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※本コンテンツはAI技術を活用しつつ人による執筆や監修をしています。
近年、資産運用として株式投資を始める人が増えています。株取引で利益(株式譲渡益)が出た場合、ふるさと納税の控除限度額がどのくらい変わるのか疑問に感じたことはありますでしょうか。
この記事では、株式譲渡益が限度額に与える影響や、確定申告を行う際の注意点について詳しく解説します。
株式譲渡益はふるさと納税の控除限度額に影響する?

ふるさと納税とは、実質的な自己負担額2,000円を除いた全額が、所得税からの還付と住民税からの控除という形で、税金の控除が受けられる制度です。
この税金控除の上限額は、納税者の方の所得金額に応じて変動する仕組みになっています。そのため、給与所得のみの場合と比べて、株式譲渡益などの他の所得がある場合は、控除限度額が増加する可能性が高いです。
株式の譲渡により生じた利益である株式譲渡益は、所得税法上「譲渡所得」に分類されます。譲渡所得は、他の所得(給与所得など)とは合算せずに税金を計算する「申告分離課税」の対象です。
この譲渡所得についても、適切な手続き、すなわち確定申告を行うことで、ふるさと納税の対象となる所得金額に含めることができ、その結果として控除限度額が増加します。ただし、譲渡益を組み込むために確定申告を行うことが、すべての方にとってメリットになるわけではありません。所得金額が増加することで、他の公的な制度上のデメリットが生じる可能性があるため、事前に確認が必要です。
株式譲渡益がある場合のふるさと納税の控除限度額を確認する方法

株式譲渡益がある場合のふるさと納税の控除限度額を正確に把握するには、「計算式」で概要を知る方法と、「シミュレーター」で目安を把握する方法があります。
計算式
ふるさと納税によって受けられる税金控除は、以下の三種類で構成されています。
- 所得税からの控除(還付)
- 住民税からの控除(基本控除)
- 住民税からの控除(特例控除)
このうち、ふるさと納税の限度額に深く関わるのが「住民税特例控除」です。住民税特例控除の上限額は、原則として「住民税所得割額の20%」と定められています。
株式譲渡益を確定申告した場合、その所得に対しても住民税が課税されますので、住民税所得割額が増加します。
株式譲渡益にかかる住民税所得割額の計算式は以下の通りです。
特例控除上限額=株式譲渡益の住民税所得割額×20%
この所得割額に、給与所得など他の所得にかかる住民税所得割額を合算したものが、ふるさと納税の限度額算定の基礎となります。
給与所得がある場合の特例控除上限額の目安は、以下の計算式でいわれることが多いです。
特例控除上限額 = (譲渡所得の住民税所得割額 + 給与所得の住民税所得割額) × 20%
また、所得税からの控除額の計算には、東日本大震災の復興財源に充てるための復興特別所得税率(1.021)が乗じられる点にも留意が必要です(令和19年分の寄附までが対象です)。
譲渡損がある場合の取り扱い(損益通算・繰越控除)
株式投資において譲渡益ではなく、譲渡損が発生した場合も、ふるさと納税の控除限度額に影響を与えることがあります。
株式等の譲渡損は、他の上場株式等の譲渡益や配当所得との間で損益通算ができます。損益通算の結果、所得全体が減る場合は、ふるさと納税の控除限度額も減少します。
また、損益通算をしてもなお控除しきれない損失がある場合、確定申告をすることで翌年以降3年間にわたって損失を繰り越して控除できる「繰越控除」の制度があります。
繰越控除を利用している期間中は、将来の所得が減ることでふるさと納税の限度額も影響を受けることになります。
控除上限額シミュレーターを使用する
上記の通り、ふるさと納税の控除限度額の正確な計算は、所得税率や所得控除、さらに復興特別所得税率なども関わるため、かなり複雑になります。
計算が難しく感じる場合は、控除上限額シミュレーターを活用するのがおすすめです。
シミュレーターを利用する際は、給与所得だけでなく、株式譲渡益の金額も忘れずに入力してください。年間の給与収入の見込み額と、確定した株式譲渡益の金額の両方を正確に入力することが、限度額の目安を正しく知るための重要なポイントです。
口座の種類により手続き方法が異なる

