目次
ふるさと納税で寄附したら、税金控除を受けるための申請が必要となります。
申請しないと控除が受けられず、自己負担となってしまうので注意しましょう。
申請方法は「ワンストップ特例制度」と「確定申告」があります。
この記事ではそれぞれの特徴と仕組み、申請方法、最後にどんな人がどちらの申請方法に向いているかを解説します。
ふるさと納税の申請の要件
申請の前提として以下の要件があります。
- ふるさと納税の申し込み期間は1月1日~12月31日
申し込みは365日24時間いつでも可能です。
- 寄附金は年内に支払いまで完了させる必要がある
支払いまで完了させると、年内の寄附としてカウントされ申請の対象となります。
- 支払い方法によって受領日が変わる
クレジットカードは即時決済、銀行振り込みは指定口座への支払日、払込取扱票は指定口座への支払日、納付書は自治体への入金日、現金書留は自治体側が受領した日など。支払い方法によって受領日が変わるため、事前に確認しておきましょう。
年末はふるさと納税の利用者が増えるため、入金手続きに時間がかかることも考えられます。余裕を持って早めに対応しましょう。
クレジットカードや電子マネーは即時決済でき、受領日が分かりやすいためおすすめです。
税金控除を受けるための申請の種類
冒頭で説明した通り、ふるさと納税の税金控除を受けるための申請には「ワンストップ特例制度」と「確定申告」の2種類があります。
それぞれの対象者と特徴、メリットなどを解説します。
ワンストップ特例制度
- 対象者:ふるさと納税のほかに確定申告の必要がない、年間の寄附が5自治体以下である
※同じ自治体に複数回寄附しても1自治体としてカウントされるため、他に4自治体へ寄附が可能です。
ワンストップ特例制度で申請するには上記の2つの条件を満たすことが必要です。
- 控除対象となる税金:住民税の控除
- 提出先:寄附先の自治体
- 申請期限:翌年1月10日(必着)
※期限に間に合わなければ確定申告が必要となります。
- メリット:手続きが簡単、確定申告よりも必要書類が少ない、ふるさと納税の納付日から申請可能
- デメリット:寄附ごとに申請が必要
※たとえば、5自治体に寄附した場合は5回申請が必要となります。1自治体に2回寄附した場合も申請は2回必要となります。
確定申告
- 対象者:ふるさと納税のほかに確定申告の必要がある、年間の寄附が6自治体以上である
※どちらか一つでも該当する場合は確定申告の対象となります。
- 控除対象となる税金:住民税の控除、所得税の還付
- 提出先:管轄の税務署
- 申請期限:翌年2月16日~3月15日ごろ
※詳しい日程は国税庁の確定申告特集の情報を確認してください
- メリット:寄附する自治体数の制限がない、複数の自治体に寄附してもまとめて申請できる
- デメリット:確定申告に必要な書類を揃える必要がある
税金控除の仕組み
ふるさと納税ではどのような仕組みで税金控除が受けられるのでしょうか?
申請方法別に分けて詳しく解説します。
ワンストップ特例制度の仕組み
ワンストップ特例制度の仕組みを説明します。
- ふるさと納税で寄附して、寄附先の自治体に申請する(申請書+必要書類を提出)
- 寄附先の自治体が住んでいる自治体に必要な情報を連絡する
- 控除上限額(寄附金-自己負担額2000円)が翌年分の住民税から控除される
申請後に引っ越しなどで寄附した翌年1年1日までに住所など申請内容に変更があった場合は、「申請事項変更届出書」と「変更部分が確認できる本人確認書類」の提出が必要となります。
翌年1月10日までに寄附した自治体に「申請事項変更届出書」に必要な事項を記載し、「変更部分が確認できる本人確認書類」を合わせて寄附した自治体に提出してください。
確定申告の仕組み
次に、確定申告の仕組みを説明します。
- ふるさと納税で寄附する
- 寄附した自治体から受領書を受け取る
- 税務署に申請する(確定申告書+必要書類を提出)
- ふるさと納税した年に所得税が還付される
- 控除上限額(寄附金-自己負担額2000円)から所得税の還付額を差し引いた金額が翌年分の住民税から控除される
ここで説明した通り、確定申告の場合は所得税の還付はふるさと納税をした年に受けられ、住民税は翌年の支払い分が控除となります。
ワンストップ特例制度と確定申告の申請方法
「ワンストップ特例制度」と「確定申告」の申請方法を見ていきましょう。
申請に必要な書類や提出先がそれぞれ違うので間違えないようにチェックしてください。
ワンストップ特例制度の申請方法
ワンストップ特例制度の申請方法は以下の通りです。
- 特例申請書に必要事項を記入する
- 必要書類を揃える
- 特例申請書と必要書類を寄附先の自治体に提出する
1つずつ詳しく解説していきます。
1.特例申請書に必要事項を記入する
特例申請書に氏名、住所、マイナンバーの個人番号などの必要事項を記入します。
特例申請書は多くの場合、自治体から「寄附金受領証明書」と合わせて郵送されます。
自治体や総務省のホームページからダウンロードも可能です。
ふるさと納税の寄附申込フォームで「自治体からのワンストップ特例申請書の送付」の項目に「希望する」と選択して寄附すると、自治体からワンストップ特例制度の申請用紙「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」が送られてきます。
寄附の時点でワンストップ特例制度を希望している方は、チェックを入れるようにしてください。
2.必要書類を揃える
本人確認ができる書類が必要となります。
