酒粕の効能を徹底解説!毎日の取り入れ方・摂取量・注意点も紹介

日本酒造りの副産物「酒粕」の効能とは?摂取時の注意点も紹介

酒粕には、血圧の健康維持や血流・腸内環境のサポート、抗酸化作用、肌の健康維持などの効能が期待されています。

これは、酒粕にペプチドやレジスタントプロテイン、ビタミンB群などの栄養成分が豊富に含まれるためです。

酒粕を毎日の食事に取り入れるなら、1日50g程度が一つの目安です。

この記事では、酒粕の具体的な効能や取り入れ方、アルコールに対する注意点などを紹介します。

この記事では甘酒の種類からおいしい作り方、保存方法まで詳しくご紹介いたします。

酒粕の特徴と栄養成分

酒粕の特徴と栄養成分

酒粕は、日本酒の製造過程で生まれる発酵食品です。

米・こうじ・水を原料とし、酵母で発酵させた「もろみ」を搾って作られます。


酒粕ができるまでの工程(詳細を見る)

日本酒の醸造から酒粕の分離までは、主に以下の工程で行われます。

  1. 醸造準備
    蒸米に麹菌を繁殖させて「米麹」を作る。さらに、蒸米・米麹・水に酵母を加えて「酒母しゅぼ」を作る。
  2. 仕込み(もろみ作り)
    蒸米・水・米麹・酒母をタンクに投入し、発酵させて「もろみ」を作る。
    麹菌が米のでんぷんを糖に変え(糖化)、同時に酵母がその糖をアルコールに変える(発酵)という「並行複発酵」が行われる。
  3. 圧搾(しぼり)
    完成したもろみを圧搾機で搾り、液体(清酒)と固形分(酒粕)に分ける。
    この工程は「上槽じょうそう」とも呼ばれる。

もろみ作りの工程では、麹菌と酵母の働きによってビタミンB群の合成や、たんぱく質のアミノ酸・ペプチドへの分解が進み、多様な栄養成分が生成されます。

酒粕には、米由来の成分に加え、麹菌や酵母の働きで生じる機能性成分が含まれるのが特徴です。


酒粕は、たんぱく質・炭水化物(食物繊維と糖質)・ビタミンB群などの栄養素が豊富です。また、アルコールを含み、脂質が少なめなのも特徴です。

酒粕100g当たりの栄養価

栄養成分含有量
エネルギー215kcal
たんぱく質14.9g
脂質1.5g
食物繊維5.2g
糖質18.6g
ビタミンB20.26mg
ビタミンB60.94mg
ナイアシン2.0mg
葉酸170μg
アルコール8.2g

※参考:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

酒粕は、体内で合成できない「必須アミノ酸」がバランスよく含まれ、良質なたんぱく質を含む植物性食品といえます。

次に、酒粕に含まれる特徴的な機能性成分を紹介します。

  • 酒粕ペプチド
    アミノ酸が数個つながった物質をペプチドという。
    日本酒の醸造過程で、米のたんぱく質が酵素で分解されて生成される。
  • レジスタントプロテイン
    小腸で消化吸収されにくく、食物繊維と同様の働きをする難消化性たんぱく質。
  • フェルラ酸
    米ぬかに含まれるポリフェノールの一種。
  • コウジ酸
    麹菌が糖を代謝する過程で生成される有機酸。

酒粕に期待できる効能

酒粕に期待できる効能

ここからは、酒粕に期待できる主な効能を解説します。

血圧に関わる働き

酒粕に含まれるペプチドには、血圧の健康維持に関わる働きが報告されています。

これは、酒粕ペプチドに、血圧の上昇に関与する「アンジオテンシン変換酵素(ACE)」を阻害する性質があるためです。

血圧の調整を目的とした医薬品のなかには、ACEの働きを抑えるものがあります。

酒粕ペプチドには、医薬品のような急速な作用はありませんが、継続的な摂取により穏やかに血圧の健康を維持することが示唆されています。

※参考:斎藤 義之ら「Antihypertensive Effects of Peptide in Sake and Its By-products on Spontaneously Hypertensive Rats」Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry(1994)
月桂冠総合研究所「酒『粕』も百薬の長 酒粕から血圧を下げるペプチド」

