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シナモンは、料理やお菓子作りなどによく使われる、身近なスパイスのひとつです。
味わいのアクセントになる独特な香りが特徴で、おいしいだけでなく、健康や美容への効果も注目されています。
ただし、必要以上に摂取すると健康への影響もあるため、多量摂取を避けることも大切です。
この記事では、シナモンの基礎知識とともに、期待できる効果や、食生活への上手な取り入れ方を解説します。
シナモンとは
シナモンは世界最古のスパイスのひとつとされています。
古代エジプト時代から使われてきたといわれ、ミイラを作る際の防腐剤や、伝統医学などに利用されてきた歴史があります。
漢方薬では、「桂皮」として親しまれてきました。
シナモンは、甘味を感じさせる独特な香りが特徴で、味わいにはわずかな辛味があります。
この個性が、料理や飲み物、お菓子作りなどに幅広く合うため、日本だけでなく海外でも日頃からよく使用されています。
シナモンは樹木の皮
シナモンは、クスノキ科の常緑樹の樹皮です。シナモンに適した種類の樹木の樹皮をはぎ取って、乾燥させて作られます。
シナモン作りに使われる樹木の種類は、主に「セイロンニッケイ」と「カシア(シナニッケイ)」です。
中でも、繊細で甘味のある香りで人気があるのが「セイロンニッケイ」です。セイロンニッケイは、インド、スリランカ、マレーシアなどで栽培されています。
「カシア(シナニッケイ)」は、香りと辛味が強く、濃厚さもあるのが特徴です。中国やベトナム、東南アジアなどで栽培されています。
シナモンとニッキの違いとは
日本でおなじみの八つ橋やニッキ飴でも、シナモンと同じような風味を楽しめます。これらのお菓子には、香料としてニッキが使われているためです。
ニッキは、ニッケイというクスノキ科の樹木で、日本で栽培され、九州や沖縄などには野生の株もあります。
シナモンとニッキの大きな違いは、シナモンが樹木の皮を利用するのに対して、ニッキは樹木の根の皮を利用するところです。
ニッキはさわやかな辛味が特徴で、甘い香りもあります。
市販のシナモンの種類
市販されているシナモンは、原材料の樹木の種類によって、主に、セイロンニッケイのシナモンと、カシアのシナモンに分けられます。
セイロンニッケイの方が、香りや味わいなどが繊細で良質といわれることから、製品では「セイロンシナモン」として区別しているものもあります。
また、シナモンの形状としては、ホールタイプの「シナモンスティック」と、粉末状の「シナモンパウダー」の2種類があります。
シナモンスティックは、樹皮を丸めて形を整えたもので、そのままお茶や煮込み料理に入れるなどして使うのが特徴です。
粉末状のシナモンパウダーは、そのまま振り入れてさまざまな料理やお菓子作りに使えます。
シナモンに期待できる効果・効能
シナモンは、胃腸の不調や血行不良に伴うトラブルなどに対して、さまざまな効果や効能があるとされています。
ここでは、漢方でシナモンに期待される働きを中心に、よく耳にするシナモンの効果について解説します。
漢方で期待されるシナモンの働き
漢方において、シナモン(桂皮)は、体を温める働きや、血の流れを良くする働きが期待されている生薬です。
冷え性や、冷えによる風邪や腹痛、関節痛、月経痛などのトラブルに使われます。
体を温めることで、発汗作用や胃腸の働きを助ける働きなどが期待できます。
また、腎臓および腎機能への良い働きが期待できる生薬のひとつとして、腎機能改善に働きかける漢方薬に含まれることがあるのも特徴です。
抗酸化作用と肌や脳への働き
シナモンには、プロアントシアニジンというポリフェノールが含まれており、抗酸化作用が期待できます。
一般的に抗酸化作用は老化の防止に役立つことから、シナモンも、肌や脳の老化を防ぐ働きが注目されています。
シナモンの効果Q&A
シナモンは血糖値に効果がある?
