いちじくの栄養を徹底解説|ドライやジャムでも健康効果はある?

「不老長寿の果物」いちじくの栄養まとめ|ドライフルーツでも効果あり?

いちじくは、ビタミンEやビタミンB群、カリウム、食物繊維などの栄養が豊富な果物です。

これらの栄養は、肌や血管の健康維持、疲労の軽減、腸内環境の改善に役立ちます。

ドライやジャムなどの加工品でも、栄養は比較的保たれるため、季節を問わず気軽に取り入れられます。

この記事では、いちじくの栄養と効能、加工品での栄養の変化、摂取時の注意点まで詳しく解説します。

栄養が豊富で、不老不死の果物とも呼ばれているいちじく。プチプチとした食感と甘みが特徴ないちじくが好き!という方も多いのではないでしょうか。秋のイメージが強いいちじくですが、実は旬の時期が2回あることをご存知ですか?今回はいちじくの旬な時期や見分け方、美味しく食べ方をご紹介いたします。

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いちじくに含まれる主な栄養素と効能

いちじくに含まれる主な栄養素と効能

いちじくには、ビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養素が豊富に含まれます。

以下に生のいちじくに含まれる主な栄養素をまとめます。

栄養素可食部100g当たりの
含有量
ビタミンE
(α-トコフェロール)
0.4mg
ビタミンB60.07mg
葉酸22μg
カリウム170mg
カルシウム26mg
マグネシウム14mg
0.3mg
食物繊維1.9g

※参考:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

ここからは、いちじくに含まれる主な栄養素とその効能を解説します。

ビタミンE|肌や血管の老化を防ぐ

いちじくには、肌や血管の老化を防ぐビタミンEが含まれます。

ビタミンEは脂溶性の抗酸化ビタミンで、体内で発生する活性酸素の影響を抑え、細胞膜などに含まれる脂質の酸化を防ぎます。

ビタミンEの抗酸化作用による効果は以下のとおりです。

  • 肌や血管の老化を防ぐ
    シミやシワを予防し、動脈硬化などのリスクを抑える。
  • 免疫機能を維持する
    細菌やウイルスに対する抵抗力を高め、感染を防ぐ。
  • 神経や脳の健康を保つ
    認知機能や神経の働きを維持し、脳の健康を支える。

ビタミンB6|筋肉や皮膚の健康を保つ

いちじくに含まれるビタミンB6は、筋肉や皮膚の健康維持に役立つ栄養素です。

ビタミンB6には、たんぱく質やアミノ酸の代謝を助ける補酵素としての働きがあり、筋肉や皮膚を構成するたんぱく質の合成をサポートします。

ビタミンB6には、他にも以下のような効果が期待できます。

  • 神経や脳の健康を維持する
    ドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質の生成を助け、神経の働きや脳の健康を支える。
  • 免疫機能を正常に保つ
    免疫細胞の材料となるたんぱく質の合成をサポートし、細菌やウイルスに対する抵抗力を高める。
  • 貧血を予防する
    血液中のヘモグロビンの合成に関わり、鉄とともに貧血のリスクを減らす。

葉酸|貧血を予防する

いちじくには葉酸が含まれ、貧血の予防に役立ちます。

葉酸は、ビタミンB12とともに赤血球の生成に関わり、造血を促す作用があります。

葉酸などの不足により赤血球細胞の成長がうまくいかないと、巨赤芽球性きょせきがきゅうせい貧血を引き起こすことがあります。

また、細胞の増殖やたんぱく質の生成を促す働きもあり、胎児や乳児の発育にも重要な栄養素です。このため、妊婦や授乳婦には、より多くの葉酸の摂取が推奨されています。

なお、いちじくにはビタミンB12が含まれません。ビタミンB12を含む動物性の食品を摂ることも大切です。

カリウム|むくみや高血圧を予防する

いちじくには、むくみや高血圧の予防に効果のあるカリウムが含まれます。

カリウムは、余分なナトリウム(塩分)を体外に排出し、細胞内の浸透圧を一定に保つ働きがあります。

塩分の摂りすぎなどで体内のナトリウム濃度が高くなると、体は水分を保持して濃度を調整しようとするため、組織の水分量が増え、むくみが生じます。

同様に、血液中のナトリウム濃度が高いと、血管内の水分量が増えて血液量が増し、血圧が上がります。

カリウムの適切な摂取により余分なナトリウムが排出されるため、むくみや高血圧の予防につながるのです。

カルシウム|骨や歯を強くする

いちじくには、骨や歯を丈夫に保つカルシウムも含まれます。

カルシウムは骨の主成分であり、骨や歯に硬さと強度を与えています。不足すると骨がもろくなり、骨粗しょう症を引き起こす可能性があります。

カルシウムは日本人に不足しがちな栄養素で、さらに消化管からの吸収率も20〜30%とやや低いため、食事からの摂取が大切です。

魚類やキノコ類に多く含まれるビタミンDには、カルシウムの吸収を促す作用があります。食事から摂取するほか、日光によっても生成されるので、積極的に取り入れるとよいでしょう。

