目次
ケツメイシを原料とするハブ茶には、目の健康維持や便秘改善など、さまざまな効能があります。
この記事では、ハブ茶に期待される効能を、含まれる成分を根拠に詳しく解説します。
ハブ茶を飲む際の注意点もまとめているので、初めて飲むという人も安心して試すことができます。ぜひ参考にしてみてください。
ハブ茶とは?

ハブ茶は、エビスグサの種子を煎じたお茶です。
中国では古来より健康茶として親しまれ、その効能はアントラキノン誘導体やビタミンAなどの成分に由来します。
エビスグサの種子「ケツメイシ」を煎じたお茶
ハブ茶とは、エビスグサの種子であるケツメイシを乾燥させて焙煎し、抽出したお茶です。
エビスグサはマメ科の一年草で、その種子はケツメイシ(決明子)と呼ばれ、漢方にも使用されます。
決明子には「明を開く」の意味があり、中国では古来から、視力の回復に用いられてきました。
ハブ茶はもともと、同じマメ科のハブソウから作られていましたが、収穫量が少ないため、現在は同様の効果があるエビスグサが用いられています。
ハブ茶に含まれる主な成分
ハブ茶の効能に関係する主な成分は以下のとおりです。
- アントラキノン誘導体
生薬の成分や、天然由来色素に利用される化合物群。
ハブ茶には、クリソファノール(Chrysophanol)・エモジン(Emodin)・オブツシフォリン(Obtusifolin)・レイン(Rhein)などの化合物が含まれている。 - ビタミンA
脂溶性ビタミンのひとつ。
抗酸化作用があり、目や肌を健康に保つ効果がある。
ハブ茶に期待される主な効能

ハブ茶には、目の健康維持や便秘改善の他に、血圧を下げる作用や肝機能の改善などの効果があります。
この章では、ハブ茶に期待される主な効能について解説します。
目の健康を維持する
ハブ茶に含まれるアントラキノン誘導体とビタミンAには、目の健康を維持する効果があります。
- アントラキノン誘導体(エモジン、レインなど)
炎症性サイトカイン(炎症反応を促進させるたんぱく質)の抑制を介して抗炎症作用を示す。
抗炎症作用により、目の赤み・腫れ・痛みなどを緩和する。 - ビタミンA
視細胞(網膜に存在する光を感じ取る神経細胞)の機能維持に必要な栄養素。
不足すると、暗い場所でものが見えにくくなる夜盲症を引き起こす。
ハブ茶には、目の腫れや痛みなどの炎症を緩和し、夜盲症を防ぐといった効果が期待できます。
便秘を改善する
ハブ茶は、便秘の改善にも有効です。
ハブ茶に含まれるアントラキノン誘導体には、大腸粘膜の神経叢(アウエルバッハ神経叢)を刺激し、腸のぜん動運動を活発化させる働きがあります。
アントラキノン誘導体の作用は、一般的に整腸薬や便秘薬として利用されており、ハブ茶も便秘改善に役立ちます。
ただし、便秘で悩んでいる場合でも、一度に多量に飲んだり、長期間飲んだりすることは避けましょう。
注意点の章で後述するように、腹痛や下痢、腸の機能低下などを引き起こすことがあるためです。
血中コレステロール値や血圧を下げる
ハブ茶には、血中コレステロール値や血圧を下げる効果があり、中国では動脈硬化や高血圧の予防・治療に活用されています。
海外の研究によると、ハブ茶の原料であるケツメイシから抽出した成分を2か月間摂取すると、血液中のコレステロールと中性脂肪が減少したことがわかっています。
血液中のコレステロールと中性脂肪の減少により、以下の効果が期待できます。
- 高血圧を予防する
血管内にコレステロールなどの脂質が蓄積すると、動脈硬化を引き起こす。
すると血管の弾力性が失われて血液が流れにくくなり、高血圧を引き起こす。
ハブ茶が持つ血液中の脂質を減少させる働きが、血圧を下げるひとつの要因と考えられる。 - 糖尿病を予防する
中性脂肪が多いと、インスリンの働きが妨げられるため、血糖値が上昇しやすい。
ハブ茶には血中の中性脂肪を減少させる作用があり、糖尿病の予防効果が期待できる。
肝機能を改善する
ハブ茶は、肝機能の改善にも効果的です。
肝臓は、生体のエネルギー代謝を担う中心的な臓器であるため、活性酸素が多量に発生します。
活性酸素の影響を抑えるために、肝臓では抗酸化機構が発達していますが、酸化と抗酸化のバランスが崩れて酸化ストレスを受けると、肝機能が衰え、全身の老化につながります。
ハブ茶の原料であるケツメイシには、肝臓での活性酸素の影響を抑える作用が期待されています。
海外の研究によると、ケツメイシに含まれるトララクトン配糖体という物質が、肝臓の保護に関わるNrf2経路を活性化させると報告されています。
(Nrf2経路:抗酸化酵素の発現を誘導し、酸化ストレスから細胞を守る役割を持つ経路。)
ハブ茶は、Nrf2経路を介して活性酸素の影響を抑え、肝臓を保護すると考えられています。
抗菌作用
ハブ茶の原料であるケツメイシには、抗菌作用を持つ物質が含まれています。
これらの物質は、以下のような仕組みで抗菌作用を示します。
- アントラキノン誘導体により、細菌の細胞壁やたんぱく質の合成が阻害される。
- ケツメイシから分離された成分(アントラキノン系やナフトピロン系の化合物)が、黄色ブドウ球菌や大腸菌に対して抗菌作用を示す。
ハブ茶は、黄色ブドウ球菌や大腸菌に対して抗菌作用があるため、食中毒予防への効果も期待できます。
リラックス効果
ハブ茶の香りや味は、リラックスしたいときにも効果的です。
ハブ茶は、エビスグサの種子であるケツメイシを焙煎して抽出します。
焙煎した香ばしさと、ほのかな甘みがあり、ハブ茶を飲むとリラックス効果が得られます。
一般的なハブ茶にはカフェインが含まれないため、仕事や家事の休憩時間にはもちろん、就寝前に飲むのもおすすめです。
ハブ茶を飲むときの注意点

