目次
季節を問わず価格の安いもやしは、節約食材の代表格。
味にクセがなく何にでも合うので、炒めもの・サラダ・スープなど、幅広いメニューに活用できるのも魅力です。
「もやしっ子」という言葉のひ弱なイメージから栄養がないと思われがちですが、実は、ビタミン・ミネラル・食物繊維などを中心に体にいい栄養がたっぷり。
今回は、もやしに含まれる栄養と効能、栄養を逃さない保存方法や食べ方のコツもご紹介します。
コスパ最強食材「もやし」ってそもそも何?

もやしは、漢字で書くと「萌やし」。
漢字の意味からわかるように種から芽が出ることを表していて、本来は特定の野菜を指す言葉ではありません。
広い意味では、かいわれ大根や豆苗、アルファルファ、ブロッコリースプラウトなどの発芽野菜も「もやし」に相当すると言われています。
一般に「もやし」と呼ばれている野菜は、大豆や緑豆などの豆類を発芽させたもので、光を遮断した容器の中で、水だけで育てられるのが特徴です。
温度や湿度などがコントロールされた工場で、自然環境の影響を受けずに生産されるので、常に安定した価格と品質が保たれています。
もやしの栄養成分を大解剖!

もやしの原料となる豆類の種は、良質なタンパク質や脂肪、炭水化物の宝庫。
発芽してもやしになる過程でこれらの成分が分解され、もともと含まれていなかった栄養素が生成されていきます。
ここでは、もやしに含まれる栄養成分について詳しくみていきましょう。
もやしに含まれる主な栄養素と効果・効能
カリウム
体内の余分な塩分・水分を体外に排出するので、高血圧の予防やむくみの解消に役立ちます。
カルシウム
骨や歯をつくるだけでなく、血液の凝固や筋肉の収縮といった体内機能を調節する役割も担っています。
ビタミンB群
体内でエネルギーをつくり出すので、不足すると疲れやすくなったり、集中力が低下したりします。
妊娠中の女性に欠かせないビタミンBの一種・葉酸もたっぷり含まれています。
ビタミンC
皮膚の老化を防ぐ、免疫力を高めて病気にかかりにくくする、ストレスを和らげるなどの効果があります。
食物繊維
便秘の予防・改善、心筋梗塞や糖尿病などの生活習慣病の予防に役立ちます。
アスパラギン酸
疲労回復やスタミナ増強に効果的なアミノ酸の一種です。
アスパラに含まれる成分として有名ですが、もやしのアスパラギン酸含有量はアスパラより多いことが知られています。
もやしの種類による栄養成分の違い
現在国内で流通しているもやしは、緑豆もやし・ブラックマッペ(黒豆)もやし・大豆(豆)もやしの3種類。
全国のもやし生産量の約9割を占める緑豆もやしと、西日本で好まれる細めのブラックマッペもやしには、栄養成分に大きな差はありません。
特筆すべきは、豆付きの大豆もやしに含まれる栄養分。
上述したような栄養素が、ほかのもやしの2倍以上含まれています。
もやしの栄養はどこにある?部位別の成分比較
もやしは、白い軸と、根元の細いひげ根、薄黄色の子葉や豆の部分で構成されています。
このうち、栄養が多く集まっていると言われるのは子葉や豆の部分。
特に大豆もやしの豆の部分には、タンパク質やイソフラボンが豊富に含まれています。
料理の食感や見栄えをよくするためにひげ根を取り除いたり、あらかじめひげ根が切断された「根切りもやし」を使ったりすることがありますが、実はひげ根には食物繊維がたっぷり。
栄養面から考えると、ひげ根は取らずにそのまま食べるのが正解です。
ヘルシーなもやしはダイエットにも最適
もやしのカロリーは、100gあたりわずか15~30kcal。
低カロリーなのにボリュームたっぷりなので、主食をもやしに置き換えたり、いつもの料理をもやしでかさ増ししたりすることで、摂取カロリーをコントロールすることができます。
糖質量も100gあたり0~1.3gと少ないので、糖質制限ダイエットにも最適。
お通じを改善する食物繊維や、体内の水分を排出するカリウム、代謝をアップさせるビタミンB群やアスパラギン酸などの栄養素も痩せやすい体へと近づけてくれます。
もやしの栄養を逃さない加熱・調理のポイント5つ