また、カルシウムには、筋肉収縮の調整や神経伝達の補助といった働きもあります。

マグネシウム|筋肉の動きを調整する

いちじくに含まれるマグネシウムは、筋肉の動きの調整に関わる栄養素です。

マグネシウムは、カルシウムとともに筋肉の収縮と弛緩を制御し、筋肉のスムーズな動きを助けます。

マグネシウムが不足すると、筋肉が収縮したままとなり、「こむら返り」の原因となります。

他にも、マグネシウムにはさまざまな働きがあります。主な作用を以下にまとめます。

  • 筋肉の動きを調整し、体の動きをスムーズにする。
  • 神経伝達をサポートし、心臓や神経の働きを助ける。
  • 骨や歯へのカルシウムの沈着を助け、強さを保つ。
  • 体内の多くの酵素反応に関わり、生命活動全般を支える。

鉄|疲れにくい体を作る

いちじくには鉄も含まれ、疲れにくい体を作るのに役立ちます。

鉄は血液中のヘモグロビンの構成成分で、全身に酸素を運ぶ役割があります。

酸素が十分に届くと、体内でのエネルギー産生がスムーズになり、疲労感の軽減につながります。

生のいちじくに含まれる鉄は量が多くないため、補助的に摂れる食品のひとつとして取り入れるとよいでしょう。

また、乾燥させたドライいちじくでは、鉄の含有量が濃縮され、より効率的に摂取できます。ドライいちじくについては後ほど詳しく紹介します。

食物繊維|腸内環境を整える

いちじくには、腸内環境を整える食物繊維が豊富に含まれます。

食物繊維は水溶性と不溶性に大別され、それぞれ腸内で異なる働きをします。

生のいちじく100g当たりの含有量は、水溶性が0.7g、不溶性が1.2gです。

※参考:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

食物繊維の主な働きを以下にまとめます。

  • 水溶性食物繊維
    腸内の善玉菌のエサとなって腸内環境を整える。
    糖質の吸収を抑え、食後の血糖値の上昇を穏やかにする。
    胆汁酸の再吸収を抑えてコレステロールの消費量を増やし、結果として血中コレステロールが下がる。
  • 不溶性食物繊維
    水に溶けず、水分を吸収して膨らむ。
    便のカサを増やして腸を刺激し、便秘を改善する。

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いちじくに含まれる主な機能性成分と効能

いちじくに含まれる主な機能性成分と効能

いちじくには、酵素やポリフェノールなど、体によい機能性成分も含まれます。

この章では、いちじくに含まれる主な機能性成分と効能について解説します。

フィシン|たんぱく質の消化を助ける

いちじくに含まれるフィシンには、たんぱく質の消化を助ける働きがあります。

フィシンとは、いちじくの樹液や果実に多く含まれるたんぱく質分解酵素です。

いちじくを肉料理や魚料理に加えたり、食後のデザートとして食べたりすると、消化を助けて胃腸の負担を軽減する効果が期待できます。

たんぱく質の分解を助けるため、吸収が促進され栄養の効率的な利用にも有効です。

フィシンは熱に弱いため、生のまま食べるとより効果的に働きます。

アントシアニン|抗酸化作用で体の老化を抑える

いちじくは、抗酸化作用で体の老化を抑えるアントシアニンも豊富です。

アントシアニンはポリフェノールの一種で、ブルーベリーなどに多く含まれる天然の色素成分です。強い抗酸化作用をもち、体内で発生する活性酸素の影響を抑えるため、細胞の酸化を防いで老化の進行を和らげます。

