、E型肝炎ウイルスや腸管出血性大腸菌、さまざまな寄生虫を保有している危険性が非常に高いです。
生食や加熱不十分な状態の肉を口にすると、重篤な食中毒を引き起こす可能性があり、最悪の場合は命に関わります。
厚生労働省が定める衛生ガイドラインでは、安全を確保するための加熱基準が厳密に定められています。
安全な加熱の基準:
お肉の中心部の温度が75℃で1分間以上、またはこれと同等以上の加熱(例:65℃で15分間など)を確実に行うこと。
刺身やレア、表面だけを軽く焼いたタタキなどでの喫食は絶対に避ける必要があります。
また、生肉に使った調理器具は「二次汚染」を防ぐため、加熱後の食材に使う前にしっかり洗浄・消毒してください。
ジビエ独特の臭みを抑えて美味しく仕上げるコツ
1.ドリップを拭き取る
パック内の赤い液体(ドリップ)は臭みのもとになるため、調理前にペーパータオルで拭き取ってください。
2.牛乳や酒に漬け込む
調理前に牛乳や料理酒、ヨーグルトなどに30分ほど漬け込むと、繊維がほぐれて柔らかくなり臭みも抜けます。
3.おろし玉ねぎや生姜、ニンニクを使う
すりおろした玉ねぎや生姜、ハーブ(ローズマリーなど)と一緒に漬け込むと風味が引き立ちます。
家庭でも楽しめるジビエ初心者におすすめの定番メニュー
ジビエの旨味をシンプルに味わう「ステーキ・ロースト」
シカ肉のような上質な赤身を味わうならステーキやローストがおすすめです。
強火で急激に加熱すると硬くなるため、常温に戻したお肉を弱火でじっくり中まで加熱し、安全な温度(75℃で1分間以上など)に達したら仕上げに強火で焼き目をつけます。
アルミホイルに包んで余熱で肉汁を落ち着かせると、しっとり柔らかく仕上がります。
お肉が柔らかくなり体も温まる「鍋料理・煮込み」
イノシシ肉やクマ肉の脂身を楽しみたいなら煮込みやお鍋料理がおすすめで、味噌仕立ての「ぼたん鍋」は煮崩れしにくく初心者にも最適です。
シカ肉のすね肉も赤ワインやトマトベースで弱火でじっくり煮込むとホロホロに柔らかくなり、旨味の溶けたスープで野菜も美味しくいただけます。
ジビエに関するよくある質問(FAQ)
ジビエのお肉は硬くて臭い?
かつては処理の遅れなどで臭くて硬い肉が流通することもありましたが、現在は厚生労働省のガイドラインをクリアした専門施設で素早く適切に処理されているため、臭みがなく繊細な美味しさを楽しめます。
ジビエの肉は一般のスーパーなどでも購入できる?
大型スーパーや精肉専門店で見かける機会は増えましたが、日常的に並ぶ場所はまだ少なく、衛生管理されたネット通販や、多くの自治体が提供するふるさと納税の返礼品で取り寄せるのが手軽です。
犬や猫用のペットフードにジビエが使われているのはなぜ?
愛犬・愛猫の野生本来の食性に近く、広大な自然の中で育つため余分な脂肪がつかず高品質なたんぱく源になるためです。
成長ホルモン剤や人工飼料の影響も受けないため安全でオーガニックであり、牛肉や鶏肉にアレルギーを持つペットの対策食としても利用されています。
まとめ
ジビエは、美味しさを楽しむだけでなく、農作物被害の防止や命の有効活用に役立つサステナブルな食材で、高たんぱく・低脂質で鉄分やビタミンB群も豊富です。
中心温度75℃で1分以上の加熱を厳守するという点に気を付けながら、豊かな自然が育んだ特別な美味しさを、ぜひ一度ご家庭でも味わってみてください。













