株式譲渡益はふるさと納税の限度額に影響する?確認方法や注意点を解説

株式譲渡益はふるさと納税の限度額に影響する?確認方法や注意点を解説

日本各地の特産品の中から好きな返礼品が選べるのが魅力のふるさと納税。

税金控除の上限額は、所得によって異なります。

近年は副業をしている人も多く、給与収入に加えて株取引で利益を得ている人も多くいます。

株式譲渡益がある場合、ふるさと納税の限度額に影響するのか疑問をお持ちの方も多いでしょう。

この記事では、株式譲渡益がある場合のふるさと納税の限度額や確認方法、注意点などについて解説します。

最近では副業をしている人も増えているため、収入として副業の収入やいわゆる雑所得を含んで計算するべきかどうかわからない!という人も多いのではないでしょうか。ここでは雑所得とふるさと納税の限度額との関係や計算方法、注意点を紹介しています。

株式譲渡益はふるさと納税の控除限度額に影響する?

株式譲渡益はふるさと納税の控除限度額に影響する?

ふるさと納税における税金控除の上限額は、所得金額に応じて増加します。

株式の売却により生じた「株式譲渡益」は、「譲渡所得」に分類されます。

譲渡所得もふるさと納税の対象となるので、確定申告をおこなうことで控除限度額も増加します。

しかし、すべてのケースで確定申告をすればいいという訳ではありません。

株式譲渡益の金額や口座の種類によっては、確定申告をすることでデメリットが生じる場合もあります。

株式譲渡益がある場合は、金額や口座の種類による注意点をきちんと理解してふるさと納税を利用することが大切です。

次項からは、株式譲渡益がある場合の控除限度額の確認方法や手続き方法、注意点について解説します。

控除額シミュレーションはこちら

株式譲渡益がある場合のふるさと納税の控除限度額を確認する方法

株式譲渡益がある場合のふるさと納税の控除限度額を確認する方法

ふるさと納税の上限額を確認するには、以下の2つの方法があります。

  • 計算式
  • シミュレーター

計算式

ふるさと納税の税金控除は所得税控除・住民税基本控除・住民税特例控除の3つに分類されます。

所得税控除と住民税基本控除は、他の寄附金の場合と同様に適用される寄附金控除です。

もうひとつの住民税特例控除が、ふるさと納税特有の控除です。

株式譲渡益における住民税特例控除の上限額の計算方法は以下の通りです。

※実際の計算式はもっと複雑で、分離課税や総合課税の所得割額なども影響します。わかりやすく伝えるため、大まかな目安となる計算式をご紹介します。

【特例控除上限額=株式譲渡益の住民税所得割額×20%】

株式譲渡益の住民税所得割額は、以下の計算式で求めます。

株式譲渡益の住民税所得割額=譲渡所得金額×5%

給与所得がある場合の計算式

株式譲渡益に加えて、給与所得がある場合の上限額は給与所得の住民税所得割額も合わせて計算します。

【特例控除上限額=(譲渡所得の住民税所得割額+ 給与所得の住民税所得割額)×20%】

給与所得の住民税所得割額は、収入や控除に関わる家族構成などが昨年と変わらない場合は、今年の住民税決定通知書を確認します。

収入や控除に関わる項目が昨年と変わっている場合は、今年の1月から12月までの収入の見込み額(口座に振り込まれる金額ではなく総支給額)から計算します。

給与所得の住民税所得割額の計算方法は以下の通りです。

住民税所得割額=課税所得金額×10%

※課税所得金額=給与所得(年収-給与所得控除)-所得控除

この控除額に加えて、他の寄附金と同様の控除である「所得税控除」と「住民税基本控除」を合計した金額がふるさと納税の税金控除額になります。

所得税控除の計算方法

所得税控除(上限:総所得金額等の40%)=(ふるさと納税の寄附額-2,000)×{所得税率×1.021(復興税率)}

※令和19年分の寄附までは東日本大震災の復興のために「復興特別所得税」が課せられているので、所得税率に1.021を掛けた合計税率が適用されます。

住民税基本控除の計算方法

住民税控除額(上限:総所得金額等の30%)=(ふるさと納税の寄附額-2,000円)×10%

シミュレーター

前項では上限額の計算方法を説明しましたが、計算式が複雑なため難しく感じる方が多いでしょう。