アントシアニンの抗酸化作用により、いちじくには以下の効果が期待できます。

  • 肌のシミやシワの発生を抑える。
  • 血管の弾力や柔軟性を維持する。
  • 高血圧や動脈硬化など生活習慣病の予防に役立つ。

植物性エストロゲン|更年期症状の緩和が期待できる

いちじくには、更年期症状の緩和が期待できる植物性エストロゲンが含まれます。

植物性エストロゲンは、女性ホルモン(エストロゲン)と似た働きをする植物性成分の総称です。大豆に含まれるイソフラボンがよく知られていますが、いちじくには代表的な成分としてメトキシクマリンが含まれています。

いちじくに含まれる植物性エストロゲンに期待できる効果は以下のとおりです。

  • 更年期症状を軽減する。
  • コラーゲンの生成をサポートする。
  • 骨からのカルシウムの溶出を抑え、骨を丈夫に保つ。

参考:Zingue S. et al. “Estrogen-like and tissue-selective effects of 7-methoxycoumarin from Ficus umbellata (Moraceae): an in vitro and in vivo study”

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いちじくの加工品にも栄養は残っている?

いちじくの加工品にも栄養は残っている?

生のいちじくは旬の時期が短く、通年で手に入るわけではありません。

一年を通していちじくの栄養を摂りたい場合は、ドライいちじくやいちじくジャムなどの加工品が役立ちます。

ここからは、いちじくの加工品にどのような栄養が含まれているのかを解説します。

ドライいちじくの栄養

生のいちじくを乾燥させたドライいちじくは、水分が抜けて栄養素が凝縮されています。

乾燥の過程で葉酸とビタミンCは減少しますが、それ以外の栄養素は100g当たりの含有量が多くなります。

とくに鉄分と食物繊維は、生のいちじくに比べて多く含まれるのが特徴です。

下表に、生とドライのいちじくの可食部100gあたりの含有量を示します。

栄養素生のいちじくドライいちじく
エネルギー57kcal272kcal
0.3mg1.7mg
食物繊維1.9g10.7g

※参考:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

生のいちじくが食べられない時期でも、ドライいちじくを活用すれば栄養素を十分に摂取できます。

ただし、100g当たりのカロリーも増えるため、食べすぎには注意が必要です。

いちじくジャムの栄養

いちじくをジャムに加工しても、ミネラルやポリフェノール、食物繊維は比較的安定して残ります。一方で、ビタミンCは加熱によって減少します。

また、いちじくをジャムにすると、果実中の水溶性食物繊維が溶け出し、摂取しやすい状態になります。

生のいちじくに比べると1回に食べる量は少ないですが、栄養を手軽にプラスする方法として活用するとよいでしょう。

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いちじくを食べる際の注意点

いちじくを食べる際の注意点

栄養豊富ないちじくですが、食べる際にはいくつかの注意点があります。

ここでは、いちじくの摂取に注意が必要な人と、1日に摂取する目安量を紹介します。

いちじくの摂取に注意が必要な人

次のような人は、いちじくの摂取に注意が必要です。

  • 花粉症の人
    まれに、口の中にかゆみや腫れなどの症状が出る「口腔アレルギー症候群」を起こすことがあります。
    シラカバ花粉にアレルギーがある人はとくに注意してください。
  • 肌が弱い人
    いちじくに含まれるたんぱく質分解酵素のフィシンが、肌に刺激を与えてかぶれなどを起こす場合があります。
    肌の弱い人は、いちじくを扱う際に手袋を着用すると安心です。
  • おなかの弱い人
    いちじくには食物繊維が豊富に含まれており、胃腸の弱い人が食べるとおなかの調子を崩すことがあります。
    食べ慣れていない場合は、少量から摂取するとよいでしょう。

摂取量の目安は1日2~3個程度

いちじくの摂取量の目安は1日に2〜3個程度です。

いちじくには食物繊維が多く含まれ、他の果物と比較して糖質がやや多めです。

食べすぎるとおなかの調子を崩したり、糖質過多になったりする懸念があります。

生のいちじくは、1日2〜3個を目安に摂取し、一度に食べすぎないようにしましょう。

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まとめ

いちじくには、ビタミンEや葉酸、カリウム、食物繊維などの栄養素が多く含まれ、肌や血管の健康維持、高血圧予防、腸内環境の改善といった効果が期待できます。

またフィシンやアントシアニンなどの機能性成分も豊富で、消化の促進や老化防止に役立ちます。

生のいちじくが手に入らない時期には、ドライやジャムなどの加工品で栄養の摂取が可能です。

ただし、食べすぎると糖質過多や消化不良の原因となることもあるので、1日2〜3個を目安に摂取するとよいでしょう。

毎日の生活にいちじくを取り入れ、健康維持に役立ててみてください。

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