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マグネシウムは、穀類、豆類、種子類、海藻類、野菜・果物類、きのこ類、いも類などの植物性食品を中心に、魚介類などにも多く含まれているミネラルです。
体内で多くの酵素の働きを支え、骨や歯の形成、神経伝達、筋肉の収縮などにも関わっています。
現代人には不足しがちで、意識的な摂取が望ましい栄養素です。
この記事では、マグネシウムが豊富に含まれる食品を分類別に紹介します。
マグネシウムとはどんな栄養素?

マグネシウムは、体内では骨や歯、筋肉や神経などに多く存在するミネラルです。
体内の多数の酵素の働きを支えており、エネルギー代謝にも深く関わっています。
マグネシウムの主な働き
マグネシウムは、主に以下のような働きがあり、健康維持に欠かせないミネラルです。
- 骨や歯の成長を助ける
- 酵素の働きを支える
- 筋肉の収縮を制御する
- 神経の興奮を抑える
推奨されている1日のマグネシウム摂取量
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、ほとんどの人にとって十分な量となる一日あたりのマグネシウム摂取量(推奨量)は、下表のとおりです。
| 性別 | 年齢 | 推奨量 (mg/日) |
|---|---|---|
| 男性 | 18~29歳 | 340 |
| 30~49歳 | 380 | |
| 50~64歳 | 370 | |
| 65~74歳 | 350 | |
| 75歳以上 | 330 | |
| 女性 | 18~29歳 | 280 |
| 30~64歳 | 290 | |
| 65~74歳 | 280 | |
| 75歳以上 | 270 |
妊娠中は、表中の数値よりさらに40mg多くマグネシウムを摂取することを勧められています。
厚生労働省の「令和5年国民健康・栄養調査報告」によると、日本では多くの人が十分な量のマグネシウムを摂取できていない状況です。
マグネシウムは、精製や加工が行われていない食品にとくに多いため、食べる食品が偏らないように注意が必要です。
マグネシウムが豊富な植物性の食品

この章では、マグネシウムが豊富に含まれている植物性の食品を紹介します。
なお、この記事では栄養価を文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」から引用しています。
穀類
精製されていない穀物には、マグネシウムが豊富に含まれています。
マグネシウムがとくに豊富な穀類を下表にまとめます。
| 食品名 | マグネシウム含有量 (mg) |
|---|---|
| キヌア | 180 |
| そば(乾麺) | 100 |
| きび(精白粒) | 84 |
| 全粒粉パン | 51 |
| 玄米ごはん | 49 |
※可食部100gあたり
玄米や全粒粉パンなど、未精製の穀物には豊富なマグネシウムに加えて、食物繊維やビタミンなどの栄養素も多く含まれています。
未精製穀物は食物繊維が非常に豊富な一方、やや消化に悪いのがデメリットです。白米などの精製された穀物よりも、よく噛んで食べる必要があります。
なお、きびのように、精白粒でも比較的マグネシウムが多く含まれている穀物もあります。
豆類
豆類は、マグネシウムが豊富なうえ、食卓に取り入れやすい食品です。
マグネシウムがとくに豊富な豆類を下表にまとめます。
| 食品名 | マグネシウム含有量 (mg) |
|---|---|
| きなこ | 260 |
| 糸引き納豆 | 100 |
| がんもどき | 98 |
| 木綿豆腐 | 57 |
※可食部100gあたり
納豆や豆腐はパックを開けるだけで食事に追加でき、マグネシウムを摂取しやすい食品です。
豆腐は製造過程で、にがり(塩化マグネシウム)が添加された製品も多いため、マグネシウムが多く含まれています。
種子類
アーモンドやくるみなどの種子類もマグネシウムが豊富です。
マグネシウムがとくに多い種子類を下表にまとめます。
| 食品名 | マグネシウム含有量 (mg) |
|---|---|
| ごま(乾) | 370 |
| アーモンド(乾) | 290 |
| くるみ(いり) | 150 |
※可食部100gあたり
ごまやくるみは、料理のアクセントにも使いやすく、手軽に摂取できます。
海藻類
毎日の食事に取り入れやすい海藻も、マグネシウムが多く含まれています。
マグネシウムがとくに豊富な海藻を下表にまとめます。
| 食品名 | マグネシウム含有量 (mg) |
|---|---|
| アオサ | 3200 |
| ひじき | 640 |
| カットわかめ | 460 |
| 焼きのり | 300 |
※乾物100gあたり
海藻は乾物で保存されている場合が多く、常備しやすいのが特徴です。
わかめや焼きのりは、食事に加えやすいため、マグネシウム摂取におすすめの食品です。
なお、表中の含有量は乾物のもので、水で戻した状態での含有量よりも値が大きくなっています。
野菜・果物類
野菜や果物はマグネシウムだけでなく、ビタミンや食物繊維などの栄養素を豊富に含んでいます。
食卓に取り入れやすく、かつマグネシウムが豊富な野菜・果物を下表にまとめます。
| 食品名 | マグネシウム含有量 (mg) |
|---|---|
| 切り干し大根 | 160 |
| ほうれん草(生) | 69 |
| えだまめ(生) | 62 |
| ごぼう(生) | 54 |
| アボカド | 34 |
| バナナ | 32 |
※可食部100gあたり
野菜や果物は日常的に摂取しやすく、他のビタミンやミネラルも摂取可能です。
きのこ類
マグネシウムを効率的に摂りたいなら、きのこもおすすめの食品です。
マグネシウム含有量が比較的多いきのこを下表にまとめます。
| 食品名 | マグネシウム含有量 (mg) |
|---|---|
| 乾燥キクラゲ | 210 |
| 干ししいたけ | 100 |
| しいたけ(原木栽培) | 16 |
| えのきたけ | 15 |
※可食部100gあたり
生のきのこは、マグネシウム含有量の多い野菜には劣りますが、ある程度の量のマグネシウムが含まれています。
乾物のきのこは、水分が抜けて重量あたりの含有量が大幅に増加するものの、調理後のマグネシウム摂取量は生のきのこと大きく変わらないため注意しましょう。
鮮度の落ちやすいきのこですが、乾物にすると保存性が上がり、マグネシウムを手軽に摂取できます。
いも類
いも類にも少量ながら、マグネシウムが含まれています。
マグネシウムが比較的多く含まれているいも類を下表にまとめます。
| 食品名 | マグネシウム含有量 (mg) |
|---|---|
| さつまいも(皮付き) | 24 |
| じゃがいも(皮付き) | 19 |
| 里芋 | 19 |
| ながいも | 17 |
※生の食品の可食部100gあたり
いも類に含まれているマグネシウムの量は、突出して多くはありません。
しかし、いも類は保存性が高く、一度に食べる量が多い食品です。
手軽にマグネシウムを摂取できるのが、いも類のよいところです。
マグネシウムが豊富な動物性の食品