そこで、ふるさと納税サイトのシミュレーターを使えば、簡単に上限額の目安を知ることができます。

「ふるなび」のシミュレーターには給与所得や他の所得の入力欄に加えて株式譲渡益の入力欄もあります。

画面に従って必要事項を入力すれば簡単に限度額の目安がわかります。

スマートフォンからでも利用可能なので、簡単に上限額が知りたいという方にはシミュレーターの活用がおすすめです。

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口座の種類により手続き方法が異なる

口座の種類により手続き方法が異なる

株式譲渡益の受け取り口座は、主に「源泉徴収なし特定口座」・「一般口座」・「源泉徴収あり特定口座」の3種類があります。

口座の種類によって、ワンストップ特例制度が利用できる場合と確定申告が必要な場合があります。

自身の口座の種類を確かめて、手続き方法を確認しましょう。

源泉徴収なし特定口座または一般口座

源泉徴収なし特定口座・一般口座で株式譲渡益が20万円を超える場合は、確定申告が必須です。

株式譲渡益が年間20万円以下の場合には確定申告(所得税の申告)は不要ですが、住民税には20万円以下の所得に対する特例はないため、住民税の申告は必要です。

住民税の申告をするとワンストップ特例制度の対象外となるので、ふるさと納税を利用する場合は株式譲渡益が20万円以下でも結局は確定申告での手続きが必要です。

しかし、確定申告をした場合、所得が上がり課税対象が増える可能性があります。

よって、株式譲渡益が20万円以下の場合は、自身のふるさと納税の限度額の増加分と確定申告による課税対象の増加分を事前に確認した上で、ふるさと納税をおこなうか判断しましょう。

源泉徴収あり特定口座

「源泉徴収あり特定口座」の場合は、所得税・住民税が自動的に源泉徴収されるので20万円以上利益があっても確定申告は不要です。

そのため、ふるさと納税を利用する場合はワンストップ特例制度が利用できます。

ただし、源泉徴収あり特定口座の分も限度額を上げるには、確定申告が必要です。

確定申告した場合、所得額が増えることで扶養控除や国民健康保険料など所得金額で決まる制度に影響が出る場合があるので注意しましょう。

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株式譲渡益による税金控除を受ける際の注意点

株式譲渡益による税金控除を受ける際の注意点

株式譲渡益による税金控除を受ける際には、以下の2点に注意しましょう。

  • 確定申告によってデメリットが生じる場合がある
  • 所得の推測を誤ると自己負担が生じる場合がある

詳しく解説します。

確定申告によってデメリットが生じる場合がある

前述した通り、本来確定申告が不要な「源泉徴収あり特定口座」や20万円以下の株式譲渡益を確定申告した場合、所得金額で決まる制度に影響が出る可能性があります。

確定申告することにより生じる可能性のあるデメリットの具体例は以下の通りです。

  • 国民保険料が上がる
  • 児童手当の所得制限を超える
  • 扶養から外れる
  • 配偶者特別控除額が減額される

上記に加えて、確定申告をする手間も生じます。

国民保険料や扶養・児童手当等への影響を確認し、シミュレーションを活用して確定申告をするメリットがあるか事前に調べた上で判断しましょう。

所得の推測を誤ると自己負担が生じる場合がある

控除限度額はふるさと納税をおこなう年の1月から12月までの所得に応じて決まります。

所得の推測を誤ると2,000円を超える自己負担が生じる場合があるので、所得を正しく算出することが大切です。

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まとめ

株式譲渡益がある場合は、確定申告をすることによってふるさと納税の上限額が増加します。

しかし、株式譲渡益の金額や口座の種類によっては、確定申告をおこなうことで扶養控除や国民健康保険料に影響が出る場合があります。

注意点を理解して、メリットがあるかを事前に確認した上で利用しましょう。

この解説を参考に、上手に活用して返礼品を楽しんでください。

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