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ローズマリーは、地中海沿岸を原産地とするシソ科の植物で、「若さを取り戻すハーブ」ともいわれています。
その効能は古くから知られており、古代ギリシャやローマ時代から利用されてきました。
ローズマリーには、記憶力の向上やリフレッシュ効果、抗酸化作用、血行促進など多くの効能があり、料理からスキンケアまで幅広く利用されています。
この記事では、ローズマリーの成分と効能、健康や美容に役立つ活用方法を紹介します。
ローズマリーの効能に関わる成分
ローズマリーの効能に関わる主な成分には、以下のものがあります。
- ポリフェノール
フェノール酸:ロスマリン酸、カルノシン酸、クロロゲン酸など
フラボノイド:ルテオリン、ジオスミンなど - 精油成分
シネオール、ボルネオール、カンファーなど
ローズマリーには、ポリフェノールが豊富に含まれます。抗酸化作用があり、ほかにも殺菌作用や血行促進など、さまざまな働きを有します。
ローズマリーに含まれるポリフェノールは、主にフェノール酸とフラボノイドに大別できます。
フラボノイドは、植物が作り出す代表的な色素成分です。
フェノール酸も、広くさまざまな植物に分布している成分で、中でもカルノシン酸は非常に高い抗酸化作用をもちます。
ロスマリン酸やカルノシン酸には、強い抗酸化作用のほかに、脳を活性化させる作用なども認められています。
シネオールは、ローズマリーの精油に含まれる芳香成分で、ユーカリのような爽やかな香りと抗菌作用をもつのが特徴です。
ローズマリーの効能とは
ローズマリーには、ロスマリン酸をはじめとするポリフェノールが豊富に含まれており、さまざまな効能が期待されています。
この章では、ローズマリーの代表的な効能を紹介します。
記憶力・集中力アップ
ローズマリーには、記憶力や集中力をアップさせ、意欲低下を防ぐ効果が期待されます。
ローズマリーに含まれるロスマリン酸には、記憶や集中を助ける神経伝達物質「アセチルコリン」を分解する酵素の影響を抑える働きがあります。
また、意欲を作る神経伝達物質「ドーパミン」の量を増やすこともわかっています。
カルノシン酸は、記憶を形成する神経の生長を促進させ、記憶力を高める効果が認められています。
また、ローズマリーの精油に含まれる香り成分も、集中力を高め意欲の向上を促すために有用です。
これらのことから、ローズマリーには、加齢などの影響で起こる記憶力や集中力の低下、意欲の低下などを防ぐ効能が期待できます。
リフレッシュ効果
ローズマリーの清々しい香りには、憂うつな気分をリフレッシュさせる効果があります。
実際に、ローズマリーの香りによって自律神経が整い、気分が明るくなったという研究報告があります。
また、抑うつは、ストレスにより分泌されるストレスホルモンの増加や、ドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質の減少などが原因です。
ローズマリーに含まれるロスマリン酸には、ストレスホルモンを減少させたり、ドーパミンなどの神経伝達物質を増やしたりする効果が認められています。
つまり、ローズマリーの香りや成分には、落ち込んだ気持ちをリフレッシュさせ、抑うつを改善する効能が期待できるのです。
血行促進
ローズマリーには、血行を促進させる効果があります。
フラボノイドの一種であるジオスミンには、血管を強化し、血流を促す働きがあり、精油成分のシネオールにも、血行をよくする効果があるといわれています。
とくに頭皮への効能があり、抜け毛予防や育毛などを目的としたヘアケア製品にも使用されているのです。
ローズマリーの血行促進効果により、冷え性の改善や代謝アップ、抜け毛予防などが期待できます。
抗炎症・抗アレルギー作用
ローズマリーには、抗炎症作用・抗アレルギー作用が認められています。
関節リウマチ、花粉症、アトピー性皮膚炎などは、体の免疫機能が過剰に反応することで起こります。
カルノシン酸には、リウマチなどの炎症性疾患やアレルギー反応を抑制する働きがあります。
ロスマリン酸には、アレルギー症状の原因となるヒスタミンの発生や、アレルギー反応に関与する酵素の活性を抑える働きがあります。