血流・血行のサポート

酒粕ペプチドは、血流をサポートし、体の温かさを維持する働きが期待されている成分です。

血管内の細胞から分泌される一酸化窒素(NO)には、血管を広げて血液の流れをよくする作用があります。

酒粕ペプチドは、NOの産生を促し、体の冷えを和らげる可能性が報告されています。

さらに、酒粕を継続的に摂取することで、冷えを感じたあとの手の温度回復が早まったという報告もあります。

※参考:堤 浩子「清酒醸造から機能性素材の開発」生物工学(2017)(PDF)
月桂冠総合研究所「酒粕による冷えの改善 酒粕のイメージを検証し、酒粕に体を温める効果を実証」

抗酸化作用による健康維持

酒粕には、抗酸化作用を持つ成分が豊富に含まれ、活性酸素の影響を抑えて健康維持をサポートします。

本来、活性酸素は体に必要なものですが、過剰に産生されると細胞を傷つけ、健康に影響を及ぼす場合があります。

酒粕の抗酸化成分としては、抗酸化活性が確認されている「酒粕ペプチド」のほか、ポリフェノールの一種である「フェルラ酸」麹菌に由来する化粧品の美白成分でもある「コウジ酸」などが特徴的です。

良好な腸内環境のサポート

酒粕に含まれる成分は、それぞれ以下のような働きで良好な腸内環境の形成を助けます。

  • 不溶性食物繊維
    便のカサを増やして腸を刺激し、ぜん動運動を促す。
    「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」によると、酒粕に含まれる食物繊維は不溶性のみとされている。
  • レジスタントプロテイン
    小腸で分解されにくく、そのまま大腸まで届く。
    腸内細菌に利用されることで、悪玉菌が増えにくい環境作りへの関与が期待される。
  • オリゴ糖
    日本酒の醸造過程で、麹菌の働きによって生成される。
    ビフィズス菌など、善玉菌の増殖を助けるエネルギー源となる。

肌の健康維持を助ける

酒粕には、肌の健康維持に寄与する成分が豊富に含まれます。

脂質の排出に寄与する

酒粕に含まれるレジスタントプロテインや食物繊維は、体内のコレステロールに関連する脂質を吸着して体外への排出を助ける働きが期待されている成分です。

ヒトを対象とした試験では、レジスタントプロテインと食物繊維の含有量を高めた酒粕発酵物を継続摂取すると、LDL(悪玉)コレステロール値が低下し、HDL(善玉)コレステロール値が上昇するといった結果も報告されています。

※参考:渡辺 敏郎「健康と美容に貢献する『酒粕』の成分」日本醸造協会誌(2012)

