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2008年5月からスタートしたふるさと納税は、「納税」という言葉が付いていますが、国民が生まれ育った故郷や、思い入れがあり応援したい自治体(都道府県や市区町村)を選んで寄附ができる制度です。
ふるさと納税はいつでも申込めますが、まずは基本的な仕組みを理解しておくとよいでしょう。
本記事では、ふるさと納税は節税ではなくても、メリットが多い制度であることについて詳しくお伝えします。
ふるさと納税は節税ではない
ふるさと納税は、寄附金のうち2,000円を超える部分について所定の手続きを行うと、所得税の還付や住民税の控除(寄附金控除)が受けられる仕組みになっています。
そのため、「ふるさと納税を行うと節税ができる」と勘違いしがちですが、実際には「ふるさと納税=節税」ではありません。
たとえば、3万円を寄附した場合、翌年の所得税・住民税から28,000円が控除されます。
結果、「2,000円マイナスになる」という計算になります。
寄附金として支払った金額から2,000円を引いた金額が戻ってくる仕組みであるため、節税や税金対策、所得税や住民税を安くする方法ではないことがわかります。
ふるさと納税の仕組み
ふるさと納税を行う前に、「ふるさと納税の仕組み」について理解をしておきましょう。
以下では、ふるさと納税の仕組みについて3つのポイントに分けてお伝えします。
所得税・住民税が安くなるわけではない
前述したとおり、ふるさと納税では「寄附金控除」が適用されますが、所得税・住民税が安くなるわけではありません。
わかりやすいように、前章でお伝えした例を用いると、ふるさと納税として寄附金を30,000円支払った場合、所得税と住民税を合わせて28,000円が控除されることになります。
つまり「お金を30,000円払って28,000円の税金が減った」ということになり、実質的には節税効果はなく税金を前払いしているに過ぎません。
「ふるさと納税は、所得税・住民税の前払いであり、節税対策ではない」ということを認識しておきましょう。
人によって控除される金額が異なる
ふるさと納税の寄附金控除には、上限があります。
寄附控除の上限は、給与収入や家族構成など人によって異なり、寄附金を多くすれば寄附金控除が増えるわけではありません。
ふるさと納税の控除額は、総所得金額の30%が上限となっています。
寄附上限額の目安は、ふるなびなどふるさと納税サイトのシミュレーションで簡単に知ることができます。
ふるさと納税をする前にチェックしておきましょう。
ふるさと納税による寄附金額が控除上限額を超えた場合、超えた分は自己負担になるため注意が必要です。
控除を受けるためには手続きが必要
ふるさと納税を行い、控除を受けるには所定の手続きが必要になります。手続きの方法には、「確定申告制度」と「ワンストップ特例制度」の2つがあります。
- 確定申告:1年間の所得に対する納税額を計算して申告し、納税する一連の手続きのこと
- ワンストップ特例制度:一定の条件を満たすことで、ふるさと納税をした後に確定申告をしなくても寄附金控除が受けられる仕組み (申請期限が設けられているため、ふるさと納税を行った各自治体にて確認が必要)
「確定申告制度」と「ワンストップ特例制度」について、特徴を一覧表にまとめました。
確定申告制度 | ワンストップ特例制度 | |
---|---|---|
手続きの回数 | 1年に1回 | 寄附ごと |
概要・条件 |
・1月1日~12月31日の1年間の間に寄附をした自治体数が6自治体以上ある ・寄附をした自治体のうち、1カ所でもワンストップ特例の申請書を提出できなかった場合 ・給与所得者でかつ高額医療費の支払いがあり、医療費控除などの申告が必要な場合 |
以下の1と2の2つの条件をすべて満たす人 1.ふるさと納税を行う先が5自治体以内である 2.「ふるさと納税をしていない」と仮定した場合、確定申告をする必要がない |
手続き情報 | 確定申告の時期は、例年2月16日~3月15日 | 寄附を行った翌年の1月10日までに、寄附先の自治体へ書類を提出 ※ワンストップ特例制度の申請期限に間に合わない場合は確定申告の手続きが必要になる |
控除時期 | ・所得税の控除は確定申告をした年の金額から控除される。 ・住民税は翌年度の住民税から控除される |
・翌年度の住民税から控除される |
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節税効果を得られなくてもふるさと納税をすべき理由