栄養満点のもやしですが、調理方法次第ではせっかくの栄養が無駄になってしまうことも。
ちょっとしたコツを押さえて、栄養も美味しさも余すことなくいただきましょう。
水洗いなしでOK!洗う場合はサッと
もやしは、徹底的に衛生管理された工場で、土や肥料・農薬などを一切使わずに生産されるクリーンな野菜です。
出荷前には清潔な水でしっかり洗浄されているので、調理前にあらためて水洗いする必要はありません。
もやし特有の青臭さが気になる場合は、ザルなどに入れて流水で軽く洗うようにしましょう。
茹で時間は20~30秒
もやしを茹でるときのポイントは、とにかく加熱しすぎないこと。
長時間茹でるとカリウムやビタミンなどの栄養素が水に流れてしまうだけでなく、シャキシャキとした食感も失われてしまいます。
緑豆もやしやブラックマッペもやしの茹で時間の目安は、20~30秒ほど。
豆の部分に火が入りにくい大豆もやしは、3~4分ほどが目安です。
茹で上がりに水にさらしてしまうと水っぽさが残るので、水にはさらさず、ザルやバットなどに広げて冷ますようにしましょう。
炒める・蒸す・レンジ加熱がおすすめ
水に溶けやすい栄養素を流出させないようにするには、水を使わずに調理するのが一番。
油でサッと炒めたり、蓋付きのフライパンなどで軽く蒸したりすれば、ばっちり栄養をキープすることができます。
レンジを使う場合は、もやし1袋(200~250g)を入れた容器にふんわりとラップをかけ、500~600Wで2~3分加熱しましょう。
市販の袋の状態のままレンジ加熱できる商品も便利です。
スープ・味噌汁で栄養をまるごと摂取
もやしを煮込んだ栄養たっぷりのお湯を、そのまま汁物にするのもおすすめ。
味噌汁やもやしスープはもちろん、出汁ごと食べる鍋料理なども美味しくいただけます。
もやしは下茹でせずにそのまま加え、歯ごたえが残るように軽く火を通してください。
おすすめ食材と組み合わせて栄養アップ
もやしは、動物性タンパク質と組み合わせると、料理の栄養価が格段にアップします。
例えば、ビタミンB1たっぷりのもやしと豚肉は、疲労回復効果バツグンの食べ合わせ。
完全栄養食と呼ばれる卵ももやしとの相性がよく、卵に含まれていない食物繊維とビタミンCをもやしが補うことで、バランスよく栄養を摂取することができます。
また、ニラやにんじんなどの緑黄色野菜ともやしの組み合わせも鉄板。
緑黄色野菜がもやしに含まれていないβカロテンを補い、料理に彩りもプラスしてくれます。
間違った保存方法で栄養がなくなる?もやしを長持ちさせるコツ

もやしを買ってきたはいいものの、「気がついたら変色していた」「使い残しを腐らせてしまった」という経験はありませんか?
ここでは、もやしの正しい保存方法についてご紹介します。
できるだけ早く使うのが基本
もやしは、野菜の中でも特に鮮度が落ちやすく、日持ちしない食材。
通常、買ってきてからわずか1~2日ほどで傷み始めてしまいます。
日が経つごとにビタミンCなどの栄養素も減少すると言われているので、できるだけ早く食べるのが基本です。
温度が高いとすぐに劣化してしまうので、買ってきたらすぐに冷蔵庫に入れるようにしましょう。
野菜室ではなく、より温度の低いチルドルームで保存するのがポイントです。
「水につけて保存」は栄養面ではNG
もやしを長持ちさせる保存方法としてよく知られているのが、水に浸して冷蔵する方法。
1~2日ごとに水を交換すれば1週間以上保存可能ですが、ビタミンなどの水溶性の栄養素は水に溶け出してしまいます。
そこでおすすめなのが、もやしを冷蔵する前にパッケージの袋につまようじなどで小さな穴をあけておく方法。
もやしが袋の中で呼吸しやすくなり、穴をあけずに保存した場合より2~3日ほど長持ちすると言われています。
もやしの冷凍保存方法
もやしは、生・加熱後ともにフリーザーバッグなどに入れて冷凍保存することが可能です。
保存期間の目安はおよそ2週間。
購入した袋ごと冷凍してもOKです。
もやし特有の食感は失われてしまいますが、凍ったまま汁物などに入れれば美味しくいただくことができます。
まとめ
色白でひょろ長く、いかにも栄養が無さそうに見えるもやし。
実際には、さまざまな病気の予防やダイエットにも役立つ栄養がふんだんに含まれています。
せっかくの栄養を逃さないように調理して、日々の食事に美味しく取り入れていきましょう。