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代表的な夏野菜のひとつ「オクラ」は、世界の広い地域で親しまれており、薬用植物としても扱われるほど滋養に富んでいます。
オクラは、ビタミンやミネラルが豊富なだけでなく、特徴的な「ネバネバ」にも体にうれしい成分が含まれているのです。
この記事では、オクラが持つ栄養について詳しく解説します。
さらに、新鮮で栄養豊富なオクラの選び方や、効果的な保存方法、簡単レシピまでご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
オクラに含まれる主な栄養素とその働き
オクラには非常に多くの栄養素が含まれています。
とくに豊富な栄養素について、下表に含有量を示します。
栄養素 | 含有量 (生のオクラの可食部100gあたり) |
---|---|
β-カロテン当量 | 670μg |
葉酸 | 110μg |
カリウム | 260mg |
カルシウム | 92mg |
マグネシウム | 51mg |
食物繊維 | 5.0g (水溶性1.4g・不溶性3.6g) |
オクラに多いこれらの栄養素の働きについて、順に詳しく解説します。
β-カロテン
β-カロテンは、体内でビタミンAに変わります。
免疫力や視力の維持、粘膜(鼻やのどなど)の健康維持、皮膚や髪の健康維持、アンチエイジングなどに効果的な栄養素です。
脂溶性ビタミンのβ-カロテンには、油に溶けやすい性質があります。
油を使って炒めたり、油を含むドレッシングをかけたりすると、効率よく体内に吸収できます。
葉酸
ビタミンB群のひとつである葉酸は、赤血球をはじめとする細胞の産生を助ける働きがあります。
不足すると悪性の貧血を起こしたり、精神状態が不安定になりやすくなったりします。
近年では、妊活・妊娠中の女性にとって重要な栄養素としても知られるようになりました。
妊娠初期は、脳や脊髄などの神経系が形成される大事な時期ですが、葉酸が不足すると神経管の先天異常が起こりやすいためです。
妊活・妊娠中の女性ではなくとも、体に必要な栄養素なのできちんと摂取しましょう。
ミネラル類
オクラには、カリウム・カルシウム・マグネシウムなどのミネラルが豊富です。
ミネラルはヒトの臓器や組織をスムーズに動かすために欠かせません。
カリウム
カリウムは余分なナトリウム(塩分)を体外に排出する役割があり、体内の水分濃度を調整しています。
不足すると体がむくみやすくなったり、筋肉痛や手足のだるさなどを感じたりします。
カルシウム
カルシウムは骨や歯を形作る主な材料となる成分です。
骨を丈夫にするために欠かせない栄養素で、不足すると骨粗しょう症の原因にもなります。
ほかに、筋肉の収縮や血液凝固作用などにも関係しています。
マグネシウム
マグネシウムは、体内のさまざまな酵素の活性を担うミネラルであり、筋肉の収縮や精神の安定などにも関わっています。
カルシウムとともに骨の材料にもなるため、カルシウムとバランスよく摂りたい栄養素です。
食物繊維
オクラは食物繊維が豊富な野菜です。
食物繊維は、水溶性と不溶性の2つに大別されますが、オクラは両方をバランスよく含んでいます。
オクラの特徴的なネバネバには、水溶性食物繊維の「ペクチン」が含まれ、善玉菌のエサとなって腸内環境を整えてくれます。便秘や下痢などの予防にも効果的です。
また、糖質の吸収を緩やかにして血糖値の急上昇を抑えたり、血清コレステロール値を低下させたりもしてくれます。
不溶性の食物繊維も腸内環境を整えるのに効果的です。腸内で便のかさを増し、腸の動きを促してお通じをよくしてくれます。
栄養たっぷりの新鮮なオクラの見分け方
オクラにはさまざまな栄養素が豊富に含まれています。
このオクラの栄養をしっかりと摂るには、なるべく新鮮なものを購入したいところです。
新鮮なオクラを選ぶには「色・産毛・大きさ」の3点に着目しましょう。
- 色
色は鮮やかでツヤのある緑色のものを選びましょう。
とくにヘタの周りをよく見てください。古いオクラはヘタや切り口が茶色く変色します。 - 産毛
産毛で表面がびっしりと覆われているオクラは新鮮です。
逆に、産毛が目立たないものは収穫してから時間が経過しています。 - 大きさ