ハブ茶の原料であるケツメイシは、漢方にも用いられる生薬です。
ハブ茶は、多くの効能が得られると同時に、飲む際の注意点もあります。
少量から試す・長期間の飲用は避ける
ハブ茶は、漢方薬にもなるケツメイシが原材料であり、一般的なお茶よりも強めの作用を持っています。
初めて飲む際は少量から試し、日常的にあまりに長い期間飲むことも避けましょう。
とくに、特徴的な成分であるアントラキノン誘導体は、大腸を刺激する性質があり、以下のような点に注意が必要です。
- 腹痛や下痢などの副作用を起こすことがある。
- 長期にわたり使用すると、腸の機能低下を引き起こすことがある。
また、濃く煎じた場合も効き目が強くなるため、注意が必要です。
ウーロン茶・ハトムギ茶・あずき茶など、他のお茶とブレンドするのもおすすめです。
低血圧・下痢の症状がある場合は飲まない
ハブ茶には、血圧を下げたり、便通を促したりする効果があるため、低血圧や下痢などの症状がある場合は飲まないようにしましょう。
ハブ茶の飲用を避けた方がよいのは、以下のような場合です。
- 低血圧の症状がある
- 下痢・軟便・腹痛の症状がある
- 虫垂炎・大腸炎・過敏性腸症候群など腸の疾患がある
- 12歳以下の小児
また、他の疾病により薬を服用している人や、妊婦・授乳婦は、医師と相談して飲用すると安心です。
ハブ草の葉を煎じる「ハブ草茶」もある
ハブ茶とハブ草茶は、効能は似ていますが、厳密には違うものです。
以下に、両者の違いをまとめます。
- ハブ茶
原料:エビスグサの種子「ケツメイシ」
漢名:決明
効能:目の健康維持・便秘改善・高血圧予防・肝機能改善など - ハブ草茶
原料:ハブソウの葉・茎・花・種子
漢名:ボウコウナン(望江南)
効能:胃の調子を整える・便秘改善など
エビスグサとハブソウは、同じマメ科・センナ属の植物であり、体に対する作用も似ています。
ハブ草茶を飲用する際は、ハブ茶の注意点を参考にするとよいでしょう。
まとめ
ハブ茶は、エビスグサの種子「ケツメイシ」を煎じたお茶で、以下のような効能が期待できます。
- 目の健康維持
- 便秘改善
- 血中コレステロール値や血圧を下げる
- 肝機能の改善
- 抗菌作用
- リラックス効果
漢方薬にもなるケツメイシ(決明子)が原料のハブ茶は、一般的なお茶よりも強い作用を持ちます。
ハブ茶を飲む際は、以下の点に注意しましょう。
- 少量から試す
- 長期間の飲用は避ける
- 低血圧・下痢・腹痛の症状がある場合は飲まない
ハブ茶は、さまざまな効能が期待できる健康茶です。まずは少量から、試してみてはいかがでしょうか。