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酒粕のアルコールについて

酒粕のアルコールについて

日本酒の製造過程で得られる酒粕には、アルコールが含まれています。

ここでは、具体的な含有量と取り入れる際の注意点、アルコールの飛ばし方について解説します。

酒粕に含まれるアルコール量と注意点

酒粕には、100g当たり8.2gのアルコールが含まれます。

参考として、一般的なアルコール飲料の含有量と比較した表を示します。

酒粕およびアルコール飲料100gに含まれるアルコール量

種類アルコール量
(g)
酒粕8.2
ビール3.7
缶チューハイ5.6
ワイン9.1(白)
9.3(赤)
日本酒
(純米・本醸造)
12.3

※参考:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

例えば甘酒を作る場合、1杯に使用する酒粕の量は30g程度であり、さらに加熱調理も加わるため、アルコール量はかなり少なくなります。

しかし、アルコールを完全に飛ばすのは難しいため、子どもや妊婦などは摂取を控えるか十分注意が必要です

酒粕を使用した飲み物や料理の摂取後は、念のため車の運転も控えましょう

酒粕のアルコールの飛ばし方

酒粕のアルコール分を効率よく飛ばすには、蒸す方法がおすすめです。

酒粕を小さく切って器に並べ、20分程度蒸すことで、内部まで熱が伝わりアルコールが効率よく蒸発します。

一般的な甘酒作りのように、先に水で薄めてから煮立たせると、アルコールが水と混ざり合い、揮発させるのに時間がかかります。

なお、蒸すよりもアルコールが残りやすいものの、電子レンジを利用すると手軽に下処理ができます。

これらの方法を使えば、酒粕のアルコール分を大幅に減らせます。

また、アルコールが抜けた酒粕は保存性が悪くなるため、早めに使い切るようにしましょう

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酒粕の摂取量・取り入れ方・保存方法

酒粕の摂取量・取り入れ方・保存方法

この章では、酒粕を効果的に取り入れるための摂取量や調理例のほか、適切な保存方法も紹介します。

1日50gを目安に摂取する

酒粕を日々の食事に取り入れるなら、1日50g程度が一つの目安です。

これは、甘酒にすると約2杯分に相当し、日常的に取り入れやすい量といえるでしょう。

ただし、甘酒として取り入れる場合は砂糖を加えることが多いため、糖分の過剰摂取に注意が必要です。

一度にたくさん食べるよりも、料理や飲み物で少しずつ生活に取り入れるのが、無理なく続けるポイントです。

ある研究報告でも、酒粕のレジスタントプロテイン含有量から、酒粕の摂取量として50gという数値が算出されています。

※参考:渡辺 敏郎「健康と美容に貢献する『酒粕』の成分」日本醸造協会誌(2012)

酒粕の取り入れ方

酒粕を継続して取り入れるには、普段の料理やお菓子作りに活用するのがおすすめです。

前章で紹介した「蒸し酒粕」を用意しておけば、調理の際にさっと使えて便利です。

以下に、酒粕の具体的な調理例を紹介します。

  • 甘酒
    腸内環境に配慮するなら、砂糖の代わりにオリゴ糖やはちみつを加えるとよい。
    豆乳で割ると、大豆の良質なたんぱく質も補える。
  • 粕汁・味噌汁
    具だくさんの粕汁は、さまざまな栄養素が一緒に摂れるバランスのよい一品。
    普段の味噌汁に加えるだけでも、手軽に酒粕を取り入れられる。
  • 焼き酒粕
    蒸し酒粕を薄く伸ばし、グラニュー糖や粉チーズなどをトッピングしてからトースターで焼く。
  • クリームシチュー・ポタージュ
    豆乳や牛乳と相性がよく、酒粕の風味でコクが出るため洋食メニューにもおすすめ。
  • 粕漬け焼き
    肉や魚を調味料と混ぜた酒粕で漬け込み、フライパンやグリルで焼く。
  • 酒粕クッキー
    クッキー生地に混ぜ込むと、チーズのような風味が楽しめる。

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酒粕の保存方法

酒粕はアルコール分を含み保存性が高いため、適切に保存すれば最後までおいしく楽しめます。

主な保存方法は、常温・冷蔵・冷凍の3つです。

いずれの場合も、開封後は乾燥や酸化を防ぐために空気を抜いて密封するのがポイントです。

  • 常温保存
    直射日光を避けた冷暗所で、3か月ほど保存できる。
    熟成が進むと、色が変わったり表面に白い粉(アミノ酸の結晶)が出たりすることがあるが、異臭やカビがなければ品質に問題はない。
  • 冷蔵保存
    風味や色の変化が抑えられ、常温よりも長く保存できる。
  • 冷凍保存
    冷凍では約1年間保存できる。
    使う際は冷蔵庫や常温で解凍し、柔らかくなったら少量の日本酒に浸すと風味がよくなる。
    なお、冷凍しても酒粕の栄養成分はほぼ損なわれない。

まとめ

日本酒の製造過程で生まれる酒粕は、健康や美容への効能が報告されている発酵食品です。

微生物の働きにより栄養成分が凝縮され、以下のような効果が期待できます。

  • 酒粕ペプチド
    血圧の健康維持や血流のサポートのほか、抗酸化作用も確認されている。
  • レジスタントプロテイン・食物繊維
    良好な腸内環境の形成や余分な脂質の排出を助ける。
  • ビタミンB群
    健やかな肌の維持に寄与する。

酒粕を日々の食事に取り入れるなら、1日50g程度を目安に、甘酒や料理で少しずつ続けるのがおすすめです。

ただし、酒粕にはアルコールが含まれ、加熱しても完全には取り除けないため、子どもや妊婦の摂取、車の運転などには注意が必要です

このような注意点も踏まえながら、毎日の食生活に酒粕を取り入れてみてはいかがでしょうか。

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