小さめのものが、やわらかくおいしいオクラです。
大きく成長してしまうと皮が固くなり苦みが出てくるため、食味が落ちます。
また、オクラの旬は夏(6~9月)です。
旬の野菜はお財布にやさしいだけでなく、その季節に不足しがちな栄養が摂りやすく、旬でない時期より栄養価も高い傾向にあります。
旬の野菜は、一年のなかで最も生育に適した時期に栽培・収穫されるためです。
夏はぜひ、オクラを積極的に食べてみましょう。
オクラの栄養を損なわない調理・保存方法
オクラは低温・乾燥・湿気に弱いため、保存時はこの3点に気を付けましょう。
また、オクラには水溶性の栄養素も多く含まれるため、ゆでる際は流出に注意が必要です。
ここでは、オクラの栄養を損なわない調理や保存のコツを紹介します。
オクラのゆで方
オクラをゆでる時間は1分半が目安です。長くゆでると、オクラの水溶性ビタミンやミネラルが水に溶け出しやすくなります。
栄養分を逃がさないためには、電子レンジでの加熱もおすすめです。
耐熱皿などに入れてふんわりとラップをして、オクラ4~5本につき30~40秒(600W)を目安に加熱しましょう。
冷蔵保存の方法
オクラの冷蔵での保存期間の目安は4~5日です。
それ以上長持ちさせたい場合は、次に述べる冷凍保存にしましょう。
オクラは湿気にも弱いため、冷蔵保存では水気をしっかりとふき取ってください。ぬれたところから黒ずみ、早く傷む原因になります。
キッチンペーパーでオクラを包み、それをポリ袋に入れて軽く口を閉じたら、冷蔵庫の野菜室に入れて保存します。
冷凍保存の方法
冷凍保存したオクラの保存期間は約1か月です。
オクラの冷凍保存では、産毛を取り除いたりする下処理をした後、カットせずに丸ごとか、使いやすくカットしてから冷凍します。
下処理の方法、カットなしの冷凍方法、カットしての冷凍方法を順に紹介します。
冷凍前の下処理の手順
オクラの基本的な下処理方法は以下の3ステップです。
- オクラを板ずり(まな板の上にのせ、塩をかけて手のひらで転がす)します。
- 流水で洗うか、ゆでて産毛を取り除きます(オクラは生でも、ゆでてからでも冷凍可能)。
- キッチンペーパーで水気を取ったら、最後にヘタとガクを切り落とします。
また、板ずりをせずに産毛を取り除く簡単な方法もあります。
オクラを購入したときのネットに入れたまま(紙の部分は取り除く)、両手でネットをはさみ、水道水を流しながらオクラ同士をこすり合わせる方法です。
興味がある方は一度試してみてください。
丸ごと冷凍保存する手順
カットせずに冷凍保存する場合は、下処理をしてから水気をしっかり取り、3~4本ずつラップに包んで密封袋に入れて冷凍します。
調理するときは、凍ったままカットや加熱調理が可能です。
カットして冷凍保存する手順
加熱後に使いやすい形にカットして冷凍すると、調理時の手間が省けて便利です。
以下の手順で保存しましょう。
- 板ずりなどで産毛を取り、ゆでるか電子レンジで火を通してから、ザルの上で冷まします。
- 水気をしっかり取ったあと、使いやすい形にカットして、密封袋に入れて冷凍します。
オクラの栄養を活かした簡単レシピ
ここでは、栄養豊富なオクラを手軽に食べられる3つの簡単レシピを紹介します。
オクラ納豆
板ずり後に加熱したオクラを冷まし、水気をしっかり取ったあと、軽く刻みます。
次に、納豆とオクラを、めんつゆや納豆付属のタレで和えたら完成です。
ネバネバのオクラと納豆の組み合わせで、暑い夏でも食べやすい一品です。
オクラ冷奴
板ずり後に加熱したオクラを冷まし、水気をしっかり取ったあと、軽く刻みます。
1人分に切り分けた豆腐の上にオクラを乗せ、お醤油をかけて完成です。
さらにお好みで、刻んだオクラに刻みのりや鰹節を加えてもいいでしょう。また、お醤油ではなく、オクラと梅肉ソースを和えてさっぱりいただくのもおいしいです。
オクラ味噌汁
いつものお味噌汁に、食べやすい大きさにカットした下処理済みのオクラを入れると、少しとろみが出ておいしくなります。
お豆腐や油揚げ、わかめなど、他の具材と組み合わせると手軽に必要な栄養が摂れます。
オクラを入れるタイミングは味噌をといた後にしてください。
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