これらの成分を含むローズマリーには、関節炎などの炎症の抑制や、アレルギー症状の改善などの効果が期待できます。
肌への効果
ローズマリーをスキンケアに利用すれば、毛穴の引き締めや肌のたるみ防止など、肌への効果が期待できます。
ローズマリーには毛穴を引き締める収れん作用があるといわれており、ニキビなどの炎症を防ぎ、肌のなめらかさが保たれます。
また、ローズマリーのもつ抗酸化作用や血行促進作用は、肌にも有効です。
抗酸化作用により活性酸素の発生が抑制されると、シミやシワの改善につながります。
血行促進により代謝が高まると、肌のたるみやむくみの防止などの効能も期待できます。
消化機能の改善
ローズマリーには消化機能を改善する効果があり、ドイツでは食欲不振や消化不良、肝機能低下などの症状に用いられています。
肝臓の機能低下などにより胆汁の分泌が不足すると、食欲不振や消化不良を引き起こします。
胆汁とは、脂肪の消化・吸収を助け、コレステロールなどの老廃物を体外に排泄する働きもある消化液のことです。
ローズマリーには胆汁の分泌を促す作用があるため、消化機能が改善され、消化不良や胃もたれなどの症状の緩和に役立ちます。
抗酸化・抗菌作用
ローズマリーに含まれるポリフェノールや精油成分には、抗酸化作用や抗菌作用があります。
ロスマリン酸やカルノシン酸などのポリフェノールには、強い抗酸化作用があります。老化の原因となる活性酸素の影響を抑えるため、アンチエイジング効果が期待できます。
また、強い抗酸化作用は、食品の劣化防止のためにも有用です。
カルノシン酸は、油脂の酸化による食品の劣化を防ぐことがわかっており、防腐剤や酸化防止剤としても利用されています。
精油成分のシネオールには、抗菌作用や抗真菌作用があり、感染症予防や肌を清潔に保つ効能が期待されます。
効能をいかしたローズマリーの使い方
ローズマリーには多くの効能があり、料理やハーブティー、アロマオイルなど、さまざまな用途で利用されています。
この章では、ローズマリーの効能をいかす具体的な使い方を紹介します。
そのまま料理に使う
そのまま料理に使うことは、ローズマリーの最も一般的な用途です。
ローズマリーの生の枝、または乾燥させた葉を、肉や魚、野菜とともに調理します。野菜は、ジャガイモやカブなどがよく合います。
素材のくさみが取れ、よい風味がつくほか、防腐効果も期待できます。
また、葉を刻んでパンやクッキーの生地に加えたり、枝をオイルに漬け込み、ハーブオイルにするのもおすすめです。
乾燥させたものは生の葉よりも風味が強いため、使用量に注意しましょう。
ハーブティーにして楽しむ
ローズマリーの効能をいかすには、ハーブティーもおすすめです。
ティーカップ1杯分の葉の量は、ドライならティースプーン山盛り1杯、フレッシュなら山盛り3杯が目安です。
熱湯を注いで蓋をし、3分ほど蒸らしてから葉を濾します。
苦みがあり飲みにくいと感じたら、レモンやハチミツを加えたり、ミントやラベンダーなどほかのハーブとブレンドしたりするとよいでしょう。
集中力アップ、リフレッシュ効果、リラックス効果、血行促進、低血圧改善などに効果があります。
アロマオイルを活用する
香り成分を取り入れるには、ローズマリーのアロマオイルが便利です。
集中力や記憶力を高め、落ち込んだ気分を上向きにする効果があります。
アロマオイルとは、植物のエキスを抽出し濃縮させたもので、エッセンシャルオイル(精油)ともよばれます。アロマディフューザー、ルームフレグランス、入浴剤などに利用できます。
アロマオイルは刺激が強いため、肌に直接つけない、希釈して使用するなど、取り扱いには注意が必要です。
妊娠中や授乳中、乳幼児、高血圧症やてんかんの症状がある人は使用を避けましょう。
ペットにも有毒なため注意が必要です。
まとめ
ローズマリーには、脳の活性化やリフレッシュ、血行促進、消化機能の改善、アンチエイジングなどの効能が期待されます。
これらの効能をいかすために、料理やハーブティー、アロマオイルなど、多様な使い方ができるのがローズマリーの特徴です。
ただし、植物エキスを濃縮したアロマオイルは刺激が強いため、使用時は十分に注意しましょう。
毎日の生活にローズマリーを活用し、健康や美容に役立ててみてはいかがでしょうか。