シナモンによる血糖値を下げる作用や糖尿病への効果などについては、研究の対象にもなっています。
しかし、シナモンを食べることで、直接的に長期間にわたって血糖値を下げる効果があるかどうかは、まだはっきりとわかっていません。
シナモンは摂り過ぎると健康被害のおそれがあるため、血糖値を下げることを目的に多量に摂取することは避けましょう。
シナモンは白髪や抜け毛に効果がある?
シナモンは、白髪や抜け毛など、髪の毛のトラブルに効果的といわれることがあります。
シナモンの摂取で、髪の生育に重要な頭皮の血行が改善されたり、抗酸化作用による老化防止が髪にも効果を及ぼしたりすると期待されているためです。
シナモンはダイエットに効果がある?
体を温めたり血行を改善したりするシナモンの働きにより、基礎代謝が活発になれば、ダイエット効果も期待できるでしょう。
ダイエットでは、むくみを解消することも役立ちますが、シナモンのこれらの働きはむくみにも効果が期待できるためです。
また、シナモンにはむくみの解消に効果的なカリウムが含まれていることもポイントです。
シナモンの上手な取り入れ方
さまざまな効果が期待できるシナモンですが、摂り過ぎによる健康被害にも注意が促されています。
健康的に取り入れるためにも、過剰摂取しないように気を付けながら、毎日の食生活で上手においしく食べましょう。
シナモンは肝臓に悪い?過剰摂取に注意
シナモンは肝臓に悪いといわれることがありますが、原因としてはシナモンに含まれる「クマリン」という物質の影響が考えられます。
クマリンは肝臓に有害とされ、多量摂取や長期摂取、または感受性の高い人では比較的少量でも、肝疾患につながる場合があるため注意が必要です。
通常の食事での摂取量では心配ないとされていますが、シナモンの効果を得るためにむやみに多く食べたり、成分が濃縮されたサプリメントなどで摂取したりすると、過剰摂取につながりやすいため気を付けましょう。
摂りすぎると肝疾患だけでなく、胃腸障害やアレルギー反応などが起きることもあるため、自身の体に合わせて無理なく取り入れることが大切です。
料理やお菓子作りにシナモンを使うコツ
市販のシナモンには、スティックタイプとパウダータイプがあります。それぞれの特徴を解説するので、作る料理やお菓子に合った取り入れ方を選びましょう。
コーヒーや紅茶にはシナモンスティック
シナモンスティックは、飲み物に香りを付けるときに最適なタイプです。
コーヒーや紅茶などを淹れてカップに注ぎ、シナモンスティックでかき混ぜるだけで、シナモンの香りがするドリンクに仕上がります。
煮出すとさらに強い香りが付くため、ホットワインやチャイなどを作るときは、シナモンスティックを一緒に入れて火にかけるのもおすすめです。
また、飲み物だけでなく、カレーやシチューのような煮込み料理や、ジャム作りなどでシナモンの香りを付けたいときにも、シナモンスティックを一緒に煮込むとよいでしょう。
幅広く使えるシナモンパウダー
シナモンパウダーは粉末のため、さまざまな料理やお菓子作りに手軽に使えるのが特徴です。
シナモンスティックの代わりに、飲み物に振り入れて使うこともできます。
シナモンと砂糖を混ぜたものを、バターを塗ったパンに振りかけてトーストする「シナモントースト」はおなじみのレシピです。
そのほか、クッキーやケーキなどの生地に混ぜ込むこともできるため、作り慣れたスイーツのアレンジに取り入れるのもよいでしょう。
シナモンは樹皮のため、成分が溶け出すのみで、粉末が溶けきることはありません。その点をおさえて、量などを工夫し、口当たりが悪くならないように仕上げるのがおすすめです。
まとめ
さまざまな効果があるシナモンは、普段の食生活になじみやすく、使いやすいスパイスでもあります。
健康や美容に嬉しい効果が期待できるため、適度な量を意識しておいしく食べれば、上手にメリットを得られるでしょう。
調理方法やレシピによって味わいも変化するため、独特な香りが苦手なときには、使う量や調理方法を工夫してみるのもおすすめです。
製品によっても味わいが変わるため、自分にぴったりなタイプのシナモンを探してみてください。