株式譲渡益の税金に関する手続きは、主に以下の3種類の口座のどれを利用しているかによって異なります。ご自身の口座の種類をあらかじめ確認しましょう。
- 源泉徴収なし特定口座
- 一般口座
- 源泉徴収あり特定口座
源泉徴収なし特定口座または一般口座
特定口座(源泉徴収なし)や一般口座で売買した上場株式等の譲渡益は、原則として申告分離課税の対象となるため、確定申告の対象となる場合が多くなります。
なお、給与所得者に関する「給与以外の所得が年間20万円以下なら確定申告不要」という特例は雑所得等に関する扱いであり、譲渡所得には適用されない点に注意が必要です。
特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合は原則として確定申告は不要ですが、損益通算や繰越控除を利用する場合、あるいはワンストップ特例の適用を取りやめて確定申告で寄附金控除を行う場合は、確定申告が必要になります。
ふるさと納税を利用する方が、株式譲渡益を限度額に反映させるためには、最終的に確定申告が必要です。確定申告を行うと、ワンストップ特例制度の対象外となるため、給与所得にかかる税金控除も確定申告で行う必要があるからです。
譲渡益を所得に含めることで課税対象が増える可能性があるため、確定申告によるメリット(限度額の増加)とデメリット(課税対象の増加)を事前に比較検討することが求められます。
源泉徴収あり特定口座
特定口座(源泉徴収あり)では、譲渡益が発生した際に証券会社が税金を源泉徴収するため、原則として確定申告は不要です。
この場合、ほかに確定申告が不要な条件を満たしていれば、ワンストップ特例を利用してふるさと納税の手続きを行うことができます。ただし、あえて確定申告を行い譲渡益を申告に含めると、ワンストップ特例は使えなくなります(確定申告による寄附金控除を行う必要があるため)。
そのため、源泉徴収あり特定口座の利用有無と確定申告の選択は、ワンストップ特例利用の可否と直接関係します。
確定申告を行うべきかどうかの判断は、後の注意点で詳しく解説する公的制度への影響と、限度額が増えるメリットを天秤にかけることが重要です。
確定申告すべきかの判断ポイント
源泉徴収あり特定口座で株式譲渡益が出た方が、確定申告を行うべきかどうかの判断のポイントは以下の通りです。
- 限度額を上げるメリットがあるか
・株式譲渡益が大きく、限度額が大幅に増え、結果として自己負担額2,000円を超えて寄附できる金額が増えるかを確認します。 - 他の制度にデメリットが生じないか
・確定申告によって所得が増えることで、国民健康保険料や各種手当、扶養控除などに影響が出ないかを調べます。 - 判断の原則
・デメリットの影響が限度額増加のメリットを上回る場合は、あえて確定申告を行わず、ワンストップ特例制度を利用するという選択肢も考える必要があります。
株式譲渡益による税金控除を受ける際の注意点

株式譲渡益をふるさと納税の限度額に反映させるために確定申告を行う際は、とくに以下の二点について細心の注意を払う必要があります。
確定申告によってデメリットが生じる場合がある
源泉徴収あり特定口座の譲渡益や、20万円以下の譲渡益について確定申告を行った場合、合計所得金額が増加することになります。この増加した所得金額が、さまざまな公的制度の判定基準に用いられ、不利益につながる場合があります。
確定申告により生じる可能性のあるデメリットの具体的な例は以下の通りです。
- 国民健康保険料・介護保険料の増加:これらの保険料は、前年の所得金額に基づいて算定されます。所得が増加すると、保険料の算定基準が上がり、支払額が増加します。
- 各種給付金の所得制限に抵触:児童手当や高等学校等就学支援金など、所得によって支給額が制限される制度で、給付を受けられなくなったり、減額されたりすることがあります。
- 扶養控除からの除外:配偶者や家族の所得要件を超過し、扶養控除や配偶者特別控除が受けられなくなることがあります。
とくに国民健康保険料への影響は大きいです。申告前に必ず、ご自身の居住する各自治体の窓口に問い合わせて試算を依頼するなど、影響を正確に把握することが強く推奨されます。メリットとデメリットを慎重に比較検討し、確定申告を行うかどうかを判断してください。
所得の推測を誤ると自己負担が生じる場合がある
ふるさと納税の控除限度額は、寄附を行った年の1月1日から12月31日までの所得で確定します。株式譲渡益は市場の状況によって変動しやすく、年の途中で見込んだ所得が、年末になって大きく変わることがあります。
控除限度額を超えて寄附をしてしまった場合、超過した金額については、全額自己負担となります。自己負担は原則2,000円で済みますが、所得の推測を誤ると、この2,000円を超える大きな自己負担が生じてしまうリスクがあります。正確な限度額を把握するためにも、譲渡益が確定した後に寄附を行う、またはシミュレーションを定期的に見直すなどの対策が必要です。
まとめ
株式譲渡益がある方がふるさと納税を利用する場合、確定申告を行うことで控除限度額を増加させることが可能です。
しかし、口座の種類(源泉徴収あり・なし)や譲渡益の金額によって、手続きの方法や確定申告を行うメリット・デメリットが大きく異なります。
とくに、確定申告を選択する際は、国民健康保険料の増加や各種給付金の所得制限など、他の公的制度への影響を事前に詳しく調べるようにしてください。
この記事で解説した内容を参考に、ご自身の状況に合わせて、シミュレーターの活用や専門家への相談も視野に入れながら、慎重に判断を進めることが大切です。
