以下のA,B,Cいずれかのパターンで提出が必要です。
- A:マイナンバーカード写し(両面)
- B:通知カードの写しもしくは住民票の写し(個人番号が確認できる書類1点)+
運転免許証の写しまたはパスポートの写し(身元が確認できる書類1点) - C:通知カードの写しもしくは住民票の写し(個人番号が確認できる書類1点)+
健康保険証の写し、年金手帳の写し、提出先の自治体が求める公的書類(身元が確認できる書類2点)
3.特例申請書と必要書類を寄附先の自治体に提出する
記入した特例申請書と必要書類を合わせて寄附先の自治体に提出します。
提出期限はふるさと納税をした翌年の1月10日(必着)となりますので、間に合うように提出しましょう。
確定申告の申請方法
確定申告の申請方法は以下の通りです。
- 必要書類を揃える
- 確定申告書を作成する
- 確定申告書と必要書類を税務署に提出する
1つずつ詳しく解説していきます。
1.必要書類を揃える
確定申告に必要な書類は以下の通りです。
- 寄附金受領証明書
- 源泉徴収票(確定申告の対象となる期間のもの)
- 還付金受取用口座番号(所得税の還付金の振込用口座)
- マイナンバーカード
マイナンバーカードを持っていない人は以下の書類が必要です。
通知カードもしくは住民票の写し(個人番号が確認できる書類1点)+運転免許証の写し、公的医療保険の被保険者証(健康保険証)の写し、パスポートの写し、身体障害者手帳の写し、在留カードの写し(身元が確認できる書類1点)
2.確定申告書を作成する
確定申告書を作成します。
確定申告書は国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」から作成できます。
案内に沿って作成してください。
3.確定申告書と必要書類を税務署に提出する
確定申告書と必要書類を合わせて、郵送か直接持参して管轄の税務署に提出します。
申請できているか確認する方法
ここまでは申請方法を紹介しましたが、初めての方はきちんと申請できているか心配に思うこともあるでしょう。
「ワンストップ特例制度」と「確定申告」の申請ができているか確認する方法をご紹介します。
ワンストップ特例制度の確認方法
ワンストップ特例制度の確認方法を解説します。
ワンストップ特例制度で申請した場合、全額住民税から控除されます。
住民税の控除は、毎年5〜6月ごろに送付される「住民税決定通知書」の内容を確認しましょう。
住民税決定通知書とは前年(1/1〜12/31)の収入をもとに算出した住民税の税額を通知する書類のことです。
「住民税決定通知書」の寄付金控除または税額控除額の欄に記載されている金額が、寄附金額-自己負担額(2000円)になっていれば、正しく申請・受理されていることになります。
もし控除金額が合わない場合は、控除上限額を超えて寄附していたり、期日までに提出していなかったり、何らかの不備が考えられます。
前述した「税金控除を受けるための申請の種類」を参考に申請条件に当てはまっているか確認してください。
もし原因が分からない場合は、寄附先の自治体の窓口に連絡しましょう。
確定申告の確認方法
確定申告の確認方法を解説します。
確定申告で申請した場合、所得税の還付と住民税の控除が受けられます。
所得税は寄附した翌年4〜5月に指定した特定口座に振り込まれているか確認しましょう。
住民税は控除上限額(寄附金-自己負担額2000円)から所得税の還付額を差し引いた金額が控除されます。
住民税の確認方法はワンストップ特例制度の場合と同様です。
申請する時の注意点
申請する時の注意点をご紹介します。
知らずに申請すると正しく受理されなかったり、手間が増えたりするので、申請前に確認しておきましょう。
確定申告するとワンストップ特例制度の申請は無効になる
ワンストップ特例制度と確定申告は併用できないため、ワンストップ特例制度で申請した後に確定申告すると、ワンストップ特例制度の申請は無効となります。
そのため受けられる税金控除は住民税の控除と所得税の還付となります。
ワンストップ特例制度の申請後に確定申告する場合は、ワンストップ特例制度の全ての内容を忘れずに確定申告で申請してください。
どちらの申請でも税金控除額は同じになる
ワンストップ特例制度と確定申告のどちらで申請しても、基本的に受けられる税金控除額は同じになります。
ワンストップ特例制度、確定申告のどちらご自身の条件に合った方で申請してください。
ただし、住宅ローン控除を併用する時はワンストップ特例制度で申請した方がお得になる場合があります。
住宅ローン控除は所得税と住民税が控除対象です。
ふるさと納税で確定申告すると、住宅ローン控除とふるさと納税で所得税の控除額を取り合うことになります。
所得税は住宅ローン控除よりふるさと納税の控除が優先されるため、住宅ローン控除額が減ってしまう可能性があるのです。
一方で、ワンストップ特例制度は住民税のみが控除対象となるため、住宅ローン控除は所得税から、ふるさと納税の控除は住民税からとして分けられることになります。
まとめ
ふるさと納税は、寄附すると返礼品が届き税金控除も受けられるお得な制度です。
ふるさと納税を利用したら、必ず「ワンストップ特例制度」または「確定申告」で申請して住民税の控除または所得税の還付を受けられるようにしましょう。
この記事で解説したとおり、ワンストップ特例制度の方が必要書類も少なく簡単に申請ができます。
条件を満たせる方はワンストップ特例制度での申請がおすすめです。この記事を参考に申請方法や仕組みを理解して、正しく申請できるようにしてください。