ニュースや新聞で「地産地消」という言葉を目にする機会がありますが、具体的になにをするものなのか知らない方も多いのではないでしょうか?
本記事では「地産地消」とはなにか、メリットやデメリット、具体的な取り組み事例をご紹介します。
ぜひ最後までご覧ください。
地産地消とは
「地産地消」とは「地域生産」と「地域消費」を繋げた言葉です。
地域で生産された食材をその地域で消費することを「地産地消」といいます。
経済の活性化や環境負荷の軽減、伝統的な食文化の継承などを目的に全国各地で取り組まれています。
地産地消と6次産業との関わり
地産地消と同様、さまざまな場所で耳にする「6次産業」。
じつは地産地消と関わりのある活動となっています。
ここでは、6次産業についてと地産地消と6次産業の関わりについて解説します。
6次産業とは
「6次産業」とは、第1次産業(農林水産業)・第2次産業(加工業)・第3次産業(サービス業など)を一貫して行う活動です。
分担していたものを集約することで、地域産業の活性化も目的としています。
例えば、形が悪くそのまま出荷できない食材を加工し、イベントや直売所で販売することなどが6次産業に当てはまります。
地産地消と6次産業
「地産地消」と「6次産業」は、生産から加工までを一貫して生産者が行う点が共通しています。
「6次産業」が進むことで閑散期でも、生産者が利益を生むことができ、完成した商品を地元で販売することで「地産地消」に繋がるのです。
6次産業を取り入れた方のなかには、閑散期に加工や販売を行ったことで収入が増加したという例もあります。
これから先長く続けるためにも「地産地消」や「6次産業」への取り組みは重要です。
地産地消のメリット
多くの自治体で進められている地産地消ですが、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、地産地消のメリットについて解説します。
新鮮な食材を購入できる
地産地消は収穫された食材を地元で販売するため、消費者は鮮度がいい新鮮な食材を購入できるのが魅力です。
鮮度のいい食材は栄養価が高く、味がいいため消費者に喜ばれます。
輸送に関わるエネルギー消費を少なくできる
食材の輸送には、膨大なエネルギーが発生します。
しかし地産地消では輸送するためのエネルギーが輸入食材よりも大幅に少ないため、CO2の削減に繋がります。
地域経済の活性化になる
地産地消を取り入れることで、生産者と消費者の距離が近くなります。
距離が近くなることで生産者は消費者の声を聞き、消費者に合わせた取り組みを行うことができるのです。
また消費者の生の声を聞けるのは、生産者のモチベーション維持にも繋がります。
食品ロス削減になる
地産地消は日本全国で問題となっている食品ロスの削減にも繋がります。
食品ロスとは本来食べられるのに、何らかの理由で食品が捨てられてしまうことです。
これには、販売できない傷モノの食材も含まれています。
また、地産地消は食材をそのまま売るだけでなく、加工品の生産も行います。
その際、傷モノの果物や野菜を使用することで食品ロス軽減になるのです。
地産地消のデメリット
地産地消にはメリットだけでなく、デメリットもあります。
ここでは、地産地消のデメリットを解説します。
商品の価格が高い
地産地消の食材は新鮮で健康にいいとされていますが、大量生産が難しいため輸入品よりも価格が高くなる場合があります。
地域で人材を確保するため、人件費も発生し、より価格が高騰してしまうのです。
消費者は商品の質がいいものを求めますが、価格の差が大きすぎると安い商品を購入するため、価格の高騰は売り上げにも影響してしまいます。
生産者に負担がかかる
地産地消は地域で生産から加工まで行うため、商品の販売や宣伝は生産者が行う必要があります。
販売や宣伝を専門の知識を持った人に任せるという手もありますが、人件費がかかってしまいます。
確実に利益がでるかわからない状態で外部に委託するのはリスクが高く、生産者の負担になってしまうのです。
地産地消の具体的な取り組み事例
地産地消は現在全国各地で取り組まれ、さまざまな好成績を残しています。
ここでは、全国各地で行われている地産地消の具体的な取り組み事例をご紹介します。
道の駅・直売所での販売
直売所は農家さんが生産・加工した商品を持ち込み販売する場所です。
個人で行っている方もいらっしゃいますが、団体で行っている方も多いです。
最近ではドライバーの休憩所として利用される道の駅でも地元の野菜や果物、加工品を取り扱うことがあるため、食材を購入しに道の駅に訪れる方も少なくありません。
道の駅や直売所ではスーパーでは見かけないような珍しい食材や、その土地ならではの農産物を購入できます。
地元の方だけでなく、その土地を訪れた方にも地域の名産品を見てもらえるというメリットもあります。
地元のスーパーでの販売
大手のスーパーは在庫管理が難しいため、地元の食材・食品を取り扱っていない場合が多いです。
しかし地元に密着しているスーパーは大手チェーン店よりも扱っている商品が少ないため、地産地消の取り組みを導入しやすいのです。
地域で採れた野菜や果物が置いてあるのは、ほか店舗との差別化にもなり集客にも繋がります。
学校給食や福祉施設での食材利用
学校内や施設内で食事を作っている場合、食材を少量から取引するため地域の食材を利用している自治体もあります。
子供たちに地元で採れた食材に興味を持ってもらうために、校外学習で生産者の元を訪れる学校も多いです。
福祉施設では農場と連携し実際に作物を育ててみたり、収穫した食材を直売所で販売したりしている施設もあります。
また、加工製品を作ることで障害者の方々を雇用し、自立支援を行うなど、さまざまな取り組みが行われています。
私たちができる地産地消
地産地消は生産者と消費者が力を合わせることで、より高い効果が期待できます。
ここでは、私たち消費者ができる地産地消にはどんなことがあるか解説します。
地元の食材を買う
普段購入する食材を地元産のものにするだけで地産地消になります。
スーパーでは輸入された食材が販売されていることが多いです。
しかし、なかには地元産の食材を扱っているスーパーもあります。
店舗によっては地元産の食材に生産者の顔写真を載せたり、地元食材のコーナーを作ったりするなど、さまざまな工夫が施されています。
近くのスーパーでは地元食材がないという方は、直売所に行くのがおすすめです。
直売所は地元農家さんが直接卸にくるため、新鮮で体にいい食材が手に入ります。
地産地消に貢献したい方はもちろん、家族の健康が気になる方は地元食材を選びましょう。
地元の食材を使ったレストランに行く
外食をするときに地元産の食材を使ったレストランを選ぶのも地産地消になります。
その土地でしか採れない珍しい食材や、旬の食材など住んでいても知らない、普段食べていない食材に出会えるかもしれません。
地元のことを知るためにも、ぜひ地元食材を使ったレストランに行ってみてください。
直売所やイベントで生産者と交流する
直売所やイベントは生産者が自ら食材を持ってくるので、直接話をすることができます。
食材の食べ方や旬の食材など普段聞けないことを聞けるため、消費者だけでなく生産者にとっても有意義な時間になります。
まとめ
地産地消にはメリットだけでなくデメリットもありますが、地域を活性化させるために必要な取り組みです。
生産者だけでなく消費者も地産地消を意識することで、住んでいる地域だけでなく社会全体に良い影響を及ぼすことでしょう。
今回の記事をもとに、自分ができる地産地消に取り組んでみましょう。