節税にはならなくても、「ふるさと納税を行うメリット」は以下のようなものがあります。
- 税金の使い道を指定できる
- 実質2,000円の負担で返礼品がもらえる
- ふるさと納税サイトやクレジットカードのポイントを貯められる
ふるさと納税を行う3つのメリットについて、それぞれ解説します。
税金の使い道を指定できる
ふるさと納税では、寄附金をどのように使用するかは自治体が決定できますが、寄附金の用途について寄附者が選択できる自治体も多くあります。
そのため、寄附者は、寄附金の使い道を重要視しながら、寄附をしたい自治体を選べます。
クラウドファンディング型のプロジェクトや、災害の復興支援にも寄附ができるため、寄附者は納税の目的を明確にしておくことで有益な自治体が選べるでしょう。
実質2,000円の負担で返礼品がもらえる
多くの自治体では、寄附のお礼に地域の名産品などを返礼品として寄附者に届けています。
寄附者は実質2,000円の負担で返礼品がもらえます。
返礼品のカテゴリーはさまざまで、食品・雑貨・日用品・旅行・美容・ファッション・家具などから選択できます。
また、金額から検索をして選ぶことも可能です。
ふるさと納税サイトやクレジットカードのポイントを貯められる
ふるさと納税サイトの中には、ポイント還元の対象になっているものもあります。
「ふるなび」などポイントを貯められるサイトを利用することで、ふるさと納税のメリットをさらに大きくすることができます。
また、ふるさと納税のクレジットカード決済においても、通常のショッピングや公共料金の支払いと同様の扱いになっているため、クレジットカードでふるさと納税を行うとポイントが付与されます。
効果的にポイントを貯めるためには、支払方法にも注意してみましょう。
ふるさと納税をする方法
ここでは、ふるさと納税をする方法と流れを紹介します。
① 寄附者の寄附金控除額を調べる
ふるさと納税で控除される金額は、年収や家族構成などによって異なるため、寄附を行う前に寄附金控除の上限額を確認します。
控除の上限額は、ふるなびのシミュレーションで調べられます。
② 寄附をする地域の自治体を決めて申込む
寄附先を地域から探す方法や、返礼品の種類から探す方法があります。
自分に合った寄附先が見つかったら、申し込みをしましょう。
※居住地の自治体への寄附の場合は、返礼品がないケースもありますので、各自治体にて確認をしましょう。
③ 指定した住所に「返礼品」と「寄附金受領証明書」が届く
ふるさと納税の申込み完了後、返礼品と寄附金受領証明書が指定した住所に届きます。
寄附者の住所と別の住所に返礼品や寄附金受領証明書を発送しても、制度上問題はありません。
返礼品の到着時期は一律ではなく、自治体や品によって異なります。
「寄附金受領証明書」は確定申告で必要になるため、紛失しないように大切に保管しておきましょう。
④ 寄附金控除の手続きを行う
ふるさと納税で控除を受けるには、「確定申告」または「ワンストップ特例制度」の申請手続きが必要です。
寄附先が、1年で5自治体までで確定申告の必要のない人は「ワンストップ特例制度」が適用になります。
「確定申告制度」と「ワンストップ制度」について条件は、本文内の【控除を受けるためには手続きが必要】にて、記載しています。
ふるさと納税の注意点
ふるさと納税には、以下のような注意点があります。
- 減税や節税にはならない
- 所得によって寄附上限額が異なる
- 控除を受けるための手続きをする(確定申告制度およびワンストップ特例制度)
- 税金から控除されるのは翌年になる
- 自己負担2,000円は必ず発生する
自己負担の2,000円は、寄附金の額がいくらであっても必ず発生します。
寄附金の総額に関係なく、自己負担額は2,000円であることを覚えておきましょう。
ふるさと納税を行う前には、自分の控除限度額や、欲しい返礼品の寄附金額を確認しておきましょう。
まとめ
ふるさと納税とは、「納税」という言葉が付いていますが、寄附者が応援したい自治体を選んで寄附ができる制度のことを指します。
所定の手続きを行うことで、寄附金のうち2,000円を超える部分について所得税の還付や住民税の控除(寄附金控除)が受けられます。
ふるさと納税は、実質的には節税ではなく税金の前払いですが、魅力的な返礼品がもらえるなど、「ふるさと納税を行うメリット」は十分にあります。
これからふるさと納税を考えている人は、正しく理解をしてから始めましょう。