マグネシウムは、植物性の食品だけでなく、動物性の食品にも多く含まれています。
マグネシウムが豊富な動物性の食品を下表にまとめます。
| 食品名 | マグネシウム含有量 (mg) |
|---|---|
| 干しエビ | 520 |
| あさり | 92 |
| きんめだい | 73 |
| しらす | 67 |
| かつお(春獲り) | 42 |
※可食部100gあたり
肉類よりも、海産の魚介類の方が、マグネシウム含有量は多くなっています。
とくに干しエビやしらすなら、少量で手軽にマグネシウムを補えます。
飲み物からもマグネシウムは摂れる

マグネシウムを日常的に摂取するには、普段の飲み水を変える方法もあります。
日本の飲料水は飲みやすい「軟水」が主流ですが、海外の飲料水には、マグネシウムやカルシウムなどのミネラルが多い「硬水」もあります。
製品によりマグネシウム含有量に多少の差はありますが、硬水なら普段の水分補給でも、マグネシウムを摂取できます。
ただし硬水は味に癖があるため、飲み慣れない人は少量から試してみるとよいでしょう。
マグネシウムは適量の摂取が重要

マグネシウムは、過不足があると体に悪影響があるため、適量の摂取を心がけましょう。
ここでは、マグネシウムの不足の影響と過剰摂取について解説します。
マグネシウム不足の体への影響
マグネシウムが慢性的に不足すると、不整脈や筋肉のけいれん、消化不良など、さまざまな不調が起きやすくなります。
また、マグネシウムの不足は、気分の変化などに影響する可能性や、一部の生活習慣病(骨粗しょう症、高血圧、心疾患など)との関連も指摘されています。
マグネシウム不足による体への影響は、初期の段階で明確に気付きにくいため、日頃の食事で摂取を意識しておくとよいでしょう。
マグネシウムの過剰摂取に注意
マグネシウムは不足しがちなミネラルですが、摂りすぎても体に悪影響を及ぼします。
マグネシウムを食品から摂りすぎても、通常は過剰分が尿で排泄されるため、普段の食事では過剰摂取にはなりにくいです。
しかし、サプリメントや「にがり」など、一般的な食べ物以外でマグネシウムを大量に摂取すると過剰になり、下痢などが起こることがあるため注意しましょう。
また、腎臓の機能が弱っている方や高齢者などは、体内の過剰なマグネシウムを排出できずに高マグネシウム血症になるリスクが高まりやすいため、サプリメントなどでの摂取には十分に注意が必要です。
まとめ
マグネシウムは、未精製の穀物や豆類、種子類、海藻類、魚介類などにとくに多く含まれています。
体内のさまざまな機能を支える重要なミネラルですが、現代の食生活では不足しがちな傾向もあるため、こうした食品をバランスよく食べるとよいでしょう。
ただし、サプリメントなどでの摂取は、適量に抑えないと過剰になりやすいため気をつけましょう。
マグネシウムを多く含む食べ物を献立に取り入れて、日々の食事で適量の摂取を心がけてみてください。












