目次
「ミートソース」と「ボロネーゼ」は、どちらもひき肉を使ったパスタソースとして知られています。
両者は材料も見た目もよく似ているため、違いがわからない人も多いかもしれません。
じつは、ミートソースとボロネーゼには、起源や特徴に大きな違いがあるのです。
この記事では、それぞれのパスタソースの違いと魅力について詳しく解説します。
ミートソースとは?

ミートソースは、飲食店ではもちろん、家庭料理としても手軽に食べられているパスタソースです。
そんなミートソースについて紹介します。
アメリカでアレンジされたスパゲティソース
ミートソースの発祥地はアメリカとされています。
しかし、その元となったのは、じつはイタリア発祥の「ボロネーゼ」です。
イタリアのパスタ料理「ボロネーゼ」を、イタリア系移民がアメリカ風にアレンジしたものがミートソースなのです。
トマトケチャップやウスターソース、砂糖などを加えることで甘みととろみのあるソースに仕上がり、世代を問わず親しみやすい味わいになっています。
日本の家庭料理としても定着
現在の「ミートソース」が日本に伝わったのは戦後で、アメリカの進駐軍が日本で食べ始めたことがきっかけとされています。
一方で、それ以前の1881年にイタリア人コックが新潟のレストランで「ミートソース」を提供したのが始まりである、という説もあります。
19世紀にはイタリアから、20世紀にはアメリカからと、2つのルーツをもつ日本のミートソース。
1959年には日本の食品メーカーがミートソースの缶詰を販売したことにより、日本の食卓にも普及しました。
現在では、手軽に食べられるレトルト食品としても広く親しまれています。
ボロネーゼとは?

前章で紹介したように、ミートソースの元祖ともいうべき「ボロネーゼ」。
ボロネーゼの起源や特徴について紹介します。
イタリアの「美食の街」発祥の伝統料理
ボロネーゼは、豊かな食文化が育まれてきたイタリアの都市「ボローニャ」発祥の伝統料理です。
ボロネーゼの正式名称は「ラグー・アッラ・ボロニェーゼ(ragu alla bolognese)」。
これは「ボロネーゼ風のラグー」という意味で、フランスの煮込み料理「ラグー」を参考に作られたといわれています。
粗びき肉や香味野菜を赤ワインでじっくり煮込むのが特徴の料理です。
本場は平打ち麺を使用
日本では細麺であるスパゲッティと合わせて食べることもありますが、本場ボローニャでは、タリアテッレという平打ち麺を使った料理が正式なボロネーゼとされています。
タリアテッレはモチモチとした食感で、幅広の太いパスタです。
濃厚なボロネーゼソースがよく絡み、相性抜群のパスタといえます。
ミートソースとボロネーゼ5つの大きな違い

ミートソースとボロネーゼには、大きく次のような違いがあります。
- ひき肉の細かさ
- 使用するトマトの量
- 味わいの違い
- ソースに絡めるパスタの種類
- 煮込み時間や手軽さ
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ひき肉の細かさ
一般的に、ミートソースには細びき肉が使われるため滑らかな食感に仕上がっています。
一方、ボロネーゼに使用されるのは粗びき肉です。
肉感の強いゴロゴロとした食感が特徴的なボロネーゼは、肉のうま味を味わう料理ともいえるでしょう。
使用するトマトの量
ミートソースはトマトの使用料が多いため、見た目は赤みが強いソースです。
しかしボロネーゼは肉がメインのソースなので、ミートソースほどトマトは使われません。
トマトの使用が少ないぶん、ボロネーゼはミートソースに比べて茶色っぽい色合いになります。
味わいの違い
ミートソースは、トマトケチャップやウスターソース、砂糖を使って味付けしています。
甘みのある、子どもから大人まで親しみやすい味わいが特徴です。
一方ボロネーゼは、香味野菜とひき肉をシンプルに塩コショウで味付けし、赤ワインで煮込みます。
赤ワインの酸味や渋みの中に肉のうま味が引き立ち、奥深い味わいといえるでしょう。
ソースに絡めるパスタの種類
ミートソースは細麺であるスパゲッティと合わせるのが基本です。
対してボロネーゼは、平打ち麺のタリアテッレと絡めるのが本場ボローニャの食べ方です。
煮込み時間や手軽さ
ミートソースは、トマトの水分で短時間煮込めば完成するため、手軽に作ることができます。
また、トマトケチャップやウスターソースを使用するため、家庭にある調味料で調理できることも手軽さの理由の1つです。
反対に、ボロネーゼは赤ワインでじっくり煮込む料理です。
水分を飛ばしながら数時間煮込むことで、食材のうま味が感じられる深い味わいが生まれます。
家庭で作る!ミートソース&ボロネーゼレシピ

