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会社員が副業をしている場合、ふるさと納税をきっかけに勤務先に副業がばれるリスクがあります。
「なぜふるさと納税をすることで副業がばれそうになるのか」という理由や、対策などをご説明します。
副業やふるさと納税をすることで確定申告や住民税の申告といった手続きが必要となってきますが、確定申告時に対策しておくと勤務先に副業がばれにくくなります。
具体的な方法や注意点をご紹介するので、参考にしてください。
ふるさと納税により副業が会社にばれる理由
会社員が勤務先に隠れて副業をしている場合、ふるさと納税を行うことで会社に副業がばれる可能性が高くなります。
これは、ふるさと納税のために確定申告を行った結果、副業の影響で住民税の税額が高くなっていることが勤務先にばれるケースが生じるためです。
住民税は1年間の収入に応じて決められるため、副業によって収入が上がれば住民税もアップします。
個人が支払う住民税が決まると勤務する会社に給与取得に関する住民税の特別徴収額の決定通知書が届きます。
その際に会社からの給与所得に応じた住民税額よりも高額な金額が記載されていると、副業をしていることがばれてしまうのです。
収入が20万円以下でも住民税の申告は必要
会社員などの給与所得者が確定申告をする必要が生じる条件として、「副業の所得が20万円を超える」「ふるさと納税の寄附先が5自治体を超える」などがあります。
そのためふるさと納税の寄附先が5自治体以内で副業の所得が20万円以下であれば「確定申告をしなくて良いので、副業のことが会社にばれない」と考えている人もいます。
しかし副業による所得が20万円を超えていなくても、市役所などで住民税の申告をしなければいけません。
また住宅ローンや医療費などの控除を受けたり、副業で得る収入から税金が源泉徴収されていて還付を受けたりといった場合は確定申告をする必要が生じます。
このようなことから、副業による所得が20万円以下であっても勤務先に副業がばれる可能性は十分想定されるのです。
ワンストップ特例制度を利用できない
通常は会社員がふるさと納税をした場合、寄附先が5自治体以内であれば確定申告をせずに簡単に寄附金控除の手続きができる「ワンストップ特例制度」を利用できます。
しかしワンストップ特例制度は確定申告や住民税の申告をしていない人が利用対象となるため、副業をしている会社員は使うことができません。
したがって会社員がふるさと納税に関わる寄附金の控除を希望する場合、副業による所得が20万円以下であっても確定申告をする必要があります。
そのため勤務先に副業がばれる可能性が生じるのです。
ふるさと納税は会社にばれても迷惑はかからない
ふるさと納税をすること自体は会社にばれても問題はありません。
ふるさと納税をすると寄附金の控除を受けるために必要な書類として「寄附金控除に関する証明書」が発行されますが、会社の年末調整に提出する必要はありません。
寄附金控除は、年末調整で適用される所得控除の対象とはならないためです。
ふるさと納税の寄附金の控除を受けるためには、証明書を添付して確定申告する、もしくは、寄附先が5自治体以内の会社員が対象となる「ワンストップ特例制度」を利用する、といった手段があります。
社員がふるさと納税をしたことによって会社側が年末調整で行わなければいけない手続きが生じるわけではありません。
公務員もふるさと納税は禁止されていない
ふるさと納税は会社員だけでなく、公務員も利用可能です。
公務員には「国家公務員法(第103条・第104条)」「地方公務員法(第38条)」のそれぞれにおいて副業を原則規則する規定が存在しますが、ふるさと納税は寄附であり副業にはあたりません。
返礼品も寄附に対するお礼であり副業によって得る利益とは異なる点からも、公務員もふるさと納税をすることは禁止されていないのです。
公務員のふるさと納税利用に関する規定はなく、自身が所属する自治体以外に寄附をしても問題はありません。
ふるさと納税をしても副業が会社にばれないようにする方法
ふるさと納税をしても副業が会社にばれないようにする方法もあります。主に以下の2つが挙げられます。
- 確定申告で住民税の納付を「普通徴収」にする
- ふるさと納税の申告を行わない
いずれも確定申告が必要な人が、申告の時点で対処する方法です。
手間がかかったり「確実に副業がばれない」と言い切れないケースもあったりしますが、注意点を踏まえた上で対策として検討してみてはいかがでしょうか。
確定申告で住民税を「普通徴収」にする
確定申告を行う際には、会社からの給与以外の収入における住民税の徴収方法を「特別徴収」か「自分で納付」(普通徴収)のどちらかに選択することが可能になっています。
以下のように、申告書の中で徴収方法を選べます。
「特別徴収」を選ぶと会社が特別徴収義務者となり、勤務先から支給される給与からの天引きで住民税が納められるため住民税の総額が会社側に通知される恐れが生じます。
そのため「自分で納付」(普通徴収)を選択して副業によって生じる住民税を自分で納付するように対処すれば、勤務先に副業による住民税が通知されるのを防げます。
ふるさと納税の申告をせず、後日に更正を請求する
副業によって生じる住民税を普通徴収にしていても、ふるさと納税をしていると勤務先に副業がばれやすくなる可能性があります。
ふるさと納税の税額控除が普通徴収分から行われる場合に、「普通徴収分からは引き切れずに、特別徴収分の住民税からも控除された」というケースが当たります。
結果として、勤務先に届く特別徴収税額の決定通知書を通して副業の所得区分や所得金額がばれるリスクが生じるのです。
そのため確定申告の際にふるさと納税を申告せず、申告期限後に誤りを訂正する「更正の請求」手続きを行うという手段があります。
そうすることで、確定申告の段階ではふるさと納税による税額控除が行われず、勤務先に副業がばれるリスクが軽減されます。
そして更正の請求手続きが認められれば、後日税額控除も受けられます。
住民税が自動的に特別徴収となるケースに注意
住民税の納付方法を普通徴収にしても、自動的に特別徴収に切り替わる場合があります。
普通徴収は給与・公的年金以外の所得に係る住民税が対象のため、副業で給与収入を得ていると適用できない可能性があるからです。
そのため勤務先にばれずに副業をする際には、収入の種類を確認しておくことが重要となります。
また前述した通り、ふるさと納税の税額控除が普通徴収分から引き切れずに特別徴収分の住民税からも控除された結果、勤務先に通知書を通して副業がばれるケースもあり得ます。
このようにさまざまなリスクを抱えるケースが想定されますが、住民税や通知書に関する対応は自治体によって異なる面もあります。
不安な点があれば「副業による給与収入の徴収方法を普通徴収にできないか」「特別徴収分の通知書の情報に目隠しなどの対処はあるか」など窓口に問い合わせてみるのも良いかもしれません。
まとめ
秘密にしていた副業が勤務先にばれるリスクを理由にふるさと納税を断念しようとする人もいますが、対策を施せばリスクを軽減できるケースもあります。
副業の形態や収入、ふるさと納税による税額控除額などを把握した上で「自分のケースの場合、対策すれば副業がばれずにすみそうか」「対策をする際にはどのような点に注意すべきか」などのポイントを踏まえて、副業しながらふるさと納税も検討してみてはいかがでしょうか。