日本酒造りの副産物「酒粕」の効能とは?摂取時の注意点も紹介

日本酒造りの副産物「酒粕」の効能とは?摂取時の注意点も紹介

酒粕は日本酒を造るときにできる副産物で、いろいろな用途で再利用もされますが、廃棄されがちな食品でもあります。

しかし酒粕には、処分するには惜しい、驚くべき効能がたくさんあります。

この記事では、健康維持や美容に役立つ酒粕の効能をまとめ、摂取時の注意点についても紹介します。

この記事では甘酒の種類からおいしい作り方、保存方法まで詳しくご紹介いたします。

酒粕に期待できる効能

酒粕に期待できる効能

高血圧予防

酒粕には、「酒粕ペプチド」と呼ばれるペプチド(少数のアミノ酸が結合した物質)が含まれており、高血圧予防に効果があるとされています。

血圧上昇を防ぐ薬の中には、体内で血圧調整に関わる「アンジオテンシン変換酵素」の働きを抑えるものがあります。それと似た働きをしてくれるのが酒粕ペプチドなのです。

酒粕ペプチドには、医薬品のように急速な血圧降下作用はありませんが、1〜2か月にわたってゆっくりと血圧を低下させる効果があることが示されています。

酒粕を継続的に摂って、高血圧予防に活用してみましょう。

冷え性改善

酒粕にはアルコールが含まれており、体を温める効能があります。しかし、アルコールだけが冷えを改善してくれるわけではありません。

先述した酒粕ペプチドには、血管内で一酸化窒素という物質の産生を増やし、血管を拡張する効果もあるため、体を末端まで温めることができます。

血管の拡張による冷えの改善は、ショウガを食べたときの効果と同じ原理です。

酒粕を毎日摂り続けることで冷え性の改善が期待でき、体の温かさがより長続きします。継続して摂取することを心がけましょう。

抗酸化作用

酒粕には抗酸化作用もあり、老化や生活習慣病、がんのリスクを高める要因となる酸化ストレスを軽減し、健康維持に役立ちます。

酒粕の抗酸化成分としては、植物の細胞壁に由来する「フェルラ酸」や、こうじ菌由来の美白成分としても知られる「コウジ酸」が特徴的です。

さらに、酒粕に多く含まれるトコフェロール(ビタミンE)も抗酸化作用があり、体内での活性酸素を除去する手助けをします。

便秘解消

酒粕には、便秘を解消する効能もあります。

酒粕に含まれる不溶性食物繊維には、水分を吸収してふくらみ、便のかさを増やして、腸のぜん動運動を促す効果があるため、便秘解消につながるのです。

便は腸内にたまると悪玉菌を増やし、有害物質を発生させるため腸内環境が悪化します。

しかし、酒粕が発酵する過程で生成されるオリゴ糖は、大腸内で善玉菌であるビフィズス菌の増殖を促進し、腸内の環境を整える働きがあります

美肌効果

酒粕には、美肌効果のあるビタミンB群がたくさん含まれています。

とくに、肌のターンオーバーを整え、ニキビ予防の効能があるとされるビタミンB2や、たんぱく質の代謝を助けるビタミンB6が豊富です。

さらに、肌のうるおいを保つセラミドの一種「グルコシルセラミド」も含まれており、肌の保湿効果を期待して、酒粕がパックに使われることもあります。

酒粕のうま味成分のひとつ「α-エチルグルコシド」は、最近の研究で真皮層のコラーゲンを増やすことが学術的に実証され、美肌効果が注目されています。

肥満予防

酒粕は、肥満予防の効能も期待できます。

酒粕に含まれるコメ由来のレジスタントプロテイン(難消化性たんぱく質)は、胃で分解されずに腸に到達し、脂肪を効果的に吸着して排出する食物繊維のような働きをします。

通常の食物繊維も豊富で、血糖値の急上昇を抑える作用があります

血糖値が上昇すると、インスリンというホルモンが、糖を細胞内に取り込もうと作用します。すると、エネルギーを貯蓄するために糖が脂肪へ変換され、肥満へとつながるのです。

こうしたインスリンの働きは、血糖値が急激に上がるほど顕著に現れます。

食物繊維には血糖値を穏やかに上昇させる作用があり、インスリンの大量分泌を抑えます。

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酒粕を摂取するときのポイント

酒粕を摂取するときのポイント

酒粕には熱に弱い栄養素も含まれているので、生か低温調理して食べるのがおすすめです。

しかし、酒粕は日本酒を作るときに出る副産物なのでアルコールが含まれています。そのため、アルコールに弱い人や、幼児、妊婦などは注意をする必要があります。

ここでは、上手に酒粕を摂取するポイントを紹介します。

酒粕に含まれるアルコール度数

酒粕には100gあたり8.2gのアルコールが含まれています。これは一般的なビールや缶チューハイに比べても高い数値です。

100g中に含まれる
アルコール量(g)
酒粕8.2
ビール3.7
缶チューハイ5.6
日本酒(純米酒)12.3
ワイン9.3(赤)
9.1(白)

出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

酒粕は固形で酒類は液体なので、単純に比べることは難しいですが、それでも見逃せないアルコール量といえます。

市販されている酒粕を使った甘酒はアルコール量が1%未満で「ソフトドリンク」に分類されますが、手作りした場合は注意が必要です。

酒粕の摂取後は飲酒運転になる?