ミートソースやボロネーゼ、家庭では市販のソースを使うという方も多いのではないでしょうか。
ここでは、家庭でも手軽に作れるミートソースとボロネーゼのレシピをそれぞれ紹介します。
また、パスタ以外の料理への活用法もあわせて紹介します。
手軽に作れるミートソース
家庭で作れば、自分の好みの具や味付けにできるので、よりおいしくいただくことができます。
材料(1人分)
- 牛豚合びき肉:100g
- 玉ねぎ:1/4個
- カットトマト缶:100g
- 水:50g
- トマトケチャップ:大さじ1.5
- ウスターソース:大さじ1.5
- 砂糖:小さじ1/2
- コンソメ顆粒:小さじ1/2
- すりおろしニンニク:小さじ1/2
- 塩:少々
- 黒コショウ:少々
このほかに、ニンジンやマッシュルームなどを加えてもいいでしょう。
作り方
- 玉ねぎをみじん切りにする。
- 熱したフライパンにサラダ油(分量外)をひき、ひき肉の色が変わるまで炒める。
- トマト缶、水、そのほかの調味料を加えて混ぜ、加熱する。時々混ぜながら、汁気がなくなるまで煮たら完成。
材料を切って煮込むだけなので、簡単においしいミートソースができあがります。
簡単なのに本格的なボロネーゼ
ボロネーゼの時短レシピとして、ミートソースと同じくケチャップとウスターソースを使ったレシピもありますが、ここではボロネーゼらしく赤ワインを使ったレシピを紹介します。
材料(1人分)
- 牛肉または合びき肉(粗びき):100g
- 玉ねぎ:1/2個
- にんじん:1/8個
- セロリ:1/8本
- ホールトマト缶:100g
- 赤ワイン:1/3カップ
- 塩:少々
- 黒コショウ:少々
- 砂糖:少々
塩・コショウ・砂糖は、お好みで調節してください。
作り方
- フライパンにオリーブオイル(分量外)をひき、みじん切りにした野菜を甘みが出るまで10分ほど弱火でじっくり炒める。
- 中火で温めたフライパンに、ひき肉を均一になるよう広げて塩をふり、焼き色が付くまで1分ほど焼く。
- ひき肉をほぐしながら、全体に焼き色が付くまで炒める。
- ひき肉に赤ワインを加えて混ぜ合わせる。
- 4にトマト缶と炒めた野菜を入れ、軽く沸騰させる。
- 塩、コショウ、砂糖をお好みで加え、弱火で水分がなくなるまで煮詰めたら完成。
数時間煮込むといわれるボロネーゼですが、このレシピでは20分ほどの煮込み時間で完成します。
ポイントは、弱火で野菜を炒めたりひき肉に焼き目をつけたりすることです。
そうすることによって、野菜本来の甘みや肉のうま味が引き出されます。
レシピの応用アイデア
ミートソースやボロネーゼソースは、パスタ以外にも合う万能ソースです。
ソースとチーズを一緒に焼けば、グラタンやドリアに早変わりします。
レタス・トマト・トルティーヤと一緒にご飯に載せればタコライスになります。
オムライスにも合うほか、トーストにのせるだけでもおいしい一品の完成です。
たくさん作ったミートソースやボロネーゼソースは、パスタ以外の料理にもぜひ使ってみてください。
まとめ
ミートソースとボロネーゼは、どちらもひき肉を使った魅力的なパスタソースですが、その特徴や味わいには違いがあります。
広い世代から愛される甘みと手軽さが魅力のミートソースと、じっくり煮込むことで素材のうま味を味わうことができるボロネーゼ。
2つの違いを理解したうえで、それぞれのパスタ料理を味わってみてください。
きっと、これまでと違った味わいを楽しめることでしょう。