酒粕を摂取したあとの運転には注意が必要です。

アルコールの分解速度には個人差があり、同量のアルコールを摂取しても、その影響を受ける人、受けない人がいます。

アルコール分1%未満のノンアルコール飲料でも、体質によっては飲酒運転とみなされる可能性があるのです。

酒粕の摂取後に運転するときは、体質に合わせて十分な時間をおき、心配ならアルコールチェッカーなどで確認してからにするとよいでしょう。

酒粕は妊婦と幼児には注意が必要

酒粕の摂取は、とくに妊婦と幼児には注意が必要です。

母親が妊娠中にアルコールを飲むと、胎児が低体重や顔の形成異常、脳障害などを引き起こす可能性があります。

妊婦は、妊娠中のどの時期でも、少量の飲酒でも胎児に影響を及ぼす可能性があるため、完全にお酒を控えるよう心がけるべきです。

また、幼児にも注意が必要です。体が未発達の幼児がアルコールを摂ることは、脳や身体の成長が妨げられたり、急性アルコール中毒や将来にアルコール依存症になるリスクが上がったりします

アルコールは少量でも、胎児・幼児に影響を与えかねません。アルコールが含まれている酒粕も注意が必要です。

酒粕のアルコールの飛ばしかた

酒粕に入っているアルコールを完全に飛ばすのは難しいとされていますが、1〜2%くらいにまで減らすことは可能です。

酒粕のアルコール分は水に浸すと抜けにくくなるので、水でのばしてから煮るというやり方は時間がかかります。しかし、蒸すと酒粕の内部が加熱され、アルコールが効率よく蒸発していきます。

酒粕をできるだけ小さく薄くして、器の上に並べて20分程度、蒸しましょう。

もっと手軽に飛ばしたいなら、電子レンジでも可能ですが、蒸すよりアルコールが飛びにくく、酒粕独特の香りや味が残りかねません。

また、アルコールが抜けた酒粕は保存性が悪くなるため、早めに使い切るようにしましょう。

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酒粕とは?

酒粕とは?

酒粕は日本酒を造るときにできる副産物です。新酒を仕込む冬から春にかけて、スーパーなどでよく見かけます。

ここでは酒粕の基礎知識を紹介します。

酒粕ができるまで

蒸した米に麹を混ぜ合わせ、発酵させると、酒の原型であるもろみができます。さらに、もろみを搾ると酒(液体)と酒粕(個体)に分けられます。

もろみの搾り方にもいろいろあり、方法の違いで、できる酒も酒粕も風味が変わってきます。

また、酒の種類によっても、できる酒粕の風味が全く変わってきます。お気に入りの酒粕を見つけるのも楽しいでしょう。

酒粕の使い道

酒粕は食べる、飲むだけではなく、いろいろな方法で私たちを楽しませてくれます。

  • 酒粕パック
    大さじ2杯ほどの酒粕をお湯に溶いて肌に塗ります。5分ほど放置してから水でよく洗い流します。酒粕の効能により、肌が保水されもちもちとした触感へ導いてくれます
  • 酒粕風呂
    網目の細かいネットの中に酒粕を150g程度入れ、輪ゴムなどで口を縛って湯船の中に入れます。ネットは台所の水切りネットやお茶パック、伝線してはけなくなったストッキングなどを用いるとよいでしょう。

酒粕風呂は血行促進、美肌、保湿の効能が期待でき、体の芯から温めてくれるので、寒い冬にぜひお試しください。

「酒粕を食べてみたけど口に合わなかった」という人は、食べる以外の活用方法を試してみてはいかがでしょうか。

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まとめ

酒粕は毎日摂取することで、高血圧予防や冷え性の改善など、継続的な効能が期待できます。

粕汁や甘酒などの酒粕料理を食べたり、酒粕風呂に入ったり、酒粕パックをしたりすれば、きっと内側からも外側からも、そのすばらしい効能の恩恵にあずかれるでしょう。

明日の美しい肌や活力に満ちた生活のために、酒粕を取り入れてみてはいかがでしょうか。

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